ヨハネによる福音書 18

裏切られ、逮捕される

1 こう話し終えると、イエスは弟子たちと一緒に、キドロンの谷の向こうへ出て行かれた。そこには園があり、イエスは弟子たちとその中に入られた。

2 イエスを裏切ろうとしていたユダも、その場所を知っていた。イエスは、弟子たちと共に度々ここに集まっておられたからである。

3 それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやファリサイ派の人々の遣わした下役たちを引き連れて、そこにやって来た。松明やともし火や武器を手にしていた。

4 イエスは御自分の身に起こることを何もかも知っておられ、進み出て、「だれを捜しているのか」と言われた。

5 彼らが「ナザレのイエスだ」と答えると、イエスは「わたしである」と言われた。イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らと一緒にいた。

6 イエスが「わたしである」と言われたとき、彼らは後ずさりして、地に倒れた。

7 そこで、イエスが「だれを捜しているのか」と重ねてお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスだ」と言った。

8 すると、イエスは言われた。「『わたしである』と言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人々は去らせなさい。」

9 それは、「あなたが与えてくださった人を、わたしは一人も失いませんでした」と言われたイエスの言葉が実現するためであった。

10 シモン・ペトロは剣を持っていたので、それを抜いて大祭司の手下に打ってかかり、その右の耳を切り落とした。手下の名はマルコスであった。

11 イエスはペトロに言われた。「剣をさやに納めなさい。父がお与えになった杯は、飲むべきではないか。」

イエス、大祭司のもとに連行される

12 そこで一隊の兵士と千人隊長、およびユダヤ人の下役たちは、イエスを捕らえて縛り、

13 まず、アンナスのところへ連れて行った。彼が、その年の大祭司カイアファのしゅうとだったからである。

14 一人の人間が民の代わりに死ぬ方が好都合だと、ユダヤ人たちに助言したのは、このカイアファであった。

ペトロ、イエスを知らないと言う

15 シモン・ペトロともう一人の弟子は、イエスに従った。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の屋敷の中庭に入ったが、

16 ペトロは門の外に立っていた。大祭司の知り合いである、そのもう一人の弟子は、出て来て門番の女に話し、ペトロを中に入れた。

17 門番の女中はペトロに言った。「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。」ペトロは、「違う」と言った。

18 僕や下役たちは、寒かったので炭火をおこし、そこに立って火にあたっていた。ペトロも彼らと一緒に立って、火にあたっていた。

大祭司、イエスを尋問する

19 大祭司はイエスに弟子のことや教えについて尋ねた。

20 イエスは答えられた。「わたしは、世に向かって公然と話した。わたしはいつも、ユダヤ人が皆集まる会堂や神殿の境内で教えた。ひそかに話したことは何もない。

21 なぜ、わたしを尋問するのか。わたしが何を話したかは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。その人々がわたしの話したことを知っている。」

22 イエスがこう言われると、そばにいた下役の一人が、「大祭司に向かって、そんな返事のしかたがあるか」と言って、イエスを平手で打った。

23 イエスは答えられた。「何か悪いことをわたしが言ったのなら、その悪いところを証明しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか。」

24 アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カイアファのもとに送った。

ペトロ、重ねてイエスを知らないと言う

25 シモン・ペトロは立って火にあたっていた。人々が、「お前もあの男の弟子の一人ではないのか」と言うと、ペトロは打ち消して、「違う」と言った。

26 大祭司の僕の一人で、ペトロに片方の耳を切り落とされた人の身内の者が言った。「園であの男と一緒にいるのを、わたしに見られたではないか。」

27 ペトロは、再び打ち消した。するとすぐ、鶏が鳴いた。

ピラトから尋問される

28 人々は、イエスをカイアファのところから総督官邸に連れて行った。明け方であった。しかし、彼らは自分では官邸に入らなかった。汚れないで過越の食事をするためである。

29 そこで、ピラトが彼らのところへ出て来て、「どういう罪でこの男を訴えるのか」と言った。

30 彼らは答えて、「この男が悪いことをしていなかったら、あなたに引き渡しはしなかったでしょう」と言った。

31 ピラトが、「あなたたちが引き取って、自分たちの律法に従って裁け」と言うと、ユダヤ人たちは、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」と言った。

32 それは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、イエスの言われた言葉が実現するためであった。

33 そこで、ピラトはもう一度官邸に入り、イエスを呼び出して、「お前がユダヤ人の王なのか」と言った。

34 イエスはお答えになった。「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。それとも、ほかの者がわたしについて、あなたにそう言ったのですか。」

35 ピラトは言い返した。「わたしはユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。いったい何をしたのか。」

36 イエスはお答えになった。「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」

37 そこでピラトが、「それでは、やはり王なのか」と言うと、イエスはお答えになった。「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」

38 ピラトは言った。「真理とは何か。」

死刑の判決を受ける

ピラトは、こう言ってからもう一度、ユダヤ人たちの前に出て来て言った。「わたしはあの男に何の罪も見いだせない。

39 ところで、過越祭にはだれか一人をあなたたちに釈放するのが慣例になっている。あのユダヤ人の王を釈放してほしいか。」

40 すると、彼らは、「その男ではない。バラバを」と大声で言い返した。バラバは強盗であった。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JHN/18-c54d7dd6b0367dd543d13ae7fafc3882.mp3?version_id=1819—

ヨハネによる福音書 19

1 そこで、ピラトはイエスを捕らえ、鞭で打たせた。

2 兵士たちは茨で冠を編んでイエスの頭に載せ、紫の服をまとわせ、

3 そばにやって来ては、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、平手で打った。

4 ピラトはまた出て来て、言った。「見よ、あの男をあなたたちのところへ引き出そう。そうすれば、わたしが彼に何の罪も見いだせないわけが分かるだろう。」

5 イエスは茨の冠をかぶり、紫の服を着けて出て来られた。ピラトは、「見よ、この男だ」と言った。

6 祭司長たちや下役たちは、イエスを見ると、「十字架につけろ。十字架につけろ」と叫んだ。ピラトは言った。「あなたたちが引き取って、十字架につけるがよい。わたしはこの男に罪を見いだせない。」

7 ユダヤ人たちは答えた。「わたしたちには律法があります。律法によれば、この男は死罪に当たります。神の子と自称したからです。」

8 ピラトは、この言葉を聞いてますます恐れ、

9 再び総督官邸の中に入って、「お前はどこから来たのか」とイエスに言った。しかし、イエスは答えようとされなかった。

10 そこで、ピラトは言った。「わたしに答えないのか。お前を釈放する権限も、十字架につける権限も、このわたしにあることを知らないのか。」

11 イエスは答えられた。「神から与えられていなければ、わたしに対して何の権限もないはずだ。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪はもっと重い。」

12 そこで、ピラトはイエスを釈放しようと努めた。しかし、ユダヤ人たちは叫んだ。「もし、この男を釈放するなら、あなたは皇帝の友ではない。王と自称する者は皆、皇帝に背いています。」

13 ピラトは、これらの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所で、裁判の席に着かせた。

14 それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトがユダヤ人たちに、「見よ、あなたたちの王だ」と言うと、

15 彼らは叫んだ。「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」ピラトが、「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか」と言うと、祭司長たちは、「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません」と答えた。

16 そこで、ピラトは、十字架につけるために、イエスを彼らに引き渡した。

十字架につけられる

こうして、彼らはイエスを引き取った。

17 イエスは、自ら十字架を背負い、いわゆる「されこうべの場所」、すなわちヘブライ語でゴルゴタという所へ向かわれた。

18 そこで、彼らはイエスを十字架につけた。また、イエスと一緒にほかの二人をも、イエスを真ん中にして両側に、十字架につけた。

19 ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上に掛けた。それには、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いてあった。

20 イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がその罪状書きを読んだ。それは、ヘブライ語、ラテン語、ギリシア語で書かれていた。

21 ユダヤ人の祭司長たちがピラトに、「『ユダヤ人の王』と書かず、『この男は「ユダヤ人の王」と自称した』と書いてください」と言った。

22 しかし、ピラトは、「わたしが書いたものは、書いたままにしておけ」と答えた。

23 兵士たちは、イエスを十字架につけてから、その服を取り、四つに分け、各自に一つずつ渡るようにした。下着も取ってみたが、それには縫い目がなく、上から下まで一枚織りであった。

24 そこで、「これは裂かないで、だれのものになるか、くじ引きで決めよう」と話し合った。それは、/「彼らはわたしの服を分け合い、/わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのとおりにしたのである。

25 イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。

26 イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」と言われた。

27 それから弟子に言われた。「見なさい。あなたの母です。」そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。

イエスの死

28 この後、イエスは、すべてのことが今や成し遂げられたのを知り、「渇く」と言われた。こうして、聖書の言葉が実現した。

29 そこには、酸いぶどう酒を満たした器が置いてあった。人々は、このぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。

30 イエスは、このぶどう酒を受けると、「成し遂げられた」と言い、頭を垂れて息を引き取られた。

イエスのわき腹を槍で突く

31 その日は準備の日で、翌日は特別の安息日であったので、ユダヤ人たちは、安息日に遺体を十字架の上に残しておかないために、足を折って取り降ろすように、ピラトに願い出た。

32 そこで、兵士たちが来て、イエスと一緒に十字架につけられた最初の男と、もう一人の男との足を折った。

33 イエスのところに来てみると、既に死んでおられたので、その足は折らなかった。

34 しかし、兵士の一人が槍でイエスのわき腹を刺した。すると、すぐ血と水とが流れ出た。

35 それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなたがたにも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている。

36 これらのことが起こったのは、「その骨は一つも砕かれない」という聖書の言葉が実現するためであった。

37 また、聖書の別の所に、「彼らは、自分たちの突き刺した者を見る」とも書いてある。

墓に葬られる

38 その後、イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフが、イエスの遺体を取り降ろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトが許したので、ヨセフは行って遺体を取り降ろした。

39 そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。

40 彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。

41 イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった。

42 その日はユダヤ人の準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JHN/19-7f96f4c343967b4234049c187af7cfd6.mp3?version_id=1819—

ヨハネによる福音書 20

復活する

1 週の初めの日、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリアは墓に行った。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。

2 そこで、シモン・ペトロのところへ、また、イエスが愛しておられたもう一人の弟子のところへ走って行って彼らに告げた。「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分かりません。」

3 そこで、ペトロとそのもう一人の弟子は、外に出て墓へ行った。

4 二人は一緒に走ったが、もう一人の弟子の方が、ペトロより速く走って、先に墓に着いた。

5 身をかがめて中をのぞくと、亜麻布が置いてあった。しかし、彼は中には入らなかった。

6 続いて、シモン・ペトロも着いた。彼は墓に入り、亜麻布が置いてあるのを見た。

7 イエスの頭を包んでいた覆いは、亜麻布と同じ所には置いてなく、離れた所に丸めてあった。

8 それから、先に墓に着いたもう一人の弟子も入って来て、見て、信じた。

9 イエスは必ず死者の中から復活されることになっているという聖書の言葉を、二人はまだ理解していなかったのである。

10 それから、この弟子たちは家に帰って行った。

イエス、マグダラのマリアに現れる

11 マリアは墓の外に立って泣いていた。泣きながら身をかがめて墓の中を見ると、

12 イエスの遺体の置いてあった所に、白い衣を着た二人の天使が見えた。一人は頭の方に、もう一人は足の方に座っていた。

13 天使たちが、「婦人よ、なぜ泣いているのか」と言うと、マリアは言った。「わたしの主が取り去られました。どこに置かれているのか、わたしには分かりません。」

14 こう言いながら後ろを振り向くと、イエスの立っておられるのが見えた。しかし、それがイエスだとは分からなかった。

15 イエスは言われた。「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。」マリアは、園丁だと思って言った。「あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。わたしが、あの方を引き取ります。」

16 イエスが、「マリア」と言われると、彼女は振り向いて、ヘブライ語で、「ラボニ」と言った。「先生」という意味である。

17 イエスは言われた。「わたしにすがりつくのはよしなさい。まだ父のもとへ上っていないのだから。わたしの兄弟たちのところへ行って、こう言いなさい。『わたしの父であり、あなたがたの父である方、また、わたしの神であり、あなたがたの神である方のところへわたしは上る』と。」

18 マグダラのマリアは弟子たちのところへ行って、「わたしは主を見ました」と告げ、また、主から言われたことを伝えた。

イエス、弟子たちに現れる

19 その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。

20 そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。

21 イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」

22 そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。

23 だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」

イエスとトマス

24 十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。

25 そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」

26 さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。

27 それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」

28 トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。

29 イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」

本書の目的

30 このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。

31 これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JHN/20-e4ff70180a39302d53e17ca54c51f844.mp3?version_id=1819—

ヨハネによる福音書 21

イエス、七人の弟子に現れる

1 その後、イエスはティベリアス湖畔で、また弟子たちに御自身を現された。その次第はこうである。

2 シモン・ペトロ、ディディモと呼ばれるトマス、ガリラヤのカナ出身のナタナエル、ゼベダイの子たち、それに、ほかの二人の弟子が一緒にいた。

3 シモン・ペトロが、「わたしは漁に行く」と言うと、彼らは、「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って、舟に乗り込んだ。しかし、その夜は何もとれなかった。

4 既に夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。だが、弟子たちは、それがイエスだとは分からなかった。

5 イエスが、「子たちよ、何か食べる物があるか」と言われると、彼らは、「ありません」と答えた。

6 イエスは言われた。「舟の右側に網を打ちなさい。そうすればとれるはずだ。」そこで、網を打ってみると、魚があまり多くて、もはや網を引き上げることができなかった。

7 イエスの愛しておられたあの弟子がペトロに、「主だ」と言った。シモン・ペトロは「主だ」と聞くと、裸同然だったので、上着をまとって湖に飛び込んだ。

8 ほかの弟子たちは魚のかかった網を引いて、舟で戻って来た。陸から二百ペキスばかりしか離れていなかったのである。

9 さて、陸に上がってみると、炭火がおこしてあった。その上に魚がのせてあり、パンもあった。

10 イエスが、「今とった魚を何匹か持って来なさい」と言われた。

11 シモン・ペトロが舟に乗り込んで網を陸に引き上げると、百五十三匹もの大きな魚でいっぱいであった。それほど多くとれたのに、網は破れていなかった。

12 イエスは、「さあ、来て、朝の食事をしなさい」と言われた。弟子たちはだれも、「あなたはどなたですか」と問いただそうとはしなかった。主であることを知っていたからである。

13 イエスは来て、パンを取って弟子たちに与えられた。魚も同じようにされた。

14 イエスが死者の中から復活した後、弟子たちに現れたのは、これでもう三度目である。

イエスとペトロ

15 食事が終わると、イエスはシモン・ペトロに、「ヨハネの子シモン、この人たち以上にわたしを愛しているか」と言われた。ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの小羊を飼いなさい」と言われた。

16 二度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの羊の世話をしなさい」と言われた。

17 三度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロは、イエスが三度目も、「わたしを愛しているか」と言われたので、悲しくなった。そして言った。「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます。」イエスは言われた。「わたしの羊を飼いなさい。

18 はっきり言っておく。あなたは、若いときは、自分で帯を締めて、行きたいところへ行っていた。しかし、年をとると、両手を伸ばして、他の人に帯を締められ、行きたくないところへ連れて行かれる。」

19 ペトロがどのような死に方で、神の栄光を現すようになるかを示そうとして、イエスはこう言われたのである。このように話してから、ペトロに、「わたしに従いなさい」と言われた。

イエスとその愛する弟子

20 ペトロが振り向くと、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのが見えた。この弟子は、あの夕食のとき、イエスの胸もとに寄りかかったまま、「主よ、裏切るのはだれですか」と言った人である。

21 ペトロは彼を見て、「主よ、この人はどうなるのでしょうか」と言った。

22 イエスは言われた。「わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだとしても、あなたに何の関係があるか。あなたは、わたしに従いなさい。」

23 それで、この弟子は死なないといううわさが兄弟たちの間に広まった。しかし、イエスは、彼は死なないと言われたのではない。ただ、「わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだとしても、あなたに何の関係があるか」と言われたのである。

24 これらのことについて証しをし、それを書いたのは、この弟子である。わたしたちは、彼の証しが真実であることを知っている。

25 イエスのなさったことは、このほかにも、まだたくさんある。わたしは思う。その一つ一つを書くならば、世界もその書かれた書物を収めきれないであろう。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/JHN/21-7f645676eb7ee746db3d7f06da751f94.mp3?version_id=1819—

ルカによる福音書 1

献呈の言葉

1-2 わたしたちの間で実現した事柄について、最初から目撃して御言葉のために働いた人々がわたしたちに伝えたとおりに、物語を書き連ねようと、多くの人々が既に手を着けています。

3 そこで、敬愛するテオフィロさま、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、順序正しく書いてあなたに献呈するのがよいと思いました。

4 お受けになった教えが確実なものであることを、よく分かっていただきたいのであります。

洗礼者ヨハネの誕生、予告される

5 ユダヤの王ヘロデの時代、アビヤ組の祭司にザカリアという人がいた。その妻はアロン家の娘の一人で、名をエリサベトといった。

6 二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった。

7 しかし、エリサベトは不妊の女だったので、彼らには、子供がなく、二人とも既に年をとっていた。

8 さて、ザカリアは自分の組が当番で、神の御前で祭司の務めをしていたとき、

9 祭司職のしきたりによってくじを引いたところ、主の聖所に入って香をたくことになった。

10 香をたいている間、大勢の民衆が皆外で祈っていた。

11 すると、主の天使が現れ、香壇の右に立った。

12 ザカリアはそれを見て不安になり、恐怖の念に襲われた。

13 天使は言った。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。

14 その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。

15 彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、

16 イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。

17 彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」

18 そこで、ザカリアは天使に言った。「何によって、わたしはそれを知ることができるのでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」

19 天使は答えた。「わたしはガブリエル、神の前に立つ者。あなたに話しかけて、この喜ばしい知らせを伝えるために遣わされたのである。

20 あなたは口が利けなくなり、この事の起こる日まで話すことができなくなる。時が来れば実現するわたしの言葉を信じなかったからである。」

21 民衆はザカリアを待っていた。そして、彼が聖所で手間取るのを、不思議に思っていた。

22 ザカリアはやっと出て来たけれども、話すことができなかった。そこで、人々は彼が聖所で幻を見たのだと悟った。ザカリアは身振りで示すだけで、口が利けないままだった。

23 やがて、務めの期間が終わって自分の家に帰った。

24 その後、妻エリサベトは身ごもって、五か月の間身を隠していた。そして、こう言った。

25 「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取り去ってくださいました。」

イエスの誕生が予告される

26 六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。

27 ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。

28 天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」

29 マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。

30 すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。

31 あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。

32 その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。

33 彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」

34 マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」

35 天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。

36 あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。

37 神にできないことは何一つない。」

38 マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。

マリア、エリサベトを訪ねる

39 そのころ、マリアは出かけて、急いで山里に向かい、ユダの町に行った。

40 そして、ザカリアの家に入ってエリサベトに挨拶した。

41 マリアの挨拶をエリサベトが聞いたとき、その胎内の子がおどった。エリサベトは聖霊に満たされて、

42 声高らかに言った。「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。

43 わたしの主のお母さまがわたしのところに来てくださるとは、どういうわけでしょう。

44 あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき、胎内の子は喜んでおどりました。

45 主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう。」

マリアの賛歌

46 そこで、マリアは言った。 「わたしの魂は主をあがめ、/

47 わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。

48 身分の低い、この主のはしためにも/目を留めてくださったからです。今から後、いつの世の人も/わたしを幸いな者と言うでしょう、

49 力ある方が、/わたしに偉大なことをなさいましたから。その御名は尊く、

50 その憐れみは代々に限りなく、/主を畏れる者に及びます。

51 主はその腕で力を振るい、/思い上がる者を打ち散らし、

52 権力ある者をその座から引き降ろし、/身分の低い者を高く上げ、

53 飢えた人を良い物で満たし、/富める者を空腹のまま追い返されます。

54 その僕イスラエルを受け入れて、/憐れみをお忘れになりません、

55 わたしたちの先祖におっしゃったとおり、/アブラハムとその子孫に対してとこしえに。」

56 マリアは、三か月ほどエリサベトのところに滞在してから、自分の家に帰った。

洗礼者ヨハネの誕生

57 さて、月が満ちて、エリサベトは男の子を産んだ。

58 近所の人々や親類は、主がエリサベトを大いに慈しまれたと聞いて喜び合った。

59 八日目に、その子に割礼を施すために来た人々は、父の名を取ってザカリアと名付けようとした。

60 ところが、母は、「いいえ、名はヨハネとしなければなりません」と言った。

61 しかし人々は、「あなたの親類には、そういう名の付いた人はだれもいない」と言い、

62 父親に、「この子に何と名を付けたいか」と手振りで尋ねた。

63 父親は字を書く板を出させて、「この子の名はヨハネ」と書いたので、人々は皆驚いた。

64 すると、たちまちザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた。

65 近所の人々は皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダヤの山里中で話題になった。

66 聞いた人々は皆これを心に留め、「いったい、この子はどんな人になるのだろうか」と言った。この子には主の力が及んでいたのである。

ザカリアの預言

67 父ザカリアは聖霊に満たされ、こう預言した。

68 「ほめたたえよ、イスラエルの神である主を。主はその民を訪れて解放し、

69 我らのために救いの角を、/僕ダビデの家から起こされた。

70 昔から聖なる預言者たちの口を通して/語られたとおりに。

71 それは、我らの敵、/すべて我らを憎む者の手からの救い。

72 主は我らの先祖を憐れみ、/その聖なる契約を覚えていてくださる。

73 これは我らの父アブラハムに立てられた誓い。こうして我らは、

74 敵の手から救われ、/恐れなく主に仕える、

75 生涯、主の御前に清く正しく。

76 幼子よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を整え、

77 主の民に罪の赦しによる救いを/知らせるからである。

78 これは我らの神の憐れみの心による。この憐れみによって、/高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、

79 暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、/我らの歩みを平和の道に導く。」

80 幼子は身も心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/LUK/1-641d9cf2c28e9c5beeae40c2252f168c.mp3?version_id=1819—

ルカによる福音書 2

イエスの誕生

1 そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。

2 これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。

3 人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。

4 ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。

5 身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。

6 ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、

7 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。

羊飼いと天使

8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。

9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。

10 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。

11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。

12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」

13 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。

14 「いと高きところには栄光、神にあれ、/地には平和、御心に適う人にあれ。」

15 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。

16 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。

17 その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。

18 聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。

19 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。

20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。

21 八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。

神殿で献げられる

22 さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。

23 それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。

24 また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。

25 そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。

26 そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。

27 シメオンが“霊”に導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。

28 シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。

29 「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。

30 わたしはこの目であなたの救いを見たからです。

31 これは万民のために整えてくださった救いで、

32 異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」

33 父と母は、幼子についてこのように言われたことに驚いていた。

34 シメオンは彼らを祝福し、母親のマリアに言った。「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。

35 ――あなた自身も剣で心を刺し貫かれます――多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」

36 また、アシェル族のファヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。非常に年をとっていて、若いとき嫁いでから七年間夫と共に暮らしたが、

37 夫に死に別れ、八十四歳になっていた。彼女は神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていたが、

38 そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した。

ナザレに帰る

39 親子は主の律法で定められたことをみな終えたので、自分たちの町であるガリラヤのナザレに帰った。

40 幼子はたくましく育ち、知恵に満ち、神の恵みに包まれていた。

神殿での少年イエス

41 さて、両親は過越祭には毎年エルサレムへ旅をした。

42 イエスが十二歳になったときも、両親は祭りの慣習に従って都に上った。

43 祭りの期間が終わって帰路についたとき、少年イエスはエルサレムに残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。

44 イエスが道連れの中にいるものと思い、一日分の道のりを行ってしまい、それから、親類や知人の間を捜し回ったが、

45 見つからなかったので、捜しながらエルサレムに引き返した。

46 三日の後、イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。

47 聞いている人は皆、イエスの賢い受け答えに驚いていた。

48 両親はイエスを見て驚き、母が言った。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです。」

49 すると、イエスは言われた。「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。」

50 しかし、両親にはイエスの言葉の意味が分からなかった。

51 それから、イエスは一緒に下って行き、ナザレに帰り、両親に仕えてお暮らしになった。母はこれらのことをすべて心に納めていた。

52 イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/LUK/2-a95b0eb9a2da6e393b5c3305d37cb863.mp3?version_id=1819—

ルカによる福音書 3

洗礼者ヨハネ、教えを宣べる

1 皇帝ティベリウスの治世の第十五年、ポンティオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟フィリポがイトラヤとトラコン地方の領主、リサニアがアビレネの領主、

2 アンナスとカイアファとが大祭司であったとき、神の言葉が荒れ野でザカリアの子ヨハネに降った。

3 そこで、ヨハネはヨルダン川沿いの地方一帯に行って、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。

4 これは、預言者イザヤの書に書いてあるとおりである。「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、/その道筋をまっすぐにせよ。

5 谷はすべて埋められ、/山と丘はみな低くされる。曲がった道はまっすぐに、/でこぼこの道は平らになり、

6 人は皆、神の救いを仰ぎ見る。』」

7 そこでヨハネは、洗礼を授けてもらおうとして出て来た群衆に言った。「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか。

8 悔い改めにふさわしい実を結べ。『我々の父はアブラハムだ』などという考えを起こすな。言っておくが、神はこんな石ころからでも、アブラハムの子たちを造り出すことがおできになる。

9 斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。」

10 そこで群衆は、「では、わたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。

11 ヨハネは、「下着を二枚持っている者は、一枚も持たない者に分けてやれ。食べ物を持っている者も同じようにせよ」と答えた。

12 徴税人も洗礼を受けるために来て、「先生、わたしたちはどうすればよいのですか」と言った。

13 ヨハネは、「規定以上のものは取り立てるな」と言った。

14 兵士も、「このわたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。ヨハネは、「だれからも金をゆすり取ったり、だまし取ったりするな。自分の給料で満足せよ」と言った。

15 民衆はメシアを待ち望んでいて、ヨハネについて、もしかしたら彼がメシアではないかと、皆心の中で考えていた。

16 そこで、ヨハネは皆に向かって言った。「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物のひもを解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。

17 そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。」

18 ヨハネは、ほかにもさまざまな勧めをして、民衆に福音を告げ知らせた。

19 ところで、領主ヘロデは、自分の兄弟の妻ヘロディアとのことについて、また、自分の行ったあらゆる悪事について、ヨハネに責められたので、

20 ヨハネを牢に閉じ込めた。こうしてヘロデは、それまでの悪事にもう一つの悪事を加えた。

イエス、洗礼を受ける

21 民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、

22 聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。

イエスの系図

23 イエスが宣教を始められたときはおよそ三十歳であった。イエスはヨセフの子と思われていた。ヨセフはエリの子、それからさかのぼると、

24 マタト、レビ、メルキ、ヤナイ、ヨセフ、

25 マタティア、アモス、ナウム、エスリ、ナガイ、

26 マハト、マタティア、セメイン、ヨセク、ヨダ、

27 ヨハナン、レサ、ゼルバベル、シャルティエル、ネリ、

28 メルキ、アディ、コサム、エルマダム、エル、

29 ヨシュア、エリエゼル、ヨリム、マタト、レビ、

30 シメオン、ユダ、ヨセフ、ヨナム、エリアキム、

31 メレア、メンナ、マタタ、ナタン、ダビデ、

32 エッサイ、オベド、ボアズ、サラ、ナフション、

33 アミナダブ、アドミン、アルニ、ヘツロン、ペレツ、ユダ、

34 ヤコブ、イサク、アブラハム、テラ、ナホル、

35 セルグ、レウ、ペレグ、エベル、シェラ、

36 カイナム、アルパクシャド、セム、ノア、レメク、

37 メトシェラ、エノク、イエレド、マハラルエル、ケナン、

38 エノシュ、セト、アダム。そして神に至る。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/LUK/3-050de6055f6c221433c43a767a280a0b.mp3?version_id=1819—

ルカによる福音書 4

誘惑を受ける

1 さて、イエスは聖霊に満ちて、ヨルダン川からお帰りになった。そして、荒れ野の中を“霊”によって引き回され、

2 四十日間、悪魔から誘惑を受けられた。その間、何も食べず、その期間が終わると空腹を覚えられた。

3 そこで、悪魔はイエスに言った。「神の子なら、この石にパンになるように命じたらどうだ。」

4 イエスは、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」とお答えになった。

5 更に、悪魔はイエスを高く引き上げ、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せた。

6 そして悪魔は言った。「この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。

7 だから、もしわたしを拝むなら、みんなあなたのものになる。」

8 イエスはお答えになった。「『あなたの神である主を拝み、/ただ主に仕えよ』/と書いてある。」

9 そこで、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて言った。「神の子なら、ここから飛び降りたらどうだ。

10 というのは、こう書いてあるからだ。『神はあなたのために天使たちに命じて、/あなたをしっかり守らせる。』

11 また、/『あなたの足が石に打ち当たることのないように、/天使たちは手であなたを支える。』」

12 イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」とお答えになった。

13 悪魔はあらゆる誘惑を終えて、時が来るまでイエスを離れた。

ガリラヤで伝道を始める

14 イエスは“霊”の力に満ちてガリラヤに帰られた。その評判が周りの地方一帯に広まった。

15 イエスは諸会堂で教え、皆から尊敬を受けられた。

ナザレで受け入れられない

16 イエスはお育ちになったナザレに来て、いつものとおり安息日に会堂に入り、聖書を朗読しようとしてお立ちになった。

17 預言者イザヤの巻物が渡され、お開きになると、次のように書いてある個所が目に留まった。

18 「主の霊がわたしの上におられる。貧しい人に福音を告げ知らせるために、/主がわたしに油を注がれたからである。主がわたしを遣わされたのは、/捕らわれている人に解放を、/目の見えない人に視力の回復を告げ、/圧迫されている人を自由にし、

19 主の恵みの年を告げるためである。」

20 イエスは巻物を巻き、係の者に返して席に座られた。会堂にいるすべての人の目がイエスに注がれていた。

21 そこでイエスは、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と話し始められた。

22 皆はイエスをほめ、その口から出る恵み深い言葉に驚いて言った。「この人はヨセフの子ではないか。」

23 イエスは言われた。「きっと、あなたがたは、『医者よ、自分自身を治せ』ということわざを引いて、『カファルナウムでいろいろなことをしたと聞いたが、郷里のここでもしてくれ』と言うにちがいない。」

24 そして、言われた。「はっきり言っておく。預言者は、自分の故郷では歓迎されないものだ。

25 確かに言っておく。エリヤの時代に三年六か月の間、雨が降らず、その地方一帯に大飢饉が起こったとき、イスラエルには多くのやもめがいたが、

26 エリヤはその中のだれのもとにも遣わされないで、シドン地方のサレプタのやもめのもとにだけ遣わされた。

27 また、預言者エリシャの時代に、イスラエルには重い皮膚病を患っている人が多くいたが、シリア人ナアマンのほかはだれも清くされなかった。」

28 これを聞いた会堂内の人々は皆憤慨し、

29 総立ちになって、イエスを町の外へ追い出し、町が建っている山の崖まで連れて行き、突き落とそうとした。

30 しかし、イエスは人々の間を通り抜けて立ち去られた。

汚れた霊に取りつかれた男をいやす

31 イエスはガリラヤの町カファルナウムに下って、安息日には人々を教えておられた。

32 人々はその教えに非常に驚いた。その言葉には権威があったからである。

33 ところが会堂に、汚れた悪霊に取りつかれた男がいて、大声で叫んだ。

34 「ああ、ナザレのイエス、かまわないでくれ。我々を滅ぼしに来たのか。正体は分かっている。神の聖者だ。」

35 イエスが、「黙れ。この人から出て行け」とお叱りになると、悪霊はその男を人々の中に投げ倒し、何の傷も負わせずに出て行った。

36 人々は皆驚いて、互いに言った。「この言葉はいったい何だろう。権威と力とをもって汚れた霊に命じると、出て行くとは。」

37 こうして、イエスのうわさは、辺り一帯に広まった。

多くの病人をいやす

38 イエスは会堂を立ち去り、シモンの家にお入りになった。シモンのしゅうとめが高い熱に苦しんでいたので、人々は彼女のことをイエスに頼んだ。

39 イエスが枕もとに立って熱を叱りつけられると、熱は去り、彼女はすぐに起き上がって一同をもてなした。

40 日が暮れると、いろいろな病気で苦しむ者を抱えている人が皆、病人たちをイエスのもとに連れて来た。イエスはその一人一人に手を置いていやされた。

41 悪霊もわめき立て、「お前は神の子だ」と言いながら、多くの人々から出て行った。イエスは悪霊を戒めて、ものを言うことをお許しにならなかった。悪霊は、イエスをメシアだと知っていたからである。

巡回して宣教する

42 朝になると、イエスは人里離れた所へ出て行かれた。群衆はイエスを捜し回ってそのそばまで来ると、自分たちから離れて行かないようにと、しきりに引き止めた。

43 しかし、イエスは言われた。「ほかの町にも神の国の福音を告げ知らせなければならない。わたしはそのために遣わされたのだ。」

44 そして、ユダヤの諸会堂に行って宣教された。

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/LUK/4-38a6c5adfba3a0ad95aa862e3c19dec8.mp3?version_id=1819—

ルカによる福音書 5

漁師を弟子にする

1 イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。

2 イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。

3 そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。

4 話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。

5 シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。

6 そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。

7 そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。

8 これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言った。

9 とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。

10 シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」

11 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。

重い皮膚病を患っている人をいやす

12 イエスがある町におられたとき、そこに、全身重い皮膚病にかかった人がいた。この人はイエスを見てひれ伏し、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と願った。

13 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち重い皮膚病は去った。

14 イエスは厳しくお命じになった。「だれにも話してはいけない。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めたとおりに清めの献げ物をし、人々に証明しなさい。」

15 しかし、イエスのうわさはますます広まったので、大勢の群衆が、教えを聞いたり病気をいやしていただいたりするために、集まって来た。

16 だが、イエスは人里離れた所に退いて祈っておられた。

中風の人をいやす

17 ある日のこと、イエスが教えておられると、ファリサイ派の人々と律法の教師たちがそこに座っていた。この人々は、ガリラヤとユダヤのすべての村、そしてエルサレムから来たのである。主の力が働いて、イエスは病気をいやしておられた。

18 すると、男たちが中風を患っている人を床に乗せて運んで来て、家の中に入れてイエスの前に置こうとした。

19 しかし、群衆に阻まれて、運び込む方法が見つからなかったので、屋根に上って瓦をはがし、人々の真ん中のイエスの前に、病人を床ごとつり降ろした。

20 イエスはその人たちの信仰を見て、「人よ、あなたの罪は赦された」と言われた。

21 ところが、律法学者たちやファリサイ派の人々はあれこれと考え始めた。「神を冒涜するこの男は何者だ。ただ神のほかに、いったいだれが、罪を赦すことができるだろうか。」

22 イエスは、彼らの考えを知って、お答えになった。「何を心の中で考えているのか。

23 『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。

24 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「わたしはあなたに言う。起き上がり、床を担いで家に帰りなさい」と言われた。

25 その人はすぐさま皆の前で立ち上がり、寝ていた台を取り上げ、神を賛美しながら家に帰って行った。

26 人々は皆大変驚き、神を賛美し始めた。そして、恐れに打たれて、「今日、驚くべきことを見た」と言った。

レビを弟子にする

27 その後、イエスは出て行って、レビという徴税人が収税所に座っているのを見て、「わたしに従いなさい」と言われた。

28 彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った。

29 そして、自分の家でイエスのために盛大な宴会を催した。そこには徴税人やほかの人々が大勢いて、一緒に席に着いていた。

30 ファリサイ派の人々やその派の律法学者たちはつぶやいて、イエスの弟子たちに言った。「なぜ、あなたたちは、徴税人や罪人などと一緒に飲んだり食べたりするのか。」

31 イエスはお答えになった。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。

32 わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである。」

断食についての問答

33 人々はイエスに言った。「ヨハネの弟子たちは度々断食し、祈りをし、ファリサイ派の弟子たちも同じようにしています。しかし、あなたの弟子たちは飲んだり食べたりしています。」

34 そこで、イエスは言われた。「花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食させることがあなたがたにできようか。

35 しかし、花婿が奪い取られる時が来る。その時には、彼らは断食することになる。」

36 そして、イエスはたとえを話された。「だれも、新しい服から布切れを破り取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。そんなことをすれば、新しい服も破れるし、新しい服から取った継ぎ切れも古いものには合わないだろう。

37 また、だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、新しいぶどう酒は革袋を破って流れ出し、革袋もだめになる。

38 新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れねばならない。

39 また、古いぶどう酒を飲めば、だれも新しいものを欲しがらない。『古いものの方がよい』と言うのである。」

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/LUK/5-806224802b0551c69c1ab86e4c7519a2.mp3?version_id=1819—

ルカによる福音書 6

安息日に麦の穂を摘む

1 ある安息日に、イエスが麦畑を通って行かれると、弟子たちは麦の穂を摘み、手でもんで食べた。

2 ファリサイ派のある人々が、「なぜ、安息日にしてはならないことを、あなたたちはするのか」と言った。

3 イエスはお答えになった。「ダビデが自分も供の者たちも空腹だったときに何をしたか、読んだことがないのか。

4 神の家に入り、ただ祭司のほかにはだれも食べてはならない供えのパンを取って食べ、供の者たちにも与えたではないか。」

5 そして、彼らに言われた。「人の子は安息日の主である。」

手の萎えた人をいやす

6 また、ほかの安息日に、イエスは会堂に入って教えておられた。そこに一人の人がいて、その右手が萎えていた。

7 律法学者たちやファリサイ派の人々は、訴える口実を見つけようとして、イエスが安息日に病気をいやされるかどうか、注目していた。

8 イエスは彼らの考えを見抜いて、手の萎えた人に、「立って、真ん中に出なさい」と言われた。その人は身を起こして立った。

9 そこで、イエスは言われた。「あなたたちに尋ねたい。安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、滅ぼすことか。」

10 そして、彼ら一同を見回して、その人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。言われたようにすると、手は元どおりになった。

11 ところが、彼らは怒り狂って、イエスを何とかしようと話し合った。

十二人を選ぶ

12 そのころ、イエスは祈るために山に行き、神に祈って夜を明かされた。

13 朝になると弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた。

14 それは、イエスがペトロと名付けられたシモン、その兄弟アンデレ、そして、ヤコブ、ヨハネ、フィリポ、バルトロマイ、

15 マタイ、トマス、アルファイの子ヤコブ、熱心党と呼ばれたシモン、

16 ヤコブの子ユダ、それに後に裏切り者となったイスカリオテのユダである。

おびただしい病人をいやす

17 イエスは彼らと一緒に山から下りて、平らな所にお立ちになった。大勢の弟子とおびただしい民衆が、ユダヤ全土とエルサレムから、また、ティルスやシドンの海岸地方から、

18 イエスの教えを聞くため、また病気をいやしていただくために来ていた。汚れた霊に悩まされていた人々もいやしていただいた。

19 群衆は皆、何とかしてイエスに触れようとした。イエスから力が出て、すべての人の病気をいやしていたからである。

幸いと不幸

20 さて、イエスは目を上げ弟子たちを見て言われた。「貧しい人々は、幸いである、/神の国はあなたがたのものである。

21 今飢えている人々は、幸いである、/あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、/あなたがたは笑うようになる。

22 人々に憎まれるとき、また、人の子のために追い出され、ののしられ、汚名を着せられるとき、あなたがたは幸いである。

23 その日には、喜び踊りなさい。天には大きな報いがある。この人々の先祖も、預言者たちに同じことをしたのである。

24 しかし、富んでいるあなたがたは、不幸である、/あなたがたはもう慰めを受けている。

25 今満腹している人々、あなたがたは、不幸である、/あなたがたは飢えるようになる。今笑っている人々は、不幸である、/あなたがたは悲しみ泣くようになる。

26 すべての人にほめられるとき、あなたがたは不幸である。この人々の先祖も、偽預言者たちに同じことをしたのである。」

敵を愛しなさい

27 「しかし、わたしの言葉を聞いているあなたがたに言っておく。敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。

28 悪口を言う者に祝福を祈り、あなたがたを侮辱する者のために祈りなさい。

29 あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。上着を奪い取る者には、下着をも拒んではならない。

30 求める者には、だれにでも与えなさい。あなたの持ち物を奪う者から取り返そうとしてはならない。

31 人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい。

32 自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな恵みがあろうか。罪人でも、愛してくれる人を愛している。

33 また、自分によくしてくれる人に善いことをしたところで、どんな恵みがあろうか。罪人でも同じことをしている。

34 返してもらうことを当てにして貸したところで、どんな恵みがあろうか。罪人さえ、同じものを返してもらおうとして、罪人に貸すのである。

35 しかし、あなたがたは敵を愛しなさい。人に善いことをし、何も当てにしないで貸しなさい。そうすれば、たくさんの報いがあり、いと高き方の子となる。いと高き方は、恩を知らない者にも悪人にも、情け深いからである。

36 あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深い者となりなさい。」

人を裁くな

37 「人を裁くな。そうすれば、あなたがたも裁かれることがない。人を罪人だと決めるな。そうすれば、あなたがたも罪人だと決められることがない。赦しなさい。そうすれば、あなたがたも赦される。

38 与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる。押し入れ、揺すり入れ、あふれるほどに量りをよくして、ふところに入れてもらえる。あなたがたは自分の量る秤で量り返されるからである。」

39 イエスはまた、たとえを話された。「盲人が盲人の道案内をすることができようか。二人とも穴に落ち込みはしないか。

40 弟子は師にまさるものではない。しかし、だれでも、十分に修行を積めば、その師のようになれる。

41 あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか。

42 自分の目にある丸太を見ないで、兄弟に向かって、『さあ、あなたの目にあるおが屑を取らせてください』と、どうして言えるだろうか。偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除け。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目にあるおが屑を取り除くことができる。」

実によって木を知る

43 「悪い実を結ぶ良い木はなく、また、良い実を結ぶ悪い木はない。

44 木は、それぞれ、その結ぶ実によって分かる。茨からいちじくは採れないし、野ばらからぶどうは集められない。

45 善い人は良いものを入れた心の倉から良いものを出し、悪い人は悪いものを入れた倉から悪いものを出す。人の口は、心からあふれ出ることを語るのである。」

家と土台

46 「わたしを『主よ、主よ』と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないのか。

47 わたしのもとに来て、わたしの言葉を聞き、それを行う人が皆、どんな人に似ているかを示そう。

48 それは、地面を深く掘り下げ、岩の上に土台を置いて家を建てた人に似ている。洪水になって川の水がその家に押し寄せたが、しっかり建ててあったので、揺り動かすことができなかった。

49 しかし、聞いても行わない者は、土台なしで地面に家を建てた人に似ている。川の水が押し寄せると、家はたちまち倒れ、その壊れ方がひどかった。」

—https://cdn-youversionapi.global.ssl.fastly.net/audio-bible-youversionapi/531/32k/LUK/6-77ce32d0c069fbcb84187a4e39d06d9f.mp3?version_id=1819—