エズラ記(ラテン語) 12

1 獅子が、この言葉を鷲に話していたとき、わたしが見ていると、 2 見よ、生き残っていた頭は消えうせ、その頭のところに移っていた二つの翼が立ち上がって支配した。その治世は、短く、騒乱が絶えなかった。 3 更に見ていると、二つの翼も消えうせて、鷲の体全体が燃えだした。そして地は恐れおののいた。 幻の説明 わたしは心がひどく乱れて、強い恐れにかられて目を覚ました。そしてわたしの霊に向かって言った。 4 「見よ、お前がいと高き者の道を探り出そうとするので、こういうことになったのだ。 5 見よ、わたしの心は疲れ、わたしの霊は弱りきっている。今夜、わたしが受けた恐怖があまりに大きかったので、わたしの中にはわずかな力もなくなっている。 6 だから今、最後までわたしを強めてくださるようにいと高き方に祈ろう。」 7 そしてわたしは祈った。「統べ治められる方、主よ、もし御好意にあずかっているのでしたら、そしてもし、わたしが多くの人々にまさって御前で正しい者とされ、また、わたしの願いが御顔の前に届きますなら、 8 わたしを強めてください。あなたの僕であるわたしに、この恐ろしい幻のはっきりとした解き明かしをして、わたしの魂を十分に慰めてください。 9 あなたはわたしを、時の終わりと終末のことを示すのに、ふさわしい者と見なしてくださったからです。」主は言われた。 10 「あなたの見た幻を解き明かせばこのようになる。 11 海から昇って来るのが見えたあの鷲は、あなたの兄弟ダニエルの幻に現れた第四の王国である。 12 しかし、彼にはわたしが今、あなたに解き明かしているように、あるいは既に解き明かしたようには、明らかにされていなかった。 13 見よ、時が来て、地上に一つの王国が興る。その王国は、それまでにあったどんな王国よりも、恐ろしいものである。 14 そこでは、十二人の王が次から次へと支配するであろう。 15 第二の王は、支配し始めると十二人の中のだれよりも長く治めることになる。 16 これがあなたの見た十二の翼の解き明かしである。 17 あなたは、声が鷲の頭からでなく、体の真ん中から出て来て話すのを聞いた。 18 それを解き明かせばこうである。この王国の時代の後半に、小さくはない争いが生じて、王国は滅亡の危機に瀕する。しかし、その時には倒れず、再び力を取り戻す。 19 また、あなたは翼に八つの下翼がついているのを見たが、 20 それを解き明かせばこうである。その王国に八人の王が立つが、彼らの時代は短く、その年はすぐに終わってしまう。その中の二人は、時半ばにして滅びてしまう。 21 しかし四人は、王国の終わりの時が近づくまで残るが、最後まで残るのは二人だけとなる。 22 あなたはまた、動かないでいる三つの頭を見たが、 23 それを解き明かせばこうである。その王国の終わりの時に、いと高き方は三つの王国を興す。彼はそこで多くのことを新たにする。王たちは地を支配し、 24 そこに住む人々を、以前のどの王たちよりも大きな苦しみを味わいつつ支配する。このため、彼らは鷲の頭と呼ばれたのである。 25 彼らこそ不敬虔を繰り返し、世の終末をもたらす者である。 26 あなたは大きな頭が消えうせるのを見た。それは、彼らの中の一人が寝床で死ぬが、しかし苦しみながら死ぬということである。 27 […]

エズラ記(ラテン語) 13

第六の幻 海から昇る人 1 七日の後、夜わたしは夢を見た。 2 見よ、海から風が起こり、潮の流れが逆巻いていた。 3 わたしが見ていると、見よ、人が天の雲とともに飛んでいた。彼が顔を向けて見つめると、見つめられたものは皆、震え上がった。 4 彼の口から声が出ると、どこでもその声を耳にした人は皆、蝋が火に触れて熔けるように燃え上がった。 5 その後、わたしが見ていると、見よ、無数の人々の群れが天の四方から集まって来て、海から昇って来た人と戦おうとしていた。 6 更に見ていると、見よ、その人は自分のために大きな山を刻み出し、その上に飛び上がった。 7 わたしは、山が刻み出された地方または場所を見ようとしたが、できなかった。 8 その後、更に見ていると、彼と戦おうとして、集まって来た人々は皆、ひどく恐怖にかられたが、それでもあえて戦い始めた。 9 すると、見よ、彼は群衆の襲撃を見ても手を上げず、投げ槍も取らず、何の武器も取らなかった。ただわたしが目にしたのは、 10 彼が口から火の流れのようなものを、唇から炎の息を、舌からは稲妻の嵐を発している有様だった。そして、火の流れと炎の息と大嵐はすべて、同時に混ざり合った。 11 それは、戦おうとして襲って来た群衆の上に落ち、すべての者を焼き尽くした。すると、たちまち無数の群衆は見えなくなり、灰の粉と煙のにおいだけになってしまった。わたしはこれを見て驚いた。 12 この後、わたしは、この人が山から下りて、別の平和な群衆を自分のもとに招いているのを見た。 13 彼のもとに、様々な顔の人々が近づいて来た。喜んでいる者もいれば、悲しんでいる者もいた。ある者は縛られており、ある者は差し出すべく捕虜を引き連れていた。わたしは非常に恐ろしくなって、目を覚まし、いと高き方に祈った。 幻の説明 14 「あなたは初めから、僕にこれらの不思議を示され、わたしを認めて願いを受け入れるにふさわしい者とされました。 15 今、また、わたしにこの夢の解き明かしをしてください。 16 わたしが思いますには、その日まで残された人々は不幸ですが、残されなかった人々はもっと不幸です。 17-18 残されなかった人々は、終わりの日に備えられているものを知りながら、それに達しえないと分かって悲しみを味わうからです。しかし残された人々も、 19 不幸なのです。というのも、この夢が示しているように、大きな危険と多くの苦しみに遭うのですから。 20 それでも、雲のようにこの世から去って行き、終わりの日に起こることを見ないよりは、危険に遭いながらも、終わりの日に至る方が、まだましです。」主はお答えになった。 21 「幻の解き明かしをしよう。また、あなたが話したことについても明らかにしよう。 22 あなたは残された人々と、残されなかった人々について語ったが、それを解き明かせばこのようになる。 23 その時に危険をもたらす方こそ、危険に陥る人々を守り、彼らは全能者のために働き、信仰を保つ者となるだろう。 24 だから、死んだ人々より、残された人々の方が、はるかに幸せであることを知るがよい。 25 幻を解き明かせば、このようになる。あなたは、海の中から人が上がって来るのを見たが、 26 この人こそいと高き方が長い間取って置かれた人である。この人は自分で自分の被造物を解放し、残された人々の運命を定めるであろう。 27 あなたは、彼の口から風と火と嵐が出るのを見た。 […]

エズラ記(ラテン語) 14

第七の幻 序文 1 三日目に、わたしは樫の木の下に座っていた。 2 すると、見よ、灌木の茂みからわたしに向かって、「エズラ、エズラ」という声がした。わたしは、「主よ、ここにおります」と言って立ち上がった。主は言われた。 3 「わたしの民がエジプトで奴隷だったとき、わたしは灌木の茂みの中で自らを啓示して、モーセに語った。 4 そして彼を遣わして、わたしの民をエジプトから導き出した。そして彼をシナイ山の上に連れて行き、何日もの間、わたしのもとに引き止めておいた。 5 そこで彼に多くの不思議な業を語り、時の秘密と時の終わりとを示した。そしてわたしは彼に命じた。 6 『この言葉は公にし、また、この言葉は秘密にしておきなさい』と。 7 今あなたに言う。 8 わたしが示したしるしと、あなたが見た夢、また、あなたが聞いた解き明かしを心に秘めておきなさい。 9 あなたは人々の中から挙げられて、わたしの子と、あなたのような人々と共に、時が終わるまで暮らす。 10 世は既に若さを失い、時は老年期に近づいている。 11 この世は十二の時期に分かれ、既に九つの時期と、更に第十の時期の半分が過ぎている。 12 残っているのは、第十の時期の半分と、あと二つの時期だけである。 13 だから今、あなたの家を整え、あなたの民を戒めなさい。卑しめられている人々を慰め、既に腐り切った生活を返上しなさい。 14 はかない考えを追い払い、人間的な重荷を捨て、弱い本性を脱ぎ捨てなさい。そして、あなたにとって何とも煩わしい思いを打ち捨て、急いでこの時代から逃げ出しなさい。 15 あなたは今、いろいろな災いが起こるのを見たが、これよりももっと悪いことが起こるだろう。 16 この世が年老いて弱くなればなるほど、世に住む人々の上に悪が増し加わる。 17 真理はますます遠ざかり、偽りが近づいている。あなたが幻で見た鷲が、既に急いでやって来つつあるからである。」 啓示の記録について 18 わたしは言った。「主よ、言うべきことは申し上げました。 19 確かに、お命じになったとおり、わたしは行って今生きている民を戒めましょう。しかし、後に生まれて来る人々には、だれが警告するのでしょうか。 20 この世は暗闇の中にあり、世に住む人々には光がありません。 21 あなたの律法が焼かれたので、あなたが既になさったことも、どんな御業が始まるのかも知る人はいないからです。 22 もしわたしが御好意にあずかっているのでしたら、わたしの中に聖なる霊をお送りください。初めから世に起こったことすべてと、あなたの律法に記されていたこととを書きましょう。そうすることによって、人々は道を見いだすことができ、生命を望む人は終わりの時に生きるのです。」 23 主はわたしに言われた。「行って民を集め、四十日間はあなたを捜してはいけないと言いなさい。 24 あなたは多くの書き板を用意して、サレア、ダブリア、セレミア、エタヌス、アシエルを連れて来なさい。この五人は速記のできる人々です。 25 そしてここに来なさい。わたしは、あなたが書き始めたものが終わるまで、消えることのない知恵の火をあなたの心にともそう。 26 出来上がったら、あるものは公にし、あるものは知恵ある者たちにひそかに渡しなさい。明日のこの時間に書き始めなさい。」 […]

エズラ記(ラテン語) 15

付録の諸預言 近づく災難 1 主は言われる。「さあ、わたしがあなたの口に送り込む預言の言葉を、わたしの民の耳に語りなさい。 2 そして彼らにそれを書き取らせなさい。その言葉は真実で、信頼できるからである。 3 あなたに対する悪だくみを恐れてはならない。あなたに敵対する人々の不信仰に動揺してはならない。 4 不信仰な人々は皆、不信仰のゆえに滅びるからである。」 5 主は言われる。「見よ、わたしは地に災いを、剣と飢えと死と滅びとをもたらす。 6 不正が全地を覆い、彼らの行いが行き着くところまで来てしまっているからである。」 7 主は言われる。 8 「それゆえ、彼らが行う不敬虔に対して、わたしはもう黙ってはいない。わたしは、彼らの不正なふるまいを忍耐しないだろう。見よ、潔白で正しい者の血が、わたしに向かって叫んでいる。正しい人々の魂が、絶え間なく叫び続けている。」 9 主は言われる。「わたしは確かに不敬虔な者たちに報復しよう。そして彼らの中のすべての潔白な人々の血を、わたしのところに受け入れよう。 10 見よ、わたしの民は家畜のように、屠殺場に引かれていく。わたしはもはや彼らが、エジプトの地に住むことに耐えられない。 11 わたしは、力ある手、伸ばした腕をもって民を救い出そう。そして、かつてのように災難でエジプトを打ち、彼らの地をすべて滅ぼそう。 12 エジプトは嘆き悲しむがよい。主が引き起こされる災難によってその大地の基が打ちたたかれるのだ。 13 地を耕す農夫たちは嘆き悲しむがよい。彼らの種は尽き、木々は熱風と雹と恐るべき嵐によって荒らされるのだから。 14 世と世に住む人々は不幸である。 15 まもなく、彼らは剣で滅ぼされるのだから。民族は民族に対して、手に剣を取って戦いに立ち上がる。 16 人々は自分たちの力を頼みにし、互いに相手を圧倒しようとして、王や位の高い指導者たちなど気にもとめない。 17 人は、町に入ろうとしても、入ることはできない。 18 町は人々の傲慢のために乱され、家はつぶされ、人々は恐れおののくからである。 19 人は隣人を憐れまず、家に剣を持って押し入り、持ち物を奪うであろう。パンに飢え、苦しみが多いからである。」 20 主は言われる。「見よ、わたしは地のすべての王たちを北から、南から、東から、東南東から呼び集め、彼らが自らに立ち帰って、与えられていたものを返すように命じる。 21 わたしの選んだ人々に対して彼らが今日に至るまで行ってきたように、わたしも行い、彼らにそれを突き返す。」主なる神はこう言われる。 22 「わたしの右手は、罪を行う者たちを赦さず、剣は、地上で罪なき人々の血を流した者たちを、見逃しはしない。 23 火が主の怒りから出て、地の基と罪人たちとを、燃えるわらのように焼き尽くす。 24 罪を犯し、わたしの戒めを守らない者は不幸である。」主は言われる。 25 「わたしは彼らを赦さない。主に背いた者たちよ、立ち去れ。わたしの聖所を汚してはならない。」 26 神は御自身に対して罪を犯す者を知っておられる。だからこそ、神は、彼らを死と殺害に渡されるのである。 27 […]

エズラ記(ラテン語) 16

エズラの哀歌 1 バビロンとアジアよ、お前は不幸だ。エジプトとシリアよ、お前は不幸だ。 2 お前たちは粗布をまとい、息子たちのため嘆き悲しむがよい。お前たちの苦しみが近づいたからである。 3 お前たちには剣が突きつけられている。だれがそれを避けることができようか。 4 お前たちに対して火が放たれた。だれがそれを消すことができようか。 5 お前たちに災いが臨んでいる。だれがそれを払いのけることができようか。 6 森の飢えた獅子を、だれが追い払うことができようか。燃えついた敷きわらを消すことができようか。 7 力強い射手の放った矢を、跳ね返すことができようか。 8 神である主が、災いを送られるのだ。だれがこれを跳ね返すことができようか。 9 火は神の怒りから発せられるのだ。だれがこれを消すことができようか。 10 稲妻がひらめく。だれが恐れずにいられようか。雷鳴がとどろく。だれがおびえずにいられようか。 11 主が威嚇されるのだ。だれがその御前で打ち砕かれずに済むだろうか。 12 大地とその基は震え、海は深みから波立ち、波も魚も主の御前で、主の御力の威光に騒ぎ立つ。 13 弓を引く方の栄光は力強く、放たれる矢は鋭く、地の果てまで届かずにはおかない。 14 見よ、災いが送られる。それは、地上に達せずに戻ることはない。 15 火が放たれる。火は地の実りを焼き尽くすまで消えることはない。 16 強力な射手によって放たれた矢が引き返すことがないように、地上に送られた災いも引き返すことはない。 17 わたしはもうだめだ。もうだめだ。だれがその日にわたしを救ってくれるだろうか。 18 嘆きが始まり、多くの人があえぎ苦しむ。飢えが始まり、多くの人が滅びる。戦いが始まり、権力者たちが恐れる。災いが始まり、人々はそれにおののく。 19 災いが襲うとき、どうすればよいのか。 20 見よ、飢えの打撃が襲って来る。その苦しみは鞭のようだ。それは戒めのための懲らしめ。 21 それにもかかわらず、人々は不正を改めず、これらの懲らしめにもかかわらず、その懲らしめを永久に思い起こすことはない。 22 見よ、地上では、しばらくの間穀物の値が下がり、平和が身近に迫ったと感じられるようになるだろう。しかし、そのときこそ、災いが地上に咲き乱れる。それは剣と飢えと大混乱である。 23 飢えが、地上に住む多くの人々を滅ぼし、剣が、飢えを免れて生き残った人々を追い散らす。 24 死体は糞土のごとく投げ捨てられ、人々を慰める者もいない。地は荒れるにまかされ、町々は崩壊していく。 25 地を耕し、種を蒔く農夫は一人も残されないだろう。 26 木々は実をつけたとしても、だれがそれを刈り取るだろうか。 27 ぶどうは収穫をもたらしたとしても、だれがそれを搾るだろうか。どこも荒れほうだいになるであろう。 […]

エズラ記(ギリシア語) 1

ヨシヤと過越祭 1 ヨシヤはエルサレムで主のために過越祭を行った。すなわち彼は、第一の月の十四日に、過越の小羊を屠り、 2 式服を着用した祭司たちを組ごとに、主の神殿で日々の奉仕に当たらせた。 3 彼はイスラエルの神殿で奉仕するレビ人にこう言った。「ダビデの子ソロモン王の建てた神殿に、主の聖なる箱を納めるにあたって、主のために身を清めよ。 4 あなたたちはもはやこの箱を肩に担ぐ必要はない。あなたたちの神、主に仕え、民イスラエルへの奉仕に励め。あなたたちの先祖と部族ごとに、またイスラエルの王ダビデの書に従い、その子ソロモンのときのように盛大な過越を準備せよ。 5 また、兄弟であるイスラエルの子らに奉仕するように定められた、あなたたちレビ人の先祖の役割分担に従って、神殿の中の持ち場につき、 6 過越の小羊を規定に従って屠り、あなたたちの兄弟のためにいけにえを用意し、主がモーセに与えられた指示どおりに過越祭の準備をせよ。」 7 次いでヨシヤは、集まった民に、三万匹の小羊または子山羊、三千頭の子牛を与えた。それは、約束どおり王室から民や祭司、レビ人に対して贈られたものだった。 8 また神殿の主管であるヒルキヤ、ゼカルヤ、エシエルも、この過越祭のために、二千六百匹の小羊、三百頭の子牛を祭司たちに贈った。 9 千人隊長たち、すなわちエコニア、シェマヤ、その兄弟ネタンエル、ハシャブヤ、オキエル、ヨラムらも、過越祭のために、五千匹の小羊と七百頭の子牛をレビ人に与えた。 10 さて、次に祭司とレビ人は、モーセの書に書き記されている規定どおりに主に供えるため、部族ごとにその先祖の役割分担に従って酵母を入れないパンを持って、民の先頭に整然と立った。それは早朝のことであった。 11 彼らは、規定に従って過越の小羊を火でよくあぶり、他のいけにえは、青銅の器と鍋の中に入れ、香料と一緒に煮て、参集した民全員のもとへ運んだ。 12 その後レビ人は、自分たちのため、またアロンの子孫で兄弟である祭司のために過越の食事を用意した。 13 というのも、祭司が脂肪を献げるのに夜遅くまでかかっていたので、レビ人は自分たちのため、またアロンの子孫で兄弟である祭司のために用意しなければならなかったからである。 14 アサフの子孫で詠唱者たちは、王宮に属していたアサフやザカリアやエディヌスと共にダビデが定めた掟に従って、その任務についた。 15 門衛たちも、それぞれの門についていた。兄弟であるレビ人がみんなのために準備をしてくれたので、だれも日々の職務を離れる必要はなかった。 16 こうしてヨシヤ王の命令に従って過越の小羊が引き出され、他のいけにえが主の祭壇の上に運ばれ、主にいけにえを献げる儀式は、その日一日で終わった。 17 そのとき居合わせたイスラエルの子らは、過越祭と七日間にわたる除酵祭を祝った。 18 預言者サムエルの時代以来、これほどの過越祭がイスラエルで祝われたことはなかったし、 19 また、ヨシヤが、祭司、レビ人、ユダヤ人、そしてエルサレムに居住しているすべてのイスラエル人と共に祝ったような、これほどの過越祭を祝った者は、イスラエルの歴代の王の中に一人もいなかった。 20 この過越祭は、ヨシヤ王の治世の第十八年に祝われた。 21 敬神の念のあついヨシヤは、主の前に正しく行動した。 22 彼の時代の出来事、すなわち、イスラエルの民がすべての民族や王国以上に主に対して罪を犯し、不敬虔にふるまったこと、彼らが主を深く悲しませたこと、ついには、主の言葉がイスラエルに臨んだことなどは昔の記録に書き残されている。 ヨシヤの死 23 さて、この儀式がすべて終了したとき、エジプト王ファラオがユーフラテス河畔のカルケミシュを目指して攻め上って来た。そこでヨシヤは、これを迎え撃つために出陣した。 24 するとエジプト王は、彼のもとへ使者を派遣して言った。「ユダヤの王よ、これはわたしのことで、あなたには関係がない。 25 わたしが主なる神から遣わされたのは、あなたを討つためではない。わたしの戦いは、ユーフラテス河畔で行われるのだ。今、主はわたしと共におられ、わたしを急がせておられる。撤退せよ。主に逆らうな。」 26 しかし戦車に乗っていたヨシヤは引き返そうとはせず、預言者エレミヤが語った主の言葉を無視して彼と一戦を交えることを決意した。 27 […]

エズラ記(ギリシア語) 2

キュロスとアルタクセルクセス キュロスの布告 1 ペルシアの王キュロスの治世の第一年、エレミヤの口を通して語られた主の言葉を成就させるため、 2 主はペルシア王キュロスの霊を呼び起こされた。王は王国全土に布告し、書面をもって次のように告げた。 3 「ペルシア王キュロスは、宣言する。イスラエルの主、いと高き主は、わたしを世界の王とし、 4 ユダヤの地エルサレムに主のための家を建てよ、とわたしに告げられた。 5 もしあなたたちの中に主の民に属する者があればその者と共に主がおられるように。その者はユダヤのエルサレムへ上り、イスラエルの主の家を建てよ。主はエルサレムに住まわれる。 6 それゆえわたしの王国に居住する者は皆、金と銀、馬と家畜、それにエルサレムの主の神殿にこれまで献げられていた満願の献げ物を添えて、この民を援助せよ。」 7 そこでユダとベニヤミン族の家長、祭司とレビ人たち、更には主がその霊を呼び起こされた者すべては、上って行ってエルサレムに主の家を建てようという意欲に燃えた。 8 周りの人々はその心を呼び起こされて、金と銀、馬と家畜それに多くのよりすぐった満願の献げ物をもって彼らを援助した。 9 そしてキュロス王は、ネブカドネツァルがかつてエルサレムから持ち出して偶像の宮に納めておいた主の聖なる祭具類を運び出した。 10 これらのものを運び出させたペルシア王キュロスは、それを財務官ミトレダトに渡し、 11 その者を通して、ユダヤの指導者サナバサルに渡した。 12 その数は金杯千、銀杯千、銀の香炉二十九、金の器三十、銀の器二千四百十、その他の祭具類千である。 13 引き渡された祭具類の総計は、金製・銀製合わせて五千四百六十九であった。 14 サナバサルは、捕囚を解かれた者と共に、バビロンからエルサレムへそれを持ち帰った。 アルタクセルクセス王あての書簡と王の返書 15 さて、ペルシア王アルタクセルクセスの時代になって、サマリアとその他の土地に駐在していたベスレム、ミトレダト、タベリ、レフム、ベエルテエム、書記官シムシャイとその同僚はユダヤとエルサレムに住む者たちを訴えて、以下のような書簡を王のもとへ送った。 16 「主なるアルタクセルクセス王へ。陛下の僕、行政官レフム、書記官シムシャイをはじめ、評議会の議員たち、およびコイレ・シリアとフェニキアの裁判官たちより。 17 主なる王よ、次のことを御報告申し上げます。陛下の所よりわたしたちのもとへやって来たユダヤ人たちが、エルサレムに入り込み、あの反逆と悪意の都の再建に着手し、町の広場と城壁とを修復し、神殿の基礎工事に取りかかっております。 18 もしこの都が再建され、城壁が完成すれば、彼らは貢ぎ物を納めるのをやめ、王たちに反抗するようになるでしょう。神殿の再建工事が進行しておりますが、わたしたちは、こういう事態が看過されるべきものでないことを、主なる王に進言申し上げます。また、もし陛下がよしとされるならば、陛下のもとにございます王家伝来の諸書をお調べくださるよう、お願い申し上げます。 19 そうすれば陛下は、記録の中に、ただ今申し上げたことが書き記されていることを発見されるはずであり、この町が反抗的で王たちや周辺の町々を苦しめてきたこと、更に、そこに住むユダヤ人たちも、古来、反抗的でしばしば戦いを仕掛け、そのためこの町が荒廃してしまったことがお分かりになるはずです。 20 そこで今わたしたちは、陛下に申し上げます。主なる王よ、もしこの町が再建され、その城壁が修復されますならば、コイレ・シリアとフェニキアへの陛下の道は閉ざされるでしょう。」 21 この書簡を読んだ王は、記録官レフム、ベエルテエム、書記官シムシャイ、およびサマリア、シリア、フェニキアに駐在するこの者たちの同僚あてに以下の返書を書き送った。 22 「わたしは、あなたたちからの手紙を読んで、事実調査を命じた。この結果、その町は、古来、歴代の王に背き、 23 住民は町中で反乱や戦を引き起こし、権力を持った過酷な王どもがエルサレムでコイレ・シリアとフェニキアを支配し、彼らに対して貢ぎ物を強要していたことが判明した。 24 そこでわたしは、ユダヤ人どもが町を再建するのを阻止するよう命ずる。この命令に一切背かせてはならない。また、かつて王たちを悩ませた悪行を繰り返させてはならない。」 25 アルタクセルクセス王の返書が読み上げられるとレフム、書記官シムシャイ、およびその同僚たちは、騎兵と武装した一隊を率いて、直ちにエルサレムに向かい、再建工事に当たっている者たちの妨害を始めた。 26 こうして、エルサレムの神殿の再建工事は、ペルシア王ダレイオスの治世第二年まで中断されることになった。 […]

エズラ記(ギリシア語) 3

ダレイオス ダレイオスの宴と三人の護衛のかけ 1 さてダレイオス王は盛大な宴を張り、配下のすべての者や王族全員、メディアとペルシアの全高官、 2 インドからエチオピアに至るまでの百二十七州に配属されている太守、指揮官、地方総督全員を招いた。 3 彼らは心行くまで飲み食いして散会した。ダレイオス王は寝室に退いて眠りに就き、やがて目を覚ました。 4 その間、王の身辺警護に当たっていた三人の若者が互いに言った。 5 「さあ、この世の中で何がいちばん強いかを一人ずつ言ってみよう。ダレイオス王は、最も賢明な解答をした者に、きっと高価な贈り物と豪華な褒美をくださるにちがいない。 6 その者は紫の衣を身にまとい、金の杯で酒を飲み、黄金の床で眠り、金の手綱をつけた戦車に乗り、上質の亜麻布で作られたかぶり物と首飾りをつけ、 7 またその知恵のゆえに、ダレイオス王の隣に座ることを許され、ダレイオス王の親族と呼ばれるにちがいない。」 8 そこで彼らは、各自その答えを書いて封をすると、それをダレイオス王の枕の下に置いた。彼らは言った。 9 「お目覚めになったら、その書きつけは王に渡され、王とペルシアの三人の高官が、だれの答えが最も賢いかを判定し、その内容に応じてその者に褒美をくださるであろう。」 10 そこで一人は、いちばん強いものは酒、と書いた。 11 もう一人の若者は、いちばん強いものは王、と書いた。 12 三人目は、いちばん強いものは女たち、しかし真理はすべてにまさる、と書いた。 13 王が目覚めると書きつけが手渡された。王はそれを読むと、 14 使いを遣わして、ペルシアとメディアの高官、太守、指揮官、地方総督、および執政官全員を召喚した。王が審問の席に着くと、一同の前で書きつけが読み上げられた。 15 王は言った。「若者たちを呼び入れ、本人たちにこの言葉を説明させよ。」彼らは呼ばれて入って来た。 16 一同は若者たちに言った。「お前たちが書いたことについて説明せよ。」 第一の若者の説明 17 [16] そこで、酒の力と書いた第一の者が口をきり、次のように言った。 18 [17]「皆さん、酒こそいちばん強いものではないでしょうか。酒は、これを飲むすべての者の精神を混乱させ、 19 [18]王であろうと孤児であろうと、奴隷であろうと自由人であろうと、貧乏な人であろうと金持ちであろうと、皆を同じ精神状態に陥らせます。 20 [19]それはすべての人を陽気にし、楽しませ、すべての悲しみ、すべての負債を忘れさせます。 21 [20]またそれは、すべての人の心を大きくし、相手が王であることも太守であることも忘れさせ、まるで対等であるかのように語らせます。 22 [21]また、酒を飲めば、友人や兄弟たちに対する友情を忘れ、突然剣を抜くことさえあります。 23 [22]そして酔いからさめると、何をしたかは覚えておりません。 24 [23]皆さん、酒とはこれほどの力を持っているのですから、これこそいちばん強いものではないでしょうか。」彼はこう語ると、口をつぐんだ。 —https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/1ES/3-8c345c643ddc016d61d130192ff9b408.mp3?version_id=1819—

エズラ記(ギリシア語) 4

第二の若者の説明 1 次に、王の力と書いた第二の者が語り始めた。 2 「皆さん、大地と海とその中のもの一切を支配する人間こそ、いちばん強いとお考えにはなりませんか。 3 しかし、王は更に力あるお方です。王は彼らすべての主人であり君臨者でもあり、彼らは王の一切の命令に聞き従います。 4 王が彼らに向かって互いに戦えと命じれば戦い、王が彼らを敵のもとへ遣わせば、出かけて行き、山であれ城壁であれ、見張りの塔であれ、それを征服いたします。 5 彼らは殺すにつけ殺されるにつけ、王の命令に背くようなことはありません。もし勝利者となればなったで、彼らは略奪物やその他すべてのものを王のために持ち帰ります。 6 一方、兵役を免れ戦争には出ず、土地を耕す者たちも、種を蒔いて刈り入れをするときには、いつもその収穫物を王に献上いたします。彼らは競い合って王に貢ぎ物を納めます。 7 王自身はただ一人ですが、王が殺せと命じれば兵たちは殺し、許してやれと命じれば許します。 8 王が撃てと命じれば彼らは撃ちます。廃虚にしてしまえと命じれば廃虚にし、建てよと命じれば建てます。 9 王が切り倒せと命じれば彼らは切り倒し、植えよと命じれば植えます。 10 すべての民と軍隊は王に聞き従います。更に王は横になって食事をとり、酒を飲み、眠ります。 11 この間、人々は王の身辺を警護し、だれ一人として持ち場を離れて自分のことをすることは許されず、王への服従のみが要求されるのです。 12 皆さん、人々はこのように王に聞き従っているのです。王こそ最も力あるお方ではございませんか。」こう言って、彼は口をつぐんだ。 第三の若者の説明 13 次に、女たちと真理と書いた第三の者――その名をゼルバベルという――が語り始めた。 14 「皆さん、確かに王は偉大であり、人間も数多く、酒の力も強いでしょう。ところで、いったいこれらのものの支配者、これらのものの主人はだれなのでしょうか。それは女たちではないでしょうか。 15 女こそが王とすべての民とを生んだのです。王は海と大地とを支配しています。 16 しかし彼らは女から生まれたのです。ぶどう園を切り開く者たちも女が養い育て、そのお陰で酒がとれるのです。 17 女はまた、男の衣装を作り、男のために栄光を添えます。女あっての男なのです。 18 男は、たとえ金や銀、その他ありとあらゆる美しいものをかき集めても、容姿端麗な一人の女を見れば、 19 それらすべてのものを打ち捨てて彼女に見とれ、口を開けて見つめている始末です。男たる者は例外なく、金や銀、その他の美しいものよりも女を選びます。 20 男は自分を育て上げてくれた父親と故郷とを捨て、自分の女と一つになります。 21 男は女にうつつを抜かし、父母や故郷を忘れてしまいます。 22 以上のことから、あなたがたも女に支配されているのだということを知っていただかねばなりません。あなたがたは汗水垂らして働いておられますが、結局は女のもとにすべてを持って行き与えてしまうではありませんか。 23 男は、盗みを働き、かすめるために剣を取り、故郷を捨てて海や川を渡ります。 24 獅子に出くわすこともあれば、また暗闇の中を歩くこともあります。だが彼は、かすめたり奪ったり略奪したりしても、いつも愛する女のもとへそれを携えて行きます。 25 男は父や母よりも自分の女を愛します。 26 多くの男が、女のために理性を失い、また女のゆえに奴隷となります。 27 […]

エズラ記(ギリシア語) 5

帰還部隊の編成 1 この後、家長たちが部族ごとに選び出され、それぞれ妻や子供たち、男女の奴隷、家畜などと共にエルサレムへ上ることとなった。 2 ダレイオスは、彼らを無事エルサレムに帰還させるまでの護衛として千人の騎兵を同行させ、人々は太鼓や笛などの楽器を携えて行った。 3 同胞の者たちは皆、喜々として進んで行った。ダレイオスが騎兵を同行させたからである。 4 これは部族名、氏族名および職名ごとに分類した、エルサレムへ上って行った男子の名である。 5 アロンの子ピネハスの一族である祭司たち、サラヤの子ヨツァダクの子イエシュア、ユダ族のペレツの一族とダビデの家のシェアルティエルの子ゼルバベルの子ヨアキム。 6 ヨアキムはペルシアの王ダレイオスの前で、王の治世の第二年第一の月、ニサンの月に知恵ある言葉を語った人である。 キュロスの治下 キュロス王の時代に帰還した者の名 7 さて、バビロンの王ネブカドネツァルが、バビロンへ移住させた者たちの中で、さきに捕囚を解かれて寄留先から帰還したユダヤ出身の者たちは以下のとおりであった。 8 彼らはエルサレムやユダヤのその他の地の、それぞれの町へ戻って行った。彼らは自分たちの氏族の長ゼルバベル、イエシュア、ネヘムヤ、ザラヤ、レサヤ、エネニ、モルドカイ、ベエルサル、アスファラス、ボロリア、ロイム、バアナと一緒にエルサレムへ戻ったのであった。 9 民の数とその指導者たち。パルオシュの一族二千百七十二人。サファトの一族四百七十二人。 10 アラの一族七百五十六人。 11 パハト・モアブの一族はイエシュアとヨアブの一族から出て二千八百十二人。 12 オラムの一族千二百五十四人。ザトの一族九百四十五人。コルベの一族七百五人。バニの一族六百四十八人。 13 ベバイの一族六百二十三人。アスガドの一族三千三百二十二人。 14 アドニカムの一族六百六十七人。ビグワイの一族二千六十六人。アディンの一族四百五十四人。 15 ヒズキヤの子アテルの一族九十二人。キランとアゼタの一族六十七人。アズルの一族四百三十二人。 16 ハニアの一族百一人。アロムの一族、ベツァイの一族は三百二十三人。ハリフの一族百十二人。 17 ベテルスの一族三千五人。ベトロモンの一族百二十三人。 18 ネテバの一族五十五人。エナトの一族百五十八人。ベタスモンの一族四十二人。 19 キリヤト・エアリムの一族二十五人。ケフィラとベエロトの一族七百四十三人。 20 カディアサイとハミディオイ人は四百二十二人。キラマとゲバ一族六百二十一人。 21 マカロン一族百二十二人。ベトリオン一族五十二人。ニフィスの一族百五十六人。 22 別のカラモとオノの一族七百二十五人。エリコの一族三百四十五人。 23 セナアの一族三千三百三十人。 24 祭司。イエシュアの子イエドの一族九百七十二人。イメルの一族千五十二人。 25 パシェフルの一族千二百四十七人。ハリムの一族千十七人。 26 レビ人。イエシュア、カドミエル、バヌス、ホデヤの一族は七十四人。 […]