ユディト記 4

イスラエル人、抗戦を決意する

1 さて、ユダヤに住むイスラエル人は、アッシリア人の王ネブカドネツァルの軍総司令官ホロフェルネスが諸国の民に対して行ったすべてのこと、殊に彼らの神聖な場所すべてを荒らし破壊し尽くしたその手口を聞き、

2 彼の来襲を前にしてひどくおびえた。そしてエルサレムと神なる主の神殿のために非常に心配した。

3 それというのも、彼らが捕囚の地から帰って来たのは最近のことであり、ユダヤの民が全員集まって、汚された祭具類、祭壇、神殿を清めたのも、つい先ごろのことだったからである。

4 そこで彼らはサマリアの全域、コナ、ベト・ホロン、ベルマイン、エリコ、それにコバ、ハイソラ、およびサレムの谷に使いを送り、

5 高い山の頂はすべてあらかじめ確保させ、そこにある村々を武装させた。更に、畑は収穫が済んだところだったので、人々は戦いに備えて食糧を蓄えた。

6 当時エルサレムにいた大祭司ヨアキムは、ドタンの近くに広がる平野エスドレロンに面する二つの町、ベトリアとベトメスタイムの住民に指令を書き送って、

7 山地への登り道を固めるように命令した。これらの道はユダヤに通ずる入り口であり、しかも道幅は狭く二人がやっと通れるほどであったため、登って来ようとする者を容易に阻むことができたからである。

8 イスラエルの人々は、大祭司ヨアキムと、エルサレムで開かれた全イスラエル長老議会の命じるとおりに実行した。

全イスラエル、神の助けを祈る

9 イスラエルの男子は皆、心から神に向かって叫び、厳しく節制に努めた。

10 彼らも、その妻や子供たちも、家畜も、また、すべての同居人や雇い人も、金で買われた奴隷も、皆、粗布を腰にまとった。

11 エルサレムに住むイスラエル人は皆、男も女も子供たちも神殿の前にひれ伏し、頭に灰をかぶって主の御前に粗布をあらわにした。

12 また、祭壇まで粗布で覆い、心を一つにして熱心にイスラエルの神に向かって叫び、子供たちがさらわれたり、妻たちが奪われることのないように、また、先祖から受け継いだ町々が滅ぼされ、聖所が汚されて諸国の民のそしりとあざけりを誘うことのないように願った。

13 主は彼らの声に耳を傾け、その苦悩に目を留められた。民はユダヤの各地とエルサレムにおいて、何日もの間、全能の主の聖所の前で断食を続けており、

14 大祭司ヨアキムと主に仕えるすべての祭司および主に奉仕する者たちは、粗布を腰にまとって、日ごとの焼き尽くす献げ物のほか、民の満願の献げ物や随意の献げ物をささげ続けていたのである。

15 彼らはずきんの上に灰をかぶり、主に向かって力の限り叫び、主がイスラエルのすべての民を顧み救ってくださるように祈っていた。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/4-3408cf726678bbc281643e2013fa5160.mp3?version_id=1819—

ユディト記 5

ホロフェルネスの対イスラエル作戦

1 アッシリア軍の総司令官ホロフェルネスは、イスラエル人が戦いに備えて山地への通路を封鎖し、高い山の頂をすべて固め、平野には障害工作を施したとの報告を受けて、

2 激怒した。そこでモアブの指導者たち、アンモンの将軍たち、海岸地方の知事たちをことごとく召集して、

3 次のように言った。「カナンの人々よ、わたしに告げよ。この山地に住んでいるのはどういう民か。どの町に住んでいるのか。軍勢はどれほどか。その力とその強さは何によるのか。王として彼らに君臨し、軍隊を指揮しているのはだれか。

4 この西方の住民の中で、なぜ彼らだけがわたしを迎えに出るのを拒むのか。」

アンモン人の指揮官アキオルの陳述

5 すると、全アンモン人の指揮官アキオルは次のように述べた。「わが主君よ、どうかこの僕の語ることをお聞きください。この辺りの山地に住むその民について、ありのままをお話しいたします。この僕の話すことに偽りはございません。

6 この民はカルデア人の血を引いており、

7 以前にはメソポタミアに居留していました。と申しますのは、彼らは、カルデアの地に住んでいた先祖たちの神々に従うことを望まず、

8 親たちの歩んだ道を離れ、天の神、彼らが知るに至った神を礼拝するようになったため、カルデア人によってその神々の前から追い払われました。そのため彼らはメソポタミア地方へ逃れ、そこに久しい間居留することになったのです。

9 その後、居留地を出てカナンの地へ行け、という神の言葉に従って、彼らはカナンに定着し、金銀や多くの家畜を豊かに得ました。

10 カナン全土が飢饉に見舞われたとき、彼らはエジプトへ下りましたが、食糧が得られる間そこに居留し、その地で彼ら一族は数えきれぬほどの、大きな集団となりました。

11 ところが、エジプトの王が彼らを敵視するようになり、エジプト人は狡猾にも彼らにれんが作りの苦役を押しつけて虐げ、彼らを奴隷としたのです。

12 それで彼らは神に向かって叫びました。すると彼らの神はエジプト全土に災害を送り込み、いやしがたい打撃を与えました。そのためエジプト人は彼らを追い出しました。

13 神は彼らの行く手の紅海を干上がらせ、

14 シナイからカデシュ・バルネアへと彼らを導いたのです。彼らは荒れ野の住民たちをことごとく追い散らし、

15 次いでアムル人の地に住み、力をもってヘシュボンの人々を全滅させました。更に、彼らは、ヨルダン川を渡って、山地をすべて領有するに至ったのです。

16 彼らは、カナン人、ペリジ人、エブス人、シケム人およびすべてのギルガシ人を追い出して、多年、そこに住んでいました。

17 彼らは、神に対し罪を犯さない間は栄えました。不義を憎む神が共におられたからです。

18 しかし、神の定めた道を離れたとき、度重なる戦いで彼らは完膚なきまでに打ちのめされ、捕囚となって異国の地へ連れ去られ、また、神殿は壊されて土台を残すのみとなり、町々は敵の支配下に置かれました。

19 しかし今や、彼らは神に立ち帰って、離散していた各地から戻り、神殿のあるエルサレムを取り戻し、また、荒れ果てていたこの山地にも定着するようになったのです。

20 偉大なる主君よ、もし、この民に過失があって、彼らが神に対して罪を犯しており、彼らのうちにこの弱みがあることを確認できたならば、攻め上って彼らと戦うことにいたしましょう。

21 しかし、もし、この民に何ら不法行為がなかった場合には、わが主君よ、どうかこのままお通り過ぎください。彼らの主、彼らの神が彼らを守って、我々が世界中の譴責を受けることになってはいけませんから。」

22 アキオルがこれらのことを語り終えたとき、天幕の周りに立っていた者は皆不満の声をあげ、ホロフェルネスの高官たち、また海岸地方やモアブの住民たちは皆、アキオルを八つ裂きにしてしまえと言った。

23 「我々はイスラエル人など恐れはしない。彼らには強力な軍団を持つだけの力も強さもありはしない。

24 主君ホロフェルネスよ、攻め上りましょう。彼らはわが軍の恰好の餌食です。」

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/5-effb84da2e87798d717c3171720fe719.mp3?version_id=1819—

ユディト記 6

ホロフェルネスの裁断

1 会議の場に集まって来ていた人々のざわめきが収まると、アッシリア軍の総司令官ホロフェルネスは、すべての外国人兵士の前で、アキオルとモアブ人全体に向かって言った。

2 「エフライムの傭兵どもを率いるアキオルよ、お前はいったい何者だ。今したように、お前は我々に向かって、イスラエル人とは戦うな、彼らの神が彼らを守る、と預言する気でいるのか。ネブカドネツァル王のほかにどんな神がいるというのか。王はやがて軍隊を送ってイスラエル人を地上から滅ぼし尽くすが、彼らの神は彼らを救うことはできないであろう。

3 王の僕である我々にとって彼らを討つことなど、人間一人を討つのと同じだ。我々の騎兵の力に太刀打ちできはしまい。

4 騎兵をもって彼らをけ散らしてくれよう。山々は彼らの血に酔い、野はしかばねに満ちるであろう。我々の向かうところ、彼らはその足跡すら残すことなく完全に滅び去るのだ。これは全地の主なるネブカドネツァル王のお言葉である。実にそう言われたのだ。王の言葉はむなしくなることはない。

5 アンモンの傭兵アキオルよ、お前のその言葉によってこの日はお前の災いの日となった。今日より後、エジプトを出て来たこの民にわたしが制裁を下すその時まで、お前はわたしの前に出ることはない。

6 やがてわたしがお前に向かうとき、わが軍の剣とわが側近の槍がお前のわき腹を刺し貫き、お前は負傷者たちの間に倒れるであろう。

7 今、わたしの従者がお前を山地に連れて行き、山の斜面に立つ町の一つに引き渡す。

8 お前は、その町の人々と共に滅ぼされるまでは、死ぬことはないであろう。

9 その町々が占領されることはあるまい、と心に期待するところがあるのなら、顔を伏せるな。わたしの言うことはこれだけだ。わたしの言葉は一つとして実現せずに終わることはない。」

アキオル、イスラエル人に引き渡される

10 そこでホロフェルネスは、天幕の中に控えていた従者たちに、アキオルを捕らえてベトリアに連れて行き、イスラエル人の手に引き渡すよう命令した。

11 従者たちは彼を捕らえて陣営の外に引き出し、平野を進んで中程から山地に向かい、ベトリアの下の泉に着いた。

12 山頂の町の人々は彼らに気づくと、おのおの武器を取って町から出、投石隊の者は皆、彼らの登ってくる道を固めて、その頭上に投石を始めた。

13 そこで彼らは山陰に身を隠すとアキオルを縛り、山のふもとに置き去りにして、自分たちは主人のもとに帰った。

14 やがてイスラエル人たちは町を下りて来てアキオルの縄を解いてやり、ベトリアへ連れて行って町の指導者たちの前に立たせた。

15 当時の指導者は、シメオン族の三人で、ミカの子オジア、ゴトニエルの子カブリス、メルキエルの子カルミスであった。

16 彼らは町の長老たちを召集した。そしてその集会の場所に若者や女たちも皆、駆け集まって来た。町の指導者たちがアキオルを皆の中央に立たせると、オジアが何が起こったのか説明を求めた。

17 アキオルは、ホロフェルネスの会議の内容、すなわちアッシリア人の指導者たちの前で彼が語ったすべてのことと、イスラエルの民についてホロフェルネスが言ったすべてのことを話した。

18 すると人々はそこにひれ伏して神を礼拝し、声をあげて祈った。

19 「天の神なる主よ。彼らの思い上がりを御覧ください。そして我らの民のへりくだりを憐れに思い、あなたのために聖別されたこの民に、今日こそ御目を留めてください。」

20 人々はアキオルを激励し、大いに称賛した。

21 オジアは集会から彼を自分の家に連れ帰り、長老たちのために酒宴を催した。その夜、彼らは夜もすがらイスラエルの神に助けを呼び求めた。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/6-edf2349ec7ba5b2bc50a45036d481a30.mp3?version_id=1819—

ユディト記 7

ベトリア包囲作戦

1 明くる日、ホロフェルネスはその全軍と、彼の支援隊に加わったすべての民に、陣営を畳んでベトリアに向かい、山地への登り道を先に制圧してイスラエル人を攻撃せよ、と命じた。

2 強力な兵士たち全員が、即日、移動を開始した。軍勢は、歩兵十七万、騎兵一万二千の兵士たちと、このほか荷駄や徒歩で続く男たちから成っており、おびただしい人の群れであった。

3 彼らはベトリアに近い谷の、泉のそばに陣を張った。その陣営の広がりはドタンを越えてベルバイムに至り、その長さはベトリアからエスドレロンに面するキアモンにまで及んだ。

4 イスラエル人は人の群れを見てひどく動揺し、互いに言い合った。「この者たちは、今に全地の面をなめ尽くすだろう。高い山も、谷も丘も、彼らの重みに耐えられはしない。」

5 そしておのおの武器を取り、塔の上でかがり火をたいて、その夜は一晩中警戒に当たった。

6 二日目、ホロフェルネスは、ベトリアのイスラエル人が見ている前に全騎兵隊を引き出して、

7 町への登り道を検分し、また、水源を巡ってそれらを確保した後それぞれに兵士の一隊を配して野営させ、自分は本陣に戻った。

8 エサウの民の指導者とモアブの民の指揮官が皆、海岸地方の将軍たちと共に進み出て、言った。

9 「我らの主君よ、どうか我々の進言を聞き入れてください。そうすればあなたの軍隊が損傷を受けることはないでしょう。

10 イスラエルの子孫であるこの民が頼りにしているのは武器ではなく、今住んでいる山の高さです。実に、山頂に達するのは容易なことではありません。

11 主君よ、彼らに対しては戦列による攻撃戦法をもって戦ってはなりません。あなたの民のうち一人たりとも失うことがあってはならないからです。

12 あなたは陣営にいて全軍の兵士をそこに留め置き、この僕どもに山のふもとにわき出る水源を占拠させてください。

13 ベトリアの全住民はそこから水を得ています。やがて彼らは渇きに打ちのめされ、町を明け渡すことでしょう。我々は手勢を連れ、近くの山の頂に登ってそこに陣取り、町からだれ一人出る者のないように見張ります。

14 彼らはその妻も子も飢えのために弱り果て、剣が彼らに臨むまでもなく、ここかしこの街角に倒れ伏すことでしょう。

15 こうして、あなたに逆らい、平和のうちにあなたを迎えることを拒んだ彼らに対して、存分に報復することがおできになるのです。」

16 この進言はホロフェルネスと側近の者たち皆の気に入り、そのとおり実行に移せという命令が下された。

17 そこでアンモン人たちは陣営を畳み、アッシリア人五千と共に谷に進んで陣を張り、イスラエル人の水とその水源を奪い、確保した。

18 次いでエサウの民とアンモン人はドタンに面した山地へ進み、そこに陣を張った。彼らはそのうち一隊を南東の方向に、すなわち、モクムル川のほとり、クスの近くのエグレベルに向かって派遣した。アッシリア軍の残りの者は平野に陣取ったが、彼らは地の面を埋め尽くし、天幕と物資は陣営にあふれ、その軍勢は巨大なものになっていた。

ベトリアの危機

19 イスラエル人は、周囲をすっかり敵に包囲されて脱出することがかなわなくなり、士気を失い、神なる主に向かって叫びをあげた。

20 アッシリアの全軍は、歩兵も戦車も騎兵も総動員で、三十四日間包囲を続け、ベトリアの住民のどの水がめも底をついた。

21 貯水池もかれ始めたため、飲み水は配給制となり、存分に飲むことのできる日は一日もなかった。

22 幼い子らは弱り果て、女も若者も渇きにあえいで街角や町の門の通路に倒れ伏し、もはや立ち上がる力はなかった。

23 そこで、民はこぞって、若者も女も子供も、オジアと町の指導者たちのところに押し寄せ、長老たちの前で大声で言った。

24 「神があなたがたとわたしたちの間を裁いてくださいますように。あなたがたはアッシリア人と和議を結ばなかったことで、わたしたちに多大の不義を行ったのです。

25 もう、わたしたちに助け主はありません。それどころか、神はわたしたちを敵の手に売り渡されたので、わたしたちは渇きとひどい消耗のため、敵の目の前で倒れていくのです。

26 今すぐ、彼らを呼び入れ、この町をそっくり戦利品として、ホロフェルネスの民と全軍に渡してください。

27 わたしたちは捕虜になる方がまだいいのです。奴隷にされたとしても、命は助かるし、それに、目の前で赤子が死に、妻や子供たちが息を引き取っていくのを見ないで済むからです。

28 天と地にかけて、また我らの神、我らの先祖の神なる主、わたしたちの罪と先祖の罪に応じて今わたしたちに罰を下される神にかけてお願いします。この願いのとおり、今日、必ず実行してください。」

29 このとき、心を一つにして集まっていた人々の間から激しいすすり泣きが起こり、やがて神なる主に向かっての大いなる叫びとなった。

30 しかし、オジアはこう言った。「兄弟たちよ、頑張ってくれ。あと五日耐え抜こう。その間にきっと、神なる主は憐れみをもって我らを顧みてくださる。我々を全く見捨ててしまわれるはずがないのだ。

31 もし五日たっても助けが来ないなら、そのときあなたがたの願いどおりにしよう。」

32 オジアは人々をそれぞれの持ち場に帰らせた。彼らは町の城壁や塔に戻って行った。女や子供たちも家に帰された。町中が失意の底に沈んでいた。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/7-9200b58ba933078ce76b6df8e85f84f7.mp3?version_id=1819—

ユディト記 8

ユディトの略歴

1 このことはやがてユディトの耳にも入った。彼女はメラリの娘で、祖父はヨセフの子オクス、さかのぼって、オジエル、ヘルキア、ハナニア、ゲデオン、ラファイン、アキトブ、エリウ、ケルキア、エリアブ、ナタナエル、シェルミエル、ツリシャダイそしてイスラエルに至る。

2 ユディトの夫マナセは彼女と同族で、同じ家系に属していたが、大麦の刈り入れのときに死んだ。

3 畑で麦を束ねる人々の監督をしていたとき、日射病にうたれて床に就くようになり、故郷のベトリアで死に、ドタンとバラモンの間の野に、先祖と共に葬られた。

4 ユディトはやもめとなって三年四か月の間、家に引きこもっていた。

5 彼女は自分の家の屋上に天幕を張り、腰に粗布を着け、喪服を身にまとった。

6 そして、やもめとなって以来、安息日とその前日、新月の日とその前日、およびイスラエルの祝祭日のほかは毎日、断食をした。

7 彼女は非常に美しく、魅力的な女性であった。彼女には夫マナセが残した金銀や男女の召し使い、それに家畜や土地があったが、これらを立派に管理した。

8 また、深く神を畏れるひとであったので、だれも彼女を悪く言う者はなかった。

ユディト、神への信頼を説く

9 さて、水不足のために不安にかられた人々が町の指導者オジアを非難したことは、ユディトの耳にも入った。また、オジアが人々に答えたその内容もすべて、すなわち、五日後に町を明け渡すと誓ったことも彼女は知った。

10 それでユディトは、家政全般を取りしきらせている侍女を遣わして、町の長老のオジアとカブリスとカルミスを招いた。

11 彼らがやって来るとユディトは言った。「ベトリアの住民の指導者である方々、どうかわたしの申し上げることをお聞きください。今日、人々の前であなたがたが言われたことは、間違っています。あなたがたは神に誓いを立て、もし、所定の期日までに主が救いの手を差し伸べてくださらなければ、敵に町を明け渡す、と言って約束なさいました。

12 いったいあなたがたは何者ですか。あなたがたは今日、神を試みたうえに、神に代わって人々の間に君臨しようとしているのです。

13 今、あなたがたが瀬踏みをしている相手は、全能の主です。いつまでたっても何も分かりはしないでしょう。

14 人間の心の奥すら見通せず、その思いを理解することもできないのに、どうして、万物を造られた神の心を探ってこれを悟り、その考えを知ることができましょうか。決してできはしません。兄弟の皆さん、神なる主を怒らせるようなことはしないでください。

15 たとえこの五日以内にわたしたちを助ける御意志がないとしても、主は、お望みの日数の間わたしたちを守ることもでき、また、反対に、敵の前で滅ぼすこともおできになるからです。

16 神なる主の御意志を束縛するようなことはやめてください。『神は人間と違って脅しに左右されることなく、決断を押しつけられることもない』のです。

17 ですから、神からの救いを待ち望みつつ、助けを呼び求めましょう。御心ならば、わたしたちの願いを聞き入れてくださるでしょう。

18 かつては人の手で造った神々を礼拝する者もいましたが、今日、わたしたちの世代には、そのようなことをする部族や氏族、村や町はありません。

19 わたしたちの先祖はそれを行ったために剣に渡され、略奪されて、敵の前に無残にも倒れました。

20 しかし、わたしたちは主以外の神を認めたことはありません。ですから、主がわたしたちを、また、この民のだれ一人をも軽んじられることはない、とわたしたちは確信しています。

21 わたしたちの所が占領されることは全ユダヤの屈服につながり、わたしたちの聖所も荒らされてしまいます。そんなことになれば、神はその冒涜行為の責任をわたしたちに問われ、

22 同胞の殺戮、国土の接収、代々受け継いだ遺産の荒廃をわたしたちの上に下されるでしょう。そして、わたしたちは奴隷にされ、連れて行かれた先の異邦人の中で、買い主から余計者、恥知らずの扱いを受けるのです。

23 しかも、わたしたちの奴隷生活は何ら実りをもたらさず、かえって神なる主はそれを恥辱に満ちたものとされるからです。

24 兄弟の皆さん、わたしたちの同胞の命が我々にかかっており、聖所も神殿も祭壇も我々を支えとしていることを、今こそ同胞にはっきり示そうではありませんか。

25 そして、これらすべてにまして神なる主に感謝いたしましょう。主は、わたしたちの先祖になさったように、今わたしたちに試練を与えておられるのです。

26 主がアブラハムに対してどんな仕打ちをなさったか、イサクにどのような試練を与えられたか、また、シリア・メソポタミアでヤコブが母方の伯父ラバンの羊を牧していたとき、どういうことが起きたかを思い起こしてください。

27 主は彼らの心を試すために火のような試練を与えられましたが、わたしたちの場合も同じで、決して報復ということではなく、主に近づこうとする者を教え諭すために鞭打たれるのです。」

オジアの願いとユディトの企て

28 オジアはユディトに言った。「あなたが語ったことはすべて、善良な心から出ている。あなたの言葉に反対する者はいまい。

29 あなたの知恵が明らかにされたのは今日が初めてではなく、幼いころから、その洞察力は周知のことであった。あなたの心根が良いからだ。

30 ところで、人々は非常に渇きに苦しんでおり、我々は強いられてあのような約束をさせられ、かつ誓いまで立てさせられてしまった。これを破るわけにはいかないのだ。

31 どうか我々皆のために祈ってくれ。あなたは敬虔な婦人だ。きっと主は雨を降らせて貯水池を満たし、我々がこれ以上弱り果てることのないようにしてくださるだろう。」

32 そこでユディトは長老たちに言った。「わたしの申し上げることをお聞きください。わたしはあることを実行します。それはこの民の子孫に代々伝えられることでしょう。

33 今晩、あなたがたは町の門のところにいてください。わたしは侍女と共に町を出ます。敵に町を明け渡すとあなたがたが約束したその日までに、主はわたしを用いて、イスラエルを顧みてくださるはずです。

34 けれども、わたしが行うことを詮索しないでください。それを成し遂げるまでは申し上げません。」

35 オジアと町の指導者たちはユディトに言った。「無事に行って来なさい。神なる主があなたの先に立ち、我々の敵に報復してくださるように。」

36 それから彼らは天幕を出て、自分たちの持ち場に帰って行った。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/8-7058a688ca41e5fdef493cbea825139f.mp3?version_id=1819—

ユディト記 9

ユディトの祈り

1 ユディトは地にひれ伏し、頭に灰をかぶり、身に着けていた粗布をあらわにした。そして、エルサレムの神殿で夕べの香が献げられる時刻になると、主に向かって大きな声で祈った。

2 「わたしの先祖シメオンの神なる主よ、/あなたはシメオンの手に剣を渡し、/かの異邦人どもに報復することを許されました。彼らがおとめの胎を開いて汚し、/その腿をあらわにして辱め、/胎を犯して人々の非難の的にしたからです。『してはならぬ』とお命じになったことを/彼らはしたのです。

3 それゆえ、あなたはその指導者たちを/殺戮にゆだね、/彼らの欺きによる行為に赤面した同じ寝床を/欺きをもって朱の血に染め、/家来ともども諸侯を、/王座に座る諸侯を打たれました。

4 あなたは彼らの妻たちを略奪させ、/娘たちをとりこにさせ、その上、/分捕り品はすべて、/あなたの愛する民に分け与えられました。この民は、あなたへの思いに熱く燃え、/民の血が汚されることを忌み嫌い、/あなたに助けを呼び求めたのです。神よ、わが神よ、/このやもめの願いも聞き入れてください。

5 これらのことは、その前のことも後のことも、/すべてあなたの御業でした。現在のことも未来のことも、/すべてあなたのお考えのまま。心に思われたことはすべて実現し、

6 望まれたものは現れ出て/『はい、ここにおります』と言う。あなたの道はすべて整い、/あなたの裁きは予知をもってなされます。

7 御覧ください。アッシリア人はその兵力を満たし、/馬と騎兵に心おごり、/歩兵の力を誇り、/盾と槍、弓と投石器に希望を置いています。彼らは知りません、/あなたが『戦をたたかう主』であることを。

8 あなたの名は『主』。御力をもって彼らの武力をたたきつぶし、/憤りをもって彼らの権勢を打ち砕いてください。彼らは聖所を冒涜し、/栄光の主が宿る幕屋を汚し、/祭壇の角を剣で打ち落とそうとねらっています。

9 彼らの傲慢さを御覧になり、/頭上に御怒りをお下しください。このやもめの腕に/企てを成し遂げる力をお与えください。

10 この欺きの唇によって、/家来ともどもその頭を、/頭ともどもその側近をお打ちください。女の腕をもって/彼らの傲岸さを打ち砕いてください。

11 あなたの力は人の数によるものではなく、/あなたの主権は強者に頼るものでもありません。あなたは虐げられた者の神、/小さき者の助け主、/弱き者の支え、/見捨てられた者の守り、/希望を失った者の救い主。

12 そうです、そのとおりです。わが先祖の神よ。イスラエルが代々受け継ぐ遺産を守られる神よ。天地の主、/もろもろの水の造り主、/全被造物の王よ、/わたしの祈りを聞き入れてください。

13 わたしの言葉と欺きによって/彼らに痛手を負わせ、打撃を与えてください。彼らは、あなたの契約に対して、また、/聖別されたあなたの家とシオンの頂に対して、/あなたの子らが所有する家に対して/災いをたくらんだのです。

14 あなたの民すべてに、/そのすべての部族に悟らせてください。あなたこそ、全能にして力ある神、/あなたをおいてイスラエルの民を/守る者のないことを。」

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/9-6d62aec3b989387636a39328dd5e7807.mp3?version_id=1819—

ユディト記 10

ユディト、ホロフェルネスの陣営に向かう

1 ユディトは、イスラエルの神に向かって叫ぶのをやめてこの祈りを終えると、

2 ひれ伏していたところから立ち上がり、侍女に声をかけて、安息日と祝祭日にしか使ったことのない屋内に下りて来た。

3 彼女は着けていた粗布を取り、喪服を脱いで水で身を清め、芳醇な香油を塗った。そして髪を整えて髪飾りを付け、夫マナセが生きていたときに着ていた晴れ着をまとった。

4 足にはサンダルを履き、足輪や腕輪、指輪や耳飾りなど、あらゆる装身具で装いを凝らした。その上、彼女を見る男たちの目を惑わすために、できるだけ美しく化粧した。

5 それから彼女は、ぶどう酒の革袋とオリーブ油の壺を侍女に渡し、袋に炒り麦といちじく菓子と上等のパンを詰め、食器も全部包みにして侍女に持たせた。

6 二人は出かけて、ベトリアの町の門にやって来た。そこにはオジアと町の長老カブリスとカルミスが立っていた。

7 彼らは、ユディトの面ざしが変わり、服装もすっかり変わっているのを見て、その美しさに驚嘆し、彼女に言った。

8 「我々の先祖の神があなたに恵みを得させ、イスラエル人の誇りとエルサレムの栄光のために、あなたの使命を果たさせてくださるように。」そして彼らは神を礼拝した。

9 ユディトは長老たちに言った。「町の門を開くように命じてください。わたしたちが話し合ったことを果たすために出かけます。」長老たちが、ユディトの願いどおり門を開くよう若者たちに命じると、

10 門は開かれた。ユディトと召し使いの女は連れ立って出て行った。町の人々は、彼女が山を下り、谷づたいに行ってその姿が見えなくなるまで見送った。

ユディト、捕らえられる

11 二人は谷をまっすぐに進んで行った。するとアッシリア人の前哨部隊にぶつかった。

12 彼らはユディトを捕らえて、「お前はどこの者か。どこから来て、どこへ行くのか」と尋問した。ユディトは答えた。「わたしはヘブライ人の娘です。ヘブライ人があなたがたの餌食にされそうでしたので逃げて来ました。

13 わたしは軍の総司令官ホロフェルネスさまのもとへ行き、わたしどもの実情をお知らせし、ホロフェルネスさまが一兵、一命たりとも失わずに進軍してこの山地一帯を支配することができるように、その道を教えましょう。」

14 兵士たちはユディトの言葉を聞きながらその顔に見とれていた。彼らの目にその美しさは非常な驚きであった。彼らは言った。

15 「お前は、我らの主君のところに進んでやって来て、命拾いをしたのだ。すぐに主君の天幕に行くがよい。だれかに案内させ、主君に引き合わせよう。

16 主君の前に立ったなら、怖がらずに、今言ったとおりのことを申し上げるがよい。主君はお前によくしてくださるだろう。」

17 そして兵百人を選んで彼女と侍女に付け、ホロフェルネスの天幕に連れて行かせた。

18 彼女の来たことが兵営に触れ回られたため、陣営中が大騒ぎとなった。ユディトのことがホロフェルネスに報告される間、ユディトは総司令官の天幕の外に立っていたが、兵士たちがやって来て彼女の周りを取り囲んだ。

19 彼らは、ユディトの美しさに驚き、また彼女ゆえにイスラエル人に驚いて、口々に隣の者に言った。「これほどの女たちのいる民を、だれが侮れよう。彼らを一人でも生かしておくのはまずい。ほうっておけば世界中を籠絡するにちがいない。」

ユディト、ホロフェルネスの前に出る

20 さて、ホロフェルネスの近習と側近の者全員が出て来て、ユディトを天幕の中に導き入れた。

21 ホロフェルネスは、紫布や金、エメラルドなどの宝石を織り込んだ天蓋の中、寝台の上で休んでいたが、

22 彼女について報告を受けると、銀の燭台を先に立てて控えの間に出て来た。

23 ユディトがホロフェルネスとその側近たちの前に進み出ると、その容姿の美しさに皆驚いた。彼女はひれ伏してホロフェルネスに礼を尽くした。すると従者たちが彼女を助け起こした。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/10-1e017b19c437030797676031b28592a8.mp3?version_id=1819—

ユディト記 11

1 ホロフェルネスはユディトに言った。「女よ、心配するな。怖がらなくともよい。全世界の王ネブカドネツァルに仕える道を選んだ者に、わたしは危害を加えたことはない。

2 この山地に住むお前の民も、わたしを侮りさえしなかったなら、わたしは彼らに対して武器を取るようなことはしなかったであろう。彼らは自ら今の事態を招いたのだ。

3 さあ、どうして彼らから逃げて来たのか、話しなさい。お前はここにいれば安全だ。心配はない。今夜からは、お前の命を保障しよう。

4 だれもお前に危害を加える者はなく、皆、わが主君ネブカドネツァル王の家来と同様、お前を大切に扱うであろう。」

ユディトの虚実の弁論

5 そこでユディトはホロフェルネスに向かって次のように言った。「どうかこのはしための願いを聞き届け、この仕えめが御前で語ることをお許しください。今夜、わが主に対して私が申し上げることに、偽りはございません。

6 もし、この仕えめの言葉のとおり実行なさるならば、わが主と共に神が働かれて事を達成してくださり、わが主はその責務を果たされる上で失敗されることはないでしょう。

7 全世界の王ネブカドネツァルの御聖寿に誓って、また、命あるすべてのものに秩序をもたらすため、わが主を遣わされた王の権勢に誓って申し上げます。わが主のお働きによって、単に人々が王に仕えるようになるだけではなく、野の獣や家畜、空の鳥までが御威光によって必ず、ネブカドネツァルとその御一族のために生きるようになるでしょう。

8 私たちは、わが主の知恵と聡明さについて聞き及んでおり、また、わが主が、王国で最も優れた方であり、知識にあふれ戦術にたけた方であることは世界中に知れ渡っているからです。

9 ところで、会議の席上アキオルが述べたことについては、彼から話を聞きました。ベトリアの人々に助けられたとき、彼がわが主の前で述べたことをすべて、人々に話して聞かせたのです。

10 御主人様、彼の言葉を軽んじないで、しっかり心に留めてください。彼の言ったことは本当なのです。確かに私たちの民は、神に対して罪を犯さないかぎり罰を受けることもなく、剣に攻め立てられることもありません。

11 しかし今は、わが主が敗れて目的を果たせなくなるということはないはずです。彼らには死が迫っています。既に彼らは罪に捕らえられており、道に外れたことを行うごとに神を憤らせているからです。

12 食糧が尽き、水もほとんどなくなったために、彼らは家畜を殺すことにし、また神が律法をもって食べることを禁じている物までもみな、食べようと決めました。

13 その上、エルサレムで神の御前に仕える祭司のために聖別して取って置いた、一般の人はだれも手を触れることさえ許されない初物の献げ物の小麦と、十分の一奉納のぶどう酒とオリーブ油をも使い果たすことを決定したのです。

14 それで、エルサレムでも住民たちが同じことをした例があるということで、その許可を願う使者をエルサレムの長老会議に送りました。

15 その返事が届いて、それを実行に移すその時、彼らはわが主に渡されて滅びるのです。

16 これらのことがすべて分かったので、このはしためは彼らから逃げ出したのです。神はその私を、世界中、聞く人だれもが驚くような事をわが主と共に行わせるために、ここへ送られました。

17 このはしためは神を敬い、昼も夜も天の神にお仕えする者だからです。わが主よ、私はおそばにとどまり、夜ごと谷へ出て、神に祈りましょう。そうすれば、イスラエル人が罪を犯したとき、神はそれを教えてくださるでしょう。

18 私がそれを知らせに参りますから、そのとき全軍を率いて出陣してください。彼らのうちだれ一人、わが主に立ち向かう者はございません。

19 そこで、私が御案内しますから、わが主はユダヤの中央を通ってエルサレムへお進みください。私は町の中心に御座を設けましょう。人々は飼い主のいない羊のようにわが主の後について行きます。犬でさえわが主に向かってうなり声をあげることはないでしょう。実にこれらのことは、先見の力によって示され、知らされたことであり、私はこれをお知らせするために遣わされたのです。」

20 ホロフェルネスと側近の者たちは皆、ユディトの言葉に満足し、またその知恵に驚いて言った。

21 「地の果てから果てに至るまで、これほど美しく、しかもこのような洞察に満ちた言葉を語る女はいまい。」

22 そこでホロフェルネスは彼女に言った。「民の中からお前を遣わして、我々には力をもたらし、わが主君を侮る者には滅びをもたらすとは、神も良いことをされた。

23 お前は姿形もあでやかで、話す言葉も優れている。もし、お前が言ったとおりやってくれるなら、わたしもお前の神をわたしの神として認めよう。お前はネブカドネツァル王の宮殿に住むことになり、お前の名は世界に知れ渡るであろう。」

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/11-ae970824d69c6dc073b65ef3470c5e1d.mp3?version_id=1819—

ユディト記 12

ユディト、敵陣でユダヤの習慣を守り通す

1 それからホロフェルネスは、銀の食器の整えられた部屋へユディトを連れて行くように命じ、彼女のために自分の料理とぶどう酒を出すように、言いつけた。

2 するとユディトは言った。「私はそれを口にするわけにはまいりません。罪の機会となるかもしれないからです。自分で持って参りました物で十分賄えます。」

3 ホロフェルネスは彼女に言った。「もし、手持ちの食糧がなくなったときには、それと同じものをどこで手に入れることができようか。我々の中にはお前と同じ民の者はいないのだ。」

4 ユディトは言った。「わが主よ、御聖寿に誓って申し上げます。このはしためが手持ちの分を使い果たす前に、主は心に定められたことを、この手によって実現されるでしょう。」

5 そこで、ホロフェルネスの側近たちはユディトを天幕の中に案内した。彼女は夜半まで眠り、夜明けの見回りの前に起きて、

6 ホロフェルネスに使いをやり、こう言わせた。「わが主よ、どうか私が祈りに行くのを許すようお命じください。」

7 ホロフェルネスは護衛たちに、彼女を妨げてはならぬと命令を下した。こうしてユディトは三日間陣営にとどまり、夜ごとにベトリアの谷へ出かけて陣営内の泉で身を清め、

8 水から上がってイスラエルの神なる主に向かい、民の勝利へ向けて彼女の道をまっすぐに整えてくださるようにと祈った。

9 そして清められて戻ると、夕方、食事を取るまで天幕の中にとどまった。

ユディト、ホロフェルネスの酒宴に招かれる

10 さて、四日目のことであった。ホロフェルネスは従者たちだけのために酒宴を催した。士官はだれも招かれなかった。

11 彼は、身辺の世話一切を任せてある宦官バゴアスに言った。「さあ、行って、お前の下にいるあのヘブライの女を説き伏せ、ここへ来て一緒に飲み食いするようにさせよ。

12 あのような女を抱かずにほうっておくのは我々の恥だ。彼女にしても、もし誘いがなければ、我々をあざけるだろう。」

13 そこでバゴアスはホロフェルネスの前を退くと、ユディトのところにやって来て言った。「美しい仕えめよ、どうかためらうことなくわが主君の前に出ておほめの言葉を受け、一緒にぶどう酒を飲んで楽しんでおくれ。今日こそは、ネブカドネツァルの宮殿に仕えるアッシリア人の娘のようになりなさい。」

14 ユディトは言った。「どうしてわが主に逆らうことができましょう。わが主のお気に召すことなら、何でも喜んでいたします。これこそわが生涯の喜びなのです。」

15 彼女は立ち上がり、衣服と女性らしいあらゆる飾りで装いを凝らした。はしためは先に行って、ユディトのため、ホロフェルネスの向かいの床に毛皮を敷いた。それはふだん食事をするとき、それに身を横たえるようにと、ユディトがバゴアスからもらったものであった。

16 ユディトはそこに入って来て、席に着いた。ホロフェルネスの心は彼女に魅了され、魂は揺さぶられた。そして、ユディトを抱きたいという激しい欲情にかられた。彼は初めて彼女を見た時から、誘惑しようと機会をねらっていたのである。

17 ホロフェルネスは言った。「さあ、飲んで一緒に楽しむがよい。」

18 ユディトは、「はい、主よ、いただきます。生まれて以来、私の中にこれほど心の高まりを覚えたのは、今日が初めてです」と言って、

19 彼の前で、はしためが用意したものを食べ、そして飲んだ。

20 ホロフェルネスは彼女を前にしてすっかり良い気持になり、一日の量としては、生まれてからまだ一度も飲んだことのないほど多量のぶどう酒を飲んだ。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/12-99e5a952c5085a97c56b10a4b211e9c2.mp3?version_id=1819—

ユディト記 13

ユディト、ホロフェルネスの首を取る

1 さて、夕刻になり、ホロフェルネスの従者たちは急いで帰って行った。バゴアスは天幕を外から閉め、そばに仕える者たちをも主君の前から退かせた。皆、酒宴が長引いて疲れていたので、おのおの寝床に立ち去った。

2 天幕にはユディト一人が残された。ホロフェルネスはぶどう酒を浴びるほど飲んで、寝台の上に倒れ伏していた。

3 ユディトははしために、いつものとおり彼女の寝室の外に立って自分が出て来るのを待つように言いつけた。はしためには、祈りに行くと言ってあったのである。バゴアスにも同じことを伝えてあった。

4 皆が去り、上の者も下の者もだれ一人寝室に残っている者はなかった。ユディトはホロフェルネスの寝台の傍らに立ち、心の中で祈った。「全能の神なる主よ、/エルサレムの栄光のために行うこの手の業に、/今こそ、御目を留めてください。

5 今こそ、代々受け継いだあなたの遺産を救う時、/わたしの任務を遂行して、/わたしたちに襲いかかる敵を粉砕する時です。」

6 彼女はホロフェルネスの枕もとの、寝台の支柱に歩み寄り、そこにあった彼の短剣を抜き取った。

7 そして、寝台に近づくと彼の髪をつかみ、「イスラエルの神なる主よ、今こそ、わたしに力をお与えください」と祈って、

8 力いっぱい、二度、首に切りつけた。すると、頭は体から切り離された。

9 ユディトは体の方を寝台から転がし、天蓋の垂れ絹を柱から取り外した。そして猶予せずに外へ出て、侍女にホロフェルネスの首を手渡すと、

10 侍女はそれを食糧を入れる袋にほうり込んだ。そして二人は、いつものとおり祈りに行くかのようにして出ていった。

ユディト、ベトリアに帰る

さて、二人は陣営を通り抜けると、いつもの谷を迂回し、ベトリアの山を登って町の門にたどりついた。

11 ユディトは遠くから門の上の番兵たちに叫んで言った。「開けてください。どうぞ門を開けてください。神は、わたしたちの神はわたしたちと共におられ、今もなおイスラエルの中で力を現し、敵に対してはその威力を発揮しておられます。今日、そのことを示してくださったのです。」

12 町の人々はその声を聞くと町の門に急いで下って来た。そして町の長老たちが召集された。

13 大人も子供も皆、駆け集まった。ユディトが帰って来るなどとは、信じられないことだったのである。彼らは門を開けて彼女らを迎え入れ、かがり火をたいて明るくし、二人の周りに集まって来た。

14 ユディトは声を張り上げて言った。「神をたたえなさい。ほめたたえなさい。神をたたえなさい。神はイスラエルからその憐れみを取り去ることなく、かえって今夜、この手をもってわたしたちの敵を滅ぼしてくださいました。」

15 そして袋から首を取り出し、それを人々に示して言った。「御覧なさい。アッシリア軍の総司令官ホロフェルネスの首です。御覧なさい。彼はこの垂れ絹の中で酔いつぶれていました。主は女の腕をもって彼を討たれたのです。

16 わたしの歩む道を守ってくださった生ける主に誓って申します。わたしの容色は彼を魅了し、滅ぼしましたが、この身が汚され、辱められるようなことは決してありませんでした。」

17 人々は皆、すっかり感嘆し、身をかがめて神を礼拝しつつ、心を合わせて言った。「今日この日、御民の敵を無力なものとされた我らの神よ、あなたに感謝いたします。」

18 オジアは彼女に言った。「娘よ、あなたは地上のすべての女にまさって/いと高き神に祝福された者。天と地を造られた神なる主をほめたたえよう。主はあなたを導き、/敵の大将の首を討たせてくださった。

19 人々が神の力を思い起こすとき/あなたの抱いたその確信が/彼らの心から失われることは決してあるまい。

20 神がこれをあなたの永遠の誉れとし、/数々の恵みをもって顧みてくださるように。それは、この民が卑しめられるのを見て/あなたは命を惜しむことなく/神の御前をまっすぐに歩み、/我々の破局を防いでくれたからだ。」人々は皆、「そうです、そのとおりです」と答えた。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JDT/13-1893ef0621d46915e18af498bb309ec1.mp3?version_id=1819—