マタイによる福音書 27

ピラトに引き渡される

1 夜が明けると、祭司長たちと民の長老たち一同は、イエスを殺そうと相談した。

2 そして、イエスを縛って引いて行き、総督ピラトに渡した。

ユダ、自殺する

3 そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、

4 「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。

5 そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。

6 祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、

7 相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。

8 このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。

9 こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、値踏みされた者、すなわち、イスラエルの子らが値踏みした者の価である。

10 主がわたしにお命じになったように、彼らはこの金で陶器職人の畑を買い取った。」

ピラトから尋問される

11 さて、イエスは総督の前に立たれた。総督がイエスに、「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、イエスは、「それは、あなたが言っていることです」と言われた。

12 祭司長たちや長老たちから訴えられている間、これには何もお答えにならなかった。

13 するとピラトは、「あのようにお前に不利な証言をしているのに、聞こえないのか」と言った。

14 それでも、どんな訴えにもお答えにならなかったので、総督は非常に不思議に思った。

死刑の判決を受ける

15 ところで、祭りの度ごとに、総督は民衆の希望する囚人を一人釈放することにしていた。

16 そのころ、バラバ・イエスという評判の囚人がいた。

17 ピラトは、人々が集まって来たときに言った。「どちらを釈放してほしいのか。バラバ・イエスか。それともメシアといわれるイエスか。」

18 人々がイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。

19 一方、ピラトが裁判の席に着いているときに、妻から伝言があった。「あの正しい人に関係しないでください。その人のことで、わたしは昨夜、夢で随分苦しめられました。」

20 しかし、祭司長たちや長老たちは、バラバを釈放して、イエスを死刑に処してもらうようにと群衆を説得した。

21 そこで、総督が、「二人のうち、どちらを釈放してほしいのか」と言うと、人々は、「バラバを」と言った。

22 ピラトが、「では、メシアといわれているイエスの方は、どうしたらよいか」と言うと、皆は、「十字架につけろ」と言った。

23 ピラトは、「いったいどんな悪事を働いたというのか」と言ったが、群衆はますます激しく、「十字架につけろ」と叫び続けた。

24 ピラトは、それ以上言っても無駄なばかりか、かえって騒動が起こりそうなのを見て、水を持って来させ、群衆の前で手を洗って言った。「この人の血について、わたしには責任がない。お前たちの問題だ。」

25 民はこぞって答えた。「その血の責任は、我々と子孫にある。」

26 そこで、ピラトはバラバを釈放し、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。

兵士から侮辱される

27 それから、総督の兵士たちは、イエスを総督官邸に連れて行き、部隊の全員をイエスの周りに集めた。

28 そして、イエスの着ている物をはぎ取り、赤い外套を着せ、

29 茨で冠を編んで頭に載せ、また、右手に葦の棒を持たせて、その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、侮辱した。

30 また、唾を吐きかけ、葦の棒を取り上げて頭をたたき続けた。

31 このようにイエスを侮辱したあげく、外套を脱がせて元の服を着せ、十字架につけるために引いて行った。

十字架につけられる

32 兵士たちは出て行くと、シモンという名前のキレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に担がせた。

33 そして、ゴルゴタという所、すなわち「されこうべの場所」に着くと、

34 苦いものを混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはなめただけで、飲もうとされなかった。

35 彼らはイエスを十字架につけると、くじを引いてその服を分け合い、

36 そこに座って見張りをしていた。

37 イエスの頭の上には、「これはユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを掲げた。

38 折から、イエスと一緒に二人の強盗が、一人は右にもう一人は左に、十字架につけられていた。

39 そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって、

40 言った。「神殿を打ち倒し、三日で建てる者、神の子なら、自分を救ってみろ。そして十字架から降りて来い。」

41 同じように、祭司長たちも律法学者たちや長老たちと一緒に、イエスを侮辱して言った。

42 「他人は救ったのに、自分は救えない。イスラエルの王だ。今すぐ十字架から降りるがいい。そうすれば、信じてやろう。

43 神に頼っているが、神の御心ならば、今すぐ救ってもらえ。『わたしは神の子だ』と言っていたのだから。」

44 一緒に十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスをののしった。

イエスの死

45 さて、昼の十二時に、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。

46 三時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。

47 そこに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、「この人はエリヤを呼んでいる」と言う者もいた。

48 そのうちの一人が、すぐに走り寄り、海綿を取って酸いぶどう酒を含ませ、葦の棒に付けて、イエスに飲ませようとした。

49 ほかの人々は、「待て、エリヤが彼を救いに来るかどうか、見ていよう」と言った。

50 しかし、イエスは再び大声で叫び、息を引き取られた。

51 そのとき、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂け、地震が起こり、岩が裂け、

52 墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる者たちの体が生き返った。

53 そして、イエスの復活の後、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの人々に現れた。

54 百人隊長や一緒にイエスの見張りをしていた人たちは、地震やいろいろの出来事を見て、非常に恐れ、「本当に、この人は神の子だった」と言った。

55 またそこでは、大勢の婦人たちが遠くから見守っていた。この婦人たちは、ガリラヤからイエスに従って来て世話をしていた人々である。

56 その中には、マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた。

墓に葬られる

57 夕方になると、アリマタヤ出身の金持ちでヨセフという人が来た。この人もイエスの弟子であった。

58 この人がピラトのところに行って、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出た。そこでピラトは、渡すようにと命じた。

59 ヨセフはイエスの遺体を受け取ると、きれいな亜麻布に包み、

60 岩に掘った自分の新しい墓の中に納め、墓の入り口には大きな石を転がしておいて立ち去った。

61 マグダラのマリアともう一人のマリアとはそこに残り、墓の方を向いて座っていた。

番兵、墓を見張る

62 明くる日、すなわち、準備の日の翌日、祭司長たちとファリサイ派の人々は、ピラトのところに集まって、

63 こう言った。「閣下、人を惑わすあの者がまだ生きていたとき、『自分は三日後に復活する』と言っていたのを、わたしたちは思い出しました。

64 ですから、三日目まで墓を見張るように命令してください。そうでないと、弟子たちが来て死体を盗み出し、『イエスは死者の中から復活した』などと民衆に言いふらすかもしれません。そうなると、人々は前よりもひどく惑わされることになります。」

65 ピラトは言った。「あなたたちには、番兵がいるはずだ。行って、しっかりと見張らせるがよい。」

66 そこで、彼らは行って墓の石に封印をし、番兵をおいた。

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マタイによる福音書 28

復活する

1 さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリアともう一人のマリアが、墓を見に行った。

2 すると、大きな地震が起こった。主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。

3 その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白かった。

4 番兵たちは、恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。

5 天使は婦人たちに言った。「恐れることはない。十字架につけられたイエスを捜しているのだろうが、

6 あの方は、ここにはおられない。かねて言われていたとおり、復活なさったのだ。さあ、遺体の置いてあった場所を見なさい。

7 それから、急いで行って弟子たちにこう告げなさい。『あの方は死者の中から復活された。そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる。』確かに、あなたがたに伝えました。」

8 婦人たちは、恐れながらも大いに喜び、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。

9 すると、イエスが行く手に立っていて、「おはよう」と言われたので、婦人たちは近寄り、イエスの足を抱き、その前にひれ伏した。

10 イエスは言われた。「恐れることはない。行って、わたしの兄弟たちにガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会うことになる。」

番兵、報告する

11 婦人たちが行き着かないうちに、数人の番兵は都に帰り、この出来事をすべて祭司長たちに報告した。

12 そこで、祭司長たちは長老たちと集まって相談し、兵士たちに多額の金を与えて、

13 言った。「『弟子たちが夜中にやって来て、我々の寝ている間に死体を盗んで行った』と言いなさい。

14 もしこのことが総督の耳に入っても、うまく総督を説得して、あなたがたには心配をかけないようにしよう。」

15 兵士たちは金を受け取って、教えられたとおりにした。この話は、今日に至るまでユダヤ人の間に広まっている。

弟子たちを派遣する

16 さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指示しておかれた山に登った。

17 そして、イエスに会い、ひれ伏した。しかし、疑う者もいた。

18 イエスは、近寄って来て言われた。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。

19 だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、

20 あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」

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マナセの祈り 1

1 全能の主よ、/我らの先祖/アブラハム、イサク、ヤコブの神、/彼らに連なり正しく歩んだ者たちの神よ、

2 あなたは天と地と/そのすべての装いを造られました。

3 あなたは命じて海に境を設け、/栄光ある恐るべき御名によって/淵を閉ざし、封印を押されました。

4 万物はあなたの力に震えおののいています。

5 人はあなたの栄光の威厳に耐えられず、/罪人への仮借なき御怒りは、/人には忍びきれないのです。

6 しかし、あなたの約束された慈しみは、/計り知れず、究めることができません。

7 あなたは、いと高き主、/情けあつく、寛大で、慈愛にあふれ、/人に下した災いを悔やまれる方。

8 主よ、あなたは正しい者の神。しかしあなたは、正しい人々、/罪を犯さなかったアブラハム、イサク、/ヤコブにではなく、/罪人のこのわたしに、回心の恵みを/与えてくださいました。

9 わたしの犯した罪は海辺の砂より多く、/とがは増しました。主よ、増し加わりました。わたしは天の高みを仰ぎ見るには/ふさわしくありません。多くの悪事を行ったからです。

10 わたしは多くの鉄の枷で引き据えられ、/罪のゆえに、頭を上げることができません。わたしには、安らぎがありません。あなたを怒らせ、/御前に悪しきことを行い、/忌まわしき像を立て、とがを重ねたからです。

11 今、わたしは心のひざをかがめて/あなたの憐れみを求めます。

12 罪を犯しました。主よ、罪を犯しました。犯したとがを、わたしは認めます。

13 あなたに乞い求めます。お赦しください。主よ、お赦しください。とがもろともにわたしを滅ぼさないでください。いつまでも怒り続けて/わたしに災いを下すことなく、/罪に定めて、地の奥底に捨てないでください。主よ、あなたは悔い改める者の神だからです。

14 あなたは善き御心を示してくださいます。ふさわしくないわたしを、深い慈しみをもって/救ってくださるからです。

15 わたしは生涯、絶えずあなたをたたえます。天のすべての軍勢は、あなたを賛美し、/栄光はとこしえにあなたのものだからです。アーメン。

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シラ 1

知恵の賛歌

1 すべての知恵は、主から来る。主と共に永遠に存在する。

2 浜辺の砂、雨の滴、/永遠に続く日々、/だれがこれらを数え尽くしえようか。

3 天の高さ、地の広さ、/地下の海、知恵の深さ、/だれがこれらを探りえようか。

4 知恵は、他のすべてのものに先立って造られ、/その悟る力も、永遠の昔から存在している。

5 〔知恵の泉は、いと高き所にいます神の言葉、/知恵の歩みは、永遠の掟。〕

6 知恵の根源が、だれに示されたであろうか。その巧みさを、だれが知りえたであろうか。

7 〔知恵がもたらす知識を、だれが見たであろうか。知恵がもたらす豊かな経験を、/だれが理解したであろうか。〕

8 知恵ある方はただひとり、いと畏き方、/玉座に座っておられる主である。

9 主御自身が知恵を造り、/これを見て、価値あるものとされ、/造られたすべてのものの上に知恵を注がれた。

10 主は、すべての人々に分に応じて知恵を与え、/主を愛する者には惜しみなくそれを与えられた。〔主を愛することこそ、輝かしい知恵。主は、御自分を示すために、知恵を分け与え、/こうして彼らは主を見るようになる。〕

主を畏れること

11 主を畏れることは、誉れと誇り、/幸せと喜びの冠である。

12 主を畏れることは、心を楽しませ、/喜びと、幸福と、長寿をもたらす。〔主を畏れることは、主からの賜物、/それによって愛の道を歩むことができる。〕

13 主を畏れる人は、幸せな晩年を送り、/臨終の日にも、主から祝福を受ける。

14 主を畏れることは、知恵の初めである。知恵は、主を信じる人たちに/母の胎内にいるときから与えられている。

15 知恵は、人々の間に揺るぎない基を据え、/人々は、幾世代にもわたってそれに信頼を置く。

16 主を畏れることは、知恵に満たされること、/人々は、知恵の果実に陶酔し、

17 彼らの家は、すべて望むもので満たされ、/そのすべての倉は、知恵の産物で満ちあふれる。

18 主を畏れることは、知恵の冠、/平和の花を咲かせ、健康を保たせる。〔主への畏敬と知恵こそは、/平和をもたらす神の賜物、/神を愛する者に誇りは増し加わる。

19 主はこれを見て、価値あるものとされた。〕/知恵は、知識と悟りを雨のように注ぎ、/知恵を保つ者の栄誉を高める。

20 主を畏れることは、知恵の根源、/そこから生え出る枝は、長寿である。

21 〔主を畏れることは、罪を退け、/その畏れを心にとどめる人は、/すべての怒りを遠ざける。〕

自制

22 不当な憤りには、弁解の余地がなく、/理不尽な憤りは、身の破滅を招く。

23 辛抱強い人は、時が来るまで耐え忍ぶ。耐え忍んだ後には、気分が晴れて壮快になる。

24 彼は語るべき時が来るまで、口を慎む。そうすると多くの人々は、/彼の思慮深さを伝え広める。

誠実と柔和

25 知恵の倉には、知識に満ちた箴言がある。しかし罪人は、敬神の心を忌み嫌う。

26 知恵を熱望するならば、/主の掟を守り通すがよい。主は知恵を豊かに与えてくださる。

27 主を畏れることは、知恵であり、教訓である。主は、誠実と柔和を喜ばれる。

28 主を畏れることをいとうな。二心をもって主に近づいてはならない。

29 人々の前で己を偽るな。お前の口を慎むがよい。

30 高ぶった思いを抱くな。さもないと、つまずいて恥をかく。主は、お前の正体を明らかにし、/会堂の中で面目を失わせる。なぜなら、お前は畏れを持たずに主に近づき、/心は偽りに満ちていたのだから。

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シラ 2

神への信頼

1 子よ、主に仕えるつもりなら、/自らを試練に向けて備えよ。

2 心を引き締めて、耐え忍べ。災難のときにも、取り乱すな。

3 主に寄りすがり、決して離れるな。そうすれば、豊かな晩年を送ることになる。

4 身にふりかかる艱難は、すべて甘受せよ。たとえ屈辱を受けても、我慢せよ。

5 金は火で精錬され、/人は屈辱のかまどで陶冶され、/神に受け入れられる。〔病気のときも貧しいときも、主に依り頼め。〕

6 主を信頼せよ。そうすれば必ず助けてくださる。お前の歩む道を一筋にして、主に望みを置け。

主を畏れる人たちよ

7 主を畏れる人たちよ、主の憐れみを待ち望め。わき見をしてはならない。さもないと、道を踏み外す。

8 主を畏れる人たちよ、主を信頼せよ。そうすれば必ず報われる。

9 主を畏れる人たちよ、主が賜るすばらしいこと、/すなわち、永遠の喜びと憐れみを待ち望め。〔主は喜びに満ちた永遠の賜物を/報酬として与えてくださる。〕

10 昔の人々のことを顧みて、よく考えてみよ。主を信頼して、欺かれた者があったか。主を敬い続けて、見捨てられた者があったか。主を呼び求めて、無視された者があったか。

11 主は、慈しみ深く、憐れみ深い方、/わたしたちの罪を赦し、/苦難のときに助けてくださる。

禍い

12 臆病な者、怠惰な者、/二またをかける罪人は、禍いだ。

13 無気力な者は、禍いだ。彼には信念がない。だから、彼には主の守りはない。

14 忍耐を捨てた者は、禍いだ。主の裁きの時には、どうするつもりなのか。

主を畏れる人

15 主を畏れる人は、主の掟に背かない。主を愛する人は、主の道を歩み続ける。

16 主を畏れる人は、主を喜ばせようと心がけ、/主を愛する人は、律法を喜んで守る。

17 主を畏れる人は、常に心の備えをし、/主の前で、自らへりくだる。

18 「わたしたちは、自分を、人の手にではなく、/主の御手にゆだねます。主の憐れみは、/その尊厳と同じく、偉大なのですから。」

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シラ 3

両親に対する義務

1 子供たちよ、/父の戒めに耳を傾け、それを守れ。そうすれば、つつがなく暮らせる。

2 主は、子に対する権威を父に授け、/子が母の判断に従う義務を定めておられる。

3 父を尊べば、お前の罪は償われ、

4 同じく、母を敬えば、富を蓄える。

5 父を尊べば、いつの日か、/子供たちがお前を幸せにしてくれる。主は、必ず祈りを聞き入れてくださる。

6 父を敬う者は、長寿に恵まれ、/主に従う者は、母を安心させる。

7 〔主を畏れる人は、父を尊び、〕/僕が主人に仕えるように、両親に仕える。

8 言葉と行いをもって、父を尊敬せよ。そうすれば、父から祝福を受ける。

9 父の祝福は、子供たちの家を堅固なものとし、/母の呪いは、子供たちの家の土台を覆す。

10 父の名誉を傷つけてまで、/自分の栄誉を求めるな。父の不名誉は、お前の栄誉とはならない。

11 父親を敬うこと、これこそ人間の栄誉なのだ。母親を侮ること、それは子供にとって恥である。

12 子よ、年老いた父親の面倒を見よ。生きている間、彼を悲しませてはならない。

13 たとえ彼の物覚えが鈍くなっても、/思いやりの気持を持て。自分が活力にあふれているからといって、/彼を軽蔑してはならない。

14 主は、父親に対するお前の心遣いを忘れず、/罪を取り消し、お前を更に高めてくださる。

15 お前が苦難に遭うとき、/主は、その心遣いを思い出してくださる。お前の罪は、晴れた日の霜のように/解け去るであろう。

16 父を見捨てる者は、神を冒涜する者、同じく/母を怒らせる者は、主に呪われている者。

謙遜

17 子よ、何事をなすにも柔和であれ。そうすれば、施しをする人にもまして愛される。

18 偉くなればなるほど、自らへりくだれ。そうすれば、主は喜んで受け入れてくださる。

19 〔身分の高い人や著名な人は多い。しかし、神の奥義は柔和な人に現される。〕

20 主の威光は壮大。主はへりくだる人によってあがめられる。

21 お前の力に余ることを理解しようとするな。また、手に負えないことを探究しようとするな。

22 お前のために定められていること、/それを熟慮せよ。お前に示されていないことを知る必要はない。

23 できないことに手を出すな。お前に示されたことは、/既に人間の理解を超えたものなのだから。

24 多くの者が早合点して道を誤り、/誤った推測で判断をゆがめてしまった。

25 〔目がなければ、光を見ることはできない。知識がないのに、知ったかぶりをするな。〕

心のかたくなな者

26 心のかたくなな者は、晩年になって苦しむ。危険を好む者は、それによって身を滅ぼす。

27 心のかたくなな者は、重荷を負って悩み苦しむ。罪人は、罪に罪を重ねる。

28 高慢な者が被る災難は、手の施しようがない。彼の中には悪が深く根を下ろしている。

29 賢者の心は、格言を思い巡らし、/知者の耳は、格言を熱心に聴く。

貧者への施し

30 水が燃え盛る火を消すように、/施しの業は、罪を償う。

31 好意に報いることは、自分の将来のためになる。困難に陥ったときに、支えが与えられる。

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シラ 4

1 子よ、貧しい人の生活を脅かすな。乞い求めるまなざしの人をじらすな。

2 飢えている人を悲しませるな。途方に暮れている人を怒らせるな。

3 いらだっている人を更に苦しめるな。乞い求める人に与えることをためらうな。

4 悩んで助けを求める人を拒むな。貧しい人から顔を背けるな。

5 物乞いする人から目を背けるな。お前を呪う口実を彼に与えるな。

6 その人が恨みを込めてお前を激しく呪えば、/造り主は、彼の願いを聞き入れられるから。

7 会堂では、人々から好意を持たれるようにせよ。権威ある者には、頭を低くせよ。

8 貧しい人の訴えに耳を傾け、/穏やかにそして柔和に、答えるがよい。

9 不当に扱われている者を/加害者の手から救い出せ。勇気をもって決断せよ。

10 孤児たちに対しては父親のようになり、/孤児たちの母親に対しては、/その夫がするように手助けするがよい。そうすれば、いと高き方はお前を子と見なし、/母親以上にお前を愛してくださる。

知恵の試練

11 知恵は、それに従う子らを高め、/これを追い求める者を助ける。

12 知恵を愛する者は、命を愛する者。朝早く起きて知恵を求める者は、/喜びに満たされる。

13 知恵を得る者は、誉れを受け継ぎ、/行く先々で、主から祝福される。

14 知恵に仕える者は、聖なる方に奉仕する者。知恵を愛する者は、主から愛される。

15 知恵に聞き従う者は、諸国民を正しく裁き、/知恵に心を向ける者は、安らかに暮らす。

16 知恵を信頼すれば、知恵が与えられ、/子孫もその知恵を受け継ぐ。

17 知恵は、最初、お前を険しい道に連れて行き、/恐れの気持を抱かせて、おじけさせる。知恵の試練は、お前を激しく苦しめる。知恵は、お前を信頼するまで、/数々の要求を突きつけて、お前を試みる。

18 だがすぐに、知恵は再びお前のもとに来て、/お前を喜ばせ、その真意を明らかに示す。

19 しかし、お前が道をそれるなら、/知恵はお前を見捨て、/お前が破滅していくにまかせる。

正しく行動せよ

20 正しく時を見極め、悪から身を守れ。いたずらに自分を恥じることはない。

21 罪をもたらす恥じらいもあり、/名誉と尊敬に値する恥じらいもあるのだから。

22 自分の気持を裏切ってまで、他人にこびるな。いたずらに恥じて身の破滅をもたらすな。

23 必要なときに発言するのをためらうな。〔お前の知恵を、見栄のために隠してはならない。〕

24 知恵は、言葉によって知られ、/教訓は、語る言葉によって理解されるのだから。

25 真理に逆らって発言するな。自分の無学を恥じよ。

26 罪を告白することを恥じるな。川の流れを無理にせき止めてはならない。

27 愚か者の言いなりになるな。権力者にへつらうな。

28 真理のためには、命がけで戦え。主なる神も、お前に味方して戦ってくださる。

29 軽はずみな口を利くな。仕事を怠けたり、なげやりにしたりするな。

30 家の中で獅子のようにふるまうな。自分の家の召し使いたちを気まぐれに扱うな。

31 もらうときに手を出すのなら、/返すときには出ししぶるな。

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シラ 5

高慢になるな

1 自分の財産を頼みとするな。「わたしは、何でも思いのままだ」と言うな。

2 本能と自分の力に引きずられ、/欲望のままに生きてはいけない。

3 「だれもわたしを支配できない」と言うな。主は必ずお前に復讐なさるだろう。

4 「罪を犯したが、何も起こらなかった」と言うな。主は忍耐しておられるのだ。

5 どうせ罪は贖われるのだからといい気になって、/罪に罪を重ねてはならない。

6 「主の憐れみは豊かだから、/数多くのわたしの罪は赦される」と言うな。主は、憐れみだけでなく、怒りをも持ち、/その激しい怒りは罪人たちの上に下る。

7 速やかに主のもとに立ち帰れ。一日、もう一日と、引き延ばしてはいけない。主の怒りが、突然やって来て、/裁きの時に、お前を滅ぼしてしまうからだ。

8 人を惑わす財産を頼みとするな。いざというとき、何の役にも立たない。

誠実と自制

9 風向きを考えずにもみ殻をふるい分けるな。どんな道でも歩いてよいというわけではない。それは、二枚舌の罪人がすることだ。

10 自分の見解には確信を抱き、/発言には一貫性を持たせよ。

11 人の言葉には、速やかに耳を傾け、/答えるときは、ゆっくり時間をかけよ。

12 はっきりした見解があれば、隣人に答えよ。さもなければ、口に手を当てて何も言うな。

13 名誉、不名誉も言葉しだい、/舌は身を滅ぼすもととなる。

14 陰口をたたく者と呼ばれるな。舌で人を陥れるな。盗人には辱めが、/二枚舌の者には激しい非難が浴びせられる。

15 大事にも小事にも細心の注意を払え。

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シラ 6

1 友となるべきときに、裏切って敵となるな。悪評が立ち、恥とそしりを受けるからだ。それは、二枚舌の罪人がすることだ。

2 自分勝手な思いで高ぶるな。さもないと、暴れる雄牛のように力尽きる。

3 お前は葉を食い尽くし、実を台なしにし、/そして、自分自身を枯れ木のようにしてしまう。

4 激情は、これを抱く者を滅ぼし、/敵の物笑いの種とする。

誠実な友

5 のどの麗しい声は、友人を増やし、/舌のさわやかな語りかけは、/愛想のよい返事を増やす。

6 多くの人々と親しく挨拶を交わせ。だが、相談相手は千人のうち一人だけに限れ。

7 友をつくるときは、試してからにせよ。すぐに彼を信頼してはいけない。

8 都合のよいときだけ友となり、/苦難のときには、離れてしまう者がいる。

9 また、心変わりして敵となる友もいて、/争いでお前が吐いた悪口を暴露する。

10 食事のときだけ友であり、/苦難のときには、離れてしまう者がいる。

11 お前のはぶりがよいと、お前のようにふるまい、/お前の召し使いたちになれなれしくする。

12 しかし、お前が落ちぶれると、背を向け、/お前の目から身を隠す。

13 敵からは遠ざかれ。友達には気をつけよ。

14 誠実な友は、堅固な避難所。その友を見いだせば、宝を見つけたも同然だ。

15 誠実な友は、何ものにも代え難く、/そのすばらしい値打ちは計り難い。

16 誠実な友は、生命を保つ妙薬。主を畏れる者は、そのような友を見いだす。

17 主を畏れる者は、真の友情を保つ。友もまた、彼と同じようにふるまうから。

知恵に近づけ

18 子よ、若いときから教訓を受け入れよ。白髪になるまでに、知恵を見いだすように。

19 耕し、種蒔く農夫のように、知恵に近づき、/その豊かな実りを待ち望め。知恵を得るには、しばらく苦労するが、/やがて、その実を味わうだろう。

20 教訓を受け入れない者にとって、/知恵はなんと忌まわしいことか。愚かな者は、知恵の中に踏みとどまれない。

21 力試しの石のように、/知恵は重荷となって彼を苦しめ、/彼はすぐにそれをほうり出す。

22 知恵は、その名のとおり奥深く、/多くの人にはとらえにくい。

23 子よ、耳を傾けてわたしの意見に従え。わたしの忠告を拒んではならない。

24 足に知恵の足枷をかけ、/首に知恵の首輪をはめよ。

25 肩を低くし、知恵を担え。その束縛にいらだつな。

26 心を尽くして知恵に近づき、/力を尽くして知恵の道を歩み続けよ。

27 足跡を追って、知恵を探せ。そうすれば、知恵が見つかるだろう。しっかりつかんだら、それを手放すな。

28 ついには、知恵に憩いを見いだし、/知恵は、お前にとって、喜びに変わるだろう。

29 知恵の足枷は、確かな避難所となり、/首輪は、華麗な衣となる。

30 知恵は金の飾りを着け、/その束縛の鎖は、青紫のひもとなる。

31 お前は、華麗な衣として、知恵をまとい、/喜びの冠として、それをかぶるだろう。

32 子よ、望むなら、教訓を体得でき、/心がければ、賢くなれるのだ。

33 喜んで聞けば、多くのことを学び、/耳を傾ければ、知恵ある者となれるのだ。

34 長老たちの集いに入って、その中に立ち、/彼らの知恵を頼みとせよ。

35 神に関する話には、進んで耳を傾け、/洞察を秘めた格言は、聞き漏らすな。

36 洞察に富んだ人に出会ったら、/朝早くからその人のもとへ行き、/戸口の敷石がすり減るほど、足しげく通え。

37 常に、主の命令を心に留め、/主の掟に専念せよ。主御自身が、お前の心を強め、/お前の切望する知恵を与えてくださる。

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シラ 7

悪を行うな

1 悪を行うな。そうすれば、悪はお前を襲わない。

2 不正から遠ざかれ。そうすれば、不正がお前を避けるだろう。

3 不正の畑に種を蒔くな。七倍の不正の実を刈り取るだけだ。

4 権力の座を、主に乞い求めるな。栄光の地位を、王に乞い求めるな。

5 主の前で、自分の正しさを主張するな。王の前で、知恵をひけらかすな。

6 不正を取り除く力がなければ、/裁判官を志すな。さもないと、権力者の顔色をうかがい、/公平な裁きができなくなる。

7 町の住民に対して過ちを犯すな。また、民衆の前で面目を失うな。

8 過ちを二度繰り返すな。一度の過ちでさえ、罰を免れないからだ。

9 次のように言ってはならない。「神はわたしの数多い献げ物を顧みてくださる。わたしが、いと高き神に献げ物をささげれば、/必ず、受け入れてくださる。」

10 ためらいながら祈ってはならない。施しをする機会を逃してはならない。

11 心を痛めている人をあざ笑うな。人を低め、かつ高める方がおられるのだから。

12 兄弟に偽り事をたくらむな。友人にも、そのようなことはするな。

13 どんな偽りも口にしてはならない。うそが身につくと、ろくなことにはならない。

14 長老たちの集いの場では、無駄口を利くな。祈るときには、くどくどと繰り返すな。

15 骨の折れる仕事や、/いと高き方が定められた畑仕事を、/嫌ってはならない。

16 罪人の仲間に加わってはならない。神の裁きは速やかに下ることを、心に留めよ。

17 どこまでも謙遜であれ。畏れを知らぬ者には、火と蛆の刑罰が下る。

友人と家族

18 金のために友を裏切るな。オフィルの黄金のために真の兄弟を裏切るな。

19 賢く良い女をめとる機会を逃すな。彼女のもたらす喜びは、黄金にまさる。

20 誠実に働く召し使いや、/懸命に尽くす雇い人を、冷遇するな。

21 賢い召し使いを心から愛し、/その自由を奪ってはならない。

22 家畜がいれば、よくその世話をせよ。お前の役に立つのだから、ずっと飼い続けよ。

23 子供がいれば、彼らを教育し、/幼いときから、厳しくしつけよ。

24 娘がいれば、その体に心を配れ。彼女らに甘い顔ばかりしてはならない。

25 娘を嫁がせよ。それで大仕事を終えたのだ。だが、娘は賢い男に嫁がせよ。

26 心に適う妻がいれば、彼女を追い出すな。気に入らない妻には、心を許すな。

27 心を尽くして父を敬い、/また、母の産みの苦しみを忘れてはならない。

28 両親のお陰で今のお前があることを銘記せよ。お前は両親にどんな恩返しができるのか。

祭司に対する尊敬

29 心を尽くして主を敬い、/主の祭司をあがめよ。

30 力を尽くしてお前の造り主を愛し、/主に仕える人々をなおざりにするな。

31 主を畏れ、祭司を尊べ。規定に従って、祭司にその分け前を納めよ。すなわち、初物、賠償の献げ物、/いけにえの動物の肩の肉、/清めのいけにえ、聖なる初物の献げ物。

貧しい人と悲しむ人

32 貧しい人に援助の手を差し伸べよ。そうすれば、お前は豊かに祝福される。

33 生きとし生けるもの、すべてに恵みを施せ。また、死者にも思いやりを示せ。

34 泣く人と共に泣き、/悲しむ人と共に悲しめ。

35 病人を見舞うのをためらうな。それによって、お前は愛されるようになる。

36 何事をなすにも、/お前の人生の終わりを心に留めよ。そうすれば、決して罪を犯すことはない。

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