シラ 8

良識ある行為

1 権力者と争うな。彼の手に陥らないともかぎらない。

2 金持ちとけんかをするな。彼は金にものを言わせ、/お前に立ち向かわないともかぎらない。黄金は多くの人々を滅ぼし、/王たちの心を迷わせた。

3 口数の多い者と争うな。火に薪をくべることにならないともかぎらない。

4 粗野な者をからかうな。彼はお前の先祖を辱めるかもしれない。

5 罪から離れようとしているなら、/もうその人をとがめてはならない。わたしたちは皆、/罰に値する者であることを思え。

6 年寄りだからといって、軽蔑するな。わたしたちも、いずれは老人になるのだから。

7 他人の死を喜ぶな。わたしたちは皆、死すべき者であることを思え。

8 知恵ある人の話をなおざりにせず、/その格言に心を留めよ。そうすれば、そこから教訓を学び、/王に仕えるすべを身につけることができる。

9 老人たちの話を聞き逃すな。彼らも、その先祖たちから学んだのだ。そうすれば、そこから知識を学び、/必要なときに答えることができる。

10 罪人の情欲の炭に火をつけるな。その燃える炎で、やけどをしないともかぎらない。

11 傲慢な人の挑発に乗るな。彼は、お前の言葉じりをとらえて陥れようと、/待ち構えているかもしれないから。

12 お前より力のある人に金を貸してはならない。貸したら最後、失ったものと思え。

13 お前の力量を超えて保証をしてはならない。保証をするなら、自分が返済する覚悟を持て。

14 裁判官を相手に訴訟を起こしてはならない。彼の名誉を重んじる判決が下されるから。

15 向こう見ずな人間と一緒に旅をするな。お前はひどい災難に/悩まされないともかぎらない。彼は勝手気ままにふるまい、/その愚かな行動がもとで、/お前も一緒に命を落とすことになる。

16 短気な人間と争ったり、/一緒に荒れ野を歩いたりしてはならない。彼は、血を流すことなど何とも思わず、/だれの助けも得られないところで、/お前を打ち倒してしまうから。

17 愚か者と相談するな。彼は秘密を守ることができないのだから。

18 内密にすべきことを他人の前で公にするな。どんな結果が生じるか分からないのだから。

19 相手構わず、人に心を打ち明けるな。また、相手構わず、人から恩を受けるな。

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シラ 9

女性について

1 愛する妻に、やきもちをやくな。お前を傷つける悪知恵を、彼女に教えるだけだ。

2 女にうつつを抜かして、/彼女の言いなりになるな。

3 ふしだらな女に近づくな。彼女の罠に、はまり込まないともかぎらない。

4 女の歌い手となじみになるな。彼女の手中に陥らないともかぎらない。

5 おとめをじっと見つめるな。慰謝料を払わされるはめに陥るかもしれない。

6 娼婦にうつつを抜かすな。さもないと、財産をつぶしてしまう。

7 街角に立って辺りを見回すな。また、町の裏通りを歩き回るな。

8 見目麗しい女から目をそらせ。人妻の美しさに見とれるな。多くの者が女の美しさに惑わされ、/愛欲を火のように燃え上がらせる。

9 結婚した女とは同席するな。また、彼女と酒を酌み交わして、楽しむな。心が彼女に奪われ、/愛欲にたぎる血で身を滅ぼさないともかぎらない。

人間関係

10 古くからの友人をなおざりにするな。彼は、新しい友人に、はるかにまさる。新しい友は、新しいぶどう酒。古くなるほど、味わい深く飲めるのだ。

11 罪人の成功をねたむな。彼にどんな破滅が待っているか、/お前は知らないのだ。

12 不信仰な人の成功をうらやむな。彼らは必ず罰せられて陰府に行くものと心得よ。

13 命を奪う力を持つ権力者から遠ざかれ。そうすれば、死の恐怖におののくことはない。たとえ彼に近づいたとしても、過ちを犯すな。さもないと、命を奪われてしまう。お前は、仕掛けられた罠の間を通り、/町の城壁の上を歩き回っているものと知れ。

14 できるかぎり隣人を見極め、/知恵ある人と相談せよ。

15 聡明な人と語り合い、/専ら、いと高き方の律法を話題とせよ。

16 正しい人たちと食事を共にし、/主を畏れることを、お前の誇りとせよ。

17 職人は、その作品によって称賛され、/知恵ある為政者は、/その言葉によって称賛される。

18 口数の多い者は、町中で忌み嫌われ、/口の軽い者は、その言葉によって憎まれる。

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シラ 10

統治者について

1 知恵ある統治者は、その民を教育し、/聡明な人の政治は、秩序あるものとなる。

2 公務に携わる人たちは、民の統治者に倣い、/町の住民は皆、その首長に倣う。

3 教養に欠けた王は、その民を滅ぼし、/実権を握る者の聡明さは、町を立派に築く。

4 この世の主権は、主の御手にある。主は、時に応じて、ふさわしい人物を起こされる。

5 人の成功は、主の御手にある。立法者に栄誉を授けるのも、主である。

高慢について

6 隣人のどんな不正な仕打ちにも、憤りを抱くな。また、決して横柄なふるまいをしてはならない。

7 高慢は、主にも人にも嫌われ、/不正は、そのいずれからも非難される。

8 覇権は、民族から民族へと移り行く。その原因は、不正と傲慢と富である。〔金銭欲の強い者こそ、最も不法な者だ。彼は、全く守銭奴になりきってしまう。〕

9 土くれや灰にすぎぬ身で、なぜ思い上がるのか。だからわたしは、彼のはらわたを、/生きているときに、つかみ出してやった。

10 長患いは、医者の手に負えず、/今日、王であっても、明日は命を奪われる。

11 人は死んでしまうと、すべてを失い、/爬虫類と野獣と蛆虫の餌食になるだけだ。

12 高慢の初めは、主から離れること、/人の心がその造り主から離れることである。

13 高慢の初めは、罪である。高慢であり続ける者は、/忌まわしい悪事を雨のように降らす。それゆえ、主は想像を絶する罰を下し、/彼らを滅ぼし尽くされた。

14 主は、支配者たちをその王座から降ろし、/代わりに、謙遜な人をその座につけられた。

15 主は、諸国民を根こそぎにし、/代わりに、身分の低い人々を植え付けられた。

16 主は、諸国民の領土を覆し、/地の基まで破壊された。

17 主は、ある人々を取り除いて打ち滅ぼし、/彼らについての記憶を地上から消し去られた。

18 人間は、高慢であってはならず、/女から生まれた者は、/激しい憤りを抱いてはならないのだ。

尊敬に値する者

19 どんな被造物が尊敬に値するか。人類だ。どんな人が尊敬に値するか。主を畏れる人だ。どんな被造物が尊敬に値しないか。人類だ。どんな人が尊敬に値しないか。掟を破る者だ。

20 仲間の間では、権力のある者が尊敬され、/主の前では、主を畏れる者が尊ばれる。

21 〔主を畏れることは、/主に受け入れられることの初め、/強情と高慢は、主に拒まれることの初めである。〕

22 改宗者や外国人や貧しい人、/彼らの誇りは、主を畏れることである。

23 聡明な貧しい人をさげすむのは、/正しいことではない。罪ある人をほめたたえるのは、/ふさわしいことではない。

24 地位の高い人や判事や権力者は、栄誉を受ける。だが、主を畏れる者は、彼らにまさる者なのだ。

25 自由市民が知恵ある奴隷に奉仕しても、/分別ある人なら、それをとやかくは言わない。

謙遜と誇り

26 仕事をするとき、理屈をこねるな。困っているとき、見栄を張るな。

27 働いて、すべてに満ち足りている人の方が、/パンを得る手だてを持たず、/見栄を張って生きる人にまさる。

28 子よ、慎み深く、自らに誇りを持ち、/自分を、あるがままに、正しく評価せよ。

29 自分自身を汚す者を、/だれが正しい人と認めてくれるだろうか。自分自身を軽んじる者を、/だれが重んじてくれるだろうか。

30 貧しい人は、その知識によって尊ばれ、/金持ちは、その富によって尊ばれる。

31 貧しくても尊ばれる人は、富を得れば、/どれほど尊ばれるだろうか。金持ちでも軽蔑される人は、貧しくなれば、/どれほど軽蔑されるだろうか。

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シラ 11

軽率な判断をするな

1 知恵があれば、身分の低い者でも頭角を現し、/高貴な人々と肩を並べることができる。

2 姿形が美しいからといって、人を褒めそやすな。また、外見によって人を毛嫌いするな。

3 蜜蜂は、羽で飛ぶもののうち小さい方だが、/その作る蜜は、最高に甘い。

4 身に着けている衣服を誇るな。栄誉を受けるときでも、おごり高ぶるな。主のなさることは、計り知れず、/その御業は、人々に隠されているからだ。

5 力を誇る多くの支配者が土下座するはめに陥り、/思いもよらぬ者が王冠をかぶることになった。

6 多くの権力者がひどい辱めを受け、/高名な者たちが異国の人の手に渡された。

7 よく調べないうちに、とがめてはならない。まず、じっくり考え、その後に叱れ。

8 よく聞かないうちに、答えてはならない。他人の話に割り込むな。

9 自分にかかわりのない事で、人と争うな。ならず者たちの言い争いに加わるな。

多くの事に手を出すな

10 子よ、あまり多くの事に手を出すな。何もかもしようとすれば、ひどい目に遭う。やり遂げようとしても、果たすことはできず、/逃げようとしても、逃げきれるものではない。

11 苦労し、難儀し、懸命に事を運ぼうとしても、/その人はかえってますます遅れてしまうものだ。

12 のろまで、助けを必要とし、/何もできず、貧しさにあえいでいる人もいる。しかし、主は、彼に目を注いで恵みを与え、/惨めな状態から引き上げ、

13 高めてくださった。そこで、多くの人々は彼を見て非常に驚いた。

14 善と悪、生と死、/貧困と富は、主が与えるもの。

15 〔知恵と悟り、それに律法の知識、/愛と善行の道、これらは、主が与えるもの。

16 迷いと闇とは、罪人と共に生じ、/悪は、それを誇る者と共にとどまる。〕

17 主の賜物は、信仰深い人と共にあり、/主の御心は、常に彼らを成功に導いてくださる。

18 生活を切り詰め、強欲に富を蓄える人もいる。だが、どんな報いがあると言うのか。

19 「これで安心だ。自分の財産で食っていけるぞ」と言っても、/それがいつまで続くのか知るよしもなく、/財産を他人に残して、死んでいく。

20 契約をしっかり守り、それに心を向け、/自分の務めを果たしながら年老いていけ。

21 罪人が仕事に成功するのを見て、驚きねたむな。主を信じて、お前の労働を続けよ。貧しい人を、たちどころに金持ちにすることは、/主にとって、いともたやすいことなのだ。

22 主の祝福こそ、信仰深い人の受ける報いなのだ。主は、幸せの花を、速やかに咲かせてくださる。

23 お前はこう言ってはならない。「今の自分は何の役に立つのだろう。今後役に立つとしたら、それは何だろう」と。

24 また、次のように言ってもならない。「今の自分は満ち足りている。今後どんな災害がふりかかるというのか」と。

25 人は、幸福なときには不幸を忘れ、/不幸なときには、幸福を思い出さない。

26 死に際して、生前の行状に応じて報いることは、/主にとって、いともたやすいことなのだ。

27 不幸に遭うと、すべての楽しみを忘れるが、/人の行いの評価は、その最期に明らかになる。

28 どんな人に対しても死を迎えるまでは、/その人のことを幸せだと言うな。人間は、その子供たちによって、/本当の姿が知られるのだ。

他人を家に入れるな

29 だれかれかまわず家に招き入れるな。悪賢い人間が、多くのたくらみをもって/うかがっているのだから。

30 高慢な人間の心は、/籠の中にいるおとりのうずらのようだ。密偵のように、お前を陥れようと/すきをうかがっている。

31 彼は、善を曲げて悪に変えようとねらっており、/申し分のない行いにさえ、非難を浴びせる。

32 わずかな火種で、炭は燃え盛る。罪人は、血を流そうとして、/はかりごとをめぐらしているのだ。

33 悪者に気をつけよ。悪事をたくらんでいるのだから。お前が傷つき、いつまでも苦しまないように。

34 他人を自分の家に同居させてみよ。もめごとでお前は頭を悩まし、/身内の者からも疎まれる。

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シラ 12

相手をわきまえよ

1 善い業をするときには、相手をわきまえよ。そうすれば、お前の善い行いは感謝される。

2 信仰深い人に善い業をなせ。そうすれば報いがある。たとえ彼から受けなくても、/いと高き方が報いてくださる。

3 悪事にしがみついている者や、/慈悲の心を持たず、施しをしない者には、/幸福はやって来ない。

4 信仰深い人に施せ。だが、罪人には援助するな。

5 謙遜な人に善い業をせよ。しかし、不信仰な者には施すな。不信仰な者には食べ物を拒み、何も与えるな。さもないと、彼はそれで力を得て、/お前に立ち向かって来るだろう。不信仰な者に施すあらゆる善い業は、/二倍の悪となってお前に返って来るだろう。

6 いと高き方御自身も、罪人を憎み、/不信仰な人にあだを返される。〔主は、報復の日まで、彼らを監視しておられる。〕

7 善人には与えよ。しかし、悪人には援助するな。

友と敵について

8 幸福なときには、真の友を見分けられない。不幸なときには、だれが敵かはっきりする。

9 人が幸福なときには、敵はねたみ、/不幸なときには、友でさえ離れていく。

10 決して敵を信用するな。彼の悪意は、緑青のように、人をむしばむ。

11 謙遜な態度をとり、腰を低くしてやって来ても、/用心して、彼を警戒せよ。彼に対するときは、鏡を磨くように自分を磨け。絶えず磨いていれば、/彼のさびで害を受けることはない。

12 彼を傍らに立たせるな。さもないと、お前を押しのけて、/お前の地位を奪うだろう。彼を右側に座らせるな。さもないと、お前の座をねらうだろう。そのときになって、わたしの言葉を悟り、/わたしが語った言葉を思い出しても、/後悔するだけだ。

13 蛇使いが蛇にかまれ、/猛獣使いが獣にかまれたとしても、/だれが同情するだろうか。

14 罪人に近づき、/その悪にむしばまれる者も同じである。

15 彼は、お前がうまくいっているときには、/一緒にいるが、/落ちぶれたときには、離れ去ってしまう。

16 敵は、口先では甘いことを言っても、/心ではお前を穴に陥れようとたくらんでいる。敵は、目に涙を浮かべても、/折さえあれば殺そうと、血に飢え渇いている。

17 災難がお前にふりかかると、/彼はお前の目の前に現れ、/助ける振りをして、お前の足をすくう。

18 彼は、うなずいたり、もみ手をしたりするが、/裏では陰口をまき散らし、顔つきを変える。

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シラ 13

金持ちとのつきあい

1 やにに触れば、手が汚れる。高慢な人と交われば、/高慢な人間になる。

2 手に余る重い物を持ち上げるな。お前よりも力や金のある者と交わるな。土鍋が鉄鍋とどうして仲間になれようか。土鍋は鉄鍋にぶつかると砕けてしまう。

3 金持ちは不正を働きながら、しかも、脅迫する。貧乏な人は不正を受けながら、/しかも、わびなければならない。

4 金持ちは、お前が役に立つかぎり、利用するが、/お前が困っているときは、見捨ててしまう。

5 お前に財産があると、親しげに寄って来て、/お前の財産を使い果たしても、平然としている。

6 お前を必要とするときには、お前をだまし、/ほほ笑みかけて、希望を持たせ、/うまい言葉を並べ立てて、/「お役に立つことはありませんか」と言う。

7 そして、ごちそうを振る舞って、お前を恐縮させ、/今度は二度も三度も搾り取り、/最後には、お前をあざ笑う。その後は、会っても知らぬ振りをし、/お前を無視して、顔を背ける。

8 用心せよ。だまされることのないように。自分の愚かさで落ちぶれることのないように。

権力者とのつきあい

9 権力者に招待されたら、一応遠慮せよ。そうすれば、ますます招いてくれるだろう。

10 深入りするな。深入りするとはねつけられる。だが、遠ざかっていてもいけない。忘れられてしまうから。

11 彼と対等に話ができるなどと、思い上がるな。彼が多くの言葉をかけてくれたからといって、/いい気になるな。はずむ話は、お前を試すためであり、/ほほ笑みながらもお前を探っているのだ。

12 彼は打ち明け話を心にとどめず、/情けを知らず、/虐待したり投獄したりすることを意に介さない。

13 お前は、自分の秘密を守り、よくよく用心せよ。極めて危ない橋を渡っているのだから。

14 〔これらのことを聞いたら、眠りから目を覚ませ。生涯、主を愛せよ。主に呼びかけて、救いを求めよ。〕

金持ちと貧しい人

15 生き物はすべて、その同類を愛し、/人間もすべて、自分に近い者を愛する。

16 すべての生物は類をもって群れ集まり、/人間も、自分に似た者と固く結び付く。

17 狼と小羊とがどうして共存できようか。罪人と信仰深い人もこれと同じである。

18 ハイエナと犬は、どうして仲良くできようか。金持ちと貧しい者が、どうして和を保ちえよう。

19 荒れ野のろばが、獅子の餌食となり、/貧乏な人は、金持ちに食い荒らされる牧草となる。

20 高慢な人にとって、謙遜が忌まわしいように、/金持ちにとって、貧乏な者は忌まわしい。

21 金持ちがよろめくと、友人が支えてくれる。身分の卑しい人が倒れると、/友人でさえ突き放す。

22 金持ちがしくじると、多くの人が助けてくれ、/言語道断なことを口にしても、かばってくれる。身分の卑しい者がしくじると、人々は非難し、/道理に合ったことを話しても、相手にしない。

23 金持ちが話すと、皆静かになり、/その話したことを雲の上まで持ち上げる。貧乏な人が話すと、「こいつは何者だ」と言い、/彼がつまずけば、これ幸いと引き倒す。

24 富は、罪に汚れていなければ、善である。貧乏が悪であるとは、/不信仰な人の言うことである。

人の顔つき

25 心の状態で、人の顔つきは変わる。うれしい顔にもなれば、悲しい顔にもなる。

26 晴れやかな顔は、良い心の表れである。それにしても、格言作りは、骨が折れる。

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シラ 14

幸いな人

1 口を滑らすことのない人は幸いだ。罪を悔やむ思いに苦しめられることがない。

2 良心にやましいことのない人、/希望を失うことのない人は、幸いだ。

欲深い人間

3 金に細かすぎる人に、富はふさわしくない。物惜しみをする人に、金銭は何の役に立つのか。

4 生活を犠牲にしてまで蓄える人は、/他人のために蓄えるようなものだ。その蓄えで、ぜいたくをするのは他人なのだ。

5 自分を痛めつけて、/だれかに楽をさせようとでもいうのか。その人は決して自分の財産を楽しむことはない。

6 自分のことで物惜しみする人ほど/痛ましい者はない。それこそは、その人の悪の報いである。

7 欲深さを忘れて善を施しても、/結局は、その性根を暴露する。

8 欲深な目つきの人間は、蓄財に身を削り、/困っている人から顔を背け、見ぬ振りをする。

9 貪欲な目は、自分の持ち分に満足せず、/蓄財に身を削るという悪は、魂を干からびさせる。

10 蓄財に身を削る者の目は、パンを惜しみ、/その食卓は貧しいかぎりだ。

生きているうちに富を活用せよ

11 子よ、分に応じて、財産を自分のために使え。主に対しては、ふさわしい供え物を献げよ。

12 次のことを心に留めよ。死は必ずやって来る。しかし、陰府の定めはお前に示されていない。

13 生きている間、友人に親切を尽くしておけ。できるかぎり手を差し伸べて、援助せよ。

14 一日だけの幸せでもそれを逃すな。良い楽しみの機会を見過ごすな。

15 お前が苦労して得たものは、他人の手に渡り、/汗の結晶も、くじで分配されてしまうではないか。

16 与えよ、受けよ、心を楽しませよ。陰府で楽しみをどうして求めえようか。

17 生あるものはすべて、衣のように古びてしまう。「なんじ、死すべし。」これは昔からの定め。

18 枝先に揺れる葉も、/散ってはまた芽生え出る。血と肉である人間の世代も、/ひとつが終われば、他のものが生まれる。

19 すべての業は朽ち果てて、/人は、その業とともに消えて行く。

知恵を持つことの幸い

20 知恵に深く思いを寄せる人、/英知をもって理を究める人は、幸いだ。

21 心の中で知恵の道を思い巡らし、/知恵の秘密を深く考える人は、幸いだ。

22 狩人のように、知恵の後をつけ、/その通り道で待ち伏せよ。

23 窓越しに知恵をのぞき見る者は、/戸口でも耳をそばだてる。

24 知恵の住まいの近くに宿る者は、/知恵の家の壁に釘を打ち込み、

25 その傍らに天幕を張る。こうして彼は、良い家に住むことになる。

26 彼は、子供たちを知恵の保護の下に置き、/知恵の枝に守られて夜を過ごす。

27 彼は、知恵の陰に覆われて暑さを免れ、/知恵の輝きに包まれて、そこに宿る。

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シラ 15

知恵の働き

1 主を畏れる人は、これを行う。律法に精通している者は、知恵を悟る。

2 知恵は、母のように彼を出迎え、/新妻のように彼を迎え入れる。

3 英知のパンを食べ物として彼に与え、/知恵の水を飲み物として、彼に与える。

4 彼は、知恵に支えられて揺らぐことなく、/知恵に身を任せて、恥をかくことはない。

5 知恵は、周りの者たちよりも彼を優れた者とし、/集会で語るとき、適切な言葉を与えてくれる。

6 彼は楽しみを味わい、喜びの冠を受け、/その名声はいつまでも続く。

7 愚かな者は、決して知恵を悟らず、/罪深い者は、知恵をかいま見ることすらない。

8 知恵は、高慢な者から離れており、/偽りを言う者の心には決して思い浮かばない。

9 賛美の歌は、罪人の口にそぐわない。主に促されて歌うのではないから。

10 賛美は知恵をもってささげられ、/主御自身がこれを正しく導かれる。

人間の意志

11 「わたしが罪を犯したのは主のせいだ」と言うな。主が、御自分の嫌うことをなさるはずがない。

12 「主がわたしを迷わせたのだ」と言うな。主は、罪人には用がないのだから。

13 主は、忌まわしいことをすべて憎まれる。それらは、主を畏れる人にも好ましくない。

14 主が初めに人間を造られたとき、/自分で判断する力をお与えになった。

15 その意志さえあれば、お前は掟を守り、/しかも快く忠実にそれを行うことができる。

16 主は、お前の前に火と水を置かれた。手を差し伸べて、欲しい方を取ればよい。

17 人間の前には、生と死が置かれている。望んで選んだ道が、彼に与えられる。

18 主の知恵は豊かであり、/主の力は強く、すべてを見通される。

19 主は、御自分を畏れる人たちに目を注がれる。人間の行いはすべて主に知られている。

20 主は、不信仰であれとは、/だれにも命じたことはなく、/罪を犯すことを、許されたこともなかった。

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シラ 16

子供は多い方がよいとはかぎらない

1 役に立たないような子を、大勢欲しがるな。不信仰な息子たちを、喜ぶな。

2 いくら子宝に恵まれても、/彼らが主を畏れないなら、喜ぶな。

3 彼らが長生きするものと当てにするな。その数の多いことを頼みとするな。〔お前は、思いがけない悲しみに打ちひしがれる。彼らの最期を、突然、知ることになるからだ。〕/主を畏れる一人の子は、千人の子にまさり、/不信仰な子を持つよりは、/子を持たずに死ぬ方がましだ。

4 一人の聡明な人は、町を繁栄させ、/無法者の一味は、消えうせる。

罪人に対する神の怒り

5 わたしは、次に述べるようなことを、/数多くこの目で見、/それよりもひどいことを、この耳で聞いた。

6 罪人の集まる所に、焼き尽くす火が燃え上がり、/反逆の民の間に、神の怒りが燃え盛った。

7 主は、いにしえの巨人たちを容赦されなかった。彼らは、その力を誇って、反逆したからである。

8 主は、ロトが住む町を見逃されなかった。人々の高慢を忌み嫌われたからである。

9 主は、滅ぶべき民に、憐れみを示されず、/彼らは、その罪によって、滅びうせた。〔主は、これらすべてのことを、/心のかたくなな諸国民に対して行い、/多くの聖なる人たちの願いにも、/動かされることはなかった。〕

10 また、かたくなな心をもって集まった/六十万の兵士たちの場合も同じであった。〔主は、鞭打ったり、憐れんだり、/打ちたたいたり、いやしたりしながら、/慈しみと懲らしめをもって、彼らを守られた。〕

11 かたくなな者が、一人だけだとしても、/罰を受けずに済むならば、驚くべきことだ。憐れみと怒りは、ともに主のものであり、/贖う力、怒りを浴びせる力を/主は持っておられる。

12 その憐れみが深いように、とがめもまた厳しい。主は、人を、それぞれの業によって裁かれる。

13 罪人は、略奪した物を抱えて/逃げおおせることはできない。主は、信仰深い人にいつまでも忍耐を/強いることはなさらない。

14 施しをするための機会は、主によって用意され、/人はおのおのその業に応じて、報いを見いだす。

15 〔主は、ファラオの心をかたくなにして、/主御自身を知ることができないようにされた。それは、主の働きが/天下に知れ渡るようになるためであった。

16 主は、その憐れみをすべての被造物に示し、/御自分の光を闇とともに、/アダムに分け与えられた。〕

確かな主の働き

17 このように言ってはならない。「わたしは主から身を隠そう。いと高き所で、わたしのことを/心に留めるものがいるだろうか。大勢の群衆に紛れてしまえば、/わたしに気づくものはだれもいない。数えきれない被造物の中で、/わたしはいったい、何ものか。」

18 見よ、天と、天の上の天、/大地と地下の海でさえも、/主が訪れると、揺り動かされる。〔全世界は、主の御心によって生み出され、/また、その御心によって造り上げられていく。〕

19 山や、大地の基も、/主が見つめると、共に震えおののく。

20 人の心は、そのことを考えようともしない。主の道を思い巡らす者もいない。

21 目に見えないはやてのように、/主の業の多くは、隠されている。

22 だから、このように言ってはならない。「だれが主の正義の業を告げ知らせるだろうか。また、だれが、忍耐強くそれを待つだろうか。契約の実現は、はるかかなたにあり、/〔すべてのものの取り調べは、/最後に行われるのだから。〕」

23 これは心の狭い者の考え、/分別がなく、惑わされている人間が、/このような愚かなことを考える。

創造の業

24 子よ、わたしに耳を傾け、知識を身につけよ。わたしの言葉を心に銘記せよ。

25 わたしは、教訓を正しく示し、/正確に知識を告げ知らせる。

26 主は、初めに創造の業をなされたとき、/被造物にそれぞれの領分を定められた。

27 主は、それらの活動に永遠の秩序を与え、/世々代々までも変わらぬ役割を授けられた。これらの被造物は、/飢えることも、疲れることもなく、/その働きを止めることはない。

28 おのおのは、互いに領域を侵すことはなく、/主の定めに背くことも、とこしえにない。

29 その後で、主は、地に目を注がれた。そして、良きもので地を満たされた。

30 主は、地の面をあらゆる命あるもので覆われた。しかしこれらは、死んで再び土に帰る。

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シラ 17

人間の創造と賜物の賦与

1 主は、人間を土から造られ、/再び、土に帰される。

2 主は、彼らに一定の寿命を与え、/地上のものを治める権能を授けられた。

3 主は、御自分と同じような力を彼らに帯びさせ、/御自分に似せて彼らを造られた。

4 主は、すべての生き物に、/人間への恐れを植え付け、/こうして、人間に獣や鳥を支配させられた。

5 〔人間は、主の五つの能力を使うことを許された。主は、六番目として、彼らに知性を分け与え、/七番目として、それらの能力を解釈する理性を/授けられた。〕

6 主は、彼らに、判断力と舌と目を与え、/耳と、よく考えるための心とを授けられた。

7 主は、悟りをもたらす知識で彼らを満たし、/善と悪との区別を示された。

8 主は、彼らの心に、/御自分への畏れを植え付けられた。彼らに、御業の偉大さを示すためであった。〔そして、くすしき御業を代々誇ることを/人々に許された。〕

9 彼らは、御業の偉大さを宣べ伝え、

10 聖なる御名をほめたたえる。

11 主は、彼らに知識を授け、/命をもたらす律法を受け継がせられた。〔今のままでは、死すべき者であることを、/彼らが悟るために。〕

12 主は、彼らと永遠の契約を結び、/御自分の裁きを示された。

13 彼らの目は、主の大いなる栄光を見、/彼らの耳は、主の厳かな御声を聞いた。

14 主は言われた。「あらゆる不正を警戒せよ。」そして、隣人に対する掟を各自に授けられた。

神の裁き

15 人間の歩みは、常に、主の前にあらわであり、/主の目を逃れることはできない。

16 〔彼らの歩みは、若いときから悪に傾き、/石の心を変えて、/血の通う心にすることができなかった。

17 全地を国々に分割されたとき、〕/主は、それぞれの国に、為政者を置かれた。だが、イスラエルは御自身の割り当てとされた。

18 〔主は、イスラエルを長子として鍛え上げ、/愛の光を分かち与え、/見捨てることはなさらない。〕

19 人々の行いは、主の前に/太陽のようにあらわであり、/主の目は、絶えず彼らの歩みに注がれている。

20 彼らの不正は、主から隠されることなく、/そのすべての罪は、主の前にあらわである。

21 〔しかし、主は情け深く、/お造りになったすべてのものをみそなわし、/見捨てたり、見殺しにしたりはせず、/大切に慈しまれる。〕

22 人の行う施しは、/主にとって、印章のように貴重であり、/人の親切を、/主は、御自分の瞳のように大事にされる。〔主は、御自分の息子や娘たちに、/悔い改めの心を分かち与えられる。〕

23 最後に、主は、立ち上がって人々を裁き、/行いに応じた報いを彼らの頭上に下される。

24 悔い改める者には、立ち帰る道を開き、/耐える力を失った者を励まされる。

主に立ち帰れ

25 主に立ち帰り、罪から離れよ。御前で祈り、罪を犯す機会を遠ざけよ。

26 いと高き方に立ち戻り、不正に背を向けよ。〔主御自身が、お前を闇から救いの光に/導いてくださるから。〕/忌まわしいものを憎みに憎め。

27 陰府で、だれがいと高き方を賛美するだろうか。生きている者と違って、/だれが感謝の言葉をささげるだろうか。

28 死んで、もはや存在しない人からは、/感謝の言葉も消えうせる。生きていて健やかなときにこそ、/人は主を賛美する。

29 なんと偉大なことか、主の憐れみと、/立ち帰る者への贖いとは。

30 人は、何でもできるわけではない。人の子は不死身ではないのだから。

31 太陽よりも光輝くものがあるだろうか。しかし、この太陽でさえ欠けるのだ。まして、血と肉である人間は、/悪しき思いを抱く。

32 主は、いと高き天の軍勢を観閲される。人間は皆、土くれと灰にすぎない。

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