デメトリオスの支配と弾圧開始 1 第百五十一年に、セレウコスの子デメトリオスがローマを脱出し、わずかな手勢を連れて海辺の一都市に上陸して、その地で王としての統治を開始した。 2 そして彼が自分の先祖の王宮に入ろうとしたとき、兵士たちはアンティオコスとリシアスを彼のもとに連れて行こうと、二人を捕らえた。 3 この知らせを受けると、デメトリオスは、「彼らの顔など見たくもない」と言った。 4 そこで、兵士たちは二人を殺した。こうしてデメトリオスは王座についた。 5 イスラエル中から、律法に従わない不敬虔な者ども全員が、彼のところへやって来た。その先頭に立っていたのは大祭司職をねらうアルキモスであった。 6 彼らは民を告発して王に言った。「王の友人たちを皆殺しにし、わたしたちの地からわたしたちを追い払ったのは、実にユダとその兄弟たちです。 7 ぜひとも、王が信頼しておられる人をお送りくださり、彼らがわたしたちと王国の地に対して行った破壊行為の一切をその人に視察させ、彼らと彼らの支援者たちを全員処罰してください。」 8 そこで王は、王の友人の一人、ユーフラテス川の向こう側の地の総督で王国の有力者、王に忠実なバキデスを選んだ。 9 王は彼と不敬虔なアルキモスを派遣し、アルキモスには大祭司の職を与え、イスラエルの子らに復讐せよと命じた。 10 二人は大軍を引き連れて出立した。ユダヤの地に入ると使者を送って、ユダおよびその兄弟たちと見せかけの友好関係を結ぼうとした。 11 しかしユダとその兄弟たちは、彼らの言葉に耳を貸さなかった。敵が大軍を率いて来たことを知っていたからである。 アルキモスの策略とその結果 12 しかし、律法学者の一団はアルキモスとバキデスのところに集まって、公正な判断を下すようにと熱心に願い出た。 13 イスラエルの民の中では、ハシダイと呼ばれる者たちが先頭に立って、アルキモスたちとの和を求めようとしたのである。 14 彼らは、「アロンの家系に連なる祭司であれば、軍を率いて来て、我々を不当に扱うはずはない」と言っていた。 15 そこでアルキモスも、和やかに語りかけ、「我々はあなたがたや、あなたがたの友人たちに危害を加えるつもりはない」と、彼らに誓った。 16 そこで彼らはアルキモスを信用した。ところがアルキモスは、ハシダイの中の六十人を捕まえ、一日のうちに全員を殺してしまった。それは次のように書き記されているとおりである。 17 「あなたの聖なる者たちの肉は散らされ、その血はエルサレムの周辺に注ぎ出されたが、彼らを葬る人はいなかった」と。 18 こうして民全体が敵に対する恐怖におののいた。民は言った。「あの者たちには真実も正義もない。だからこそ、取り決めも立てた誓いも破ってしまったのだ。」 19 さて、バキデスはエルサレムを離れ、ベトザイトに陣を敷き、兵を送り、寝返って彼の側に付いた多数の男たちと民の一部とを捕らえ、殺して大きな貯水溝に投げ込んだ。 20 そしてその地をアルキモスにゆだね、彼を助けるために軍隊を残し、バキデス自身はそこを離れて王のもとへ帰って行った。 21 アルキモスは、大祭司職を保持するのに必死であった。 22 民を悩ますすべての者たちが、彼のもとに集まり、ユダの地をほしいままにし、イスラエルに深刻な打撃を与えたのである。 23 ユダは、アルキモスとその仲間がイスラエルの民に対して、異邦人以上にひどい悪行を行っているのを残らず目撃し、 24 周辺のユダヤ領土全域に出撃して、敵側に寝返った男たちに復讐し、彼らが地方に出没するのを阻止した。 25 アルキモスはユダの軍が強力であることを目の当たりにし、彼らと戦うのは無理だと悟り、王のもとに戻り、彼らをあしざまに訴えた。 ニカノルの出陣 26 王は、武勇の誉れ高い指揮官の一人ニカノルを派遣した。ニカノルはイスラエルを憎み、敵視していたので、王は彼にイスラエルの民の殲滅を命じた。 […]
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マカバイ記 一 6
アンティオコス・エピファネスの死 1 アンティオコス王は、高地の国々を通過していたとき、豊富な金と銀で有名なエリマイスという町がペルシアにあることを耳にした。 2 その町の神殿は、驚くほど富んでいて、金の兜、胸当て、武器などがあったが、それはマケドニア人の王、フィリポスの子アレキサンドロスが残していったものである。このアレキサンドロスはギリシア人を統治した最初の人物である。 3 アンティオコスはその町の占領と略奪をもくろんで出陣したが、たくらみが事前に市民に漏れてしまったので、成功しなかった。 4 人々が彼に戦いを挑もうと立ち上がったからである。彼は恐れをなし、心を残しつつも、途中からくびすを返しバビロンへ戻ろうとした。 5 すると、ペルシアにいる彼のところに一人の男がやって来て、報告をもたらした。「ユダの地への派遣軍は敗走しました。 6 リシアスは最強の軍隊を率いて進軍しましたが、撃退されてしまいました。ユダヤ軍は、撃破した部隊から奪い取った多数の武器、装備、戦利品で軍を強化し、 7 王がエルサレムの祭壇にお建てになった『憎むべきもの』を引きずり下ろし、聖所を以前のように高い塀で囲み、王の町であったベトツルも同様に固めました。」 8 この言葉を聞いて、王は愕然として激しく震えだし、寝台に倒れ、心痛のあまり病気になってしまった。事が思うようにならなかったからである。 9 激痛が繰り返し襲ったので、彼は何日もそこにとどまることを余儀なくされた。彼は死が迫っていることを悟った。 10 彼は友人全員を呼び寄せて言った。「眠りはわたしの目を離れ、心労のため精も根も尽き果てた。 11 わたしは自問した。『なぜこんなにひどい苦痛に遭わされ、大波にもまれなければならないのか。権力の座にあったときには、憐れみ深く、人々には愛されていたのに』と。 12 しかし今、エルサレムで犯した数々の悪行が思い出される。わたしは不当にも、その町の金銀の調度品全部をかすめ、ユダの住民を一掃するため兵を送った。 13 わたしには分かった。こうした不幸がわたしにふりかかったのは、このためなのだ。見よ、わたしは大きな苦痛を負って、異郷にあって死ぬばかりである。」 14 そこでアンティオコスは、王の友人の一人フィリポスを招き、全王国の支配を任せた。 15 その上で、彼はフィリポスに、自分の王冠、王衣、指輪を手渡し、自分の息子アンティオコスを将来の王とするための指導と養育をゆだねた。 16 アンティオコス王はその地で死んだ。第百四十九年のことであった。 17 ところがリシアスは、王が死んだことを知ると、直ちに幼少のときから養ってきた王子アンティオコスを王として擁立し、彼に「エウパトル」という名称を付けた。 アンティオコス・エウパトルの攻撃 18 さて要塞守備兵たちは、イスラエル人を聖所周辺に閉じ込め、四六時中、悪事を繰り返して、異邦人たちの支えとなろうとしていた。 19 そこでユダは彼らを一掃しようと決意し、彼らを包囲するため、民全体を召集した。 20 人々は直ちに集まり、要塞を包囲し、投石機や攻城機を組み立てた。第百五十年のことである。 21 ところが敵のある者たちが包囲を破って抜け出すと、イスラエルの中の不敬虔な者の一部が、彼らに合流し、 22 王のところに行って訴えた。「早く断を下して、わたしたちの仲間のために報復してください。 23 わたしたちは喜んであなたの父君に仕え、そのおっしゃることに従い、御命令を忠実に守りました。 24 それが原因で、我々の民のある者たちは、要塞を包囲し、我々に敵対し、我々の仲間と見れば、これを殺し、我々の財産をかすめ取りました。 25 彼らは、単に我々に対してだけでなく、彼らの周辺のあらゆる国々にも手を下しました。 26 御覧ください。今日、彼らはエルサレムの要塞に対して陣を敷き、これを奪おうとしています。彼らはまた聖所とベトツルを強化しました。 27 […]
マカバイ記 一 5
隣接諸民族との戦い 1 周囲の異邦人たちは、祭壇が再建され、聖所も元どおりに奉献されたことを知って激怒し、 2 彼らの中にいるヤコブの子孫を一掃することを謀り、民の殺害と根絶に着手した。 3 ユダはイドマヤのエサウの子孫に対して、アクラバタで戦いを挑んだ。彼らがイスラエルを包囲したからである。ユダは彼らに手ひどい打撃を与え戦意を喪失させ、戦利品を奪い取った。 4 また彼はバイアンの子孫の悪行を忘れてはいなかった。彼らは路上に待ち伏せて、民に対する罠とつまずきとなっていたのである。 5 ユダは彼らを塔に閉じ込めて包囲し、呪いをかけて、そこにいた者たちもろとも塔に火を放った。 6 次いでユダはアンモンの子孫に向かったが、その数は多く、力は強大で、ティモテオスが彼らの指揮官であった。 7 ユダは彼らに対して戦闘を繰り返し、ついにこれを粉砕し、討ち滅ぼした。 8 ユダはまた、ヤゼルとそれに属する村々を占領し、ユダヤに帰還した。 ギレアドとガリラヤ在住のユダヤ人の危機 9 ギレアド地方の異邦人は、その地域に住むイスラエル人を一掃しようと連合した。イスラエル人はダテマの砦に逃れ、 10 ユダとその兄弟にあてて書簡を送った。「周囲の異邦人がわたしたちを一掃しようとして連合しています。 11 わたしたちが逃げ込んだ砦に攻め込んで占領しようと準備を整えています。敵軍の指揮官はティモテオスです。 12 すぐに来て、敵の手から救い出してください。わたしたちの中の多数の者は既に倒れ、 13 トビヤ地方にいる兄弟たちは全員殺害され、その妻子は捕らえられ、家財は略奪されて、およそ一千人の男が殺されました。」 14 その手紙を読んでいる最中に、別の使者たちが、ずたずたになった衣服を着けてガリラヤから到着した。彼らは、以下の報告をもたらした。 15 「プトレマイス、ティルス、シドン、それに異邦人のガリラヤ全域の者たちが連合し、わたしたちを根絶しようとしています。」 16 ユダと民はこれらの報告を聞くと大集会を開いた。艱難の中に置かれ、異邦人の攻撃にさらされている同胞たちのために何をなすべきかを協議するためであった。 17 ユダは兄のシモンに言った。「兵を選抜し、ガリラヤに行って同胞を救出してください。わたしは弟ヨナタンとギレアドに向かいます。」 18 ユダは、ザカリアの子ヨセフと民の指導者アザリアを残りの軍隊とともにユダヤに残してこれを守らせ、 19 彼らに命じた。「この民を統率せよ。我々が戻るまでは異邦人と戦ってはならない。」 20 ガリラヤに向かうためシモンには三千の兵が、ギレアドに向かうため、ユダには八千の兵が配属された。 シモンとユダ、同胞を救出 21 シモンはガリラヤに出撃し、異邦人たちと数々の戦闘を交え、眼前の敵を一掃した。 22 そして異邦人らをプトレマイスの門まで追撃し、三千人を倒して彼らから武具をはぎ取った。 23 更にシモンは、ガリラヤ地方とアルバタ地方に住んでいた同胞たちを、妻子や財産ともども奪回し、大いなる歓喜のうちにユダヤに連れ帰った。 24 一方、ユダ・マカバイと弟のヨナタンはヨルダン川を渡って、荒れ野を三日間進んだ。 25 一行はナバタイ人と出会った。ナバタイ人たちは彼らに丁重に接し、ギレアド在住のユダヤ人の身に起こったことをすべて彼らに語って聞かせた。 26 すなわち、ユダヤ人の多くがボソラ、アレマのボソル、カスフォ、マケド、カルナイムなど、いずれも強固で大きな町の中に閉じ込められ、 […]
マカバイ記 一 4
アマウスの勝利 1 さて、ゴルギアスは歩兵五千とえり抜きの騎兵一千の指揮をとり、夜陰に乗じて陣営を移動させた。 2 ユダヤ人の陣営に奇襲をかけ、これを殲滅する作戦であった。要塞にいた者たちが部隊の先導を務めた。 3 ユダはこれを察知し、兵を率い、アマウスにいる王の軍隊を撃とうと出立した。 4 敵が陣営を離れて分散している間に撃とうという作戦であった。 5 ゴルギアスがユダの陣に夜襲をかけると、そこはもぬけの殻であった。ゴルギアスは、「逃げられてしまった」と言って山地を探索した。 6 しかし、夜が明けると同時に、平野に三千の兵を率いたユダが現れた。彼らには、鎧も剣も十分には整っていなかった。 7 ユダの兵士たちは、異邦人の陣営が、騎兵を周囲に配し、完全に武装しているのを見た。敵はよく訓練された兵士であった。 8 そこでユダは仲間の兵士たちに言った。「敵の数を恐れるな。敵の勢いにおじけづくな。 9 かつてファラオが軍を率いて追って来たとき、我らの先祖がいかにして紅海で救い出されたかを思い起こせ。 10 今こそ天に向かって叫ぼう。『御心であるならば、どうか、先祖たちとの契約を思い起こしてください。我々の面前で今日、敵の陣営を打ち破ってください』と。 11 そうすれば、異邦人たちは皆、思い知るだろう。イスラエルを解放し、救済される方がおられることを。」 12 異国の兵たちは目を上げて、かなたから攻め上って来るユダの軍勢を認め、 13 これを迎え撃とうと出陣した。ユダの軍はラッパを吹き鳴らし、 14 白兵戦となった。異邦人はさんざん痛めつけられ、平野に逃げ去った。 15 しんがりの敵どもは皆剣にかかって倒れた。ユダの軍勢はゲゼル、イドマヤの平地、アゾト、ヤムニアにまで敵を追い、三千に上る敵を倒した。 16 ユダは兵と共に追撃を終えて戻り、 17 民に言った。「戦利品のことなど考えるな。まだ戦いは終わっていない。 18 ゴルギアスとその部隊もこの近くの山の中にいるはずだ。今は目の前の敵に立ち向かい、戦うのだ。その後で堂々と戦利品を手にするがよい。」 19 ユダがこう言い終えないうちに、山から様子をうかがっていた敵の一部が姿を現した。 20 彼らは、味方が遁走し、陣営に火が放たれたことを悟った。立ち昇る煙がその事実を明らかにしていたからである。 21 この光景を前にして彼らは大層おじけづき、またユダの陣営が平地で戦いの準備をしているのを見て、 22 ことごとく異国に逃げて行った。 23 そこでユダは陣営内の戦利品のところに引き返し、多量の金や銀、青や紫に染めた布のほか莫大な富を奪った。 24 全軍は帰還の途上、賛歌をうたい天を賛美した。「ほむべきかな。その憐れみはとこしえに変わることはない。」 25 こうして、この日イスラエルに大いなる救いがもたらされたのであった。 リシアスとの戦い 26 命拾いをした異国の兵士たちは、リシアスのもとにたどりついて、事の次第を余すところなく報告した。 27 […]
マカバイ記 一 3
ユダ・マカバイ 1 マタティアの息子、マカバイと呼ばれるユダが、父に代わって立った。 2 兄弟全員、またその父に従っていた者たち全員が彼を助け、進んでイスラエルの戦いを戦い抜いた。 3 民は彼によって、大いなる栄光を受けた。彼は、巨人のように、胸当てを着け、/武具に身を固めて、戦場に臨み、/剣をもって、陣営を守った。 4 その働きは、獅子にも似て、/獲物にほえかかる子獅子のようだ。 5 律法に従わない者たちを/捜し出しては追いつめ、/民を混乱させる者たちを、焼き殺した。 6 律法に従わない者たちは/彼を恐れて縮み上がり、/不法を行う者たちは皆、混乱した。救いの道は彼の手で開かれた。 7 彼は多くの王たちに苦汁をなめさせ、/その働きは、ヤコブを喜ばせ、/彼の名は永久に記憶され、たたえられる。 8 彼はユダの町々を経巡り、/そこに住む不敬虔な者たちを滅ぼし、/イスラエルから神の怒りを遠ざけた。 9 彼の名声は、地の果てにまで及び、/滅びようとしている者たちを呼び集めた。 10 アポロニオスはイスラエルとの戦いに備え、異邦人を召集し、サマリアからは大部隊を集めた。 11 これを知ったユダはアポロニオスを討つために出陣し、彼を破って打ち殺した。多数の敵が深手を負って倒れ、残りの者たちは逃げ去った。 12 兵たちは敵の武具をはぎ取り、ユダはアポロニオスの剣を奪った。彼は終生この剣で戦い抜いた。 ユダ、セロンを撃つ 13 シリア軍の司令官セロンは、ユダが信仰を共にして戦いに臨もうとする人々を集めて軍隊を編成したことを知り、 14 こう言った。「名をあげるにはまたとない好機だ。王国一の栄誉はおれのものだ。ユダとユダにくみして王の命令をないがしろにする者どもを打ち破ろう。」 15 彼は出陣した。彼を助けてイスラエルの子らに復讐をしようとする不敬虔な者どもの強力な群れがこれに加わった。 16 セロンはベト・ホロンの上り坂にさしかかった。ユダは彼を捕らえようと一握りの兵を引き連れて出撃した。 17 しかしこの兵たちは、大部隊が彼らを目がけて迫って来るのを見てユダにこう訴えた。「この人数で、どうしてこれほど強力な大軍を相手に戦えましょうか。それにわたしどもは今日は何も食べていないので、力もなくなっています。」 18 ユダは言った。「少人数の手で多勢を打ちのめすこともありうるのだ。天が救おうとされるときには、兵力の多少に何の違いのあるものか。 19 戦いの勝利は兵士の数の多さによるのではなく、ただ天の力によるのみだ。 20 敵はおごり高ぶり、不法の限りを尽くして我々を妻子ともども討ち滅ぼし、我々から略奪しようとやって来ている。 21 しかし、我々は命と律法を守るために戦うのだ。 22 天が我々の目の前で敵を粉砕してくださる。彼らごときにひるむことはない。」 23 こう語り終えると、ユダは敵陣に不意打ちをかけ、セロンとその軍勢を打ち破り、 24 ベト・ホロンの下り坂から平野まで追撃して八百人を倒した。生き残った敵はペリシテの地に逃げ込んだ。 25 ユダとその兄弟に対する恐怖の念が広まり、恐怖が周囲の異邦人たちを震え上がらせた。 26 その名は王の耳にまで達し、ユダの戦いぶりが異邦人の間でも語りぐさになった。 ペルシアおよびユダヤへの王の遠征計画 […]
マカバイ記 一 2
マタティアとその子ら 1 さて、シメオンの子であるヨハネの子で、ヨヤリブの子孫の祭司であったマタティアは当時エルサレムを離れてモデインに住んでいた。 2 マタティアには五人の息子がいた。通称ガディと呼ばれるヨハネ、 3 タシと呼ばれるシモン、 4 マカバイと呼ばれるユダ、 5 アワランと呼ばれるエレアザル、アフスと呼ばれるヨナタンである。 6 マタティアはユダとエルサレムで起こっている冒涜の数々を目にして、 7 言った。ああ、なぜわたしは生まれたのか、/わが民の滅亡と/聖なる都の滅亡を見るためなのか。都が敵の手に/聖所が他国人の手に渡っているのに、/わが民はなすすべもなくそこに座している。 8 神殿は栄誉を奪われた者のようになり、 9 栄えある祭具類は分捕り品として持ち去られ、/乳飲み子らは大路で殺され、/若者たちは敵の剣に倒れた。 10 この国に主権を主張せず、/その戦利品に手を掛けぬ民族が/かつてあったであろうか。 11 この国は、その飾りをすべてはぎ取られ、/自由を失い、奴隷となり果てた。 12 見よ、我らの聖所、/その麗しさ、その栄光は、荒れ果て、/異邦人が、これを汚した。 13 我らにまだ生きる望みがあるのだろうか。 14 マタティアと息子たちは衣服を裂いて粗布をまとい、声をあげて泣いた。 15 時に、背教を強いる王の役人たちが、異教のいけにえを献げさせるためにモデインの町にやって来た。 16 多くのイスラエル人が彼らを迎えに出、マタティアとその息子たちも集められた。 17 そこで王の役人たちは、マタティアに言った。「あなたはこの町では有力な指導者であり、御子息や御兄弟の信望もあつい。 18 率先して王の命令を果たしてもらいたい。これはすべての民族が実行しているもので、ユダの人々も、エルサレムに残留している者たちも行っているのだ。そうすれば、あなたや御子息たちは王の友人と認められ、金銀、その他多くの報奨を受ける栄誉にあずかるであろう。」 19 マタティアは大声でこれに答えて言った。「たとえ王の領土内に住む全民族が王に従い、各自その先祖の宗教を捨てて王の命令に服したとしても、 20 このわたしと息子たち、同胞たちはわたしたちの先祖の契約を守って歩みます。 21 律法と掟を捨てるなど、論外です。 22 わたしたちの宗教を離れて右や左に行けという王の命令に、従うつもりはありません。」 23 マタティアが語り終えたとき、一人のユダヤ人が一同の前に進み出て、王の命令に従いモデインの異教の祭壇にいけにえを献げようとした。 24 これを見たマタティアは律法への情熱にかられて立腹し、義憤を覚え、駆け寄りざまその祭壇の前でこの男を切り殺した。 25 またその時、いけにえを強要しに来ていた王の役人の一人をも殺し、この祭壇を引き倒した。 26 それは、あのサルの子ジムリに対してピネハスがしたような、律法への情熱から出た行為であった。 27 マタティアは町の中で大声をあげて言った。「律法に情熱を燃やす者、契約を固く守る者はわたしに続け。」 […]
マカバイ記 一 1
アレキサンドロスとその後継者 1 マケドニアのフィリポスの子アレキサンドロスはキッテムの地から兵を挙げ、ペルシアとメディアの王ダレイオスを粉砕し、彼に代わってまずヘラス地方に覇を確立した。 2 アレキサンドロスは更に戦いを重ね、砦を落とし、各地の王の首をはね、 3 地の果てまで突き進んで多くの民族の間で略奪を働いた。全地は彼の前に沈黙し、彼の心はおごり高ぶった。 4 途方もなく強大な軍を組織して、諸国、諸民族、支配者たちに君臨し、彼らに貢を強要した。 5 だが、やがてアレキサンドロスは病床に伏す身となった。彼は死期を悟ると、 6 幼少のときから共に育てられた腹心の部将たちを呼び寄せ、息のあるうちに王国を彼らに分与した。 7 こうしてアレキサンドロスは十二年の統治の後に死に、 8 かの部将たちはそれぞれ、分与された地で権力を振るうことになった。 9 すなわち、部将たちは彼の死後、皆王冠をいただき、その子孫が多年にわたり跡を継ぎ、地には悪がはびこることとなった。 アンティオコス・エピファネスの登場 10 そしてついには彼らの中から悪の元凶、アンティオコス・エピファネスが現れた。彼はアンティオコス王の王子でローマに人質として送られていたが、ギリシア人の王朝の第百三十七年に王として即位した。 11 この間、イスラエルには律法に背く者どもが現れ、「周囲の異邦人と手を結ぼう。彼らと関係を断ってから万事につけ悪いことばかりだから」と、多くの者に説いて回っていた。 12 人々の目にはこれは得策だと映ったので、 13 民の中のある者たちは進んで王のもとに出かけて行き、異邦人の慣習を採用する許可を受けた。 14 こうして彼らは異邦人の流儀に従ってエルサレムに錬成場を建て、 15 割礼の跡を消し、聖なる契約を離れ、異邦人と軛を共にし、悪にその身を引き渡した。 アンティオコスの遠征と神殿略奪 16 アンティオコスは自国シリアに対する支配権が固まったと見ると、エジプトの地を征服して、二つの王国を支配しようと企てた。 17 戦車と象を持つ大部隊と大艦隊を率いてエジプトに攻め入り、 18 エジプト王プトレマイオスに対して戦いを挑んだ。プトレマイオスは背を向けてアンティオコスの前から逃げ出し、多くの者が傷つき倒れた。 19 アンティオコス軍はエジプトの地にある要塞都市を次々に攻め落とし、その地で略奪をほしいままにした。 20 こうしてエジプトを打ち破った彼は、第百四十三年、矛先をイスラエルに転じて大軍と共にエルサレムを目指して上って来た。 21 アンティオコスは不遜にも聖所に入り込み、金の祭壇、燭台とその付属品一切、 22 供えのパンの机、ぶどう酒の献げ物用の壺と杯、金の香炉、垂れ幕、冠を奪い、神殿の正面を飾る金の装飾をすべてはぎ取った。 23 更に金や銀や貴重な祭具類、隠されていた宝をも見つけ出して奪い取った。 24 そしてすべてを略奪すると故国に帰った。彼は人々を殺戮し、高言を吐き続けていた。 25 イスラエルの全地に、大いなる悲しみがあふれ 26 指導者、長老らは苦悶の声をあげ/年若き男女はやつれ果て/女たちの美しさは色あせ […]
エレミヤの手紙 1
バビロニア人の王によって捕らえられ、バビロンに連れて行かれようとしている人々に、神から命じられたことを伝えるため、エレミヤが送った手紙の写し。 1 あなたたちがバビロニア人の王ネブカドネツァルによって捕らえられ、バビロンに連れて行かれようとしているのは、神に対して罪を犯したからです。 2 バビロンに行ったら、何年もの間、七代にも及ぶ長期間そこにとどまることになるでしょう。しかしその後、神はあなたたちを平和のうちに連れ戻してくださいます。 3 バビロンでは、金や銀や木でできた神々の像が肩に担がれて、異邦の民に恐れを抱かせているのを見るでしょう。 4-5 気をつけなさい。群衆が神々の像を前から後ろから伏し拝むのを見て、あなたたちまでが異国から来た民に似た者となり、それらを恐れるようなことがあってはなりません。むしろ心の中で、「主よ、伏し拝むべき方はあなたです」と言いなさい。 6 神の使いがあなたたちと共にいて、あなたたちの生活を見守っているからです。 7 神々の像は金や銀で覆われ、その舌は職人が磨き上げたものであり、まやかしにすぎず、口を利くこともできません。 8 おしゃれな娘にでもしてやるように、人々は金で冠を作り、 9 神々の像の頭に載せています。ときには祭司たちが、神々の像から金や銀をくすねて自分のものとし、 10 その一部を神殿娼婦に与えることもあります。神々の像は、人間にするように、衣で飾られますが、もともと銀や金や木でできていて、 11 さびと虫食いから身を守れないのです。紫の衣をまとってはいますが、 12 自分の上に神殿の埃が積もるために、顔をふいてもらう有様です。 13 また、地方総督のように笏を持ってはいますが、自分に対して罪を犯す者を殺すことができません。 14 右手に短剣や斧を持ってはいますが、戦争や盗賊から身を守ることもできません。このように、それらの像が神でないことははっきりしているのですから、恐れてはなりません。 15 人間が作った器は、壊れてしまえば何の役にも立ちませんが、 16 彼らの神々の像も同じようなもので、神殿に据えられているだけのものです。その目は、出入りする人々がたてる埃にまみれています。 17 また、王に危害を加えた者を死刑にするとき城門を閉ざすように、祭司たちは神殿を扉と鍵とかんぬきで固めて、盗賊に略奪されないようにします。 18 祭司たちは必要以上にともし火をともしますが、神々の像はそのともし火一つ見ることができないのです。 19 神々の像は、あたかも神殿の梁のようなもので、よく言われるように、その内部は虫に食われています。地からわいた虫が体や衣をかじっても、何も感じません。 20 その顔は神殿に漂う煙で黒ずんでいます。 21 その体や頭の上を、こうもりやつばめ、小鳥が飛び交い、猫までやって来ます。 22 このようなことで、それらの像が神でないことは分かるはずですから、恐れてはなりません。 23 神々の像を美しく装わせるためにはり付けた金も、だれかがその曇りをふき取らなければ輝きません。鋳型に流し込まれたときも、何も感じていませんでした。 24 莫大な値段で買い求められますが、それらは息をしていません。 25 歩けないので人間の肩に担がれ、自分の不名誉をさらけ出し、それに仕える者でさえ恥ずかしい思いをしています。 26 というのは、神々の像は地面に倒されると、もう自分では立ち上がれず、まっすぐに立たされても自分では動けず、傾けられても身を起こせないからです。その前には、献げ物が供えられていますが、死人の前に置いたも同然です。 27 祭司たちは、神々の像に供えられたいけにえを売ってもうけ、その妻たちもその幾分かを塩漬けにしてしまい込み、貧しい者や弱い者に分けようとはしません。 28 月のもののある女や、子を産んだばかりの女も、いけにえに平気で触れています。これらのことから、それらの像が神でないことは分かるのですから、それらを恐れてはなりません。 […]
バルク書 1
序言 1 本書は、ケルキア、ハサディア、セデキアの子孫でマフセヤの孫、ネリヤの子バルクがバビロンで書いたものである。 2 それは、カルデア人がエルサレムを占領し、焼き払ってから五年目、かの月の七日のことである。 3 バルクは本書を、ユダの王エホヤキムの子エコンヤや、本書を聞くために集まった民全体に読んで聞かせた。 4 そこには、有力者、王子たち、長老たち、身分の低い者から高い者に至るまで、バビロンのスド川のほとりに住むすべての人々がいた。 5 人々は涙を流し、断食をして主に祈った。 6 また、おのおのの分に応じて金を集め、 7 それをシャルムの孫でヒルキヤの子である大祭司ヨアキムと、彼と共にいる他の祭司たちおよび民全体にあてて、エルサレムに送った。 8 既にバルクは、神殿から奪い去られた主の家の祭具を、ユダの地に返すためにシワンの月の十日に受け取っていた。これらの祭具は銀製で、ユダの王ヨシヤの子ゼデキヤが造ったもので、 9 それが造られたのは、バビロンの王ネブカドネツァルが、エコンヤ王をはじめ、高官、囚人、有力者、地の民をエルサレムから移してバビロンへ連れ去った後のことである。 エルサレムへの手紙――悔い改めの勧め―― 10 さて、人々はこう書き添えた。わたしたちはこのお金をあなたたちに送ります。これで焼き尽くす献げ物と贖罪の献げ物と香を買い求め、穀物の献げ物を調え、神なる主の祭壇にささげ、 11 バビロンの王ネブカドネツァルとその子ベルシャツァルの長寿を祈り、天が続く限り生き永らえるように願いなさい。 12 そうすれば、主はわたしたちに力を授け、わたしたちの目に輝きを与えてくださり、わたしたちはバビロン王ネブカドネツァルとその子ベルシャツァルの保護のもとで暮らし、長く彼らに仕えて彼らの好意を受けるでしょう。 13 わたしたちのためにも、神なる主に祈ってほしい。わたしたちは神なる主に罪を犯し、今日に至るまで、主の憤りと怒りがわたしたちから離れ去らないからです。 14 一緒に送る書を祝祭日や定められた日に主の家で朗読しなさい。そして罪を告白して、 15 こう言いなさい。わたしたちの神なる主は正しい方であるのに、わたしたちの顔は今日、恥で覆われています。ユダの人々、エルサレムに住む人々、 16 わたしたちの王、高官、祭司、預言者、先祖たちも皆そうです。 17 それは、わたしたちが主に対して罪を犯し、 18 主に背いたからです。わたしたちは神なる主の御声に耳を傾けず、主がわたしたちに与えてくださった命令に従いませんでした。 19 主がわたしたちの先祖をエジプトの地から導き出された日から今日に至るまで、わたしたちは神なる主に背き、主を軽んじて、御声に耳を貸しませんでした。 20 そのためわたしたちは今日、数々の災いと呪いに付きまとわれているのです。この呪いは、主が乳と蜜の流れる地をわたしたちに与えようと、先祖をエジプトの地から導き出された日に、その僕モーセを通して宣告されたものです。 21 わたしたちは、主から遣わされた預言者のあらゆる警告を無視して、神なる主の御声に聞き従わず、 22 おのおの、よこしまな心の思いのままに歩んで、他の神々に仕え、神なる主の御前で悪を行いました。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/BAR/1-3ff3f77d5ea31bbf4fe5779ff3b52c28.mp3?version_id=1819—
バルク書 2
1 それで主は、わたしたちや、イスラエルを治めていた士師たち、王たち、指導者たち、それに、イスラエルとユダの人々に対して発せられた警告を実行に移されました。 2 主は、モーセの律法に記されているとおりにエルサレムで行われたのです。このようなことは天の下、どこにも起こったことはありませんでした。 3 わたしたちは自分の息子や娘の肉を食べたのです。 4 主はわたしたちを周辺のすべての王国に服従させ、周りのすべての民の中に追い散らして辱めと絶望を味わわせられました。 5 こうしてわたしたちは、支配する者ではなく、仕える者となりました。神なる主の声に聞き従わず、主に対して罪を犯したからです。 6 わたしたちの神なる主は正しい方です。しかし、わたしたちとわたしたちの先祖は今日、恥辱にまみれています。 7 主がわたしたちに宣告されたありとあらゆる災いが、わたしたちに襲いかかったのです。 8 わたしたちは、おのおのよこしまな心の思いを断って、主のもとに戻れるよう主に祈ることをしませんでした。 9 それで主は、わたしたちの悪事から目をそらさず、災いを下されました。主がわたしたちにどのようなことをなさっても、主は正しいのです。 10 しかしわたしたちは、神の御声に耳を傾けず、主がわたしたちに与えてくださった命令に従いませんでした。 11 イスラエルの神なる主よ、強い手、しるし、不思議な業、大いなる力、それに高くかかげた腕をもって御自分の民をエジプトの地から導き出し、今日見られるように御名を高められた、 12 わたしたちの神なる主よ、わたしたちはあなたのすべての掟に背いて罪を犯し、不敬虔なふるまいをし、義を行いませんでした。 13 あなたの怒りをわたしたちから去らせてください。諸国の民の中に散らされ、そこで数少ない者となったからです。 14 主よ、わたしたちの祈りと願いを聞き入れ、御自身の栄光のためわたしたちを救い出し、わたしたちを連れ去った者たちの前で恵みをお与えください。 15 あなたがわたしたちの神なる主であること、イスラエルとその子孫があなたの名をいただいていることが、あまねく知れ渡りますように。 16 主よ、あなたの聖なる住まいからわたしたちを顧み、心に留めてください。主よ、耳を傾け、聞いてください。 17 目を開いて見てください。陰府におり、息を肉体から取り去られた者は、主に栄光と義を帰することができません。 18 ただ、人を押しつぶし弱らせる大きな苦しみに遭って嘆き悲しむ魂と、視力の衰えた目、飢えた魂が、主よ、あなたに栄光と義を帰するのです。 19 神なる主よ、御前で憐れみを祈り求めるのは、わたしたちの先祖や王たちが正しかったからというわけではありません。 20 あなたの僕なる預言者を通して語られたとおり、あなたはわたしたちに憤りと怒りを下されました。彼らは言いました。 21 「主はこう仰せになる。『お前たちは背をかがめてバビロンの王に仕えよ。そうすれば、わたしがお前たちの先祖に与えた地にとどまれるだろう。 22 しかし、バビロンの王に仕えよとの主なるわたしの声に従わないならば、 23 わたしはユダの町々とエルサレムの周辺から、楽しみの声と喜びの声、花婿の声と花嫁の声を絶やし、全地は住む者のない荒れ地と化すであろう。』」 24 しかしわたしたちは、バビロン王に仕えよとのあなたの声に聞き従いませんでした。そこで、あなたは僕なる預言者たちを通して語られた言葉を実行されました。わたしたちの王と先祖たちの骨がその墓から取り出されたのです。 25 御覧ください。これらの骨は、昼は暑さに、夜は霜にさらされています。彼らは飢えや剣や疫病にいたく苦しんで死んだのです。 26 またあなたは、御名をいただいている家を、イスラエルの家とユダの家の悪のゆえに、今日のようになさいました。 27 それでも、わたしたちの神なる主よ、あなたは限りない寛容と深い憐れみをわたしたちに示してくださいました。 28 […]