マタイによる福音書 1

イエス・キリストの系図 1 アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図。 2 アブラハムはイサクをもうけ、イサクはヤコブを、ヤコブはユダとその兄弟たちを、 3 ユダはタマルによってペレツとゼラを、ペレツはヘツロンを、ヘツロンはアラムを、 4 アラムはアミナダブを、アミナダブはナフションを、ナフションはサルモンを、 5 サルモンはラハブによってボアズを、ボアズはルツによってオベドを、オベドはエッサイを、 6 エッサイはダビデ王をもうけた。ダビデはウリヤの妻によってソロモンをもうけ、 7 ソロモンはレハブアムを、レハブアムはアビヤを、アビヤはアサを、 8 アサはヨシャファトを、ヨシャファトはヨラムを、ヨラムはウジヤを、 9 ウジヤはヨタムを、ヨタムはアハズを、アハズはヒゼキヤを、 10 ヒゼキヤはマナセを、マナセはアモスを、アモスはヨシヤを、 11 ヨシヤは、バビロンへ移住させられたころ、エコンヤとその兄弟たちをもうけた。 12 バビロンへ移住させられた後、エコンヤはシャルティエルをもうけ、シャルティエルはゼルバベルを、 13 ゼルバベルはアビウドを、アビウドはエリアキムを、エリアキムはアゾルを、 14 アゾルはサドクを、サドクはアキムを、アキムはエリウドを、 15 エリウドはエレアザルを、エレアザルはマタンを、マタンはヤコブを、 16 ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。このマリアからメシアと呼ばれるイエスがお生まれになった。 17 こうして、全部合わせると、アブラハムからダビデまで十四代、ダビデからバビロンへの移住まで十四代、バビロンへ移されてからキリストまでが十四代である。 イエス・キリストの誕生 18 イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。 19 夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。 20 このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。 21 マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」 22 このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。 23 「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。 24 ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じたとおり、妻を迎え入れ、 25 男の子が生まれるまでマリアと関係することはなかった。そして、その子をイエスと名付けた。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/MAT/1-d5b37db336152fdd95df4b7329a0419a.mp3?version_id=1819—

マタイによる福音書 2

占星術の学者たちが訪れる 1 イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、 2 言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」 3 これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。 4 王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。 5 彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。 6 『ユダの地、ベツレヘムよ、/お前はユダの指導者たちの中で/決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、/わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」 7 そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。 8 そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。 9 彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。 10 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。 11 家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。 12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。 エジプトに避難する 13 占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」 14 ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、 15 ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。 ヘロデ、子供を皆殺しにする 16 さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。 17 こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。 18 「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、/慰めてもらおうともしない、/子供たちがもういないから。」 エジプトから帰国する 19 ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、 20 言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」 21 そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。 22 しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、 23 ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/MAT/2-04324bfaa207e8f513c3bd56066db3d3.mp3?version_id=1819—

マタイによる福音書 3

洗礼者ヨハネ、教えを宣べる 1 そのころ、洗礼者ヨハネが現れて、ユダヤの荒れ野で宣べ伝え、 2 「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言った。 3 これは預言者イザヤによってこう言われている人である。「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、/その道筋をまっすぐにせよ。』」 4 ヨハネは、らくだの毛衣を着、腰に革の帯を締め、いなごと野蜜を食べ物としていた。 5 そこで、エルサレムとユダヤ全土から、また、ヨルダン川沿いの地方一帯から、人々がヨハネのもとに来て、 6 罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。 7 ヨハネは、ファリサイ派やサドカイ派の人々が大勢、洗礼を受けに来たのを見て、こう言った。「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか。 8 悔い改めにふさわしい実を結べ。 9 『我々の父はアブラハムだ』などと思ってもみるな。言っておくが、神はこんな石からでも、アブラハムの子たちを造り出すことがおできになる。 10 斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。 11 わたしは、悔い改めに導くために、あなたたちに水で洗礼を授けているが、わたしの後から来る方は、わたしよりも優れておられる。わたしは、その履物をお脱がせする値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。 12 そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。」 イエス、洗礼を受ける 13 そのとき、イエスが、ガリラヤからヨルダン川のヨハネのところへ来られた。彼から洗礼を受けるためである。 14 ところが、ヨハネは、それを思いとどまらせようとして言った。「わたしこそ、あなたから洗礼を受けるべきなのに、あなたが、わたしのところへ来られたのですか。」 15 しかし、イエスはお答えになった。「今は、止めないでほしい。正しいことをすべて行うのは、我々にふさわしいことです。」そこで、ヨハネはイエスの言われるとおりにした。 16 イエスは洗礼を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のように御自分の上に降って来るのを御覧になった。 17 そのとき、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と言う声が、天から聞こえた。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/MAT/3-0dc1c94e9c7632586a55dc35091534ea.mp3?version_id=1819—

マタイによる福音書 4

誘惑を受ける 1 さて、イエスは悪魔から誘惑を受けるため、“霊”に導かれて荒れ野に行かれた。 2 そして四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。 3 すると、誘惑する者が来て、イエスに言った。「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」 4 イエスはお答えになった。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』/と書いてある。」 5 次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、 6 言った。「神の子なら、飛び降りたらどうだ。『神があなたのために天使たちに命じると、/あなたの足が石に打ち当たることのないように、/天使たちは手であなたを支える』/と書いてある。」 7 イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」と言われた。 8 更に、悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、 9 「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と言った。 10 すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、/ただ主に仕えよ』/と書いてある。」 11 そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。 ガリラヤで伝道を始める 12 イエスは、ヨハネが捕らえられたと聞き、ガリラヤに退かれた。 13 そして、ナザレを離れ、ゼブルンとナフタリの地方にある湖畔の町カファルナウムに来て住まわれた。 14 それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。 15 「ゼブルンの地とナフタリの地、/湖沿いの道、ヨルダン川のかなたの地、/異邦人のガリラヤ、 16 暗闇に住む民は大きな光を見、/死の陰の地に住む者に光が射し込んだ。」 17 そのときから、イエスは、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言って、宣べ伝え始められた。 四人の漁師を弟子にする 18 イエスは、ガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、二人の兄弟、ペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレが、湖で網を打っているのを御覧になった。彼らは漁師だった。 19 イエスは、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた。 20 二人はすぐに網を捨てて従った。 21 そこから進んで、別の二人の兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネが、父親のゼベダイと一緒に、舟の中で網の手入れをしているのを御覧になると、彼らをお呼びになった。 22 この二人もすぐに、舟と父親とを残してイエスに従った。 おびただしい病人をいやす 23 イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。 24 そこで、イエスの評判がシリア中に広まった。人々がイエスのところへ、いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者など、あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた。 25 こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、ヨルダン川の向こう側から、大勢の群衆が来てイエスに従った。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/MAT/4-67807f2a972ec322c4a8dee99c6f5a93.mp3?version_id=1819—

マタイによる福音書 5

山上の説教を始める 1 イエスはこの群衆を見て、山に登られた。腰を下ろされると、弟子たちが近くに寄って来た。 2 そこで、イエスは口を開き、教えられた。 幸い 3 「心の貧しい人々は、幸いである、/天の国はその人たちのものである。 4 悲しむ人々は、幸いである、/その人たちは慰められる。 5 柔和な人々は、幸いである、/その人たちは地を受け継ぐ。 6 義に飢え渇く人々は、幸いである、/その人たちは満たされる。 7 憐れみ深い人々は、幸いである、/その人たちは憐れみを受ける。 8 心の清い人々は、幸いである、/その人たちは神を見る。 9 平和を実現する人々は、幸いである、/その人たちは神の子と呼ばれる。 10 義のために迫害される人々は、幸いである、/天の国はその人たちのものである。 11 わたしのためにののしられ、迫害され、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは幸いである。 12 喜びなさい。大いに喜びなさい。天には大きな報いがある。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。」 地の塩、世の光 13 「あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。 14 あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。 15 また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。 16 そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。」 律法について 17 「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである。 18 はっきり言っておく。すべてのことが実現し、天地が消えうせるまで、律法の文字から一点一画も消え去ることはない。 19 だから、これらの最も小さな掟を一つでも破り、そうするようにと人に教える者は、天の国で最も小さい者と呼ばれる。しかし、それを守り、そうするように教える者は、天の国で大いなる者と呼ばれる。 20 言っておくが、あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国に入ることができない。」 腹を立ててはならない 21 「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。 22 しかし、わたしは言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁きを受ける。兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の地獄に投げ込まれる。 23 だから、あなたが祭壇に供え物を献げようとし、兄弟が自分に反感を持っているのをそこで思い出したなら、 24 その供え物を祭壇の前に置き、まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい。 25 あなたを訴える人と一緒に道を行く場合、途中で早く和解しなさい。さもないと、その人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、あなたは牢に投げ込まれるにちがいない。 […]

マタイによる福音書 6

施しをするときには 1 「見てもらおうとして、人の前で善行をしないように注意しなさい。さもないと、あなたがたの天の父のもとで報いをいただけないことになる。 2 だから、あなたは施しをするときには、偽善者たちが人からほめられようと会堂や街角でするように、自分の前でラッパを吹き鳴らしてはならない。はっきりあなたがたに言っておく。彼らは既に報いを受けている。 3 施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。 4 あなたの施しを人目につかせないためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる。」 祈るときには 5 「祈るときにも、あなたがたは偽善者のようであってはならない。偽善者たちは、人に見てもらおうと、会堂や大通りの角に立って祈りたがる。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。 6 だから、あなたが祈るときは、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。 7 また、あなたがたが祈るときは、異邦人のようにくどくどと述べてはならない。異邦人は、言葉数が多ければ、聞き入れられると思い込んでいる。 8 彼らのまねをしてはならない。あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存じなのだ。 9 だから、こう祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ、/御名が崇められますように。 10 御国が来ますように。御心が行われますように、/天におけるように地の上にも。 11 わたしたちに必要な糧を今日与えてください。 12 わたしたちの負い目を赦してください、/わたしたちも自分に負い目のある人を/赦しましたように。 13 わたしたちを誘惑に遭わせず、/悪い者から救ってください。』 14 もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの過ちをお赦しになる。 15 しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しにならない。」 断食するときには 16 「断食するときには、あなたがたは偽善者のように沈んだ顔つきをしてはならない。偽善者は、断食しているのを人に見てもらおうと、顔を見苦しくする。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。 17 あなたは、断食するとき、頭に油をつけ、顔を洗いなさい。 18 それは、あなたの断食が人に気づかれず、隠れたところにおられるあなたの父に見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。」 天に富を積みなさい 19 「あなたがたは地上に富を積んではならない。そこでは、虫が食ったり、さび付いたりするし、また、盗人が忍び込んで盗み出したりする。 20 富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。 21 あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。」 体のともし火は目 22 「体のともし火は目である。目が澄んでいれば、あなたの全身が明るいが、 23 濁っていれば、全身が暗い。だから、あなたの中にある光が消えれば、その暗さはどれほどであろう。」 神と富 24 「だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」 思い悩むな […]

マタイによる福音書 7

人を裁くな 1 「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。 2 あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる。 3 あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか。 4 兄弟に向かって、『あなたの目からおが屑を取らせてください』と、どうして言えようか。自分の目に丸太があるではないか。 5 偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除け。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からおが屑を取り除くことができる。 6 神聖なものを犬に与えてはならず、また、真珠を豚に投げてはならない。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたにかみついてくるだろう。」 求めなさい 7 「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。 8 だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。 9 あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。 10 魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか。 11 このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている。まして、あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるにちがいない。 12 だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である。」 狭い門 13 「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。 14 しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない。」 実によって木を知る 15 「偽預言者を警戒しなさい。彼らは羊の皮を身にまとってあなたがたのところに来るが、その内側は貪欲な狼である。 16 あなたがたは、その実で彼らを見分ける。茨からぶどうが、あざみからいちじくが採れるだろうか。 17 すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。 18 良い木が悪い実を結ぶことはなく、また、悪い木が良い実を結ぶこともできない。 19 良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。 20 このように、あなたがたはその実で彼らを見分ける。」 あなたたちのことは知らない 21 「わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである。 22 かの日には、大勢の者がわたしに、『主よ、主よ、わたしたちは御名によって預言し、御名によって悪霊を追い出し、御名によって奇跡をいろいろ行ったではありませんか』と言うであろう。 23 そのとき、わたしはきっぱりとこう言おう。『あなたたちのことは全然知らない。不法を働く者ども、わたしから離れ去れ。』」 家と土台 24 「そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。 25 […]

マタイによる福音書 8

重い皮膚病を患っている人をいやす 1 イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った。 2 すると、一人の重い皮膚病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。 3 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、重い皮膚病は清くなった。 4 イエスはその人に言われた。「だれにも話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めた供え物を献げて、人々に証明しなさい。」 百人隊長の僕をいやす 5 さて、イエスがカファルナウムに入られると、一人の百人隊長が近づいて来て懇願し、 6 「主よ、わたしの僕が中風で家に寝込んで、ひどく苦しんでいます」と言った。 7 そこでイエスは、「わたしが行って、いやしてあげよう」と言われた。 8 すると、百人隊長は答えた。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。 9 わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また、部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」 10 イエスはこれを聞いて感心し、従っていた人々に言われた。「はっきり言っておく。イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。 11 言っておくが、いつか、東や西から大勢の人が来て、天の国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席に着く。 12 だが、御国の子らは、外の暗闇に追い出される。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」 13 そして、百人隊長に言われた。「帰りなさい。あなたが信じたとおりになるように。」ちょうどそのとき、僕の病気はいやされた。 多くの病人をいやす 14 イエスはペトロの家に行き、そのしゅうとめが熱を出して寝込んでいるのを御覧になった。 15 イエスがその手に触れられると、熱は去り、しゅうとめは起き上がってイエスをもてなした。 16 夕方になると、人々は悪霊に取りつかれた者を大勢連れて来た。イエスは言葉で悪霊を追い出し、病人を皆いやされた。 17 それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。「彼はわたしたちの患いを負い、/わたしたちの病を担った。」 弟子の覚悟 18 イエスは、自分を取り囲んでいる群衆を見て、弟子たちに向こう岸に行くように命じられた。 19 そのとき、ある律法学者が近づいて、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従って参ります」と言った。 20 イエスは言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣がある。だが、人の子には枕する所もない。」 21 ほかに、弟子の一人がイエスに、「主よ、まず、父を葬りに行かせてください」と言った。 22 イエスは言われた。「わたしに従いなさい。死んでいる者たちに、自分たちの死者を葬らせなさい。」 嵐を静める 23 イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。 24 そのとき、湖に激しい嵐が起こり、舟は波にのまれそうになった。イエスは眠っておられた。 25 弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。 […]

マタイによる福音書 9

中風の人をいやす 1 イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰って来られた。 2 すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れて来た。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。 3 ところが、律法学者の中に、「この男は神を冒涜している」と思う者がいた。 4 イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。 5 『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。 6 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言われた。 7 その人は起き上がり、家に帰って行った。 8 群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。 マタイを弟子にする 9 イエスはそこをたち、通りがかりに、マタイという人が収税所に座っているのを見かけて、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。 10 イエスがその家で食事をしておられたときのことである。徴税人や罪人も大勢やって来て、イエスや弟子たちと同席していた。 11 ファリサイ派の人々はこれを見て、弟子たちに、「なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」と言った。 12 イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。 13 『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」 断食についての問答 14 そのころ、ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、「わたしたちとファリサイ派の人々はよく断食しているのに、なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか」と言った。 15 イエスは言われた。「花婿が一緒にいる間、婚礼の客は悲しむことができるだろうか。しかし、花婿が奪い取られる時が来る。そのとき、彼らは断食することになる。 16 だれも、織りたての布から布切れを取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。新しい布切れが服を引き裂き、破れはいっそうひどくなるからだ。 17 新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、革袋は破れ、ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。そうすれば、両方とも長もちする。」 指導者の娘とイエスの服に触れる女 18 イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」 19 そこで、イエスは立ち上がり、彼について行かれた。弟子たちも一緒だった。 20 すると、そこへ十二年間も患って出血が続いている女が近寄って来て、後ろからイエスの服の房に触れた。 21 「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。 22 イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。 23 イエスは指導者の家に行き、笛を吹く者たちや騒いでいる群衆を御覧になって、 24 言われた。「あちらへ行きなさい。少女は死んだのではない。眠っているのだ。」人々はイエスをあざ笑った。 25 群衆を外に出すと、イエスは家の中に入り、少女の手をお取りになった。すると、少女は起き上がった。 26 […]

マタイによる福音書 10

十二人を選ぶ 1 イエスは十二人の弟子を呼び寄せ、汚れた霊に対する権能をお授けになった。汚れた霊を追い出し、あらゆる病気や患いをいやすためであった。 2 十二使徒の名は次のとおりである。まずペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、 3 フィリポとバルトロマイ、トマスと徴税人のマタイ、アルファイの子ヤコブとタダイ、 4 熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである。 十二人を派遣する 5 イエスはこの十二人を派遣するにあたり、次のように命じられた。「異邦人の道に行ってはならない。また、サマリア人の町に入ってはならない。 6 むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところへ行きなさい。 7 行って、『天の国は近づいた』と宣べ伝えなさい。 8 病人をいやし、死者を生き返らせ、重い皮膚病を患っている人を清くし、悪霊を追い払いなさい。ただで受けたのだから、ただで与えなさい。 9 帯の中に金貨も銀貨も銅貨も入れて行ってはならない。 10 旅には袋も二枚の下着も、履物も杖も持って行ってはならない。働く者が食べ物を受けるのは当然である。 11 町や村に入ったら、そこで、ふさわしい人はだれかをよく調べ、旅立つときまで、その人のもとにとどまりなさい。 12 その家に入ったら、『平和があるように』と挨拶しなさい。 13 家の人々がそれを受けるにふさわしければ、あなたがたの願う平和は彼らに与えられる。もし、ふさわしくなければ、その平和はあなたがたに返ってくる。 14 あなたがたを迎え入れもせず、あなたがたの言葉に耳を傾けようともしない者がいたら、その家や町を出て行くとき、足の埃を払い落としなさい。 15 はっきり言っておく。裁きの日には、この町よりもソドムやゴモラの地の方が軽い罰で済む。」 迫害を予告する 16 「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい。 17 人々を警戒しなさい。あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で鞭打たれるからである。 18 また、わたしのために総督や王の前に引き出されて、彼らや異邦人に証しをすることになる。 19 引き渡されたときは、何をどう言おうかと心配してはならない。そのときには、言うべきことは教えられる。 20 実は、話すのはあなたがたではなく、あなたがたの中で語ってくださる、父の霊である。 21 兄弟は兄弟を、父は子を死に追いやり、子は親に反抗して殺すだろう。 22 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 23 一つの町で迫害されたときは、他の町へ逃げて行きなさい。はっきり言っておく。あなたがたがイスラエルの町を回り終わらないうちに、人の子は来る。 24 弟子は師にまさるものではなく、僕は主人にまさるものではない。 25 弟子は師のように、僕は主人のようになれば、それで十分である。家の主人がベルゼブルと言われるのなら、その家族の者はもっとひどく言われることだろう。」 恐るべき者 26 […]