シラ 21

罪を避けよ 1 子よ、お前は罪を犯した。二度と繰り返すな。過去の罪については、赦しをこいねがえ。 2 蛇を避けるように、罪を避けよ。近寄れば、かみつかれてしまう。その歯は、獅子の歯のようなもの、/人の命を奪い取る。 3 あらゆる不法は、両刃の剣のようなもの、/その傷は、いやすすべがない。 4 威嚇と横柄は、富を損ない/高慢な者の家は覆される。 5 貧しい人の口から出る願いは、主の耳に達し、/主の裁定は、速やかに下される。 6 訓戒を嫌う者は、罪人の道をたどる。主を畏れる人は、心の底から、主に立ち帰る。 7 雄弁家の名声は、遠くまで知れ渡るが、/賢い人はその失言をすぐに見抜く。 8 借金して家を建てる者は、/石を集めて自分の墓を建てるようなものだ。 9 無法者の集まりは、麻屑の束。彼らは、燃え盛る火となって絶え果てる。 10 罪人の歩む道は、平坦な石畳であるが、/その行き着く先は、陰府の淵である。 知恵ある人と愚か者 11 律法を守る人は、自分の思いに振り回されない。主を畏れることは、知恵に至る。 12 賢さに欠ける者には、教育の施しようがない。しかし、苦さを含む賢さもある。 13 知恵ある人の知識は、洪水のようにあふれ、/その勧告は、命の泉のようである。 14 愚か者の腹は、壊れた壺のようなもの、/どんな知識もこぼれ出てしまう。 15 身を持するに堅い人は、知恵ある言葉を聞くと、/これを称賛し、更に言葉を添える。放蕩に身を持ち崩す者はこれを聞くと嫌になり、/背後に投げ捨てて顧みない。 16 愚か者の解説を聞くことは、/重い荷物を背負った旅のようなもの、/聡明な人の唇から出る言葉は、人の心を喜ばせる。 17 集会では、分別ある人の意見が求められ、/人々は、彼の言葉を心の中でかみしめる。 18 愚か者にとって、知恵は、/崩れた家のように役立たず、/聡明でない者の知識は、/筋道の通らない話のようにずさんである。 19 頭の鈍い者にとって、教訓は足枷、/右手にかけられた手錠のようなものである。 20 愚か者は、大声で笑い、/賢い人は、笑っても、もの静かにほほ笑む。 21 分別ある人にとって、教訓は金の飾り、/右腕にはめる腕輪のようなものである。 22 愚か者は、すぐに家の中に入り込むが、/経験に富む人は、門前で遠慮深くたたずむ。 23 分別のない者は、戸口から家の中をのぞき込むが、/教養ある人は、外で立って待つ。 24 戸口で聞き耳を立てるのは、/教養のない人間のすること、/分別ある人は、それを耐え難い恥と考える。 25 他人の唇は、これらのことを語る。しかし、分別ある人は、言葉を吟味する。 26 愚か者の心は口にあり、/知恵ある人の口は心にある。 27 […]

シラ 22

怠け者としつけの悪い子供 1 怠け者は、糞で汚れた石と同じで、/だれもが、その汚らわしさをなじる。 2 怠け者は、牛の糞と同じで、/つかんだ者は、だれもが手を振って払い落とす。 3 しつけの悪い子を持つことは、父親の恥、/娘が生まれれば財産は減る。 4 分別のある娘は、良い夫に恵まれ、/恥知らずの娘は、父親の悩みの種となる。 5 厚かましい女は、父親と夫に恥をかかせ、/どちらからも軽蔑される。 6 時をわきまえない小言は、葬式のときに、/にぎやかな音楽を流すようなもの、/だが、鞭によるしつけは、どんなときでも/知恵あるやり方。 7 〔良い生活をして、食べ物に不自由しない子供は、/両親の家柄の卑しさを覆い隠す。 8 人々を侮り、不作法で、横柄な子供は、/自分の親戚たちの良い家柄をも汚してしまう。〕 始末に負えぬ愚か者 9 愚か者を教えるのは、/陶器の破片をつなぎ合わせるようなもの、/また、眠っている人を、/深い眠りから呼び起こすようなものである。 10 愚か者に説明するのは、/うたた寝をしている人に話すようなもの。説明したのに「何のこと」と問う。 11 死者のために泣け、光が消えたのだから。愚か者のために泣け、知性が消えたのだから。死者のためには気持よく泣け、/彼は安息についたのだから。愚か者が生きているのは、死ぬよりも始末が悪い。 12 死者のための嘆きは、七日間続くが、/愚か者や不信仰な者のための嘆きは、/彼らが生きているかぎり続く。 13 分別のない者と長話をするな。物分かりの悪い者を訪れるな。〔彼はよく理解できずに、/お前のことをすべて軽くあしらう。〕/そういう者には気をつけろ。さもないと、やっかいなことになる。彼が身を震わすとき、/その汚れでよごされないようにせよ。彼を避けよ。そうすれば、お前は安らぎを得、/彼の狂気に悩まされることはない。 14 鉛より重い重荷は何か。その名は「愚か者」。ほかにはない。 15 砂や塩や鉄の塊の方が、/物分かりの悪い者よりも、担いやすい。 16 建物にしっかりと組み込まれたつなぎ梁は、/地震に遭っても、外れてしまうことはない。同様に、思慮に富んだ揺るぎない心は、/どんな時にも、くじけない。 17 深い知性に支えられた心は、/滑らかな壁に彫り刻まれた飾り模様のようである。 18 高い石垣の上に置かれた小石は、/風が吹けば、ひとたまりもない。同様に、愚か者の考えにおじける心は/どんな恐怖にも、耐えられない。 友情 19 目を突くと、涙が流れ、/心を突き刺すと、感情が表れる。 20 石を投げると、鳥は飛び去り、/友をののしると、友情は壊れる。 21 友に向かって剣を抜いたとしても、/望みを捨てるな。まだ和解の道はある。 22 友と口論をしたとしても、/心配するな。まだ仲直りの道はある。だが、悪口、高慢、秘密の暴露、だまし討ち、/こういうことをすると、友人は皆逃げて行く。 23 隣人が貧しいときに、信頼を勝ち取っておけ。彼が成功すれば、お前もその幸せにあずかれる。逆境にあるときには、ずっとそばに居てやれ。彼が遺産を継げば、その分け前にあずかれる。〔人はどんなときにも、貧しい境遇を軽蔑したり、/知性に欠ける金持ちを、/称賛したりすべきではない。〕 24 かまどで火が燃える前に、湯気と煙が出る。流血の前には、罵詈雑言が飛び出す。 25 わたしは、友をかばうことを恥とせず、/また、彼の前から身を隠すことは決してしない。 26 彼のせいで、災難がわたしにふりかかれば、/それを聞いた者は皆、彼を警戒するだろう。 […]

シラ 23

1 主よ、父よ、わが命の君よ、わたしを見放さず、/唇の思いどおりにさせないでください。唇のために過ちに/陥らないようにしてください。 2 だれが、わたしの思いに鞭を当て、/わたしの心に知恵の訓練を施してくださるのか。わたしの過失を容赦せず、/思いと心との罪を決して見逃さないために。 3 そうすれば、わたしの過失は増すことなく、/罪が増えることもありません。また、わたしは敵対者の手に陥らず、/敵に笑われることもありません。〔彼らにとって、あなたの憐れみを受ける望みは、/遠い先のこと。〕 4 主よ、父よ、わが命の神よ、/わたしにみだらな目を与えないでください。 5 わたしから情欲を遠ざけてください。 6 食欲や色欲のとりことせず、/恥知らずな欲情に引き渡さないでください。 口の利き方についての教訓 誓い 7 子らよ、口の利き方についての教訓を聞け。これを守る者は、決して災いに陥らない。 8 罪人は自分の唇で罠に陥り、/ののしる者や高慢な者は、唇によってつまずく。 9 むやみに誓いを口にするな。みだりに聖なる方の御名を呼ぶな。 10 絶えず鞭で問いただされている召し使いには、/生傷が絶えないように、/むやみに誓いを立て、御名を呼ぶ者は、/決して、罪から清められることはない。 11 数多く誓う者は、不法に満ち、/鞭がその家からなくなることはない。誓いに背けば、彼はその罪を負わねばならず、/誓いを無視すれば、二重の罪を犯すのだ。偽りの誓いを立てるなら、その罪は赦されず、/その家は、苦悩で満たされる。 みだらな話 12 死と肩を並べるほどの話し方がある。それは、ヤコブの子孫の間にあってはならない。主を信じる人は、そのような話し方を一切退け、/罪に巻き込まれることはない。 13 下品でみだらな話をする癖をつけるな。そういう言葉を吐くこと自体が、罪なのだから。 14 お前が上に立つ人たちの席に連なるときには、/父と母とを思い出しなさい。さもないと、彼らの前で我を忘れ、/いつもの癖が出て愚かなふるまいをしてしまう。そして生まれない方がよかったのに、と思い、/お前は自分の生まれた日を呪うだろう。 15 下品な言葉遣いに慣れきっている者は、/生涯、その癖を直すことはできない。 みだらな男 16 罪に罪を重ねる二種類の人があり、/第三の種類の人間は、神の怒りを招く。燃え盛る火のような熱い情欲は、/燃え尽きるまで、決して消えない。みだらな人間は、自分の体を肉欲に任せ、/火が彼を焼き尽くすまで、/とどまることを知らない。 17 女好きの人間には、/どんなパンでもおいしく、/死ぬまで、これに飽きることはない。 18 自分の寝床を抜け出す男は、/心の中で言う。「だれが見ているものか。周りは暗闇だし、壁がわたしを隠している。だれも見ていない。何を恐れる必要があろうか。いと高き方は、わたしの罪など、/少しも気に留めはしない」と。 19 彼が恐れるのは、人の目だけである。彼は知らないのだ。主の目は、/太陽より一万倍も明るく、/人間のすべての歩みを見極め、/隠れたところまでも、お見通しであることを。 20 万物は、創造される以前から主に知られ、/また、その完成の後も、同様である。 21 こういう男は、町の大通りで処罰され、/彼が思いもかけなかった所で、捕らえられる。 みだらな女 22 夫を顧みず、よその男によって/世継ぎをもうける女も、同様である。 23 第一に、こういう女はいと高き方の律法に背き、/第二に、夫を裏切り、/第三に、みだらにも姦淫を行い、/よその男によって子をもうけたからである。 24 こういう女は、会衆の前に引き出され、/その子供たちにも、罰が及ぶ。 25 その子供たちは、根づくこともなく、/枝を張って実を結ぶこともない。 […]

シラ 24

知恵の賛歌 1 知恵は自分自身をほめたたえ、/その民の中で誇らしげに歌う。 2 いと高き方の御前での集会で知恵は語り、/天の万軍を前に誇らかに歌う。 3 「わたしはいと高き方の口から出て、/霧のように大地を覆った。 4 わたしは高い天に住まいを定め、/わたしの座は雲の柱の中にあった。 5 ひとりでわたしは天空を巡り歩き、/地下の海の深みを歩き回った。 6 海の波とすべての地と、/民も諸国もすべて、わたしの支配下にあった。 7 それらすべての中に憩いの場所を探し求めた、/どこにわたしは住もうかと。 8 そのとき万物の創造主はわたしに命じた。わたしを造られた方は/わたしが憩う幕屋を建てて、仰せになった。『ヤコブの中に幕屋を置き、/お前はイスラエルで遺産を受けよ。』 9 この世が始まる前にわたしは造られた。わたしは永遠に存続する。 10 聖なる幕屋の中でわたしは主に仕え、/こうしてわたしはシオンに住まいを定めた。 11 また、主はその愛する町にわたしを憩わせ、/わたしはエルサレムで威光を放つ。 12 わたしは栄光に輝く民の中に、/わたしのものとして主が選び分けた民の中に、/根を下ろした。 13 わたしはレバノンの杉のように、/ヘルモン山の糸杉のように大きく育った。 14 エン・ゲディのしゅろのように、/エリコのばら、/野にある見事なオリーブの木、/すずかけの木のようにわたしは大きく育った。 15 肉桂やアスパラトの木のように、/最上の没薬のように、/わたしは良い香りを漂わせた。ヘルベナ香、シェヘレト香、ナタフ香のように、/また、幕屋に立ちこめる乳香の香りのように。 16 わたしはテレビンの木のように枝を広げた、/壮大で優美な枝を。 17 わたしはぶどうの木のように美しく若枝を出し、/花は栄光と富の実を結ぶ。 18 〔わたしは美しい愛と畏れとの母、/また知識と清らかな希望の母であって、/神から召された者、すべてのわたしの子供たちに、/代々に自分自身を与え続ける。〕 19 わたしを慕う人たちよ。わたしのもとに来て、/わたしの実を心行くまで食べよ。 20 わたしを心に覚えること、それは蜜よりも甘く、/わたしを遺産として受け継ぐこと、/それは蜂の巣から滴る蜜よりも甘い。 21 わたしを食べる人は更に飢えを感じ、/わたしを飲む人は更に渇きを覚える。 22 わたしに従う者は辱めを受けず、/わたしの言うことを行う人は罪を犯さない。」 知恵と律法 23 これらすべてはいと高き神の契約の書、/モーセが守るよう命じた律法であり、/ヤコブの諸会堂が受け継いだものである。 24 〔主に支えられて常に雄々しくあれ。主に寄りすがって離れるな、/主は力を与えてくださる。主は全能で唯一の神。主のほかに救い主はない。〕 25 律法は、ピション川のように、/初物の季節のチグリス川のように、/知恵であふれている。 26 律法は、ユーフラテス川のように、/収穫の季節のヨルダン川のように、/理解力をあふれ出させる。 27 […]

シラ 25

称賛に値する人たち 1 わたしを大いに喜ばす三つのもの、/それは主にも人にも麗しい。仲よく暮らしている兄弟、/友情で結ばれた隣人、/仲むつまじい夫婦。 2 わたしの嫌いな三種類の人、/その生き方にはたまらなく嫌気がさす。横柄に物乞いをする者、/うそつきの金持ち、/分別を失った、みだらな老人。 3 若いとき知恵を身につけずに、/年老いてからどうやってそれを手に入れるのか。 4 健全な判断は年輪を重ねた者に、/確かな勧告は長老にふさわしい。 5 知恵は年を経た者たちに、/理解力と忠告は尊敬すべき年寄りにふさわしい。 6 豊富な経験こそ老人の冠であり、/主を畏れることこそ彼らの誇りである。 7 わたしが幸運だと思う九種類の人がいる。十番目の人がいないわけではないが。自分の子供を誇りに思える人。生き永らえて、敵の没落を見届けられる人。 8 思慮深い妻を持つ人、/口を滑らせて失敗することのない人、/自分より劣る者に仕えなくてもよい人、/こういう人々は幸いだ。 9 分別を身につけた人、/聴く耳を持つ者に語ることのできる人。こういう人々は幸いだ。 10 更に偉大なのは知恵を身につけた人。だが、主を畏れる人はもっと偉大だ。 11 主を畏れることはすべてにまさる。主を畏れて生きる人に比べられる者はいない。 12 〔主を畏れることは主を愛することの初め、/信仰は、主に依り頼むことの初めである。〕 悪妻と良妻 13 あらゆる傷の中で、/心の傷ほどいやし難いものはない。あらゆる悪意の中で、/女の悪意ほど耐え難いものはない。 14 あらゆる災いの中で、/わたしを憎む者から受ける災いほど、/また、あらゆる復讐の中で、/敵から受ける復讐ほどひどいものはない。 15 蛇の頭よりも恐ろしい頭はない。女のかんしゃくほど始末に負えないものはない。 16 獅子や竜と住む方が、/悪妻と暮らすよりはましである。 17 悪意に満ちた女はその形相が変わり、/顔つきは熊のように不機嫌になる。 18 彼女の夫は近所の家に行って食事をし、/思わず知らず、つらそうなため息をつく。 19 たちの悪い妻ほど始末に負えないものはない。そういう女は、罪人の運命を、たどるがよい。 20 物静かな夫が口やかましい妻と暮らすのは、/まるで老人がその足で砂丘を登るようなものだ。 21 女の美貌に夢中になるな。女におぼれるな。 22 妻が夫を養おうとすれば、/夫は腹を立て、面目を失い、/大いに屈辱を覚える。 23 悪妻は、夫の気持を卑屈にし、/顔つきを憂うつにさせ、/心を傷つける。夫を不幸にする妻を持つと、/手は萎え、ひざが弱る。 24 女から罪は始まり、/女のせいで我々は皆死ぬことになった。 25 水槽の水漏れをほうっておくな。悪妻に言いたいほうだい言わせるな。 26 妻がお前の指図に従わないなら、/彼女と縁を切れ。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/SIR/25-ff6562f7d00aeb86b7c2cf06fb0b9d99.mp3?version_id=1819—

シラ 26

1 良い妻を持った夫は幸福である。彼の寿命は二倍になるだろう。 2 しっかり者の妻は夫を喜ばせ、/彼は平穏無事に生涯を送る。 3 良い妻はすばらしい賜物。主を畏れ敬う者に与えられる賜物である。 4 その人は豊かなときも貧しいときも心楽しく、/顔つきはいつも晴れやかだ。 5 わたしの心は次の三つのものに悩まされるが、/四番目のものには顔を向けるのさえ恐ろしい。町の人たちからの中傷、烏合の衆の雑言、/誹謗、これらは死より忌まわしい。 6 心を痛ませる悩みの種は、/夫をめぐる女どうしの嫉妬。その舌のもたらす災いはすべての人に及ぶ。 7 悪妻は緩んだ牛の軛のようなもの。彼女を制することは、さそりをつかむようなもの。 8 大酒を飲む妻は夫の激しい怒りを招き、/その恥知らずな行為をさらけ出す。 9 身持ちの悪い女はみだらな目と、/流し目でそれと分かる。 10 わがままな娘は厳しく監視せよ。自由にさせると勝手にふるまうようになる。 11 その恥知らずな目つきには警戒せよ。彼女がお前を挑発しても驚くな。 12 のどの渇いた旅人が口を開けて、/どんな水でも手当たりしだいに飲むように、/男と見ればだれにでも身を任せ、/矢筒を開いて矢を入れる。 13 優しい妻は夫を喜ばせ、/彼女の賢さは夫を健やかにする。 14 物静かな妻は主からの賜物、/賢い妻は何ものにも比べられない。 15 しとやかな妻は優しさにあふれ、/彼女の慎みは計り知れないほど貴重なものだ。 16 主のおられるいと高き天に輝く太陽のように、/よく整えられた家にいる妻は美しい。 17 聖なる燭台から燃え上がる光明のように、/健康な体を備えた妻の顔は美しい。 18 銀の台座に据えられた黄金の柱のように、/強い足首を持つ均整の取れた脚は美しい。 19 〔子よ、若いときから健康に留意せよ。余計なことにお前の力を費やすな。 20 すべての平地を巡って、肥沃な土地を求めよ。家を誇りとし、お前の種を蒔きつけよ。 21 そうすれば、お前の子孫は、末永く続き、/立派な家柄を誇って大いに繁栄する。 22 売春婦は、唾をかけられて当然であり、/人妻との浮気は死への落とし穴である。 23 律法に背く者には、不信仰な妻が与えられ、/主を畏れ敬う者には、信仰深い妻が与えられる。 24 恥知らずな妻は、放縦な生活にうつつを抜かし、/慎み深い娘は、夫に対してもしとやかである。 25 身勝手な妻は、あたかも犬のようであり、/貞節な女は、主を畏れ敬う。 26 夫を尊敬する妻は、皆から賢い女と見られ、/夫を軽蔑する高慢な妻には、/不信仰な女だと醜聞が立つ。良い妻を持つ夫は幸福である。彼の寿命は二倍にもなるからである。 27 声高でおしゃべりな女は、/戦場で鳴り響く進軍ラッパのようであり、/このような女を妻にする男はだれでも、/戦争の混乱の中で生涯を送るようなものだ。〕 不正 […]

シラ 27

1 多くの者たちは、利益を求めて罪を犯し、/裕福になろうと躍起になっている者は、/悪いことにも目をつぶる。 2 石と石との間にくいが打ち込まれるように、/物の売り買いには、不正行為が入り込む。 3 心から主を畏れ敬わなければ、/その家は、驚くほど急速に落ちぶれていく。 言葉と心の思い 4 ふるいを揺さぶると滓が残るように、/人間も話をすると欠点が現れてくるものだ。 5 陶工の器が、かまどの火で吟味されるように、/人間は論議によって試される。 6 樹木の手入れは、実を見れば明らかなように、/心の思いは話を聞けば分かる。 7 話を聞かないうちは、人を褒めてはいけない。言葉こそ人を判断する試金石であるからだ。 真実 8 正しくあろうと努めるならお前はそうなれるし、/祭服のように足もとまで正しさを身にまとう。 9 鳥が類を求めて群れて休むように、/真実も、それを行う者たちの所へ戻って来る。 10 獅子が獲物を待ち伏せるように、/罪も、不正を志す者を待ち伏せる。 愚か者の話 11 信仰深い人の話には、常に知恵がある。愚か者は、月の形のように変わる。 12 良識を欠く者たちとは時を過ごすな。思慮に富む人たちとは、長くいるようにせよ。 13 愚か者の無駄口は不快感を与え、/彼らは、罰当たりなことを笑い楽しむ。 14 みだりに呪う人の話には、身の毛がよだち、/彼らの言い争いには耳を覆いたくなる。 15 高慢な者たちの争いは流血ざたとなり、/彼らのののしり合いは耳に不快だ。 秘密を漏らすこと 16 秘密を漏らす者は信頼されなくなり、/心を寄せてくれる友人を持つことはできない。 17 友人を愛し、彼を信じて近づけ。しかし、彼の秘密を漏らしたならば、/彼の後を追い回すな。 18 人が知人を死によって失うように、/お前は隣人の友情を失ったからだ。 19 お前は手から小鳥を逃がすように、/隣人を去らせたのであり、もはや元には戻せない。 20 彼の後を追い回すな。彼ははるか遠くに去り、/罠を逃れたかもしかのように逃げてしまった。 21 傷は包帯で手当てでき、/侮辱には仲直りの道がある。しかし、秘密を漏らせばもう望みはない。 偽善的行為 22 目をそらす者は、悪事をたくらんでいる。それを見た者は彼を敬遠する。 23 彼はお前の目の前でうまいことを言い、/お前の語る言葉に大げさに感嘆してみせる。しかし、陰では別なことを言い、/お前の話を種にしてお前を陥れるのだ。 24 わたしには嫌いなものが数多くあるが、/そのようなやからほど嫌なものはない。主もまた、彼を嫌われるであろう。 25 上に向かって石を投げれば頭の上に落ちてくる。だまし討ちをすれば自分も傷つく。 […]

シラ 28

1 復讐する者は、主から復讐を受ける。主はその罪を決して忘れることはない。 2 隣人から受けた不正を赦せ。そうすれば、/願い求めるとき、お前の罪は赦される。 3 人が互いに怒りを抱き合っていながら、/どうして主からいやしを期待できようか。 4 自分と同じ人間に憐れみをかけずにいて、/どうして自分の罪の赦しを願いえようか。 5 弱い人間にすぎない者が、/憤りを抱き続けるならば、/いったいだれが彼の罪を赦すことができようか。 6 自分の最期に心を致し、敵意を捨てよ。滅びゆく定めと死とを思い、掟を守れ。 7 掟を忘れず、隣人に対して怒りを抱くな。いと高き方の契約を忘れず、/他人のおちどには寛容であれ。 口論 8 口論に加わるな。そうすれば、/お前は罪を犯す機会が少なくなる。怒りっぽい人は口論をあおり立てるからだ。 9 罪深い者は、友情にひびを入れ、/和やかに暮らしている人たちに不和をもたらす。 10 火は薪をくべればそれだけ燃え上がり、/口論は頑固さが加わると、激しさを増す。激怒は、力たけき者ほどすさまじく、/怒りは、富に頼る者ほど激しくなる。 11 軽率な争いは、火をあおることになり、/軽はずみな口論は、流血の惨事につながる。 12 火種に息を吹きかければ真っ赤に燃え上がり、/唾を吐きかけると消える。どちらもお前の口のなせる業。 舌禍 13 うわさして回る者や二枚舌の者は、呪われよ。平穏に暮らしている多くの人々を破滅させたから。 14 陰口は多くの人の心を乱し、/国から国へと人々を追い立て、/堅固な町々を破壊し、/権力者たちの家を破滅させた。 15 陰口は貞節な妻さえ離婚に追い込み、/彼女らが労苦して得たものを奪い取った。 16 陰口を気にすると、心穏やかではなくなり、/平穏に暮らすことはできなくなる。 17 鞭で打つと皮膚が裂け、/舌で打つと、骨さえ砕ける。 18 多くの人が剣のやいばに倒れたが、/その数は、舌のやいばに倒れた人には及ばない。 19 舌の攻撃を避けることのできた人、/荒れ狂う舌の被害を受けなかった人、/その軛につながれず、/その鎖に縛られなかった人、/このような人は幸いである。 20 舌の軛は鉄の軛、/その鎖は銅の鎖。 21 舌のもたらす死は残酷だ。陰府の方がそれよりもましである。 22 舌は信仰深い人には力を振るえず、/その炎も彼らを焼くことがない。 23 主を捨てる者は舌によってひどい目に遭う。舌は彼らの内で燃え、決して消えることなく、/獅子のように襲いかかり、/豹のように彼らを引き裂く。 24 [24a]さあ、お前の畑には茨で囲いを巡らせ。[24b]お前の金銀はしまって錠を下ろせ。 25 [25a] お前の言葉は秤に掛けて、慎重に用いよ。[25b] お前の口には戸を立てて、かんぬきを掛けよ。 26 […]

シラ 29

貸し付けと返済 1 奇特な人は隣人に金を貸す。援助の手を差し伸べる人は掟を守っている。 2 隣人が困っているときは貸してやれ。隣人から借りた場合は、期限内に返せ。 3 約束は固く守り、相手に対して誠実であれ。そうすれば、お前の必要はいつでも満たされる。 4 多くの人は、借りた金をもうけ物と見なし、/援助してくれた人たちに迷惑をかける。 5 金を借りるまでは相手の手に接吻し、/その財産について声音を変えて世辞を言う。返済の時が来ると期限を延ばし、/返事をあいまいにして、/都合がつかないと言って弁解する。 6 貸し主は、返してもらえたとしても、/せいぜい半分しか取り戻せない。だが、それだけでももうけ物と考えよ。もしも、そのように考えでもしなければ、/貸し主は財産をだまし取られたことになり、/つまらぬことで敵をつくることになる。借り手は呪いと悪口を返し、/感謝どころか、無礼な態度を返してくる。 7 多くの人が、貸すことを断るのは、悪意ではない。むざむざ奪い取られることが分かっているからだ。 施し 8 けれども、貧しい人には寛容であれ。施しを延ばして相手を待たせてはならない。 9 主の掟に従って貧しい人を助けよ。その人が困っているとき、空手で帰すな。 10 兄弟や友人のために金を使え。金を石の下に隠してさび付かせ無駄にするな。 11 いと高き方の掟に従って、富を積め。それは黄金よりもはるかにお前のためになる。 12 施しをお前の倉に蓄えておけ。それはお前をあらゆる災難から救ってくれる。 13 頑丈な盾や丈夫な槍以上に、/施しはお前が敵と戦うときの武器となる。 保証 14 善意の人は隣人のために保証人となるが、/恥知らずな者は彼を見捨ててしまう。 15 保証してくれた人の恩を忘れてはならない。彼はお前のために己をかけたのだから。 16 罪深き者は保証人の財産を食い尽くす。 17 恩を知らぬ者は、助けてくれた人を見捨てる。 18 万事うまくいっていた多くの人が、/保証人になったため没落し、/海の波にもてあそばれるようにほんろうされた。勢力ある人たちも家を失い、/見知らぬ国々をさまよい歩かねばならなかった。 19 罪深い者が保証人を引き受ければ、/利益を得ようとして裁判ざたに巻き込まれる。 20 お前は力に応じて隣人を援助し、/危ない目に遭わぬように注意せよ。 貧しさと自尊心 21 生活に欠かせないものは、水と食物と衣類、/それに、私生活を守る家である。 22 貧しくとも、梁がむき出しのわが家で暮らすのは、/他人の家で豪華な食事をするよりましである。 23 持ち物が多くても少なくても、それで満足し、/居候の汚名は着るな。 24 家から家へと渡り歩く生活は何とも惨めで、/居候の身では、言いたいことも言えない。 25 給仕をし、酒をついでも感謝されず、/かえって、嫌みを言われることになる。 26 […]

シラ 30

子供の養育 1 わが子を愛する者は、しばしば鞭で懲らしめる。そうすれば晩年、子供は彼の喜びとなる。 2 子をしつける親は、/その子のお陰で楽ができ、/知人の間で自慢ができる。 3 わが子を教育する者は、敵にはねたまれても、/友人たちにはその子を誇りとすることができる。 4 父親がこの世を去っても、/消えてしまったわけではない。父親そっくりの子が、後に残っているからだ。 5 父親は生きている間、わが子を見て喜び、/この世を去るときにも、悲しむことがない。 6 敵に報復してくれる者を彼は後に残し、/友人に恩返ししてくれる者を後に残すのだ。 7 子を甘やかす者は、傷の手当てに明け暮れ、/子がわめき叫ぶのを聞く度に、心を煩わす。 8 馬は馴らさなければ手に負えなくなり、/子はしつけなければ、わがままになる。 9 子供は、放任すればお前を驚きあわてさせ、/溺愛すれば、お前を嘆かせることになる。 10 子供と一緒になって笑い興じるな。さもないと、共に悲嘆に暮れることになり、/最後には、歯ぎしりをして後悔することになる。 11 若いときには気ままなことをさせるな。〔また、過ちを大目に見るな。 12 若いときには、腰を低くさせよ。〕/子供のうちに体罰を与えよ。さもないと強情になり、言うことを聞かなくなる。〔また、彼はお前の心痛のもととなる。〕 13 お前の子供をしつけ、子供のために苦労せよ。さもないとその子は非行に走り、お前を困らせる。 健康 14 貧しくても健康で体力のある方が、/裕福で病気に苦しんでいるよりはよい。 15 健康で丈夫な体は、あらゆる黄金にまさり、/強じんな精神は、莫大な財産にまさる。 食べ物について 16 体の健康にまさる富はなく、/心の喜びにまさる楽しみもない。 17 つらい生活を送るよりは、死んだ方がよく、/長く患うよりは、永遠の安息の方がよい。 18 食欲を失った者の前に、並べられたごちそうは、/墓に供えられた食べ物と同じである。 19 偶像に供え物をしても無駄ではないか。食べることもかぐこともできないのだから。主に懲らしめられている者も、これと同じである。 20 ごちそうを見ても、ため息をつくだけである。若い娘を抱いて、ため息をつく宦官と同じだ。〔強引に裁きを行う者もこれと同じである。〕 晴れやかな心 21 悲しみに負けて気力を失うな。あれこれ思い悩むことはない。 22 朗らかな心は、人を生気にあふれさせ、/喜びは長寿をもたらす。 23 気分を変えて心を奮い立たせ、/悲しみを遠くへ追い払え。悲しみは多くの人を滅ぼした。それは何の益にもならない。 24 ねたみや、怒りは寿命を縮め、/思い煩いは人を老けさせる。 25 快活な心は食欲を旺盛にし、/食べ物をおいしく味わわせる。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/SIR/30-9be6ac201a2887b0eb2a43e75dd10cbb.mp3?version_id=1819—