シラ 1

知恵の賛歌 1 すべての知恵は、主から来る。主と共に永遠に存在する。 2 浜辺の砂、雨の滴、/永遠に続く日々、/だれがこれらを数え尽くしえようか。 3 天の高さ、地の広さ、/地下の海、知恵の深さ、/だれがこれらを探りえようか。 4 知恵は、他のすべてのものに先立って造られ、/その悟る力も、永遠の昔から存在している。 5 〔知恵の泉は、いと高き所にいます神の言葉、/知恵の歩みは、永遠の掟。〕 6 知恵の根源が、だれに示されたであろうか。その巧みさを、だれが知りえたであろうか。 7 〔知恵がもたらす知識を、だれが見たであろうか。知恵がもたらす豊かな経験を、/だれが理解したであろうか。〕 8 知恵ある方はただひとり、いと畏き方、/玉座に座っておられる主である。 9 主御自身が知恵を造り、/これを見て、価値あるものとされ、/造られたすべてのものの上に知恵を注がれた。 10 主は、すべての人々に分に応じて知恵を与え、/主を愛する者には惜しみなくそれを与えられた。〔主を愛することこそ、輝かしい知恵。主は、御自分を示すために、知恵を分け与え、/こうして彼らは主を見るようになる。〕 主を畏れること 11 主を畏れることは、誉れと誇り、/幸せと喜びの冠である。 12 主を畏れることは、心を楽しませ、/喜びと、幸福と、長寿をもたらす。〔主を畏れることは、主からの賜物、/それによって愛の道を歩むことができる。〕 13 主を畏れる人は、幸せな晩年を送り、/臨終の日にも、主から祝福を受ける。 14 主を畏れることは、知恵の初めである。知恵は、主を信じる人たちに/母の胎内にいるときから与えられている。 15 知恵は、人々の間に揺るぎない基を据え、/人々は、幾世代にもわたってそれに信頼を置く。 16 主を畏れることは、知恵に満たされること、/人々は、知恵の果実に陶酔し、 17 彼らの家は、すべて望むもので満たされ、/そのすべての倉は、知恵の産物で満ちあふれる。 18 主を畏れることは、知恵の冠、/平和の花を咲かせ、健康を保たせる。〔主への畏敬と知恵こそは、/平和をもたらす神の賜物、/神を愛する者に誇りは増し加わる。 19 主はこれを見て、価値あるものとされた。〕/知恵は、知識と悟りを雨のように注ぎ、/知恵を保つ者の栄誉を高める。 20 主を畏れることは、知恵の根源、/そこから生え出る枝は、長寿である。 21 〔主を畏れることは、罪を退け、/その畏れを心にとどめる人は、/すべての怒りを遠ざける。〕 自制 22 不当な憤りには、弁解の余地がなく、/理不尽な憤りは、身の破滅を招く。 23 辛抱強い人は、時が来るまで耐え忍ぶ。耐え忍んだ後には、気分が晴れて壮快になる。 24 彼は語るべき時が来るまで、口を慎む。そうすると多くの人々は、/彼の思慮深さを伝え広める。 誠実と柔和 25 知恵の倉には、知識に満ちた箴言がある。しかし罪人は、敬神の心を忌み嫌う。 26 […]

シラ 2

神への信頼 1 子よ、主に仕えるつもりなら、/自らを試練に向けて備えよ。 2 心を引き締めて、耐え忍べ。災難のときにも、取り乱すな。 3 主に寄りすがり、決して離れるな。そうすれば、豊かな晩年を送ることになる。 4 身にふりかかる艱難は、すべて甘受せよ。たとえ屈辱を受けても、我慢せよ。 5 金は火で精錬され、/人は屈辱のかまどで陶冶され、/神に受け入れられる。〔病気のときも貧しいときも、主に依り頼め。〕 6 主を信頼せよ。そうすれば必ず助けてくださる。お前の歩む道を一筋にして、主に望みを置け。 主を畏れる人たちよ 7 主を畏れる人たちよ、主の憐れみを待ち望め。わき見をしてはならない。さもないと、道を踏み外す。 8 主を畏れる人たちよ、主を信頼せよ。そうすれば必ず報われる。 9 主を畏れる人たちよ、主が賜るすばらしいこと、/すなわち、永遠の喜びと憐れみを待ち望め。〔主は喜びに満ちた永遠の賜物を/報酬として与えてくださる。〕 10 昔の人々のことを顧みて、よく考えてみよ。主を信頼して、欺かれた者があったか。主を敬い続けて、見捨てられた者があったか。主を呼び求めて、無視された者があったか。 11 主は、慈しみ深く、憐れみ深い方、/わたしたちの罪を赦し、/苦難のときに助けてくださる。 禍い 12 臆病な者、怠惰な者、/二またをかける罪人は、禍いだ。 13 無気力な者は、禍いだ。彼には信念がない。だから、彼には主の守りはない。 14 忍耐を捨てた者は、禍いだ。主の裁きの時には、どうするつもりなのか。 主を畏れる人 15 主を畏れる人は、主の掟に背かない。主を愛する人は、主の道を歩み続ける。 16 主を畏れる人は、主を喜ばせようと心がけ、/主を愛する人は、律法を喜んで守る。 17 主を畏れる人は、常に心の備えをし、/主の前で、自らへりくだる。 18 「わたしたちは、自分を、人の手にではなく、/主の御手にゆだねます。主の憐れみは、/その尊厳と同じく、偉大なのですから。」 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/SIR/2-d8509feaf977da712926d118bfe8f657.mp3?version_id=1819—

シラ 3

両親に対する義務 1 子供たちよ、/父の戒めに耳を傾け、それを守れ。そうすれば、つつがなく暮らせる。 2 主は、子に対する権威を父に授け、/子が母の判断に従う義務を定めておられる。 3 父を尊べば、お前の罪は償われ、 4 同じく、母を敬えば、富を蓄える。 5 父を尊べば、いつの日か、/子供たちがお前を幸せにしてくれる。主は、必ず祈りを聞き入れてくださる。 6 父を敬う者は、長寿に恵まれ、/主に従う者は、母を安心させる。 7 〔主を畏れる人は、父を尊び、〕/僕が主人に仕えるように、両親に仕える。 8 言葉と行いをもって、父を尊敬せよ。そうすれば、父から祝福を受ける。 9 父の祝福は、子供たちの家を堅固なものとし、/母の呪いは、子供たちの家の土台を覆す。 10 父の名誉を傷つけてまで、/自分の栄誉を求めるな。父の不名誉は、お前の栄誉とはならない。 11 父親を敬うこと、これこそ人間の栄誉なのだ。母親を侮ること、それは子供にとって恥である。 12 子よ、年老いた父親の面倒を見よ。生きている間、彼を悲しませてはならない。 13 たとえ彼の物覚えが鈍くなっても、/思いやりの気持を持て。自分が活力にあふれているからといって、/彼を軽蔑してはならない。 14 主は、父親に対するお前の心遣いを忘れず、/罪を取り消し、お前を更に高めてくださる。 15 お前が苦難に遭うとき、/主は、その心遣いを思い出してくださる。お前の罪は、晴れた日の霜のように/解け去るであろう。 16 父を見捨てる者は、神を冒涜する者、同じく/母を怒らせる者は、主に呪われている者。 謙遜 17 子よ、何事をなすにも柔和であれ。そうすれば、施しをする人にもまして愛される。 18 偉くなればなるほど、自らへりくだれ。そうすれば、主は喜んで受け入れてくださる。 19 〔身分の高い人や著名な人は多い。しかし、神の奥義は柔和な人に現される。〕 20 主の威光は壮大。主はへりくだる人によってあがめられる。 21 お前の力に余ることを理解しようとするな。また、手に負えないことを探究しようとするな。 22 お前のために定められていること、/それを熟慮せよ。お前に示されていないことを知る必要はない。 23 できないことに手を出すな。お前に示されたことは、/既に人間の理解を超えたものなのだから。 24 多くの者が早合点して道を誤り、/誤った推測で判断をゆがめてしまった。 25 〔目がなければ、光を見ることはできない。知識がないのに、知ったかぶりをするな。〕 心のかたくなな者 26 心のかたくなな者は、晩年になって苦しむ。危険を好む者は、それによって身を滅ぼす。 […]

シラ 4

1 子よ、貧しい人の生活を脅かすな。乞い求めるまなざしの人をじらすな。 2 飢えている人を悲しませるな。途方に暮れている人を怒らせるな。 3 いらだっている人を更に苦しめるな。乞い求める人に与えることをためらうな。 4 悩んで助けを求める人を拒むな。貧しい人から顔を背けるな。 5 物乞いする人から目を背けるな。お前を呪う口実を彼に与えるな。 6 その人が恨みを込めてお前を激しく呪えば、/造り主は、彼の願いを聞き入れられるから。 7 会堂では、人々から好意を持たれるようにせよ。権威ある者には、頭を低くせよ。 8 貧しい人の訴えに耳を傾け、/穏やかにそして柔和に、答えるがよい。 9 不当に扱われている者を/加害者の手から救い出せ。勇気をもって決断せよ。 10 孤児たちに対しては父親のようになり、/孤児たちの母親に対しては、/その夫がするように手助けするがよい。そうすれば、いと高き方はお前を子と見なし、/母親以上にお前を愛してくださる。 知恵の試練 11 知恵は、それに従う子らを高め、/これを追い求める者を助ける。 12 知恵を愛する者は、命を愛する者。朝早く起きて知恵を求める者は、/喜びに満たされる。 13 知恵を得る者は、誉れを受け継ぎ、/行く先々で、主から祝福される。 14 知恵に仕える者は、聖なる方に奉仕する者。知恵を愛する者は、主から愛される。 15 知恵に聞き従う者は、諸国民を正しく裁き、/知恵に心を向ける者は、安らかに暮らす。 16 知恵を信頼すれば、知恵が与えられ、/子孫もその知恵を受け継ぐ。 17 知恵は、最初、お前を険しい道に連れて行き、/恐れの気持を抱かせて、おじけさせる。知恵の試練は、お前を激しく苦しめる。知恵は、お前を信頼するまで、/数々の要求を突きつけて、お前を試みる。 18 だがすぐに、知恵は再びお前のもとに来て、/お前を喜ばせ、その真意を明らかに示す。 19 しかし、お前が道をそれるなら、/知恵はお前を見捨て、/お前が破滅していくにまかせる。 正しく行動せよ 20 正しく時を見極め、悪から身を守れ。いたずらに自分を恥じることはない。 21 罪をもたらす恥じらいもあり、/名誉と尊敬に値する恥じらいもあるのだから。 22 自分の気持を裏切ってまで、他人にこびるな。いたずらに恥じて身の破滅をもたらすな。 23 必要なときに発言するのをためらうな。〔お前の知恵を、見栄のために隠してはならない。〕 24 知恵は、言葉によって知られ、/教訓は、語る言葉によって理解されるのだから。 25 真理に逆らって発言するな。自分の無学を恥じよ。 26 罪を告白することを恥じるな。川の流れを無理にせき止めてはならない。 27 […]

シラ 5

高慢になるな 1 自分の財産を頼みとするな。「わたしは、何でも思いのままだ」と言うな。 2 本能と自分の力に引きずられ、/欲望のままに生きてはいけない。 3 「だれもわたしを支配できない」と言うな。主は必ずお前に復讐なさるだろう。 4 「罪を犯したが、何も起こらなかった」と言うな。主は忍耐しておられるのだ。 5 どうせ罪は贖われるのだからといい気になって、/罪に罪を重ねてはならない。 6 「主の憐れみは豊かだから、/数多くのわたしの罪は赦される」と言うな。主は、憐れみだけでなく、怒りをも持ち、/その激しい怒りは罪人たちの上に下る。 7 速やかに主のもとに立ち帰れ。一日、もう一日と、引き延ばしてはいけない。主の怒りが、突然やって来て、/裁きの時に、お前を滅ぼしてしまうからだ。 8 人を惑わす財産を頼みとするな。いざというとき、何の役にも立たない。 誠実と自制 9 風向きを考えずにもみ殻をふるい分けるな。どんな道でも歩いてよいというわけではない。それは、二枚舌の罪人がすることだ。 10 自分の見解には確信を抱き、/発言には一貫性を持たせよ。 11 人の言葉には、速やかに耳を傾け、/答えるときは、ゆっくり時間をかけよ。 12 はっきりした見解があれば、隣人に答えよ。さもなければ、口に手を当てて何も言うな。 13 名誉、不名誉も言葉しだい、/舌は身を滅ぼすもととなる。 14 陰口をたたく者と呼ばれるな。舌で人を陥れるな。盗人には辱めが、/二枚舌の者には激しい非難が浴びせられる。 15 大事にも小事にも細心の注意を払え。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/SIR/5-4399ed1f61fb6451d93219c7645cd19b.mp3?version_id=1819—

シラ 6

1 友となるべきときに、裏切って敵となるな。悪評が立ち、恥とそしりを受けるからだ。それは、二枚舌の罪人がすることだ。 2 自分勝手な思いで高ぶるな。さもないと、暴れる雄牛のように力尽きる。 3 お前は葉を食い尽くし、実を台なしにし、/そして、自分自身を枯れ木のようにしてしまう。 4 激情は、これを抱く者を滅ぼし、/敵の物笑いの種とする。 誠実な友 5 のどの麗しい声は、友人を増やし、/舌のさわやかな語りかけは、/愛想のよい返事を増やす。 6 多くの人々と親しく挨拶を交わせ。だが、相談相手は千人のうち一人だけに限れ。 7 友をつくるときは、試してからにせよ。すぐに彼を信頼してはいけない。 8 都合のよいときだけ友となり、/苦難のときには、離れてしまう者がいる。 9 また、心変わりして敵となる友もいて、/争いでお前が吐いた悪口を暴露する。 10 食事のときだけ友であり、/苦難のときには、離れてしまう者がいる。 11 お前のはぶりがよいと、お前のようにふるまい、/お前の召し使いたちになれなれしくする。 12 しかし、お前が落ちぶれると、背を向け、/お前の目から身を隠す。 13 敵からは遠ざかれ。友達には気をつけよ。 14 誠実な友は、堅固な避難所。その友を見いだせば、宝を見つけたも同然だ。 15 誠実な友は、何ものにも代え難く、/そのすばらしい値打ちは計り難い。 16 誠実な友は、生命を保つ妙薬。主を畏れる者は、そのような友を見いだす。 17 主を畏れる者は、真の友情を保つ。友もまた、彼と同じようにふるまうから。 知恵に近づけ 18 子よ、若いときから教訓を受け入れよ。白髪になるまでに、知恵を見いだすように。 19 耕し、種蒔く農夫のように、知恵に近づき、/その豊かな実りを待ち望め。知恵を得るには、しばらく苦労するが、/やがて、その実を味わうだろう。 20 教訓を受け入れない者にとって、/知恵はなんと忌まわしいことか。愚かな者は、知恵の中に踏みとどまれない。 21 力試しの石のように、/知恵は重荷となって彼を苦しめ、/彼はすぐにそれをほうり出す。 22 知恵は、その名のとおり奥深く、/多くの人にはとらえにくい。 23 子よ、耳を傾けてわたしの意見に従え。わたしの忠告を拒んではならない。 24 足に知恵の足枷をかけ、/首に知恵の首輪をはめよ。 25 肩を低くし、知恵を担え。その束縛にいらだつな。 26 心を尽くして知恵に近づき、/力を尽くして知恵の道を歩み続けよ。 27 […]

シラ 7

悪を行うな 1 悪を行うな。そうすれば、悪はお前を襲わない。 2 不正から遠ざかれ。そうすれば、不正がお前を避けるだろう。 3 不正の畑に種を蒔くな。七倍の不正の実を刈り取るだけだ。 4 権力の座を、主に乞い求めるな。栄光の地位を、王に乞い求めるな。 5 主の前で、自分の正しさを主張するな。王の前で、知恵をひけらかすな。 6 不正を取り除く力がなければ、/裁判官を志すな。さもないと、権力者の顔色をうかがい、/公平な裁きができなくなる。 7 町の住民に対して過ちを犯すな。また、民衆の前で面目を失うな。 8 過ちを二度繰り返すな。一度の過ちでさえ、罰を免れないからだ。 9 次のように言ってはならない。「神はわたしの数多い献げ物を顧みてくださる。わたしが、いと高き神に献げ物をささげれば、/必ず、受け入れてくださる。」 10 ためらいながら祈ってはならない。施しをする機会を逃してはならない。 11 心を痛めている人をあざ笑うな。人を低め、かつ高める方がおられるのだから。 12 兄弟に偽り事をたくらむな。友人にも、そのようなことはするな。 13 どんな偽りも口にしてはならない。うそが身につくと、ろくなことにはならない。 14 長老たちの集いの場では、無駄口を利くな。祈るときには、くどくどと繰り返すな。 15 骨の折れる仕事や、/いと高き方が定められた畑仕事を、/嫌ってはならない。 16 罪人の仲間に加わってはならない。神の裁きは速やかに下ることを、心に留めよ。 17 どこまでも謙遜であれ。畏れを知らぬ者には、火と蛆の刑罰が下る。 友人と家族 18 金のために友を裏切るな。オフィルの黄金のために真の兄弟を裏切るな。 19 賢く良い女をめとる機会を逃すな。彼女のもたらす喜びは、黄金にまさる。 20 誠実に働く召し使いや、/懸命に尽くす雇い人を、冷遇するな。 21 賢い召し使いを心から愛し、/その自由を奪ってはならない。 22 家畜がいれば、よくその世話をせよ。お前の役に立つのだから、ずっと飼い続けよ。 23 子供がいれば、彼らを教育し、/幼いときから、厳しくしつけよ。 24 娘がいれば、その体に心を配れ。彼女らに甘い顔ばかりしてはならない。 25 娘を嫁がせよ。それで大仕事を終えたのだ。だが、娘は賢い男に嫁がせよ。 26 心に適う妻がいれば、彼女を追い出すな。気に入らない妻には、心を許すな。 27 […]

シラ 8

良識ある行為 1 権力者と争うな。彼の手に陥らないともかぎらない。 2 金持ちとけんかをするな。彼は金にものを言わせ、/お前に立ち向かわないともかぎらない。黄金は多くの人々を滅ぼし、/王たちの心を迷わせた。 3 口数の多い者と争うな。火に薪をくべることにならないともかぎらない。 4 粗野な者をからかうな。彼はお前の先祖を辱めるかもしれない。 5 罪から離れようとしているなら、/もうその人をとがめてはならない。わたしたちは皆、/罰に値する者であることを思え。 6 年寄りだからといって、軽蔑するな。わたしたちも、いずれは老人になるのだから。 7 他人の死を喜ぶな。わたしたちは皆、死すべき者であることを思え。 8 知恵ある人の話をなおざりにせず、/その格言に心を留めよ。そうすれば、そこから教訓を学び、/王に仕えるすべを身につけることができる。 9 老人たちの話を聞き逃すな。彼らも、その先祖たちから学んだのだ。そうすれば、そこから知識を学び、/必要なときに答えることができる。 10 罪人の情欲の炭に火をつけるな。その燃える炎で、やけどをしないともかぎらない。 11 傲慢な人の挑発に乗るな。彼は、お前の言葉じりをとらえて陥れようと、/待ち構えているかもしれないから。 12 お前より力のある人に金を貸してはならない。貸したら最後、失ったものと思え。 13 お前の力量を超えて保証をしてはならない。保証をするなら、自分が返済する覚悟を持て。 14 裁判官を相手に訴訟を起こしてはならない。彼の名誉を重んじる判決が下されるから。 15 向こう見ずな人間と一緒に旅をするな。お前はひどい災難に/悩まされないともかぎらない。彼は勝手気ままにふるまい、/その愚かな行動がもとで、/お前も一緒に命を落とすことになる。 16 短気な人間と争ったり、/一緒に荒れ野を歩いたりしてはならない。彼は、血を流すことなど何とも思わず、/だれの助けも得られないところで、/お前を打ち倒してしまうから。 17 愚か者と相談するな。彼は秘密を守ることができないのだから。 18 内密にすべきことを他人の前で公にするな。どんな結果が生じるか分からないのだから。 19 相手構わず、人に心を打ち明けるな。また、相手構わず、人から恩を受けるな。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/SIR/8-614dd2d0a649d6d9eeb49a287a706e1e.mp3?version_id=1819—

シラ 9

女性について 1 愛する妻に、やきもちをやくな。お前を傷つける悪知恵を、彼女に教えるだけだ。 2 女にうつつを抜かして、/彼女の言いなりになるな。 3 ふしだらな女に近づくな。彼女の罠に、はまり込まないともかぎらない。 4 女の歌い手となじみになるな。彼女の手中に陥らないともかぎらない。 5 おとめをじっと見つめるな。慰謝料を払わされるはめに陥るかもしれない。 6 娼婦にうつつを抜かすな。さもないと、財産をつぶしてしまう。 7 街角に立って辺りを見回すな。また、町の裏通りを歩き回るな。 8 見目麗しい女から目をそらせ。人妻の美しさに見とれるな。多くの者が女の美しさに惑わされ、/愛欲を火のように燃え上がらせる。 9 結婚した女とは同席するな。また、彼女と酒を酌み交わして、楽しむな。心が彼女に奪われ、/愛欲にたぎる血で身を滅ぼさないともかぎらない。 人間関係 10 古くからの友人をなおざりにするな。彼は、新しい友人に、はるかにまさる。新しい友は、新しいぶどう酒。古くなるほど、味わい深く飲めるのだ。 11 罪人の成功をねたむな。彼にどんな破滅が待っているか、/お前は知らないのだ。 12 不信仰な人の成功をうらやむな。彼らは必ず罰せられて陰府に行くものと心得よ。 13 命を奪う力を持つ権力者から遠ざかれ。そうすれば、死の恐怖におののくことはない。たとえ彼に近づいたとしても、過ちを犯すな。さもないと、命を奪われてしまう。お前は、仕掛けられた罠の間を通り、/町の城壁の上を歩き回っているものと知れ。 14 できるかぎり隣人を見極め、/知恵ある人と相談せよ。 15 聡明な人と語り合い、/専ら、いと高き方の律法を話題とせよ。 16 正しい人たちと食事を共にし、/主を畏れることを、お前の誇りとせよ。 17 職人は、その作品によって称賛され、/知恵ある為政者は、/その言葉によって称賛される。 18 口数の多い者は、町中で忌み嫌われ、/口の軽い者は、その言葉によって憎まれる。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/SIR/9-931af1d9dd5d2bf02d9b00d7a44fc779.mp3?version_id=1819—

シラ 10

統治者について 1 知恵ある統治者は、その民を教育し、/聡明な人の政治は、秩序あるものとなる。 2 公務に携わる人たちは、民の統治者に倣い、/町の住民は皆、その首長に倣う。 3 教養に欠けた王は、その民を滅ぼし、/実権を握る者の聡明さは、町を立派に築く。 4 この世の主権は、主の御手にある。主は、時に応じて、ふさわしい人物を起こされる。 5 人の成功は、主の御手にある。立法者に栄誉を授けるのも、主である。 高慢について 6 隣人のどんな不正な仕打ちにも、憤りを抱くな。また、決して横柄なふるまいをしてはならない。 7 高慢は、主にも人にも嫌われ、/不正は、そのいずれからも非難される。 8 覇権は、民族から民族へと移り行く。その原因は、不正と傲慢と富である。〔金銭欲の強い者こそ、最も不法な者だ。彼は、全く守銭奴になりきってしまう。〕 9 土くれや灰にすぎぬ身で、なぜ思い上がるのか。だからわたしは、彼のはらわたを、/生きているときに、つかみ出してやった。 10 長患いは、医者の手に負えず、/今日、王であっても、明日は命を奪われる。 11 人は死んでしまうと、すべてを失い、/爬虫類と野獣と蛆虫の餌食になるだけだ。 12 高慢の初めは、主から離れること、/人の心がその造り主から離れることである。 13 高慢の初めは、罪である。高慢であり続ける者は、/忌まわしい悪事を雨のように降らす。それゆえ、主は想像を絶する罰を下し、/彼らを滅ぼし尽くされた。 14 主は、支配者たちをその王座から降ろし、/代わりに、謙遜な人をその座につけられた。 15 主は、諸国民を根こそぎにし、/代わりに、身分の低い人々を植え付けられた。 16 主は、諸国民の領土を覆し、/地の基まで破壊された。 17 主は、ある人々を取り除いて打ち滅ぼし、/彼らについての記憶を地上から消し去られた。 18 人間は、高慢であってはならず、/女から生まれた者は、/激しい憤りを抱いてはならないのだ。 尊敬に値する者 19 どんな被造物が尊敬に値するか。人類だ。どんな人が尊敬に値するか。主を畏れる人だ。どんな被造物が尊敬に値しないか。人類だ。どんな人が尊敬に値しないか。掟を破る者だ。 20 仲間の間では、権力のある者が尊敬され、/主の前では、主を畏れる者が尊ばれる。 21 〔主を畏れることは、/主に受け入れられることの初め、/強情と高慢は、主に拒まれることの初めである。〕 22 改宗者や外国人や貧しい人、/彼らの誇りは、主を畏れることである。 23 聡明な貧しい人をさげすむのは、/正しいことではない。罪ある人をほめたたえるのは、/ふさわしいことではない。 24 地位の高い人や判事や権力者は、栄誉を受ける。だが、主を畏れる者は、彼らにまさる者なのだ。 25 自由市民が知恵ある奴隷に奉仕しても、/分別ある人なら、それをとやかくは言わない。 謙遜と誇り 26 […]