マカバイ記 二 書簡 15

ニカノルの冒涜

1 一方ニカノルは、ユダとその軍勢がサマリア地方にいるという知らせを得ると、確実に彼らを討つには安息日しかないと考えた。

2 だが、無理に彼に従わされていたユダヤ人たちがこう言った。「そのようなしかたで暴虐野蛮に滅ぼすなどめっそうもないことです。すべてを見ておられる方によって、あらかじめ聖なるものと定められた日を尊ぶべきです。」

3 するとこの極悪人は、「安息日を守れなどと命じた支配者が天にいるとでもいうのか」と尋ねた。

4 彼らが、「主は生きておられます。そのお方こそ天におられる支配者で、七日目を守るように命じられた方です」と言い切ると、

5 彼もまた、「かく言うおれも地上の支配者だ。だから、お前たちに命じる、武器を取って王の求めを果たすのだ」と言った。しかしながら彼は、その残虐な企てを達成できなかった。

ユダの激励

6 ニカノルは高慢を更に募らせ、ユダの軍勢に対する戦勝記念碑を建てることを決意した。

7 一方マカバイは、主から助けが来るという希望を捨てず、常に確信していた。

8 そして、「異邦人の攻撃に臆せず、かつて天から受けた助けを思い起こし、全能者が今自分たちに与えてくださる勝利に期待するのだ」と言って、同志たちを励ました。

9 更に、律法の書と預言書によって彼らを励まし、かつて成し遂げた数々の戦いを思い起こさせ、彼らの士気を高めた。

10 こうして戦意が昂揚したとき、ユダは異邦人の不誠実と、誓いの破棄を指摘するとともに、励ましの言葉を語った。

11 同志の一人一人を、盾や槍による守りではなく、力強い言葉が持つ励ましで武装させ、信ずるに足る夢を語って聞かせ、彼ら全員を喜ばせた。

ユダの夢

12 ユダの見たものはこうであった。前大祭司オニアが、両手を差し伸べてユダヤ人の社会全体のために祈っていた。――彼は、立派な優れた人物で、人に接するに謙虚、立ち居ふるまいは柔和、言葉遣いは上品、幼少のころから徳行をしつけられていた――

13 そのとき、白髪と気高さのゆえに際立ったもう一人の人物が現れたが、彼の周りには驚嘆すべき威厳が漂っていた。

14 するとオニアが、「この人こそ、深く同胞を思い、民と聖なる都のために不断に祈っている神の預言者エレミヤです」と言った。

15 エレミヤは右手を差し伸べて、ユダに一ふりの黄金の剣を与えたが、手渡しながらこう言った。

16 「神からの賜物であるこの聖なる剣を受け、これで敵を打ち破りなさい。」

ニカノルの敗北と死

17 ユダの言葉は、甚だ説得力に富み、人を武勇へと駆り立て、若者の心を雄々しくした。その言葉に励まされて、軍隊は陣営にとどまることなく勇んで出撃し、男らしく一戦を交えて事を決する覚悟を決めた。都と聖なる掟と、神殿が危機に瀕していたからである。

18 兵士たちは、妻子や兄弟親族については、ほとんど気にかける余裕もなかった。まず第一に、彼らが何よりも恐れていたのは、清められたばかりの神殿のことであった。

19 都に残っていた者たちも、心痛は同じで、外での戦いを気遣う気持は並のものではなかった。

20 既に、すべての者に、事を決する戦いへの覚悟はあった。敵は、はや集結し、戦列を敷き、象を要所に配置し、騎兵を両翼に整列させていた。

21 敵の大軍の到来と入念に準備された武器、凶暴な象を見て、マカバイは天に向かって両手を上げ、不思議な御業を行われる主を呼び求めた。勝利は武器によるものではなく、主の裁きによって、それにふさわしい者に備えられるものだということを、彼は知っていたからである。

22 彼は次のように懇願した。「主よ、あなたはユダヤの王ヒゼキヤのとき、あなたの御使いを送って、センナケリブの陣営で十八万五千人を殲滅されました。

23 天の支配者よ、今もまた、敵を恐れ震え上がらせるために、わたしたちの前に善き御使いをお送りください。

24 あなたの聖なる民に向かい来る不敬虔な者どもに、あなたの大いなる御腕で天から一撃を加えてください。」ユダはこう言って祈り終えた。

25 ニカノルの軍勢がラッパを吹き鳴らし、喚声をあげながら襲いかかって来た。

26 ユダの軍勢は神の名を呼び、祈りながら敵を迎え撃った。

27 手では格闘し、心では神に祈って、ついに三万五千人を下らぬ敵を打ち倒し、神のこの出現を大いに喜んだ。

28 戦闘が終わり、喜びのうちに帰還しようとしていたとき、ニカノルが武具を身にまとったまま倒れているのが見えた。

29 大喚声がわき起こり、人々は父祖たちの言葉で力ある主を賛美した。

30 市民のために全身全霊を傾けて敵と戦い、青年のときから同胞に対して愛情を抱き続けてきたユダは、命を下してニカノルの首をはね、腕を肩から切り取ってエルサレムまで持って行かせた。

31 都に着くと、ユダは同胞を呼び集め、祭司たちを祭壇の前に立たせ、要塞からも人々を呼んだ。

32 そして、汚れたニカノルの首と、傲慢にも全能者の神殿に向かって上げたその腕を人々に示し、

33 次いで、罵詈雑言をほしいままにしたニカノルの舌を切り刻んで、鳥に与え、その腕を神を畏れぬ報いとして神殿に向けてつるすように命じた。

34 そこで人々は皆、天に向かって栄光に輝く主を賛美し、「御自分の聖所を汚れから守られた主はほめたたえられますように」と言った。

35 それから、ユダは、主の助けの明白なしるしとして、ニカノルの首を要塞につるして衆目にさらした。

36 彼らは協議のうえ、この日を決しておろそかにすることのないようにし、第十二の月――シリア語でアダルと呼ばれる月――の十三日を祝日とすることを全員一致で決定した。この日は、モルデカイの日の前日に当たっている。

結び

37 さて、ニカノルに関することのいきさつは、以上のとおりであった。この事件以来、エルサレムの都はヘブライ人によって保たれている。そこで、わたしもこの辺で筆をおこう。

38 もしこの物語の編集が巧みで要領を得ているなら、それはわたしの喜ぶところである。しかし、つたなく平凡であるとすれば、それはわたしの力が及ばなかったのである。

39 ちょうど、ぶどう酒だけ、あるいは水だけを飲むのは有害であるが、ぶどう酒と水を適度に混ぜると、人を心地よく楽しくする。それと同様、物語もよく編集されていると、それを聞く人の耳を楽しませる。これをもって本書の終わりとする。

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マカバイ記 一 16

ヨハネ、ケンデバイオスを破る

1 ヨハネはゲゼルから上って来て、ケンデバイオスの所業を父シモンに報告した。

2 シモンは年長の息子の二人、ユダとヨハネを呼び寄せて言った。「わたしと兄弟たち、それに父の一族は、若いときから今日に至るまでイスラエルの敵と戦ってきた。そして幸いにもイスラエルをこの手で幾度も救ってきた。

3 だが、今やわたしは年老いてしまった。しかしお前たちは神の慈しみを受け、成長して一人前になった。お前たちは、わたしとわたしの兄弟に代わって、わが国民のために出て行って戦うのだ。天の助けがお前たちにあるように。」

4 シモンは二万の兵と騎兵を国内から選抜した。そこで二人は、ケンデバイオスを討とうと出陣し、モデインで夜を明かした。

5 明け方、彼らは立って平原に向かった。すると渓流を挟んだ向こう側に、彼らを迎え撃とうとしている歩兵と騎兵の大軍が見えた。

6 ヨハネと兵とは彼らの正面に陣を敷いた。兵たちが渓流を渡るのをためらっていたので、ヨハネが率先して渡ると、兵もこれを見て後に従った。

7 ヨハネは民を分け、歩兵の間に騎兵を挟んだ。敵の騎兵の数は、非常に多かった。

8 ラッパが吹き鳴らされた。ケンデバイオスとその軍は敗走し、多くの負傷者が出た。残りの者たちは砦に逃げ込んだ。

9 このときヨハネの兄弟ユダも傷を負ったが、ヨハネは彼らをケンデバイオスの築いたケドロンまで追撃した。

10 敵はアゾトの野原にある塔の中に逃げ込んだが、ヨハネはそこに火を放ち、二千に上る敵が倒れた。こうしてヨハネは無事ユダヤに引き返した。

シモンの最期

11 時に、アブボスの子プトレマイオスなる者が、エリコの平野の長官として任じられていた。彼は多くの金銀を持っていた。

12 大祭司の娘婿だったからである。

13 彼は思い上がって、この地方を支配しようとたくらみ、シモンおよびその息子たちを抹殺しようと策略を巡らしていた。

14 他方シモンは、国内の町々を視察し、切迫している諸問題の解決に意を用いていた。第百七十七年の第十一の月、すなわちサバトの月に、彼は息子のマタティアとユダを伴ってエリコに下った。

15 アブボスの子は、彼の築いたドクと呼ばれる砦に、策略を持って彼らを迎え入れ、彼らのために大宴会を催した。彼はあらかじめそこに兵を忍ばせておいたのである。

16 シモンと息子たちが酔ったころ、プトレマイオスと配下の者は、立って武器を手にし、宴席にいたシモンに襲いかかり、彼と二人の息子、それに何人かの供の者を殺害した。

17 こうして、プトレマイオスは恐るべき裏切り行為を働き、善に報いるに悪をもってしたのであった。

ヨハネ、プトレマイオスの陰謀を逃れる

18 プトレマイオスは、事の顛末を書にしたためて王に送り、援軍を要請し、ユダヤの国とその町々の支配を任せてくれるようにと願い出た。

19 またヨハネを殺すために、他の者をゲゼルに遣わし、千人隊長たちには、金銀その他の贈り物を条件に、自分にくみするようにとの書状を送った。

20 またエルサレムと神殿の丘を占領させるために、別の者たちを遣わした。

21 ところが、ある者がゲゼルにいたヨハネのもとにいち早く駆けつけ、ヨハネの父と兄弟たちが殺害されたことを知らせ、「あなたをも殺そうと、プトレマイオスが人を送り込みました」と、伝えた。

22 ヨハネはこれを聞いて非常に驚き、自分を殺害しようとして侵入した者たちを捕らえ、これを殺した。彼らが自分を殺そうとしていたことを事前に知ったからである。

23 ヨハネの行った他の事績、彼の戦い、彼の発揮した数々の武勇、城壁の建設、彼の業績、

24 これらのことは、ヨハネが父を継いで以来の、彼の大祭司在職中の年代記に記されている。

マカバイ記 一 15

アンティオコスの呼びかけ

1 デメトリオス王の子アンティオコスは、祭司でありユダヤ民族の統治者であるシモンとその民すべてにあてて、海の島から書簡を送った。

2 その内容は以下のとおりであった。「アンティオコス王より、大いなる祭司、民族の統治者シモン、ならびにユダヤの民に挨拶を送る。

3 予の先祖の王国内に、害悪を及ぼす者どもがはびこっているので、王国を取り戻し、回復したいと願う。そこで予は、大軍を雇い入れ、軍船を備えた。

4 予の国を荒廃させ、王国内の諸都市を破壊した者どもを追撃するため、上陸するつもりである。

5 予はあなたに対し、先代の王たちが認めていた税の免除と、その他すべての貢を免除することを、改めてここに確認する。

6 予は、あなたに国内で独自の貨幣を鋳造する権利を与え、

7 エルサレムと聖所の自由を認め、あなたが備えた軍備一切、およびあなたが築いて現在所有している砦をあなたのものとする。

8 王に対するすべての債務は、過去の分を含めて、今後一切免除する。

9 我々が王国を平定した暁には、予はあなたとその民、および神殿の栄誉を大いにたたえ、その栄誉は全地にあまねく知れ渡るであろう。」

アンティオコス、トリフォンを攻める

10 第百七十四年、アンティオコスは彼の先祖の地に入った。全軍が彼のもとにはせ参じたので、トリフォンのもとにはわずかな兵しか残らなかった。

11 アンティオコスはトリフォンを追撃し、トリフォンは海に面するドルの地に逃げ込んだ。

12 不運が重なり、自分の軍隊からさえ見捨てられたことを認めざるをえなかったからである。

13 アンティオコスはドルに向かって陣を敷いた。彼は十二万の精鋭部隊と八千の騎兵を擁していた。

14 アンティオコスは町を包囲し、海からは艦隊がこれに加わった。アンティオコスは、陸と海から町を脅かし、何人の出入りも許さなかった。

ローマ、ユダヤを支持する

15 ヌメニオスとその一行は、諸国民とその王たちにあてた書状を持参して、ローマから帰って来た。それには以下のようなことが記されていた。

16 「ローマの執政官ルキウスよりプトレマイオス王へ挨拶を送る。

17 我々の友人であり、同盟者であるユダヤ人の使節が我々のもとを訪れた。彼らは当初からの友好同盟関係を更新するために、大祭司シモンとユダヤの民から遣わされた者たちである。

18 彼らは千ムナの金の盾を携えて来た。

19 我々は、諸国民とその王たちに、進んで書状を送ることにした。それは、彼らがユダヤ人たちに危害を加えぬよう、ユダヤ人とその町や国土を戦争に巻き込まぬよう、またユダヤ人の敵対者と同盟を結ぶことのないようにするためである。

20 我々は、彼らから盾を受領することにした。

21 従って、彼らの国からあなたがたのもとに、害悪を及ぼす者が逃げ込んで来たならば、その者たちを大祭司シモンに引き渡し、彼がユダヤ人の律法に従って罰することができるようにしていただきたい。

22 ルキウスは、同文の書簡をデメトリオス王はじめ、アタロス、アリアラテス、アルサケスの諸王に、

23 また、サンプサケス、スパルタ、デロスにも、またミンドス、シキオン、カリ、サモス、パンフィリア、リキア、ハリカルナソス、ロドス、ファセリス、コス、シデ、アルワドとゴルティナ、クニドス、キプロス、キレネの全領域にあてて送った。

24 彼はまた、この写しを大祭司シモンにも書き送った。」

アンティオコス、シモンを裏切る

25 さて、アンティオコス王は、ドルに向けて再び陣を敷き、町に対して間断なく攻撃を仕掛け、攻城機を使い、トリフォンを閉じ込めて出入りを封じた。

26 シモンは、アンティオコスを援助するため二千の精鋭を選び、銀と金、それに十分な武器を持たせて派遣した。

27 だが、アンティオコスはこれを受け取ろうとせず、かえってさきにシモンと協定したすべてのことを破棄し、シモンに対する態度を変えた。

28 彼は、王の友人の一人であるアテノビオスをシモンのもとに遣わし、こう通告させた。「あなたたちはわたしの王国に属する都市、ヤッファとゲゼル、それにエルサレムの要塞をわが物顔に制圧している。

29 またこれらの地域を荒らし、大きな損害を与え、またわたしの国の多くの土地を支配した。

30 占領している諸市を速やかに返し、ユダヤ国外から取り立てている土地税を返還せよ。

31 さもなければ、代わりに銀五百タラントンを、またあなたたちのもたらした破壊と、取り立てた租税との代償として、もう五百タラントンを支払ってもらいたい。回答いかんでは、我々は戦いに訴えることも辞さない」と。

32 王の友人アテノビオスは、エルサレムに到着した。彼はシモンの華麗な生活を目の当たりにし、金銀の器を並べた棚、すばらしい調度の数々を見て驚嘆したが、ともかく王の伝言を彼に伝えた。

33 シモンは答えた。「我々は他国の土地を奪ったことも、他人の土地を支配したこともない。これは、我々の先祖の遺産であるのに、不当にもある期間敵によって占領されていた土地である。

34 我々は、時を得て、先祖の遺産を取り戻したまでだ。

35 しかし、あなたが要求しているヤッファとゲゼルについて言えば、これらの町々は、我々の民と領土に対して、大きな損害をもたらしたのである。だが、これらの町のために百タラントンを支払おう。」使者は返す言葉もなく、

36 憤然と王のもとに帰り、シモンの言葉と、その華麗な生活、そして目にしたすべてのことを王に報告した。王は激怒した。

37 一方トリフォンは船に乗り込み、オルトシアに逃亡した。

38 王は直ちにケンデバイオスを海岸地方の総司令官に任じ、歩兵と騎兵を彼に与えた。

39 王は、彼に対し、ユダヤに向けて兵を進め、ケドロンを強化し、城門を固め、民を攻撃するように命じ、自分はトリフォンを追撃した。

40 ケンデバイオスは、ヤムニアに来ると、まず民の心を逆なでし、次いでユダヤに侵入して民を捕らえ、これを殺害し始めた。

41 彼は、王の命令どおりにケドロンを強化し、そこに騎兵と歩兵を配置し、そこからユダヤの各地に出撃できるようにした。

マカバイ記 一 14

デメトリオス、捕らえられる

1 第百七十二年、デメトリオス王は兵を集め、メディアに向かった。トリフォンと戦うための援軍を請うためである。

2 ところが、ペルシアとメディア両国の王アルサケスは、デメトリオスが自分の領地に入って来たことを知り、彼を生け捕りにしようと指揮官の一人を送った。

3 その指揮官は出撃してデメトリオス軍を打ち破り、デメトリオスを捕らえてアルサケスのもとに連行した。アルサケスは、デメトリオスを監禁した。

シモンをたたえる歌

4 シモンの在世中、全地は平和を楽しんだ。シモンは民のために善きことを求め、その権威と栄光は、日々、民に喜びをもたらした。

5 その輝かしい栄光を背に、ヤッファを占領して港を手にし、海の島々への道を開いた。

6 また国土を広げ、それを治めた。

7 シモンは多くの捕虜を集め、ゲゼルやベトツルや要塞を支配し、そこから汚れたものを取り除いた。彼に刃向かう者はだれもいなかった。

8 人々は安んじて地を耕し、地は収穫をもたらし、野の草木は実を結んだ。

9 長老たちは大路に座し、互いに太平をめで、若者たちは栄えある軍服を身にまとった。

10 シモンは町々を食糧で満たし、武器で強固にした。その名声は地の果てにまで響き渡った。

11 シモンは地に平和をもたらし、イスラエルは無上の歓喜に酔いしれた。

12 人々は、おのおののぶどうの木、いちじくの木の下に憩う。彼らを脅かす者はいない。

13 彼らに戦いを挑む者は一掃されて地上から消え、シモンが世にあるかぎり、王たちは砕かれた。

14 シモンは民の低き者を残らず励まし、律法を順守した。シモンは、律法に従わず悪を行う者を根絶した。

15 彼は聖所に栄光をもたらし、祭具類の数を増やした。

スパルタからの書簡

16 ヨナタンの死の知らせはローマに聞こえ、やがてスパルタにも達し、その地の人々を大いに嘆かせた。

17 スパルタの人々は同時に、兄弟シモンがヨナタンに代わって大祭司となり、国とその町々を支配していることも伝え聞き、

18 さきに兄弟ユダやヨナタンと結んでいた友好同盟関係を更新しようと、シモンにあてて銅板に刻んで書簡を送った。

19 この書簡の全文はエルサレムで集会の際に披露された。

20 以下はスパルタ人から送られたその書簡の写しである。「スパルタの指導者と市民から、大いなる祭司シモン、長老たち、祭司たち、および兄弟であるユダヤのすべての国民に挨拶を送る。

21 わが国民のもとに派遣された使節たちは、あなたがたの栄光と名誉とを我々に伝えた。我々は使節の来訪を歓迎し、

22 彼らの伝えたことを市民評議会の公式記録にとどめた。すなわち、『アンティオコスの子ヌメニオスと、ヤソンの子アンティパトロスの両人は、我々と友好関係を更新するために来訪した。

23 我々は彼らを丁重に迎え、彼らの言葉を公文書に記録することを決定した。スパルタ市民は、永くこれを記憶にとどめるものである。この写しを大祭司シモンにも書き送る。』」

24 その後シモンは、一千ムナの重さのある金の大盾をヌメニオスに持たせ、同盟を確認するためにローマに派遣した。

シモンをたたえる碑

25 これらのことを聞いて、国民は言った。「シモンと彼の息子たちに、どのようにして感謝の念を表せばよいのか。

26 彼と彼の兄弟たち、また彼の父の一族は、結束してイスラエルの敵と戦った。彼らはイスラエルに自由を打ち立てたのだ。」人々は銅板に文字を刻み、これを石碑にはめ込んで、シオンの丘に建てた。

27 以下はその文面である。「第百七十二年、エルルの月の十八日、偉大なる大祭司シモンの第三年、アサラメルで開かれた、

28 祭司、民、民族の指導者、国の長老たちの大集会において、我々は以下のことを認めた。

29 この国で起こった幾度かの戦いにおいて、ヨヤリブ家のマタティアの子シモンとその兄弟たちは、民の聖所と律法を守るために命を賭して敵に立ち向かい、民の栄光を大いに高めた。

30 ヨナタンは民を結集し、民の大祭司となり、先祖の列に加えられた。

31 敵は、民の国土を破壊しようとそこに侵入し、聖所に手をかけようと企てた。

32 そのときシモンは立ち上がり、敵に戦いを挑んだ。彼は、莫大な私財をなげうって兵を武装させ、給与を支払った。

33 またユダヤの町々とユダヤの辺境ベトツルを強化した。そこにはかつて敵の武器が置かれていたが、彼はここにユダヤ兵の守備隊を置いた。

34 更に、海に面するヤッファを強化し、また、アゾトに隣接し、かつて敵が住んでいたゲゼルも強化してそこにユダヤ人を入植させ、復興に必要なものすべてをつぎ込んだ。

35 民は、シモンの信仰を目の当たりにし、彼の念願した民の栄光が実現したのを見て、シモンを彼らの指導者、大祭司に立てた。それは、彼がこれらすべてのことを成し遂げ、民のために正義と信仰を守り、あらゆる手を尽くして民を高めようとしたからである。

36 シモンは、その地位にあった間、異邦人を領土から追放することに成功し、またダビデの町エルサレムに自分たちのための要塞を築き、そこを拠点に聖所の周囲を汚し聖所の神聖さをいたく損なっていた者たちをも放逐した。

37 シモンは、要塞にユダヤ兵を住まわせ、国土と町々の安全のためにそれを強化し、エルサレムの城壁を高くした。

38 デメトリオス王は、これに報いてシモンの大祭司職を確認し、

39 彼を王の友人とし、大いなる栄誉をもって彼をたたえた。

40 それはデメトリオスが、以下のことを聞いたからである。すなわち、ユダヤ人は、ローマ人から友人、同盟者、兄弟と呼ばれ、またシモンの使節がローマ人から丁重に迎えられたこと、

41 ユダヤ人と祭司たちが、忠実な預言者の出現するまでは、シモンを彼らの指導者、大祭司とするのをよしとしたこと、

42 シモンが総司令官となって聖所の仕事に専念し、内政、外交、軍事および国防に従事する役人を任命する権限を与えられたこと、

43 また彼が聖所の仕事に携わり、すべての民を掌握し、国内のすべての文書が彼の名において発行されるべきこと、また彼が紫の衣をまとい、黄金の飾りを身につけるのを許されたこと、などを耳にしたからである。

44 民であれ祭司であれ、何人といえどもこれらのうちのいずれかを拒否したり、シモンの命令に反抗したり、彼の許可なしに国内で集会を催したり、紫の衣をまとったり、黄金の留め金をつけたりすることは、許されない。

45 これらに違反したり、そのいずれかを拒否したりする者は罰せられる。

46 民全体は、これらの決議に従って、シモンに権限を与えることをよしとした。

47 シモンはこれに同意し、大祭司職に就くこと、また総司令官となって、祭司たちを含むユダヤ民族の統治者となり、陣頭に立つことを快く承諾した。

48 民は、この文書を銅板に刻み、それを聖所の境内の目立つ場所に設置し、

49 またその写しを宝庫に収め、シモンとその息子たちが手に取って見ることができるようにした。」

マカバイ記 一 13

シモン、ヨナタンの後を継ぐ

1 シモンは、トリフォンが大軍を集めており、ユダの地に侵入して、国土を壊滅させようとしていることを知り、

2 また民が震え上がっておじけづいているのを見て、エルサレムに上り、民を集めて、

3 次のように激励した。「諸君は、わたしとわたしの兄弟たち、またわたしの父の一族が、律法と聖所のために何をしてきたか承知のことと思う。我々は、幾多の戦いと苦難に遭遇してきた。

4 これらのことでわたしの兄弟はイスラエルのために一人残らず殺され、わたしだけが一人残された。

5 こうなった今、どんな艱難に出会おうともわたしは命を惜しまない。わたしは兄弟たちよりも優れた者ではない。

6 すべての異邦人が敵意をもって我々を壊滅に追い込もうと集まっている。この際わたしは、わが民族、わが聖所、諸君の妻子のために復讐を誓う。」

7 この言葉を聞くと民の心は燃え上がり、

8 彼らは大声で応じた。「あなたこそ、あなたの兄弟ユダとヨナタンに代わる我々の指導者です。

9 我々と共に戦ってください。どんな命令にも従います。」

10 そこでシモンは全兵士を召集し、エルサレムの城壁の完成を急がせ、都の周囲を強化した。

11 そして十分な数の兵をつけて、アブサロムの息子ヨナタンをヤッファに派遣した。このヨナタンはその町の住民を追放し、そこに駐屯した。

12 そのころ、トリフォンは大軍を率いてプトレマイスを出立し、ユダの地に侵入した。このとき兄弟ヨナタンは、捕虜となってトリフォンの手中にあった。

13 一方、シモンは平野に面したハディドに陣を敷いた。

14 トリフォンは、シモンが兄弟ヨナタンに代わって立ち、自分に対して戦いを決意していることを知り、使者を遣わしてこう言わせた。

15 「あなたの兄弟ヨナタンは、国庫に納めるべき金銭のことで、職務上の過失を犯したため、我々は彼を捕らえている。

16 今すぐ銀百タラントンを支払え。また、彼を釈放した際、彼が我々に背かないように人質として彼の息子二人を送れ。そうすれば我々は彼を釈放する。」

17 シモンは、彼らの言葉に策略が秘められていることを見抜いたけれども、銀と子供たちを用意するために人を遣わした。それは民の間に彼に対する激しい憎悪が生じて、

18 「トリフォンに銀と子供たちを送らなかったのでヨナタンは殺されたのだ」と言われないためである。

19 こうしてシモンは子供たちと銀百タラントンを送ったが、トリフォンは前言を翻してヨナタンを釈放しなかった。

20 その後、トリフォンはこの地に侵入し、攻略をもくろんだ。トリフォンはアドラを目指したが、進み行く先々でシモンの率いる軍隊に行く手を阻まれ、迂回せざるをえなかった。

21 要塞内の者たちは、トリフォンに使者を送り、早く荒れ野を通って来てくれるように、また糧食を送ってくれるようにせきたてた。

22 トリフォンは、騎兵全員を整え出動に備えたが、その夜、大雪に見舞われて進むことができず、ギレアドに転進した。

23 バスカマ近くに来たとき、トリフォンはヨナタンを殺害し、そこに埋めた。

24 それからトリフォンは、自分の国に引き揚げていった。

シモン、一族の記念碑を建てる

25 シモンは人を遣わして、兄弟ヨナタンの遺骨を取って来させ、それを先祖の町モデインに葬った。

26 全イスラエルはヨナタンのために激しく胸を打ち、何日にもわたって嘆き悲しんだ。

27 シモンは、父と兄弟たちの墓の上に記念碑を建てたが、それは裏も表も滑らかに磨かれた石で飾られ、高くそびえたっていた。

28 また父母と四人の兄弟のために、互いに向き合う七つのピラミッドを建立した。

29 更にそのピラミッドと調和した巨大な石柱を周囲に建て、これらの石柱の一本一本に永遠の名を記念して、甲冑を彫り込み、海路を行く者が皆見ることのできるよう、甲冑の傍らに船を刻んだ。

30 彼がモデインに作ったこの墓碑は今日に至るまで残っている。

シモンの第一年

31 トリフォンは、若年の王アンティオコスを欺いて殺害し、

32 これに代わって王となり、アジアの王冠をいただき、この地に大きな災いを引き起こした。

33 シモンは、ユダヤ各地に砦を築き、その周囲に高くそびえる塔や巨大な城壁、そしてかんぬきのある門を設け、砦の中には糧食を蓄えた。

34 また彼は、人を選んでデメトリオス王に派遣し、トリフォンの所業がすべて略奪であることを理由に、自分のところでは税を免除してほしいと願い出た。

35 この要請に対し、デメトリオス王は返書を送った。書の内容は以下のとおりである。

36 「王デメトリオスより、大祭司であり、王の友であるシモン、ならびに長老たちとユダヤの民に挨拶を送る。

37 あなたがたの送ってくれた黄金の冠としゅろの枝を受け取った。あなたがたとの完全な友好を確立する用意があり、また税を免除するように担当の者に書き送る手はずもできている。

38 あなたがたに約束したことは確かに履行されている。あなたがたが築いた砦は、あなたがたのものであるべきである。

39 今日までのあなたがたの過失や罪を赦そう。あなたがたの負うべき王冠税を免除しよう。ほかにエルサレムで課税されたものがあれば、今後は免除する。

40 もしあなたがたのうちで予の軍隊に加わるのにふさわしい者があれば、登録せよ。我々の間に平和があるように。」

41 第百七十年、イスラエルは異邦人の軛から解放された。

42 イスラエルの民は公文書や契約書に、「偉大なる大祭司、ユダヤ人の総司令官、指導者であるシモンの第一年」と、記し始めた。

43 そのころ、シモンはゲゼルに向けて陣を敷き、この町を包囲した。そして移動攻城機を作って町を襲い、一つの塔を攻撃し、これを占領した。

44 移動攻城機に乗っていた兵は町の中になだれ込み、町は大混乱となった。

45 町の住民は妻や子供と共に城壁に駆け登り、衣を裂いて大声で叫び、右手を差し伸べてくれるよう、シモンに哀願した。

46 「わたしたちの悪に報いるに、あなたの慈悲をもってしてください。」

47 シモンはこれを受け入れ、戦いをやめた。そして彼らを町から追放し、偶像をまつっていた家々を清め、賛美と祝福の歌をうたいつつ町に入った。

48 こうして汚れたすべてのものを町から取り除き、律法を順守する者たちをそこに住まわせた。そして町を強化し、彼自身も家を設けて住んだ。

要塞の清め

49 エルサレムの要塞内の者たちは、周辺地域に出入りすることを阻止され、売り買いもできず、食物は欠乏を極め、多数の者が餓死した。

50 彼らは、シモンが右手を差し伸べてくれるよう、大声で哀願した。シモンは彼らに右手を差し伸べた。そして、彼らをそこから追い出し、要塞の汚れを清めた。

51 第百七十一年の第二の月の二十三日にシモンとその民は、歓喜に満ちてしゅろの枝をかざし、竪琴、シンバル、十二絃を鳴らし、賛美の歌をうたいつつ要塞に入った。イスラエルから大敵が根絶されたからである。

52 更にシモンは、この日を年ごとに喜びをもって祝うように定めた。また要塞の近くにある神殿の丘をいっそう強化し、仲間と共にそこに住んだ。

53 シモンは、息子のヨハネが成人したので、彼を全軍の指揮官に任じ、ゲゼルに住まわせた。

マカバイ記 一 12

ローマおよびスパルタとの友好関係の更新

1 ヨナタンはこの好機に、使者を選んでローマに派遣し、ローマとの友好関係を確認し、それを更新した。

2 彼は、スパルタや他の地にも同じ趣旨の書簡を送った。

3 使者はローマに行き、元老院に赴いて、「大祭司ヨナタンとユダヤ民族がわたしたちをここに派遣したのは、これまでの相互の同盟関係を更新するためであります」と言った。

4 そこで元老院は、彼らに書簡を渡した。それは各地の役人にあてたもので、使者がユダの地に無事に帰れるよう配慮せよとの趣旨であった。

5 以下はヨナタンがスパルタ人あてに書いた書簡の写しである。

6 「大祭司ヨナタンと民の長老会議と祭司たち、およびユダヤ人のすべての民から、兄弟であるスパルタの方々に挨拶を送る。

7 かつてあなたがたの王アリオスから大祭司オニアにあてて、あなたがたは我々の兄弟であるという趣旨の書簡が送られてきた。その写しをここに添える。

8 オニアは使者を丁重に迎え、同盟と友好を明示した書簡を受理した。

9 我々は、聖なる書物を持つことによって励まされているので、これらのことは必要ではないのだが、

10 あなたがたとの兄弟としての友好関係を更新するため、あえて書簡を送ることにした。それは、あなたがたと疎遠にならないようにするためであり、あなたがたからの書簡も、久しく絶えているからである。

11 我々は、この間いつも、祝祭日や定められたその他の記念日に、あなたがたを覚えていけにえを献げ、祈りの中でも覚えてきた。兄弟のことを思い起こすのは当然のことだからである。

12 我々は、あなたがたの栄誉をわが喜びとしている。

13 我々について言えば、多くの艱難と多くの戦火が我々を取り囲み、周辺の王たちは我々に戦いを挑んできた。

14 我々は、あなたがたや他の同盟者や友人たちを、これらの戦争で煩わすことは望まなかった。

15 我々には我々を助ける天からの助けがあるからであり、事実我々は敵の手から救い出され、敵はねじ伏せられたのである。

16 そこで我々は、アンティオコスの子ヌメニオスとヤソンの子アンティパトロスを選び、ローマ人のもとへ派遣し、それまでの友好同盟関係を更新した。

17 我々はこの使者たちに、あなたがたのところへ行って挨拶をし、我々との友好関係とその更新についての書簡をあなたがたに渡すように命じた。

18 これらの件についてぜひとも返書をいただきたい。」

19 以下はオニアに送られたスパルタ人の書簡の写しである。

20 「スパルタ人の王アリオスから大いなる祭司オニアに挨拶を送る。

21 スパルタ人とユダヤ人に関する文書を通じ、両者が兄弟であり、アブラハムの血筋であることが確認された。

22 我々はこのことを知ったので、あなたがたの繁栄ぶりをぜひとも知らせていただきたい。

23 我々としては以下のようにあなたがたにお伝えしたい。あなたがたの家畜や財産は我々のもの、我々のものはあなたがたのものであると。従って、我々は使者に、これらのことをあなたがたに伝えるように、命じておいた。」

ヨナタンとシモン兄弟の戦いぶり

24 ヨナタンは、デメトリオスの指揮官たちが以前にもまして多数の軍隊を率い、戦いを挑もうと戻って来ているのを耳にした。

25 そこで彼はエルサレムから出て、ハマト地方で彼らを迎え撃ち、国内に侵入する機会を敵に与えなかった。

26 ヨナタンは敵の陣営内に偵察兵を送り込んでおいたが、彼らは帰って来て、敵が夜襲の準備をしていると報告した。

27 日が沈んだとき、ヨナタンは味方の兵士たちに、一晩中起きて戦いに備え、武器を用意しておくよう命じ、陣営の周辺に守備隊を配置した。

28 敵側は、ヨナタンの軍が戦いに備えていることを知って、恐れおびえ、彼らの陣営内にかがり火をたいたまま退却した。

29 しかしヨナタンもその部隊も、朝までそれを知らなかった。火の燃えているのが見えたからである。

30 ヨナタンは彼らを追跡したが、追いつけなかった。彼らは既にエレウテロス川を渡ってしまっていた。

31 そこでヨナタンは、矛先を変え、ザバダイと呼ばれるアラビア人たちに向かい、彼らを打ち破り、戦利品を手に入れた。

32 ヨナタンは、そこを離れてダマスコに入り、更にその地方全体を巡った。

33 シモンも出撃し、アシュケロンと近隣の砦にまで兵を進め、ヤッファへと回り、先手を打ってそれを奪い取った。

34 シモンは、そこの住民が砦をデメトリオス側の者に引き渡そうとたくらんでいることを聞いたからである。彼は守備隊を駐屯させ、町を守らせた。

35 一方ヨナタンも戻って来て、民の長老たちを召集した。そして彼らと相談のうえ、ユダヤの領土内に砦を建設し、

36 エルサレムの城壁を更に高くし、要塞と町との間にとてつもなく高い塀を建て、要塞を町から切り離すことに決めた。そうすれば、要塞は孤立し、要塞内の者は市場への出入りができなくなるからである。

37 人々は町の建設のために集まって来た。東側の渓流沿いの城壁が一部破損していたからである。ヨナタンはカフェナタと呼ばれる城壁の部分を修復した。

38 シモンは、セフェラにあるハディドを再建し、これを強化し、門とかんぬきを付けた。

トリフォン、ヨナタンを捕らえる

39 さて、トリフォンは、アジアの王となって王冠を頭にいただこうとたくらみ、アンティオコス王を亡き者にしようと策を巡らした。

40 だが、彼は、ヨナタンがこのまま手をこまぬいているわけはないと不安になり、まず、ヨナタンを捕らえて殺そうと、町を出てベトシャンに入った。

41 ヨナタンも戦列を備え、えり抜きの兵四万を率いてトリフォンを迎え撃つために、ベトシャンに出撃した。

42 トリフォンはヨナタンが大軍を率いてやって来たのを見て、彼と戦うことを恐れた。

43 そこで、彼はヨナタンを丁重に迎え、彼を自分のすべての友人に紹介し、ヨナタンに贈り物を与え、友人たちや部隊に対し、自分と同じようにヨナタンに従うよう命じた。

44 彼はヨナタンに言った。「わたしたちの間では紛争もないのに、あなたはなぜこの大人数を駆り出したのですか。

45 さあ、彼らを各自の故郷に帰してやってください。そしてあなたに同行する少数の兵士を選び、わたしと共にプトレマイスに行きましょう。そうすれば、その町も、残りの砦も、残りの軍隊も、役人たちも皆、あなたに引き渡しましょう。わたしはそこを去って、引き揚げましょう。わたしはまさにこのために来たのです。」

46 ヨナタンは彼を信じ、言われたとおりに軍隊を送り返したので、兵士たちはユダの地へと去って行った。

47 ヨナタンは手もとに三千人の兵士をとどめたが、そのうち二千人をガリラヤに残し、千人を同行させた。

48 ヨナタンがプトレマイスに入るやいなや、プトレマイスの市民は彼を城門内に閉じ込めて捕らえ、彼に同行して町へ入った者は、これを全員剣で殺してしまった。

49 トリフォンは、歩兵隊と騎兵隊をガリラヤに派遣し、大平原に進出させ、ヨナタン軍の一掃を図った。

50 ヨナタンの軍は、ヨナタンに同行した部隊が捕らえられて殺されてしまったことを知り、互いに励まし合い、密集隊形をとって戦いに備えた。

51 追撃して来た者たちは、彼らが命がけで戦おうとしていることを知り、引き返した。

52 こうして兵士たち全員が無事ユダの地に入り、ヨナタンの敗北とその同行者たちの死を悲しみ、ひどく恐れた。全イスラエルが、大きな悲しみに暮れた。

53 彼らの周辺の異邦人たちは皆、彼らを滅ぼそうとねらっていた。彼らは言っていた。「ユダヤ人たちには指揮官もいなければ、援軍もいない。さあ今こそ、戦いを仕掛け、人々の心から、彼らの記憶を消し去ってしまおう。」

マカバイ記 一 11

エジプト王の野心と死

1 エジプト王は、海辺の砂のような大軍と多くの艦隊を召集し、アレキサンドロスの王国を策略をもって奪い取り、それを自分の王国に加えようとした。

2 エジプト王は、友好的な姿勢でシリアに入っていったので、町々の人々は、門を開いて彼を迎えた。彼がアレキサンドロス王の義父であったので、出迎えるようにとの命令が王から出されていたからである。

3 プトレマイオス王は町々に歩を進めるごとに守備隊をそこに駐屯させた。

4 彼がアゾトに近づいたとき、人々は、焼き打ちにあったダゴン神殿、破壊されたアゾトとその周辺都市、放置されたままの数々の死体、戦いのさなかにヨナタンによって焼き殺された人々を彼に見せた。王の行く道に死体を山と積んでいたのである。

5 人々はヨナタンを非難し、彼の所業を詳しく王に説明したが、王は黙っていた。

6 ヨナタンも威儀を正し、ヤッファで王を出迎えた。二人は互いに挨拶を交わし、そこで一晩過ごした。

7 ヨナタンは王と共に、エレウテロスと呼ばれる川まで行き、それからエルサレムへ戻った。

8 プトレマイオス王は、海辺のセレウキアに至るまでの沿岸諸都市を支配し、アレキサンドロスに対し悪しき企てを抱いていた。

9 彼はデメトリオス王に使者を送って言った。「互いに協定を結ぼうではないか。現在アレキサンドロスのものになっているわたしの娘をあなたに与えよう。あなたを父君の国の王としよう。

10 あの男はわたしを殺そうとねらっているので、娘を彼にやってしまったことを後悔しているのだ。」

11 プトレマイオス王がアレキサンドロス王を非難したのは、アレキサンドロスの王国に野心を抱いていたからである。

12 そこで彼は、自分の娘を取り返し、デメトリオスに与えた。こうして彼はアレキサンドロスとたもとを分かち、二人の間の敵意はあらわになった。

13 プトレマイオスは、アンティオキアに進出し、アジアの王の冠を得た。こうして彼はエジプトとアジアの二つの王冠を頭にいただいたのである。

14 そのころ、アレキサンドロス王はキリキアにいた。その地方の住民たちが反乱を起こしたからである。

15 しかしアレキサンドロスはこの一件を耳にすると、プトレマイオスと戦うため出陣した。プトレマイオス王は強力な部隊をもってこれを迎え撃ち、敗走させた。

16 アレキサンドロスは身の安全を求めて、アラビアに逃げ込んだ。こうしてプトレマイオス王は覇権を確立した。

17 アラビア人ザブディエルは、アレキサンドロスの首を切り、プトレマイオスのもとに送った。

18 しかし、その三日後にプトレマイオス王も死に、各砦に配置されていた王の守備兵たちは、砦にいた住民たちによって殺されてしまった。

19 デメトリオスは第百六十七年に、王位についた。

ヨナタンの巧妙な駆け引き

20 そのころヨナタンは、エルサレムの要塞を攻撃するため、ユダヤの者たちを召集し、多くの攻城機を組み立てた。

21 ところが、同胞を憎み、律法に背く一部の者たちがデメトリオス王のもとに出向き、ヨナタンが要塞を包囲したと伝えた。

22 王はこれを聞いて怒り、直ちに軍を動かしてプトレマイスに移ると、ヨナタンに書簡を送り、彼が包囲を解き、急いでプトレマイスに来て、自分とじかに話し合うようにと伝えた。

23 ヨナタンはこれを無視し、包囲を続けるように命じた。しかし彼自身は、イスラエルの長老たちと祭司たちの中から同行者を選び、危険に身を投じた。

24 ヨナタンは金、銀、衣服、その他多くの贈り物を携え、プトレマイスにいる王のもとに赴き、王の歓迎を受けた。

25 同胞の中で律法に従わない一部の者たちは、彼のことをざん訴した。

26 しかし王は、彼以前の王たちに倣ってヨナタンを遇し、王の友人全員の前で、ヨナタンを称賛した。

27 そして、大祭司職をはじめとして、以前ヨナタンが持っていた他のもろもろの栄誉を確認し、彼を第一級の友人たちの筆頭に置くことにした。

28 ヨナタンは王に、ユダヤ、三地区、サマリアの租税の免除を願い、王に三百タラントンを支払うことを約束した。

29 王はこれを了承し、これらすべてについて、次のような趣旨の書簡をヨナタンに送った。

ヨナタンにあてたデメトリオス王の書簡

30 「王デメトリオスから兄弟ヨナタンとユダヤ国民に挨拶を送る。

31 予は、あなたがたに関して予の親族ラステネスにあてて手紙を書いたが、これはその写しであるので、お読みいただきたい。

32 『王デメトリオスから父ラステネスへ挨拶を送る。

33 予は、予の友人であり、予に対する義務を果たしているユダヤ国民に対し、その好意に報いて恩恵を施すことにした。

34 予は、ユダヤ全土とアファイレマ、リダ、ラマタイムの三地区を彼らに属するものとして承認する。この三地区はサマリアから、その周辺とともにユダヤに加えられたものである。予はまた、エルサレムにいけにえを献げに来るすべての者に対し、これまで王が彼らから毎年受け取っていた、地の産物税と果実の税を廃止する。

35 また、予が受け取っていた他のもの、すなわち、十分の一税や他の諸税、塩税、それに王冠税、これらすべてを彼らに譲渡する。

36 今後永久に、これらの決定のうち一つとして取り消されることがあってはならない。

37 それゆえ、心してこの手紙の写しを作り、ヨナタンに与え、聖なる山の目立つところに掲げさせよ。』」

ヨナタン、デメトリオスを援助する

38 デメトリオス王は、彼の前にその地が平穏になり、反抗する者もいなくなったことを見て、異邦の島々から雇った傭兵部隊だけを残して、全軍を解散させ、それぞれの故郷へ帰らせた。そのため、先祖代々仕えてきた兵士たちは皆、彼を憎むようになった。

39 元来アレキサンドロス側の者であったトリフォンは、全軍がデメトリオスに対する不満を口にしていることを知って、アレキサンドロスの息子アンティオコスを育てていたアラビア人イマルクエのもとへ行き、

40 アンティオコスを亡き父の代わりに王とするために、彼を引き渡すよう、イマルクエに対して要求した。そしてイマルクエに、デメトリオスのたくらみや、デメトリオスの軍隊が彼を憎んでいることを告げ、そこに長い間滞在した。

41 さてヨナタンはデメトリオス王に使者を送り、エルサレムの要塞と各地の砦にいる兵士たちを引き揚げさせるよう要請した。彼らがイスラエルと戦闘を続けていたからである。

42 デメトリオスもヨナタンに使者を送って言った。「あなたとあなたの民のために、そのように計らおう。それだけでなく、機会があれば、あなたとあなたの民に栄誉を与えよう。

43 ところで、今わたしの全軍が反乱を起こしている。わたしのために戦う兵士を直ちに送ってもらいたい。」

44 ヨナタンは強力な兵三千人を、アンティオキアのデメトリオスのもとへ派遣した。彼らが王のもとに到着すると、王はその到来を喜んだ。

45 そのとき、十二万にも上る市民たちが町の中央に集まり、王を殺そうとした。

46 王は宮廷に逃げ込んだが、市民たちは町の大路を占領し、戦いを開始した。

47 王はユダヤ人たちに助けを求めた。彼らは直ちに全員王のもとに集まり、それから市内に散って行って、その日、市内で十万人を殺害した。

48 そして町に火をつけ、この日、多くの戦利品を奪い、王を救ったのである。

49 市民たちは、ユダヤ人たちが思うがままに町を制圧したことを知り、すっかり気力を失い、王に対し、大声で嘆願して言った。

50 「わたしたちに和解のための右手を差し伸べてください。そしてユダヤ人たちがわたしたちやこの町を攻撃するのをやめさせてください。」

51 市民たちは武器を投げ捨てて、和平を結んだ。こうしてユダヤ人たちは王と全国民の前で面目を施し、王国内に名を高め、多くの戦利品を持ってエルサレムに帰還した。

52 しかし、デメトリオス王は、国の王座に戻り、彼の前にその地が平穏に戻ると、

53 前言を翻し、ヨナタンに対して態度を変え、ヨナタンから受けた恩恵に報いようとせず、彼をひどく悩ませるようになった。

アンティオコスとヨナタンの同盟

54 これらのことの後、トリフォンは幼いアンティオコスを伴って帰国した。そしてアンティオコスは王冠をいただいて、王位についた。

55 デメトリオスが解散させた軍の全員がアンティオコスのもとに集結し、デメトリオスに戦いを挑んだ。デメトリオス王は敗走した。

56 トリフォンは象部隊を引き連れて、アンティオキアを制圧した。

57 そして幼いアンティオコス王は、ヨナタンに書簡を送って言った。「わたしはあなたの大祭司職を確認し、四つの地方を統治させ、あなたを王の友人の一人としよう。」

58 彼はヨナタンに黄金の器と食器類を贈り、金杯で飲み、紫の衣を着、黄金の留め金をつける権利を与えた。

59 そして彼は、ヨナタンの兄弟シモンを「ティルスの階段」から、エジプト国境に至るまでの地域の総司令官に任じた。

60 一方ヨナタンは出発し、川向こうの土地を横断して町々に入った。シリア全軍が同盟軍として彼のもとに集結した。彼がアシュケロンに入城すると、町の者たちは丁重に彼を迎えた。

61 更にヨナタンはそこからガザに向けて出発したが、ガザの市民たちは城門を閉ざした。ヨナタンはガザを包囲し、その周辺都市に火を放ち、それらの都市を略奪した。

62 ガザの市民たちがヨナタンに嘆願したので、彼は市民たちに和解の右手を差し伸べた。そして指導者たちの息子を人質としてエルサレムへ送り、その地方を横切ってダマスコまで行った。

63 ヨナタンは、デメトリオスの指揮官たちが大軍を率いてガリラヤのケデシュに入り、彼の活動を妨害しようとしていることを知った。

64 そこで、ヨナタンは国に兄弟シモンを残し、彼らを迎え撃った。

65 シモンはベトツルに向けて陣を敷き、何日にもわたって攻撃を繰り返し、敵軍を封じ込めた。

66 彼らは、シモンに右手を差し伸べてくれるよう嘆願した。シモンは右手を差し出し、彼らをそこから追い払って、町を占領すると、そこに守備隊を駐屯させた。

67 一方ヨナタンとその軍は、ゲネサル湖畔に陣を敷き、朝早くたって、ハツォル平原に進撃した。

68 異国人の部隊が平原でヨナタンたちを待ち構えていた。彼らは、山地に伏兵を置き、正面からヨナタンに立ち向かった。

69 やがて伏兵たちもここかしこから立ち上がり、戦闘に加わった。

70 ヨナタンの軍は敗走した。軍の指揮官アブサロムの子マタティアとカルフィの子ユダを除き、戦場に残った者は一人もいなかった。

71 ヨナタンは衣を裂き、頭に塵をかぶり、そして祈った。

72 それから彼は、戦場に戻って敵と戦い、これを打ち破って敗走させた。

73 さきにヨナタンのもとから逃げ出した者たちもこれを見て、彼のもとに立ち戻り、共に敵を追跡してケデシュにある敵の陣まで行き、そこに陣を敷いた。

74 この日、異国人の部隊で戦死したものは三千人に上った。ヨナタンはエルサレムに帰還した。

マカバイ記 一 10

デメトリオスとヨナタンの同盟

1 第百六十年、アンティオコスの子、アレキサンドロス・エピファネスはプトレマイスに上陸し、そこを占領した。人々が彼を受け入れたので、彼はその地で王となった。

2 デメトリオス王はこれを聞き、おびただしい軍勢を動員し、彼と戦うために出撃した。

3 またデメトリオスはヨナタンに友好的な内容の書簡を送り、ヨナタンの立場を強力なものにしようとした。

4 彼自身こう考えていたからである。「ヨナタンが、我々に反抗してアレキサンドロスと手を組んでしまう前に、いち早く手を打って彼らと和解しておくべきだ。

5 ヨナタンは、我々が彼とその兄弟たち、更に彼の民に加えた危害の一切を覚えているにちがいないのだから。」

6 デメトリオスはヨナタンに、軍を動員し、武器を準備する権限を与え、彼を同盟者にした。また要塞の中の人質たちをヨナタンに返還するよう命じた。

7 そこでヨナタンはエルサレムに入り、すべての民と要塞守備兵たちに、デメトリオスの書簡を読んで聞かせた。

8 守備兵たちは、デメトリオス王がヨナタンに軍を動員する権限を与えたのを聞いて、非常に恐れた。

9 要塞守備兵たちがヨナタンに人質を渡したので、ヨナタンは彼らをその親たちに返してやった。

10 ヨナタンはエルサレムに住み、市の再建を開始した。

11 ヨナタンは作業に当たっている者たちに、城壁を造り、また四角形の石を使ってシオンの山を囲み、これを砦とするように命じた。彼らはそのようにした。

12 バキデスが建設した幾つかの砦にいた異国人は逃亡し、

13 それぞれの持ち場を捨てて、自分の国へ帰ってしまった。

14 ただベトツルには、律法や掟を捨てた者たちの一部が残っていた。そこが彼らの逃れの町になっていたからである。

アレキサンドロス王、ヨナタンに近づく

15 アレキサンドロス王も、デメトリオスがヨナタンにあてて書き送った約束を耳にし、またヨナタンとその兄弟たちが遂行した戦争と、武勇、それに彼らが体験した労苦についての話を聞いた。

16 そこで彼は言った。「我々のところには、こういう男は一人もいないのか。それなら、彼を我々の友人とし、同盟者としようではないか。」

17 そこで彼は書簡をしたため、次のような言葉をヨナタンに伝えさせた。

18 「王アレキサンドロスから、兄弟ヨナタンに挨拶を送る。

19 予はあなたが誉れ高い勇士であり、予の友人となるのにふさわしい人物であると聞き及んでいる。

20 そこで今日、あなたをあなたの民の大祭司に任じ、『王の友人』という名称を与えることにした。――彼はヨナタンに紫の衣と金の王冠を送った――予と利害を共にし、予に対する友好を維持してもらいたい。」

21 ヨナタンは第百六十年の第七の月、仮庵祭に聖なる衣をまとい、軍を召集し、多くの武器を準備した。

ユダヤ人にあてたデメトリオスの書簡

22 デメトリオスはこのことを耳にし、心を悩ませて言った。

23 「何としたことか。アレキサンドロスが我々を出し抜いて、ユダヤ人と友好関係を結び、その立場を強化するとは。

24 わたしも彼らに、誘いの言葉を書き送り、高い地位と贈り物を約束し、彼らがわたしに味方して、助けてくれるようにしよう。」

25 そこで彼は次のような文面の書簡を送った。「王デメトリオスからユダヤ国民に挨拶を送る。

26 あなたが予との協定を守り、また友好関係にとどまり、敵側にくみしないできたことを聞き、予はうれしく思う。

27 今後とも、予に対し忠実であり続けてほしい。予は、あなたがたが予のためにしてくれることに対し、恩恵をもって報いよう。

28 あなたがたの負担を軽減し、贈り物を授けよう。

29 わたしは今からあなたがたを自由にし、全ユダヤ人の貢と塩税と王冠税を免除する。

30 今後、わたしの受け取るべき収穫の三分の一、果実の半分を放棄し、ユダの地からも、またサマリアとガリラヤの中からわたしが今日ユダに加える三地方からも、永久にそれを受け取ることはしない。

31 エルサレムとその周辺は聖地とし、十分の一税や租税は免除される。

32 わたしはまた、エルサレムの要塞の支配権を放棄し、大祭司にそれを与えよう。彼は、自分で選んだ兵士たちをそこに置いて、警護させることができる。

33 またわたしは、ユダの地から捕虜としてわたしの王国の各地に連れて来られたすべてのユダヤ人を無償で解放する。また全ユダヤ人の家畜税をも免除する。

34 一切の祝祭日と安息日、新月と記念日、それに祝祭日の前後三日間ずつは、わたしの王国にいる全ユダヤ人には、休日と解放が与えられよう。

35 これらの日には、何人も、いかなることについても、ユダヤ人から税を強要したり、いかなることであれ、彼らを苦しめたりすることは許されない。

36 また、ユダヤ人三万人を王の軍隊に加え、王の兵士と同様の待遇を、彼らにも与えよう。

37 彼らのうちの一部の兵士を、王の幾つかの大きな砦に配置し、他の一部は王国の責任ある職務に就かせよう。彼らの監督官や指揮官も彼らの中から出させ、王がかつてユダの地で命じたように、彼ら自身の律法に従って歩ませる。

38 サマリアの地からユダヤに加えられた三つの地方を、ユダヤに併合し、他の権威ではなく、大祭司一人の権威に服従させよう。

39 聖所の必要経費に充てるため、プトレマイスおよびその属領をエルサレムの聖所に寄贈する。

40 またわたしは、毎年、王の領土からあがる王の税収の中から、銀一万五千シェケルを与えよう。

41 役人たちが神殿用に支給しないで余剰金となっているものは全部、従来どおり、今後神殿の仕事に充てられる。

42 更に役人たちが、聖所の収入の中から毎年徴収している五千シェケルの銀については、それを免除しよう。それは、本来祭儀をつかさどる祭司たちに帰すべきものだからである。

43 王に対する負債やその他のあらゆる負債を負って、エルサレムの神殿、あるいはその境内に逃げ込んだ者は、だれでも負債を免除され、わたしの王国内にあるそれらの者たちの所有物も一切保障される。

44 聖所の再建と修築のための支出は王の会計から出すこととし、

45 エルサレムの城壁とその周囲の砦の再建のための支出も、王の会計から出すこととしよう。またユダヤのもろもろの城壁の再建についても同様である。」

アレキサンドロスとデメトリオスの戦い

46 ヨナタンと民はこうした言葉を聞いても、信用もしなければ、受け入れもしなかった。彼らは、デメトリオスがイスラエルで行った途方もない悪行や、自分たちに加えたひどい仕打ちを覚えていたからである。

47 彼らはアレキサンドロスに好意を覚えた。アレキサンドロスこそ彼らに和平を提唱した人物だったからである。そこで彼らは終始アレキサンドロスと同盟を結んだ。

48 アレキサンドロス王は大軍を召集し、デメトリオスに向かって陣を敷いた。

49 二人の王は戦いを交えた。しかしアレキサンドロス軍は敗走し、デメトリオスはアレキサンドロスを追撃し、彼らを圧倒した。

50 戦いは熾烈を極め、日没に至った。しかしかのデメトリオスは、その日戦死した。

アレキサンドロス王とプトレマイオス王の同盟

51 アレキサンドロスは、エジプトの王プトレマイオスに使者を送って次のように伝えた。

52 「わたしは自分の国に戻り、先祖の王座につき、支配権を握り、デメトリオスを打ち破り、我々の国を掌握しました。

53 わたしはデメトリオスに戦いを挑み、彼とその軍隊を打ち破り、彼の国の王座につきました。

54 今こそ、我々は互いに友好関係を確立しようではありませんか。またぜひ、王女を妻としてわたしにいただけないでしょうか。あなたの娘婿になり、あなたにふさわしい贈り物を、あなたと王女に捧げたいのです。」

55 王プトレマイオスは、これに答えて言った。「あなたが先祖の地に戻り、先祖の国の王座についた日は、まことに喜ばしい日です。

56 わたしもあなたが書いてこられたとおりにいたしましょう。ただ、プトレマイスまで出向いてください。そこで互いに会見し、そしてあなたがおっしゃったとおり、王女を与えてあなたの義父となりましょう。」

57 プトレマイオスも、彼の娘クレオパトラとともどもにエジプトを出立し、プトレマイスに入った。第百六十二年のことである。

58 アレキサンドロス王は彼に会見した。プトレマイオスは娘クレオパトラをアレキサンドロスに与え、王にふさわしい、絢爛たる婚宴を娘のためにプトレマイスで設けた。

ヨナタンの成功

59 王アレキサンドロスは自分に会いに来るようにと、ヨナタンに書簡を送った。

60 ヨナタンは威儀を正してプトレマイスに行き、二人の王と会見し、王たちとその友人に金銀、それに多くの贈り物をし、彼らの好意を得た。

61 しかし、イスラエルの疫病のような男たち、律法に背く男たちもヨナタンに対抗して集まって来て、彼についてざん言したが、王は彼らにいちべつも与えなかった。

62 王は、ヨナタンの服を脱がせ、紫の衣を着せるように命じ、人々はそのようにした。

63 王はヨナタンを自分の隣に座らせて、重臣たちに言った。「ヨナタンと共に町の中央に出て行って告げ知らせよ。『いかなることに関してもヨナタンをざん言してはならない。また、どんな理由であれ彼を妨害してはならない』と。」

64 ヨナタンを訴えていた者たちは、王の命令どおり、彼が栄誉を受け、紫の衣を身に着けているのを見て、全員退散した。

65 王はヨナタンをたたえ、彼を第一級の友人の一人に加え、軍の指揮官および地方長官に任命した。

66 かくしてヨナタンは無事に、また満足してエルサレムに帰った。

ヨナタンとアポロニオスの戦い

67 第百六十五年に、かのデメトリオスの息子デメトリオスがクレタを出て、先祖の地に入った。

68 アレキサンドロス王はそれを耳にすると、ひどく不安になりアンティオキアへ戻った。

69 デメトリオスは、アポロニオスをコイレ・シリアの総督にした。アポロニオスは大軍を召集し、ヤムニアに陣を敷き、大祭司ヨナタンに書簡を送って言った。

70 「我々に反抗しているのは、ただ一人お前だけである。わたしは、お前のゆえに嘲笑と非難の的になっている。お前は山の中でしか、我々に力を振るえないのか。

71 自分の軍隊に自信があるのなら、平野にいる我々のところへ下りて来い。ここで決着をつけようではないか。わたしには多くの町の軍隊がついている。

72 わたしがだれであり、我々の後ろ盾がだれであるか、聞いて教わってこい。『我々の面前ではお前たちは足で立つこともできまい、お前の先祖たちも自分たちの地で二度も失敗しているのだから』と、人々は言っているではないか。

73 よいか、今度もお前は我々のような騎兵や軍隊には、平地ではとても歯が立つまい。そこには石もなければ小石もなく、逃げ込む所はないのだから。」

74 ヨナタンはアポロニオスの言葉を聞くと、憤激して、一万の兵士を選び、エルサレムを出立した。兄弟シモンは、彼を援助するため、これに合流した。

75 そこでヨナタンはヤッファに向かって陣を敷いた。町の人々は、ヨナタンに対して門を閉じた。アポロニオスの守備隊がヤッファ市内にいたからである。ヨナタンの軍は、町に攻撃を加えた。

76 町の者たちは恐れをなし、門を開けた。ヨナタンはヤッファを制圧した。

77 アポロニオスはこれを聞き、三千の騎兵と大部隊を召集し、アゾトまで行き、そこを通過するかのように見せながら、しかし実際は、信頼していた騎兵の大部隊を率いて、平地へと歩を進めていた。

78 ヨナタンの軍は、彼を追跡してアゾトまで行った。こうして両陣営は戦いを交えた。

79 アポロニオスは騎兵一千をユダヤ軍の後方に潜ませていた。

80 だがヨナタンは、自分の背後に敵の部隊がいることを察知した。敵軍は彼の軍隊を包囲し、朝から晩まで民に矢の雨を浴びせかけた。

81 しかし、民はヨナタンの命に従い、よく抵抗したので、敵の馬に力の衰えが見えた。

82 すかさずシモンは自分の部隊を率い、敵の密集部隊に切り込みをかけた。騎兵隊は隊形を崩し、彼によって粉砕され、退却してしまった。

83 騎兵隊は、平野に追い散らされ、アゾトへ逃げ込んだ。そして彼らの偶像の神殿ベト・ダゴンに救いを求めて入って行った。

84 ヨナタンはアゾトとその周辺の町々を焼いた。そして町々を略奪し、ダゴンの神殿と、その中に逃げ込んだ者たちを焼き滅ぼした。

85 剣によって殺された者たちと、焼き殺された者の数は、八千に上った。

86 ヨナタンはその地を離れ、アシュケロンに向かって陣を敷いた。町の者たちが威儀を正し、盛大に彼を迎えた。

87 ヨナタンはおびただしい戦利品を手にしてエルサレムへ戻った。

88 アレキサンドロス王はこれらのことを耳にしたとき、ヨナタンに更に栄誉を与えることにした。

89 アレキサンドロスはヨナタンに、王の親族に与える慣習に従って、黄金の留め金を贈った。そしてまた彼にエクロンとその周辺全体を所領として与えた。

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マカバイ記 一 9

バキデス、アルキモスとの戦い、ユダの死

1 さてデメトリオスは、ニカノルが戦死し、その軍勢が敗れたことを聞き、再度バキデスとアルキモスをユダヤに派遣した。彼らは右翼精鋭部隊を率いて行った。

2 彼らはガルガラへの道を進み、アルベラ地方にあるマイサロトに向けて陣を敷き、先手を打ってそこを攻め取り、多くの人を殺した。

3 彼らは第百五十二年の第一の月に、エルサレムに向けて陣を敷いたが、

4 更にそこから出て、二万の軍勢と二千の騎兵と共にベレトに入った。

5 ユダも、エラサに精鋭三千の兵と共に、陣を敷いていた。

6 しかしユダの軍は、敵が大軍であることを知り、すっかりおびえ、多くの者が陣を離れ、残った者はわずか八百人であった。

7 ユダは味方の兵が散ってしまい、戦局が極めて不利になったことを知った。しかし兵をかき集めるいとまもなく、ひどく狼狽した。

8 だが彼は、崩れ落ちそうになりつつも、残っている兵士たちに声をかけ、「さあ立ち上がって、敵に向かおう。勝利の余地はまだ残っている」と言った。

9 しかし兵士たちはユダを思いとどまらせようとして言った。「そんなことが我々にできるはずはありません。むしろ今は、我々自身の命を救うことです。ひとまず帰って、兄弟たちと一緒に敵と戦うべきです。我々は少なすぎます。」

10 ユダは答えた。「断じて、敵に後ろを見せてはならない。死ぬべき時が来たなら、同胞のために潔く死のうではないか。我々の栄光に汚点を残すようなことはしたくない。」

11 シリア軍は出陣し、ユダヤ軍と対決した。シリア軍の騎兵隊は二手に別れた。また投石隊や弓矢部隊が軍勢の先頭に立ったが、最前線の者は皆勇猛な者ばかりであった。

12 バキデスは右翼精鋭部隊の中におり、密集部隊が両翼から接近して、ラッパを吹き鳴らした。するとユダの軍もまた、ラッパを吹き鳴らした。

13 大地は両陣営のどよめきに震え、朝から夕方まで激しい戦いが続いた。

14 ユダは、バキデスとその部隊の中心が右翼にあることを知り、戦闘意欲の旺盛な者たちを皆率いて、

15 右翼陣営を撃破し、彼らを追撃してアゾトの丘陵地帯に至った。

16 左翼陣営は、右翼陣の壊滅を知って、向きを変え、ユダ軍の背後に迫って来た。

17 戦闘は激烈を極め、双方に多数の死傷者が出た。

18 ユダも倒れ、残った者たちは逃げ去った。

19 ヨナタンとシモンは、彼らの兄弟ユダを運び、モデインにある先祖の墓に葬った。

20 イスラエル人は皆、彼のために号泣し、激しく胸を打ちたたき、何日も何日も悲嘆に暮れて言った。

21 「ああ、イスラエルを救う勇士は倒れた。」

22 ユダの行ったさまざまの業績、彼の戦い、その大胆さ、その偉大さは、書き尽くすことができない。あまりにも多すぎるのである。

ヨナタンが指導者となる

23 ユダの死後、イスラエル全土に、律法に従わない者たちが立ち現れ、不正を働く者どもが横行するようになった。

24 またこのころ、ひどい飢饉が起こり、国をあげてこの者たちの側に寝返った。

25 バキデスは不敬虔な者どもを選び出し、この国の支配者に仕立てた。

26 彼らはユダの友人たちを徹底的に捜し出し、バキデスのところへ連れて来た。バキデスは彼らに復讐し、嘲笑した。

27 大きな苦しみがイスラエルに起こった。それは預言者が彼らに現れなくなって以来、起こったことのないような苦しみであった。

28 そこでユダの友人たちが皆集まって、ヨナタンに言った。

29 「あなたの兄弟ユダの死後、彼のように敵やバキデスや我々の民の敵対者に対抗できる人物はいない。

30 だからこそ、今日、我々はあなたを選んだのです。ユダに代わって、我々を指導し、敵との戦いの指揮をとっていただきたい。」

31 この時以来、ヨナタンは指導者として、兄弟ユダに代わって立つことになったのである。

バキデスとの再度の戦闘

32 バキデスはこれを知り、ヨナタンを殺そうと図った。

33 ヨナタンとその兄弟シモン、それに彼の部下たちも皆このことを知り、テコアの荒れ野へ退き、アスファルの貯水池の傍らに陣を敷いた。

34 バキデスはこれを安息日に知った。そこで全部隊と共にヨルダンの向こう岸に出て行った。

35 一方ヨナタンは、人々の指導者であった兄弟ヨハネを派遣して、自分たちの多数の携行品を友人であるナバタイ人たちに、預かってもらうように依頼させた。

36 ところがメデバ出身のヤンブリの者たちがやって来て、ヨハネ自身と彼らのすべての携行品を奪い去ってしまった。

37 この事件の後、ヨナタンと兄弟シモンに情報が入った。それによると、ヤンブリの者たちが盛大な婚宴を開き、カナン人の中の名だたる高官の娘を、ナダバトから花嫁として大行列と共に連れて来る、ということであった。

38 ヨナタンたちは兄弟ヨハネの血を忘れることなく、上って行って山の隠れ場に身を潜めた。

39 目を上げて見ると、ざわめきとともに大量の荷物が見えてきた。そして、花婿が彼の友人や家族の者たちと共に出て来て、太鼓や歌、武装した人々と共に、花嫁とその一行を出迎えた。

40 ヨナタンたちは、待ち伏せていた所から出て、襲いかかり、彼らを殺した。多くの者が傷つき倒れ、残りの者は山中へ逃げ込んだ。ヨナタンたちは彼らの携行品をすべて奪い取った。

41 こうして婚宴は悲しみに一変し、歌声は挽歌となった。

42 このようにして兄弟の血に対する復讐が成し遂げられたのである。彼らはヨルダンの沼地へと戻って行った。

43 バキデスはこれを聞き、安息日に大軍を率いてヨルダン川の岸まで出撃した。

44 ヨナタンは部下たちに言った。「さあ、立ち上がり、命を守るために戦おう。今日の状況は、昨日やおとといとは違っている。

45 見よ、敵は目の前にいる。背後はヨルダンの流れで、しかも我々は沼地と林に囲まれて、退く所はない。

46 こうなったらお前たちは敵の手から救い出してもらうために、天に向かって叫ぶしかない。」

47 戦いは始まった。ヨナタンは手ずからバキデスを倒そうとしたが、彼はヨナタンを避け、後方へ退いた。

48 ヨナタンとその軍勢は、ヨルダン川に飛び込み、対岸に泳ぎ着いた。敵軍はヨルダン川を渡ってまでヨナタンの軍を追うことはしなかった。

49 この日、バキデス軍には千人の戦死者が出た。

50 バキデスはエルサレムに立ち戻り、ユダヤの町々の防備を固めた。すなわち、エリコの砦、アマウス、ベト・ホロン、ベテル、ティムナト・ピルアトン、テフォンなどを、高い城壁、門、かんぬきをもって強化した。

51 また、イスラエルと対抗するために、それらの町々に守備隊を配置した。

52 更にベトツルの町やゲゼルやエルサレムの要塞を固め、そこに部隊を配置し、食糧も貯蔵した。

53 それから、この国の指導者たちの息子を人質にし、彼らをエルサレムの要塞の中に監禁した。

アルキモスの死

54 第百五十三年の第二の月に、アルキモスは聖所の中庭にある仕切り壁の撤去を命じ、預言者たちが造り上げたものを破壊し始めた。

55 しかしまさにこの時、アルキモスは発作に襲われ、その悪行に足枷をはめられた。口は開かず、全身は麻痺し、自分の家のことについて言い残すことも、指示することもできなかった。

56 こうして、アルキモスは苦しみ抜いて死んでいった。

57 バキデスはアルキモスが死んだのを見ると、王のもとへ戻った。ユダヤの地は二年間平穏であった。

平和の回復

58 さて、律法に従わない者たちが皆相談して言った。「見よ、ヨナタンとその部下たちは、すっかり安心して、平穏に暮らしている。今こそバキデスを連れ戻そう。彼は一夜のうちにヨナタンたちを全員、一網打尽にするだろう。」

59 彼らは出向いて行き、バキデスとはかりごとを巡らした。

60 バキデスは大軍を率いて出陣し、ひそかにユダヤ中の同盟軍に手紙を送り、ヨナタンとその部下たちを捕らえるよう、要請した。しかし彼らは失敗した。はかりごとが漏れてしまったからである。

61 ヨナタンは、この悪行の首謀者たちのうち、土地の者五十人を捕らえ、彼らを殺した。

62 ヨナタンとシモン、その部下たちは荒れ野にあるベトバシに退き、そこにある破壊された砦を再建し、強化した。

63 バキデスはこれを知り、全軍を召集し、ユダヤ出身の兵士たちに命令を下した。

64 彼らは出て行って、ベトバシに向けて陣を敷き、幾日にもわたってそこに攻撃を仕掛け、攻城機を組み立てた。

65 ヨナタンは兄弟シモンをその町に残して、少数の兵と共に町の外へ抜け出した。

66 彼は、オドメラとその兄弟たち、それにファシロンの息子たちをその天幕の中で打ち殺した。ヨナタンたちは攻撃を始め、またその軍勢と共にベトバシへ上って行った。

67 一方シモンとその部下たちも、町から出撃し、敵の攻城機に火を放った。

68 彼らはバキデスを攻撃し、バキデスは大きな打撃を受けた。策略も攻略も水泡に帰して、完全に挫折してしまった。

69 バキデスは、自分を唆してここに出撃させたあの律法に従わない者どもに対して激怒し、その多くの者を殺し、自分の国へ帰ろうと決意した。

70 ヨナタンはこれを知り、バキデスのもとへ使者を遣わして、和平の締結と捕虜の返還について交渉させた。

71 バキデスもこれを受け入れ、ヨナタンの提言を実行し、自分の生きている間は、彼に危害を加えない、と誓った。

72 バキデスは、彼がユダの地で以前に捕らえた者たちをヨナタンに返して自分の国へと引き揚げ、もはやユダヤ人の領域に侵入しようとはしなかった。

73 イスラエルでは剣はさやに納まり、ヨナタンはミクマスに住んだ。こうして彼による民の統治が始まり、不敬虔な者たちはイスラエルから一掃された。

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マカバイ記 一 8

ローマ人についての報告

1 ユダの耳にローマ人の評判が入った。「ローマ人は軍事的に極めて強大である。彼らと連合する者はすべて歓迎し、彼らに近づこうとする者とは友好関係を結ぶ。

2 彼らは軍事的に極めて強大である」と。報告者たちは、更に、ユダに語った。「ローマ人たちはガラテヤで戦い、その勇猛さを発揮し、そこを支配して、貢を課した。

3 イスパニア地方では、金銀の鉱山を手に入れるためにあらゆる手段を講じた。

4 彼らは策略と忍耐とをもって、どんな遠隔地であっても制圧してきた。また、地の果てから彼らを攻撃してくる王たちを粉砕し、大打撃を与えた。その他の者たちには毎年貢を課している。

5 彼らはまた、マケドニアの王、フィリポスとペルセウス、および彼らに逆らった者たちを、戦いで粉砕し、征服した。

6 アジアのアンティオコス大王も、百二十頭の象と、騎兵と戦車、おびただしい軍勢を率いて彼らに戦いを挑んだが、撃破されてしまった。

7 ローマ軍は、アンティオコスを生け捕りにし、彼とその後継者たちに多額の貢と人質を出させ、

8 インド、メディア、リディア、そして彼らの所有地で最上の地を割譲させた。それらの地をアンティオコスから奪い取ると、エウメネス王に与えたのである。

9 ギリシア人たちも打って出て彼らを一掃しようと図ったが、

10 ローマ人はこの計画を知ると、指揮官を派遣して、ギリシア軍と一戦を交えた。ギリシア軍の多くの者は傷つき倒れ、その妻子たちは捕らえられ、略奪が行われ、その地は制圧され、砦は破壊されて、ギリシア人たちは今日に至るまでローマ人に隷属している。

11 ローマ人に反抗した他の王国や島々も、すべて粉砕され、彼らに隷属している。

12 しかしローマ人たちは友好国や彼らに依存している国々とは、友好関係を維持したが、遠近を問わず王という王を制圧したため、その名を聞く者はだれでも、彼らを恐れるのである。

13 彼らが後ろ盾となって王にしようとする者は王となった。しかし、彼らが失脚させようとする者は失脚した。こうしてローマ人の名声は大いに高まった。

14 だが、こうしたことにもかかわらず、彼らローマ人のうちだれ一人として、栄誉を願って冠をつけたり、紫の衣を身に着けたりする者はいない。

15 彼らは自分たちのために元老院を設置し、三百二十人の議員たちが、民衆に秩序ある生き方をさせようと、日々検討を続けている。

16 彼らは、自分たちを統治し、自分たちの全地を支配する人を年ごとに一人信任する。そしてすべての者が、この一人の者に服従する。そこにはねたみもなければ、うらやみもない。」

ローマとの同盟

17 そこでユダは、ハコツ家のヨハネの子エウポレモスとエレアザルの子ヤソンを選び、友好同盟関係を樹立するために、ローマに派遣した。

18 それは、自分たちの軛を取り除くためであった。なぜなら、ギリシア人の王朝がイスラエルを制圧し、隷従させていたからである。

19 こうして彼らはローマへ出向いて行った。それはまことに遠い道のりであった。そして元老院に通され、質問に答えて言った。

20 「マカバイとも呼ばれるユダと、その兄弟たち、それにユダヤの民が、わたしたちをあなたがたのところに遣わしたのです。それはあなたがたと同盟平和関係を樹立し、あなたがたの同盟国、友好国として書き加えられるためであります。」

21 この申し出はローマ人にとって好ましいものに思えた。

22 以下は、ローマ人が銅板に刻み込み、彼らとの平和同盟関係の覚書とし、書面でエルサレムへ送ったものの写しである。

23 「海においても陸においても、ローマ人とユダヤ民族に永遠に幸いあれ。剣と敵が双方から遠ざかるように。

24 万一ローマに対し、あるいはローマ支配下のいかなる同盟国に対しても、戦争が起こったならば、

25 ユダヤ民族は、事態に即応して全力を挙げ、共同して戦う。

26 また、敵に対しては、穀物、武器、銀、船舶を与えず、用意もしない。これはローマで取り決めたとおりである。守るべきことを守り、自国のみの利益は図らない。

27 同じように、ユダヤ民族に対して戦争が起こったならば、ローマ人は誠意を尽くして、事態に即応し、共同して戦う。

28 敵に付く者たちに穀物、武器、銀、船舶を与えない。これはローマで取り決めたとおりである。守るべきことを守り、偽りなくこれを実行する。

29 ローマ人はユダヤの国民とこのような条約を結ぶ。

30 この条約の発効後、もし双方に、追加あるいは、削除すべきことが生じた場合、双方の了解があれば、その追加や削除は有効なものと認められる。

31 デメトリオス王がユダヤ人に対して繰り返している悪行については、我々は既に彼に書簡を送ってこう言ってある。『なぜあなたは、我々の友人であり同盟者であるユダヤ人に、軛を負わせるのか。

32 もし、ユダヤ人があなたのことでなおも嘆願するならば、我々としても彼らのために断を下し、海陸から、あなたに対し戦いを挑むであろう。』」

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