創世記 40

夢を解くヨセフ

1 これらのことの後で、エジプト王の給仕役と料理役が主君であるエジプト王に過ちを犯した。

2 ファラオは怒って、この二人の宮廷の役人、給仕役の長と料理役の長を、

3 侍従長の家にある牢獄、つまりヨセフがつながれている監獄に引き渡した。

4 侍従長は彼らをヨセフに預け、身辺の世話をさせた。牢獄の中で幾日かが過ぎたが、

5 監獄につながれていたエジプト王の給仕役と料理役は、二人とも同じ夜にそれぞれ夢を見た。その夢には、それぞれ意味が隠されていた。

6 朝になって、ヨセフが二人のところへ行ってみると、二人ともふさぎ込んでいた。

7 ヨセフは主人の家の牢獄に自分と一緒に入れられているファラオの宮廷の役人に尋ねた。「今日は、どうしてそんなに憂うつな顔をしているのですか。」

8 「我々は夢を見たのだが、それを解き明かしてくれる人がいない」と二人は答えた。ヨセフは、「解き明かしは神がなさることではありませんか。どうかわたしに話してみてください」と言った。

9 給仕役の長はヨセフに自分の見た夢を話した。「わたしが夢を見ていると、一本のぶどうの木が目の前に現れたのです。

10 そのぶどうの木には三本のつるがありました。それがみるみるうちに芽を出したかと思うと、すぐに花が咲き、ふさふさとしたぶどうが熟しました。

11 ファラオの杯を手にしていたわたしは、そのぶどうを取って、ファラオの杯に搾り、その杯をファラオにささげました。」

12 ヨセフは言った。「その解き明かしはこうです。三本のつるは三日です。

13 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて、元の職務に復帰させてくださいます。あなたは以前、給仕役であったときのように、ファラオに杯をささげる役目をするようになります。

14 ついては、あなたがそのように幸せになられたときには、どうかわたしのことを思い出してください。わたしのためにファラオにわたしの身の上を話し、この家から出られるように取り計らってください。

15 わたしはヘブライ人の国から無理やり連れて来られたのです。また、ここでも、牢屋に入れられるようなことは何もしていないのです。」

16 料理役の長は、ヨセフが巧みに解き明かすのを見て言った。「わたしも夢を見ていると、編んだ籠が三個わたしの頭の上にありました。

17 いちばん上の籠には、料理役がファラオのために調えたいろいろな料理が入っていましたが、鳥がわたしの頭の上の籠からそれを食べているのです。」

18 ヨセフは答えた。「その解き明かしはこうです。三個の籠は三日です。

19 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて切り離し、あなたを木にかけます。そして、鳥があなたの肉をついばみます。」

20 三日目はファラオの誕生日であったので、ファラオは家来たちを皆、招いて、祝宴を催した。そして、家来たちの居並ぶところで例の給仕役の長の頭と料理役の長の頭を上げて調べた。

21 ファラオは給仕役の長を給仕の職に復帰させたので、彼はファラオに杯をささげる役目をするようになったが、

22 料理役の長は、ヨセフが解き明かしたとおり木にかけられた。

23 ところが、給仕役の長はヨセフのことを思い出さず、忘れてしまった。

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創世記 41

ファラオの夢を解く

1 二年の後、ファラオは夢を見た。ナイル川のほとりに立っていると、

2 突然、つややかな、よく肥えた七頭の雌牛が川から上がって来て、葦辺で草を食べ始めた。

3 すると、その後から、今度は醜い、やせ細った七頭の雌牛が川から上がって来て、岸辺にいる雌牛のそばに立った。

4 そして、醜い、やせ細った雌牛が、つややかな、よく肥えた七頭の雌牛を食い尽くした。ファラオは、そこで目が覚めた。

5 ファラオがまた眠ると、再び夢を見た。今度は、太って、よく実った七つの穂が、一本の茎から出てきた。

6 すると、その後から、実が入っていない、東風で干からびた七つの穂が生えてきて、

7 実の入っていない穂が、太って、実の入った七つの穂をのみ込んでしまった。ファラオは、そこで目が覚めた。それは夢であった。

8 朝になって、ファラオはひどく心が騒ぎ、エジプト中の魔術師と賢者をすべて呼び集めさせ、自分の見た夢を彼らに話した。しかし、ファラオに解き明かすことができる者はいなかった。

9 そのとき、例の給仕役の長がファラオに申し出た。「わたしは、今日になって自分の過ちを思い出しました。

10 かつてファラオが僕どもについて憤られて、侍従長の家にある牢獄にわたしと料理役の長を入れられたとき、

11 同じ夜に、わたしたちはそれぞれ夢を見たのですが、そのどちらにも意味が隠されていました。

12 そこには、侍従長に仕えていたヘブライ人の若者がおりまして、彼に話をしたところ、わたしたちの夢を解き明かし、それぞれ、その夢に応じて解き明かしたのです。

13 そしてまさしく、解き明かしたとおりになって、わたしは元の職務に復帰することを許され、彼は木にかけられました。」

14 そこで、ファラオはヨセフを呼びにやった。ヨセフは直ちに牢屋から連れ出され、散髪をし着物を着替えてから、ファラオの前に出た。

15 ファラオはヨセフに言った。「わたしは夢を見たのだが、それを解き明かす者がいない。聞くところによれば、お前は夢の話を聞いて、解き明かすことができるそうだが。」

16 ヨセフはファラオに答えた。「わたしではありません。神がファラオの幸いについて告げられるのです。」

17 ファラオはヨセフに話した。「夢の中で、わたしがナイル川の岸に立っていると、

18 突然、よく肥えて、つややかな七頭の雌牛が川から上がって来て、葦辺で草を食べ始めた。

19 すると、その後から、今度は貧弱で、とても醜い、やせた七頭の雌牛が上がって来た。あれほどひどいのは、エジプトでは見たことがない。

20 そして、そのやせた、醜い雌牛が、初めのよく肥えた七頭の雌牛を食い尽くしてしまった。

21 ところが、確かに腹の中に入れたのに、腹の中に入れたことがまるで分からないほど、最初と同じように醜いままなのだ。わたしは、そこで目が覚めた。

22 それからまた、夢の中でわたしは見たのだが、今度は、とてもよく実の入った七つの穂が一本の茎から出てきた。

23 すると、その後から、やせ細り、実が入っておらず、東風で干からびた七つの穂が生えてきた。

24 そして、実の入っていないその穂が、よく実った七つの穂をのみ込んでしまった。わたしは魔術師たちに話したが、その意味を告げうる者は一人もいなかった。」

25 ヨセフはファラオに言った。「ファラオの夢は、どちらも同じ意味でございます。神がこれからなさろうとしていることを、ファラオにお告げになったのです。

26 七頭のよく育った雌牛は七年のことです。七つのよく実った穂も七年のことです。どちらの夢も同じ意味でございます。

27 その後から上がって来た七頭のやせた、醜い雌牛も七年のことです。また、やせて、東風で干からびた七つの穂も同じで、これらは七年の飢饉のことです。

28 これは、先程ファラオに申し上げましたように、神がこれからなさろうとしていることを、ファラオにお示しになったのです。

29 今から七年間、エジプトの国全体に大豊作が訪れます。

30 しかし、その後に七年間、飢饉が続き、エジプトの国に豊作があったことなど、すっかり忘れられてしまうでしょう。飢饉が国を滅ぼしてしまうのです。

31 この国に豊作があったことは、その後に続く飢饉のために全く忘れられてしまうでしょう。飢饉はそれほどひどいのです。

32 ファラオが夢を二度も重ねて見られたのは、神がこのことを既に決定しておられ、神が間もなく実行されようとしておられるからです。

33 このような次第ですから、ファラオは今すぐ、聡明で知恵のある人物をお見つけになって、エジプトの国を治めさせ、

34 また、国中に監督官をお立てになり、豊作の七年の間、エジプトの国の産物の五分の一を徴収なさいますように。

35 このようにして、これから訪れる豊年の間に食糧をできるかぎり集めさせ、町々の食糧となる穀物をファラオの管理の下に蓄え、保管させるのです。

36 そうすれば、その食糧がエジプトの国を襲う七年の飢饉に対する国の備蓄となり、飢饉によって国が滅びることはないでしょう。」

ヨセフの支配

37 ファラオと家来たちは皆、ヨセフの言葉に感心した。

38 ファラオは家来たちに、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言い、

39 ヨセフの方を向いてファラオは言った。「神がそういうことをみな示されたからには、お前ほど聡明で知恵のある者は、ほかにはいないであろう。

40 お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。」

41 ファラオはヨセフに向かって、「見よ、わたしは今、お前をエジプト全国の上に立てる」と言い、

42 印章のついた指輪を自分の指からはずしてヨセフの指にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りをヨセフの首にかけた。

43 ヨセフを王の第二の車に乗せると、人々はヨセフの前で、「アブレク(敬礼)」と叫んだ。ファラオはこうして、ヨセフをエジプト全国の上に立て、

44 ヨセフに言った。「わたしはファラオである。お前の許しなしには、このエジプト全国で、だれも、手足を上げてはならない。」

45 ファラオは更に、ヨセフにツァフェナト・パネアという名を与え、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトを妻として与えた。ヨセフの威光はこうして、エジプトの国にあまねく及んだ。

46 ヨセフは、エジプトの王ファラオの前に立ったとき三十歳であった。ヨセフはファラオの前をたって、エジプト全国を巡回した。

47 豊作の七年の間、大地は豊かな実りに満ち溢れた。

48 ヨセフはその七年の間に、エジプトの国中の食糧をできるかぎり集め、その食糧を町々に蓄えさせた。町の周囲の畑にできた食糧を、その町の中に蓄えさせたのである。

49 ヨセフは、海辺の砂ほども多くの穀物を蓄え、ついに量りきれなくなったので、量るのをやめた。

50 飢饉の年がやって来る前に、ヨセフに二人の息子が生まれた。この子供を産んだのは、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトである。

51 ヨセフは長男をマナセ(忘れさせる)と名付けて言った。「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった。」

52 また、次男をエフライム(増やす)と名付けて言った。「神は、悩みの地で、わたしに子孫を増やしてくださった。」

53 エジプトの国に七年間の大豊作が終わると、

54 ヨセフが言ったとおり、七年の飢饉が始まった。その飢饉はすべての国々を襲ったが、エジプトには、全国どこにでも食物があった。

55 やがて、エジプト全国にも飢饉が広がり、民がファラオに食物を叫び求めた。ファラオはすべてのエジプト人に、「ヨセフのもとに行って、ヨセフの言うとおりにせよ」と命じた。

56 飢饉は世界各地に及んだ。ヨセフはすべての穀倉を開いてエジプト人に穀物を売ったが、エジプトの国の飢饉は激しくなっていった。

57 また、世界各地の人々も、穀物を買いにエジプトのヨセフのもとにやって来るようになった。世界各地の飢饉も激しくなったからである。

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創世記 42

兄たち、エジプトへ下る

1 ヤコブは、エジプトに穀物があると知って、息子たちに、「どうしてお前たちは顔を見合わせてばかりいるのだ」と言い、更に、

2 「聞くところでは、エジプトには穀物があるというではないか。エジプトへ下って行って穀物を買ってきなさい。そうすれば、我々は死なずに生き延びることができるではないか」と言った。

3 そこでヨセフの十人の兄たちは、エジプトから穀物を買うために下って行った。

4 ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄たちに同行させなかった。何か不幸なことが彼の身に起こるといけないと思ったからであった。

5 イスラエルの息子たちは、他の人々に混じって穀物を買いに出かけた。カナン地方にも飢饉が襲っていたからである。

6 ところで、ヨセフはエジプトの司政者として、国民に穀物を販売する監督をしていた。ヨセフの兄たちは来て、地面にひれ伏し、ヨセフを拝した。

7 ヨセフは一目で兄たちだと気づいたが、そしらぬ振りをして厳しい口調で、「お前たちは、どこからやって来たのか」と問いかけた。彼らは答えた。「食糧を買うために、カナン地方からやって参りました。」

8 ヨセフは兄たちだと気づいていたが、兄たちはヨセフとは気づかなかった。

9 ヨセフは、そのとき、かつて兄たちについて見た夢を思い起こした。ヨセフは彼らに言った。「お前たちは回し者だ。この国の手薄な所を探りに来たにちがいない。」

10 彼らは答えた。「いいえ、御主君様。僕どもは食糧を買いに来ただけでございます。

11 わたしどもは皆、ある男の息子で、正直な人間でございます。僕どもは決して回し者などではありません。」

12 しかしヨセフが、「いや、お前たちはこの国の手薄な所を探りに来たにちがいない」と言うと、

13 彼らは答えた。「僕どもは、本当に十二人兄弟で、カナン地方に住むある男の息子たちでございます。末の弟は、今、父のもとにおりますが、もう一人は失いました。」

14 すると、ヨセフは言った。「お前たちは回し者だとわたしが言ったのは、そのことだ。

15 その点について、お前たちを試すことにする。ファラオの命にかけて言う。いちばん末の弟を、ここに来させよ。それまでは、お前たちをここから出すわけにはいかぬ。

16 お前たちのうち、だれか一人を行かせて、弟を連れて来い。それまでは、お前たちを監禁し、お前たちの言うことが本当かどうか試す。もしそのとおりでなかったら、ファラオの命にかけて言う。お前たちは間違いなく回し者だ。」

17 ヨセフは、こうして彼らを三日間、牢獄に監禁しておいた。

18 三日目になって、ヨセフは彼らに言った。「こうすれば、お前たちの命を助けてやろう。わたしは神を畏れる者だ。

19 お前たちが本当に正直な人間だというのなら、兄弟のうち一人だけを牢獄に監禁するから、ほかの者は皆、飢えているお前たちの家族のために穀物を持って帰り、

20 末の弟をここへ連れて来い。そうして、お前たちの言い分が確かめられたら、殺されはしない。」彼らは同意して、

21 互いに言った。「ああ、我々は弟のことで罰を受けているのだ。弟が我々に助けを求めたとき、あれほどの苦しみを見ながら、耳を貸そうともしなかった。それで、この苦しみが我々にふりかかった。」

22 すると、ルベンが答えた。「あのときわたしは、『あの子に悪いことをするな』と言ったではないか。お前たちは耳を貸そうともしなかった。だから、あの子の血の報いを受けるのだ。」

23 彼らはヨセフが聞いているのを知らなかった。ヨセフと兄弟たちの間に、通訳がいたからである。

24 ヨセフは彼らから遠ざかって泣いた。それからまた戻って来て、話をしたうえでシメオンを選び出し、彼らの見ている前で縛り上げた。

25 ヨセフは人々に命じて、兄たちの袋に穀物を詰め、支払った銀をめいめいの袋に返し、道中の食糧を与えるように指示し、そのとおり実行された。

26 彼らは穀物をろばに積んでそこを立ち去った。

27 途中の宿で、一人がろばに餌をやろうとして、自分の袋を開けてみると、袋の口のところに自分の銀があるのを見つけ、

28 ほかの兄弟たちに言った。「戻されているぞ、わたしの銀が。ほら、わたしの袋の中に。」みんなの者は驚き、互いに震えながら言った。「これは一体、どういうことだ。神が我々になさったことは。」

29 一行はカナン地方にいる父ヤコブのところへ帰って来て、自分たちの身に起こったことをすべて報告した。

30 「あの国の主君である人が、我々を厳しい口調で問い詰めて、この国を探りに来た回し者にちがいないと言うのです。

31 もちろん、我々は正直な人間で、決して回し者などではないと答えました。

32 我々が十二人兄弟で、一人の父の息子であり、一人は失いましたが、末の弟は今、カナンの地方に住む父のもとにいますと言ったところ、

33 あの国の主君である人が言いました。『では、お前たちが本当に正直な人間かどうかを、こうして確かめることにする。お前たち兄弟のうち、一人だけここに残し、飢えているお前たちの家族のために、穀物を持ち帰るがいい。

34 ただし、末の弟を必ずここへ連れて来るのだ。そうすれば、お前たちが回し者ではなく、正直な人間であることが分かるから、お前たちに兄弟を返し、自由にこの国に出入りできるようにしてやろう。』」

35 それから、彼らが袋を開けてみると、めいめいの袋の中にもそれぞれ自分の銀の包みが入っていた。彼らも父も、銀の包みを見て恐ろしくなった。

36 父ヤコブは息子たちに言った。「お前たちは、わたしから次々と子供を奪ってしまった。ヨセフを失い、シメオンも失った。その上ベニヤミンまでも取り上げるのか。みんなわたしを苦しめることばかりだ。」

37 ルベンは父に言った。「もしも、お父さんのところにベニヤミンを連れ帰らないようなことがあれば、わたしの二人の息子を殺してもかまいません。どうか、彼をわたしに任せてください。わたしが、必ずお父さんのところに連れ帰りますから。」

38 しかし、ヤコブは言った。「いや、この子だけは、お前たちと一緒に行かせるわけにはいかぬ。この子の兄は死んでしまい、残っているのは、この子だけではないか。お前たちの旅の途中で、何か不幸なことがこの子の身に起こりでもしたら、お前たちは、この白髪の父を、悲嘆のうちに陰府に下らせることになるのだ。」

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創世記 43

再びエジプトへ

1 この地方の飢饉はひどくなる一方であった。

2 エジプトから持ち帰った穀物を食べ尽くすと、父は息子たちに言った。「もう一度行って、我々の食糧を少し買って来なさい。」

3 しかし、ユダは答えた。「あの人は、『弟が一緒でないかぎり、わたしの顔を見ることは許さぬ』と、厳しく我々に言い渡したのです。

4 もし弟を一緒に行かせてくださるなら、我々は下って行って、あなたのために食糧を買って参ります。

5 しかし、一緒に行かせてくださらないのなら、行くわけにはいきません。『弟が一緒でないかぎり、わたしの顔を見ることは許さぬ』と、あの人が我々に言ったのですから。」

6 「なぜお前たちは、その人にもう一人弟がいるなどと言って、わたしを苦しめるようなことをしたのか」とイスラエルが言うと、

7 彼らは答えた。「あの人が、我々のことや家族のことについて、『お前たちの父親は、まだ生きているのか』とか、『お前たちには、まだほかに弟がいるのか』などと、しきりに尋ねるものですから、尋ねられるままに答えただけです。まさか、『弟を連れて来い』などと言われようとは思いも寄りませんでしたから。」

8 ユダは、父イスラエルに言った。「あの子をぜひわたしと一緒に行かせてください。それなら、すぐにでも行って参ります。そうすれば、我々も、あなたも、子供たちも死なずに生き延びることができます。

9 あの子のことはわたしが保障します。その責任をわたしに負わせてください。もしも、あの子をお父さんのもとに連れ帰らず、無事な姿をお目にかけられないようなことにでもなれば、わたしがあなたに対して生涯その罪を負い続けます。

10 こんなにためらっていなければ、今ごろはもう二度も行って来たはずです。」

11 すると、父イスラエルは息子たちに言った。「どうしてもそうしなければならないのなら、こうしなさい。この土地の名産の品を袋に入れて、その人への贈り物として持って行くのだ。乳香と蜜を少し、樹脂と没薬、ピスタチオやアーモンドの実。

12 それから、銀を二倍用意して行きなさい。袋の口に戻されていた銀も持って行ってお返しするのだ。たぶん何かの間違いだったのだろうから。

13 では、弟を連れて、早速その人のところへ戻りなさい。

14 どうか、全能の神がその人の前でお前たちに憐れみを施し、もう一人の兄弟と、このベニヤミンを返してくださいますように。このわたしがどうしても子供を失わねばならないのなら、失ってもよい。」

15 息子たちは贈り物と二倍の銀を用意すると、ベニヤミンを連れて、早速エジプトへ下って行った。さて、一行がヨセフの前に進み出ると、

16 ヨセフはベニヤミンが一緒なのを見て、自分の家を任せている執事に言った。「この人たちを家へお連れしなさい。それから、家畜を屠って料理を調えなさい。昼の食事をこの人たちと一緒にするから。」

17 執事はヨセフに言われたとおりにし、一同をヨセフの屋敷へ連れて行った。

18 一同はヨセフの屋敷へ連れて来られたので、恐ろしくなって、「これはきっと、前に来たとき我々の袋に戻されていたあの銀のせいだ。それで、ここに連れ込まれようとしているのだ。今に、ろばもろとも捕らえられ、ひどい目に遭い、奴隷にされてしまうにちがいない」と思った。

19 彼らは屋敷の入り口のところでヨセフの執事の前に進み出て、話しかけて、

20 言った。「ああ、御主人様。実は、わたしどもは前に一度、食糧を買うためにここへ来たことがございます。

21 ところが、帰りに宿で袋を開けてみると、一人一人の袋の口のところにそれぞれ自分の銀が入っておりました。しかも、銀の重さは元のままでした。それで、それをお返ししなければ、と持って参りました。

22 もちろん、食糧を買うための銀は、別に用意してきております。一体誰がわたしどもの袋に銀を入れたのか分かりません。」

23 執事は、「御安心なさい。心配することはありません。きっと、あなたたちの神、あなたたちの父の神が、その宝を袋に入れてくださったのでしょう。あなたたちの銀は、このわたしが確かに受け取ったのですから」と答え、シメオンを兄弟たちのところへ連れて来た。

24 執事は一同をヨセフの屋敷に入れ、水を与えて足を洗わせ、ろばにも餌を与えた。

25 彼らは贈り物を調えて、昼にヨセフが帰宅するのを待った。一緒に食事をすることになっていると聞いたからである。

26 ヨセフが帰宅すると、一同は屋敷に持って来た贈り物を差し出して、地にひれ伏してヨセフを拝した。

27 ヨセフは一同の安否を尋ねた後、言った。「前に話していた、年をとった父上は元気か。まだ生きておられるか。」

28 「あなたさまの僕である父は元気で、まだ生きております」と彼らは答え、ひざまずいて、ヨセフを拝した。

29 ヨセフは同じ母から生まれた弟ベニヤミンをじっと見つめて、「前に話していた末の弟はこれか」と尋ね、「わたしの子よ。神の恵みがお前にあるように」と言うと、

30 ヨセフは急いで席を外した。弟懐かしさに、胸が熱くなり、涙がこぼれそうになったからである。ヨセフは奥の部屋に入ると泣いた。

31 やがて、顔を洗って出て来ると、ヨセフは平静を装い、「さあ、食事を出しなさい」と言いつけた。

32 食事は、ヨセフにはヨセフの、兄弟たちには兄弟たちの、相伴するエジプト人にはエジプト人のものと、別々に用意された。当時、エジプト人は、ヘブライ人と共に食事をすることはできなかったからである。それはエジプト人のいとうことであった。

33 兄弟たちは、いちばん上の兄から末の弟まで、ヨセフに向かって年齢順に座らされたので、驚いて互いに顔を見合わせた。

34 そして、料理がヨセフの前からみんなのところへ配られたが、ベニヤミンの分はほかのだれの分より五倍も多かった。一同はぶどう酒を飲み、ヨセフと共に酒宴を楽しんだ。

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創世記 44

銀の杯

1 ヨセフは執事に命じた。「あの人たちの袋を、運べるかぎり多くの食糧でいっぱいにし、めいめいの銀をそれぞれの袋の口のところへ入れておけ。

2 それから、わたしの杯、あの銀の杯を、いちばん年下の者の袋の口に、穀物の代金の銀と一緒に入れておきなさい。」執事はヨセフが命じたとおりにした。

3 次の朝、辺りが明るくなったころ、一行は見送りを受け、ろばと共に出発した。

4 ところが、町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは執事に命じた。「すぐに、あの人たちを追いかけ、追いついたら彼らに言いなさい。『どうして、お前たちは悪をもって善に報いるのだ。

5 あの銀の杯は、わたしの主人が飲むときや占いのときに、お使いになるものではないか。よくもこんな悪いことができたものだ。』」

6 執事は彼らに追いつくと、そのとおりに言った。

7 すると、彼らは言った。「御主人様、どうしてそのようなことをおっしゃるのですか。僕どもがそんなことをするなどとは、とんでもないことです。

8 袋の口で見つけた銀でさえ、わたしどもはカナンの地から持ち帰って、御主人様にお返ししたではありませんか。そのわたしどもがどうして、あなたの御主君のお屋敷から銀や金を盗んだりするでしょうか。

9 僕どもの中のだれからでも杯が見つかれば、その者は死罪に、ほかのわたしどもも皆、御主人様の奴隷になります。」

10 すると、執事は言った。「今度もお前たちが言うとおりならよいが。だれであっても、杯が見つかれば、その者はわたしの奴隷にならねばならない。ほかの者には罪は無い。」

11 彼らは急いで自分の袋を地面に降ろし、めいめいで袋を開けた。

12 執事が年上の者から念入りに調べ始め、いちばん最後に年下の者になったとき、ベニヤミンの袋の中から杯が見つかった。

13 彼らは衣を引き裂き、めいめい自分のろばに荷を積むと、町へ引き返した。

14 ユダと兄弟たちがヨセフの屋敷に入って行くと、ヨセフはまだそこにいた。一同は彼の前で地にひれ伏した。

15 「お前たちのしたこの仕業は何事か。わたしのような者は占い当てることを知らないのか」とヨセフが言うと、

16 ユダが答えた。「御主君に何と申し開きできましょう。今更どう言えば、わたしどもの身の証しを立てることができましょう。神が僕どもの罪を暴かれたのです。この上は、わたしどもも、杯が見つかった者と共に、御主君の奴隷になります。」

17 ヨセフは言った。「そんなことは全く考えていない。ただ、杯を見つけられた者だけが、わたしの奴隷になればよい。ほかのお前たちは皆、安心して父親のもとへ帰るがよい。」

ユダの嘆願

18 ユダはヨセフの前に進み出て言った。「ああ、御主君様。何とぞお怒りにならず、僕の申し上げますことに耳を傾けてください。あなたはファラオに等しいお方でいらっしゃいますから。

19 御主君は僕どもに向かって、『父や兄弟がいるのか』とお尋ねになりましたが、

20 そのとき、御主君に、『年とった父と、それに父の年寄り子である末の弟がおります。その兄は亡くなり、同じ母の子で残っているのはその子だけですから、父は彼をかわいがっております』と申し上げました。

21 すると、あなたさまは、『その子をここへ連れて来い。自分の目で確かめることにする』と僕どもにお命じになりました。

22 わたしどもは、御主君に、『あの子は、父親のもとから離れるわけにはまいりません。あの子が父親のもとを離れれば、父は死んでしまいます』と申しましたが、

23 あなたさまは、『その末の弟が一緒に来なければ、再びわたしの顔を見ることは許さぬ』と僕どもにおっしゃいました。

24 わたしどもは、あなたさまの僕である父のところへ帰り、御主君のお言葉を伝えました。

25 そして父が、『もう一度行って、我々の食糧を少し買って来い』と申しました折にも、

26 『行くことはできません。もし、末の弟が一緒なら、行って参ります。末の弟が一緒でないかぎり、あの方の顔を見ることはできないのです』と答えました。

27 すると、あなたさまの僕である父は、『お前たちも知っているように、わたしの妻は二人の息子を産んだ。

28 ところが、そのうちの一人はわたしのところから出て行ったきりだ。きっとかみ裂かれてしまったと思うが、それ以来、会っていない。

29 それなのに、お前たちはこの子までも、わたしから取り上げようとする。もしも、何か不幸なことがこの子の身に起こりでもしたら、お前たちはこの白髪の父を、苦しめて陰府に下らせることになるのだ』と申しました。

30 今わたしが、この子を一緒に連れずに、あなたさまの僕である父のところへ帰れば、父の魂はこの子の魂と堅く結ばれていますから、

31 この子がいないことを知って、父は死んでしまうでしょう。そして、僕どもは白髪の父を、悲嘆のうちに陰府に下らせることになるのです。

32 実は、この僕が父にこの子の安全を保障して、『もしも、この子をあなたのもとに連れて帰らないようなことがあれば、わたしが父に対して生涯その罪を負い続けます』と言ったのです。

33 何とぞ、この子の代わりに、この僕を御主君の奴隷としてここに残し、この子はほかの兄弟たちと一緒に帰らせてください。

34 この子を一緒に連れずに、どうしてわたしは父のもとへ帰ることができましょう。父に襲いかかる苦悶を見るに忍びません。」

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創世記 45

ヨセフ、身を明かす

1 ヨセフは、そばで仕えている者の前で、もはや平静を装っていることができなくなり、「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。だれもそばにいなくなってから、ヨセフは兄弟たちに自分の身を明かした。

2 ヨセフは、声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、ファラオの宮廷にも伝わった。

3 ヨセフは、兄弟たちに言った。「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかった。

4 ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか、もっと近寄ってください。」兄弟たちがそばへ近づくと、ヨセフはまた言った。「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。

5 しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。

6 この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。

7 神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。

8 わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。

9 急いで父上のもとへ帰って、伝えてください。『息子のヨセフがこう言っています。神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。ためらわずに、わたしのところへおいでください。

10 そして、ゴシェンの地域に住んでください。そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、わたしの近くで暮らすことができます。

11 そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、困ることのないようになさらなければいけません。』

12 さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのです。

13 エジプトでわたしが受けているすべての栄誉と、あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください。そして、急いで父上をここへ連れて来てください。」

14 ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いた。

15 ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。その後、兄弟たちはヨセフと語り合った。

16 ヨセフの兄弟たちがやって来たという知らせがファラオの宮廷に伝わると、ファラオも家来たちも喜んだ。

17 ファラオはヨセフに言った。「兄弟たちに、こうするように言いなさい。『家畜に荷を積んでカナンの地に行き、

18 父上と家族をここへ連れて来なさい。わたしは、エジプトの国の最良のものを与えよう。あなたたちはこの国の最上の産物を食べるがよい。』

19 また、こうするよう命じなさい。『エジプトの国から、あなたたちの子供や妻たちを乗せる馬車を引いて行き、父上もそれに乗せて来るがよい。

20 家財道具などには未練を残さないように。エジプトの国中で最良のものが、あなたたちのものになるのだから。』」

21 イスラエルの息子たちはそのとおりにした。ヨセフは、ファラオの命令に従って、彼らに馬車を与え、また道中の食糧を与えた。

22 ヨセフは更に、全員にそれぞれ晴れ着を与えたが、特にベニヤミンには銀三百枚と晴れ着五枚を与えた。

23 父にも、エジプトの最良のものを積んだろば十頭と、穀物やパン、それに父の道中に必要な食糧を積んだ雌ろば十頭を贈った。

24 いよいよ兄弟たちを送り出すとき、出発にあたってヨセフは、「途中で、争わないでください」と言った。

25 兄弟たちはエジプトからカナン地方へ上って行き、父ヤコブのもとへ帰ると、

26 直ちに報告した。「ヨセフがまだ生きています。しかも、エジプト全国を治める者になっています。」父は気が遠くなった。彼らの言うことが信じられなかったのである。

27 彼らはヨセフが話したとおりのことを、残らず父に語り、ヨセフが父を乗せるために遣わした馬車を見せた。父ヤコブは元気を取り戻した。

28 イスラエルは言った。「よかった。息子ヨセフがまだ生きていたとは。わたしは行こう。死ぬ前に、どうしても会いたい。」

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創世記 46

ヤコブのエジプト下り

1 イスラエルは、一家を挙げて旅立った。そして、ベエル・シェバに着くと、父イサクの神にいけにえをささげた。

2 その夜、幻の中で神がイスラエルに、「ヤコブ、ヤコブ」と呼びかけた。彼が、「はい」と答えると、

3 神は言われた。「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトへ下ることを恐れてはならない。わたしはあなたをそこで大いなる国民にする。

4 わたしがあなたと共にエジプトへ下り、わたしがあなたを必ず連れ戻す。ヨセフがあなたのまぶたを閉じてくれるであろう。」

5 ヤコブはベエル・シェバを出発した。イスラエルの息子たちは、ファラオが遣わした馬車に父ヤコブと子供や妻たちを乗せた。

6 ヤコブとその子孫は皆、カナン地方で得た家畜や財産を携えてエジプトへ向かった。

7 こうしてヤコブは、息子や孫、娘や孫娘など、子孫を皆連れてエジプトへ行った。

8 エジプトへ行ったイスラエルの人々、すなわちヤコブとその子らの名前は次のとおりである。ヤコブの長男ルベン。

9 ルベンの息子のハノク、パル、ヘツロン、カルミ。

10 シメオンの息子のエムエル、ヤミン、オハド、ヤキン、ツォハル、およびカナンの女による息子シャウル。

11 レビの息子のゲルション、ケハト、メラリ。

12 ユダの息子のエル、オナン、シェラ、ペレツ、ゼラ。ただし、エルとオナンはカナンの土地で死んだ。ペレツの息子のヘツロン、ハムル。

13 イサカルの息子のトラ、プワ、ヨブ、シムロン。

14 ゼブルンの息子のセレド、エロン、ヤフレエル。

15 これらは、レアがパダン・アラムでヤコブとの間に産んだ子らである。ヤコブの娘ディナも含め、男女の総数は三十三名である。

16 ガドの息子のツィフヨン、ハギ、シュニ、エツボン、エリ、アロディ、アルエリ。

17 アシェルの息子のイムナ、イシュワ、イシュビ、ベリア、および妹セラ。ベリアの息子はヘベル、マルキエル。

18 これらは、ラバンが娘レアに与えたジルパの子らである。ジルパがヤコブとの間に産んだのは十六名である。

19 ヤコブの妻ラケルの息子のヨセフ、ベニヤミン。

20 ヨセフには、エジプトの国で息子が生まれた。それは、オンの祭司のポティ・フェラの娘アセナトが彼との間に産んだマナセとエフライムである。

21 ベニヤミンの息子のベラ、ベケル、アシュベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシュ、ムピム、フピム、アルド。

22 これらは、ヤコブとの間に生まれたラケルの子らで、その総数は十四名である。

23 ダンの息子のフシム。

24 ナフタリの息子のヤフツェエル、グニ、イエツェル、シレム。

25 これらは、ラバンが娘ラケルに与えたビルハの子らである。ビルハがヤコブとの間に産んだ者の総数は七名である。

26 ヤコブの腰から出た者で、ヤコブと共にエジプトへ行った者は、ヤコブの息子の妻たちを除けば、総数六十六名である。

27 エジプトで生まれたヨセフの息子は二人である。従って、エジプトへ行ったヤコブの家族は総数七十名であった。

ゴシェンでの再会

28 ヤコブは、ヨセフをゴシェンに連れて来るために、ユダを一足先にヨセフのところへ遣わした。そして一行はゴシェンの地に到着した。

29 ヨセフは車を用意させると、父イスラエルに会いにゴシェンへやって来た。ヨセフは父を見るやいなや、父の首に抱きつき、その首にすがったまま、しばらく泣き続けた。

30 イスラエルはヨセフに言った。「わたしはもう死んでもよい。お前がまだ生きていて、お前の顔を見ることができたのだから。」

31 ヨセフは、兄弟や父の家族の者たちに言った。「わたしはファラオのところへ報告のため参上し、『カナン地方にいたわたしの兄弟と父の家族の者たちがわたしのところに参りました。

32 この人たちは羊飼いで、家畜の群れを飼っていたのですが、羊や牛をはじめ、すべての財産を携えてやって来ました』と申します。

33 ですから、ファラオがあなたたちをお召しになって、『仕事は何か』と言われたら、

34 『あなたの僕であるわたしどもは、先祖代々、幼い時から今日まで家畜の群れを飼う者でございます』と答えてください。そうすれば、あなたたちはゴシェンの地域に住むことができるでしょう。」羊飼いはすべて、エジプト人のいとうものであったのである。

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創世記 47

ファラオとの会見

1 ヨセフはファラオのところへ行き、「わたしの父と兄弟たちが、羊や牛をはじめ、すべての財産を携えて、カナン地方からやって来て、今、ゴシェンの地におります」と報告した。

2 そのときヨセフは、兄弟の中から五人を選んで、ファラオの前に連れて行った。

3 ファラオはヨセフの兄弟たちに言った。「お前たちの仕事は何か。」兄弟たちが、「あなたの僕であるわたしどもは、先祖代々、羊飼いでございます」と答え、

4 更に続けてファラオに言った。「わたしどもはこの国に寄留させていただきたいと思って、参りました。カナン地方は飢饉がひどく、僕たちの羊を飼うための牧草がありません。僕たちをゴシェンの地に住まわせてください。」

5 ファラオはヨセフに向かって言った。「父上と兄弟たちが、お前のところにやって来たのだ。

6 エジプトの国のことはお前に任せてあるのだから、最も良い土地に父上と兄弟たちを住まわせるがよい。ゴシェンの地に住まわせるのもよかろう。もし、一族の中に有能な者がいるなら、わたしの家畜の監督をさせるがよい。」

7 それから、ヨセフは父ヤコブを連れて来て、ファラオの前に立たせた。ヤコブはファラオに祝福の言葉を述べた。

8 ファラオが、「あなたは何歳におなりですか」とヤコブに語りかけると、

9 ヤコブはファラオに答えた。「わたしの旅路の年月は百三十年です。わたしの生涯の年月は短く、苦しみ多く、わたしの先祖たちの生涯や旅路の年月には及びません。」

10 ヤコブは、別れの挨拶をして、ファラオの前から退出した。

11 ヨセフはファラオが命じたように、父と兄弟たちの住まいを定め、エジプトの国に所有地を与えた。そこは、ラメセス地方の最も良い土地であった。

12 ヨセフはまた、父と兄弟たちと父の家族の者すべてを養い、扶養すべき者の数に従って食糧を与えた。

ヨセフの政策

13 飢饉が極めて激しく、世界中に食糧がなくなった。エジプトの国でも、カナン地方でも、人々は飢饉のために苦しみあえいだ。

14 ヨセフは、エジプトの国とカナン地方の人々が穀物の代金として支払った銀をすべて集め、それをファラオの宮廷に納めた。

15 エジプトの国にもカナン地方にも、銀が尽き果てると、エジプト人は皆、ヨセフのところにやって来て、「食べる物をください。あなたさまは、わたしどもを見殺しになさるおつもりですか。銀はなくなってしまいました」と言った。

16 ヨセフは答えた。「家畜を連れて来なさい。もし銀がなくなったのなら、家畜と引き換えに与えよう。」

17 人々が家畜をヨセフのところに連れて来ると、ヨセフは、馬や、羊や牛の群れや、ろばと引き換えに食糧を与えた。ヨセフはこうして、その年、すべての家畜と引き換えに人々に食糧を分け与えた。

18 その年も終わり、次の年になると、人々はまたヨセフのところに来て、言った。「御主君には、何もかも隠さずに申し上げます。銀はすっかりなくなり、家畜の群れも御主君のものとなって、御覧のように残っているのは、わたしどもの体と農地だけです。

19 どうしてあなたさまの前で、わたしどもと農地が滅んでしまってよいでしょうか。食糧と引き換えに、わたしどもと土地を買い上げてください。わたしどもは農地とともに、ファラオの奴隷になります。種をお与えください。そうすれば、わたしどもは死なずに生きることができ、農地も荒れ果てないでしょう。」

20 ヨセフは、エジプト中のすべての農地をファラオのために買い上げた。飢饉が激しくなったので、エジプト人は皆自分の畑を売ったからである。土地はこうして、ファラオのものとなった。

21 また民については、エジプト領の端から端まで、ヨセフが彼らを奴隷にした。

22 ただし、祭司の農地だけは買い上げなかった。祭司にはファラオからの給与があって、ファラオが与える給与で生活していたので、農地を売らなかったからである。

23 ヨセフは民に言った。「よいか、お前たちは今日、農地とともにファラオに買い取られたのだ。さあ、ここに種があるから、畑に蒔きなさい。

24 収穫の時には、五分の一をファラオに納め、五分の四はお前たちのものとするがよい。それを畑に蒔く種にしたり、お前たちや家族の者の食糧とし、子供たちの食糧としなさい。」

25 彼らは言った。「あなたさまはわたしどもの命の恩人です。御主君の御好意によって、わたしどもはファラオの奴隷にさせていただきます。」

26 ヨセフはこのように、収穫の五分の一をファラオに納めることを、エジプトの農業の定めとした。それは今日まで続いている。ただし、祭司の農地だけはファラオのものにならなかった。

ヤコブの遺言

27 イスラエルは、エジプトの国、ゴシェンの地域に住み、そこに土地を得て、子を産み、大いに数を増した。

28 ヤコブは、エジプトの国で十七年生きた。ヤコブの生涯は百四十七年であった。

29 イスラエルは死ぬ日が近づいたとき、息子ヨセフを呼び寄せて言った。「もし、お前がわたしの願いを聞いてくれるなら、お前の手をわたしの腿の間に入れ、わたしのために慈しみとまことをもって実行すると、誓ってほしい。どうか、わたしをこのエジプトには葬らないでくれ。

30 わたしが先祖たちと共に眠りについたなら、わたしをエジプトから運び出して、先祖たちの墓に葬ってほしい。」ヨセフが、「必ず、おっしゃるとおりにいたします」と答えると、

31 「では、誓ってくれ」と言ったので、ヨセフは誓った。イスラエルは、寝台の枕もとで感謝を表した。

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創世記 48

ヤコブ、ヨセフの子らを祝福する

1 これらのことの後で、ヨセフに、「お父上が御病気です」との知らせが入ったので、ヨセフは二人の息子マナセとエフライムを連れて行った。

2 ある人がヤコブに、「御子息のヨセフさまが、ただいまお見えになりました」と知らせると、イスラエルは力を奮い起こして、寝台の上に座った。

3 ヤコブはヨセフに言った。「全能の神がカナン地方のルズでわたしに現れて、わたしを祝福してくださったとき、

4 こう言われた。『あなたの子孫を繁栄させ、数を増やし/あなたを諸国民の群れとしよう。この土地をあなたに続く子孫に/永遠の所有地として与えよう。』

5 今、わたしがエジプトのお前のところに来る前に、エジプトの国で生まれたお前の二人の息子をわたしの子供にしたい。エフライムとマナセは、ルベンやシメオンと同じように、わたしの子となるが、

6 その後に生まれる者はお前のものとしてよい。しかし、彼らの嗣業の土地は兄たちの名で呼ばれるであろう。

7 わたしはパダンから帰る途中、ラケルに死なれてしまった。あれはカナン地方で、エフラトまで行くには、まだかなりの道のりがある途中でのことだった。わたしはラケルを、エフラト、つまり今のベツレヘムへ向かう道のほとりに葬った。」

8 イスラエルは、ヨセフの息子たちを見ながら、「これは誰か」と尋ねた。

9 ヨセフが父に、「神が、ここで授けてくださったわたしの息子です」と答えると、父は、「ここへ連れて来なさい。彼らを祝福しよう」と言った。

10 イスラエルの目は老齢のためかすんでよく見えなかったので、ヨセフが二人の息子を父のもとに近寄らせると、父は彼らに口づけをして抱き締めた。

11 イスラエルはヨセフに言った。「お前の顔さえ見ることができようとは思わなかったのに、なんと、神はお前の子供たちをも見させてくださった。」

12 ヨセフは彼らを父の膝から離し、地にひれ伏して拝した。

13 ヨセフは二人の息子のうち、エフライムを自分の右手でイスラエルの左手に向かわせ、マナセを自分の左手でイスラエルの右手に向かわせ、二人を近寄らせた。

14 イスラエルは右手を伸ばして、弟であるエフライムの頭の上に置き、左手をマナセの頭の上に置いた。つまり、マナセが長男であるのに、彼は両手を交差して置いたのである。

15 そして、ヨセフを祝福して言った。「わたしの先祖アブラハムとイサクが/その御前に歩んだ神よ。わたしの生涯を今日まで/導かれた牧者なる神よ。

16 わたしをあらゆる苦しみから/贖われた御使いよ。どうか、この子供たちの上に/祝福をお与えください。どうか、わたしの名と/わたしの先祖アブラハム、イサクの名が/彼らによって覚えられますように。どうか、彼らがこの地上に/数多く増え続けますように。」

17 ヨセフは、父が右手をエフライムの頭の上に置いているのを見て、不満に思い、父の手を取ってエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。

18 ヨセフは父に言った。「父上、そうではありません。これが長男ですから、右手をこれの頭の上に置いてください。」

19 ところが、父はそれを拒んで言った。「いや、分かっている。わたしの子よ、わたしには分かっている。この子も一つの民となり、大きくなるであろう。しかし、弟の方が彼よりも大きくなり、その子孫は国々に満ちるものとなる。」

20 その日、父は彼らを祝福して言った。「あなたによって/イスラエルは人を祝福して言うであろう。『どうか、神があなたを/エフライムとマナセのように/してくださるように。』」彼はこのように、エフライムをマナセの上に立てたのである。

21 イスラエルはヨセフに言った。「間もなく、わたしは死ぬ。だが、神がお前たちと共にいてくださり、きっとお前たちを先祖の国に導き帰らせてくださる。

22 わたしは、お前に兄弟たちよりも多く、わたしが剣と弓をもってアモリ人の手から取った一つの分け前(シェケム)を与えることにする。」

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創世記 49

ヤコブの祝福

1 ヤコブは息子たちを呼び寄せて言った。「集まりなさい。わたしは後の日にお前たちに起こることを語っておきたい。

2 ヤコブの息子たちよ、集まって耳を傾けよ。お前たちの父イスラエルに耳を傾けよ。

3 ルベンよ、お前はわたしの長子/わたしの勢い、命の力の初穂。気位が高く、力も強い。

4 お前は水のように奔放で/長子の誉れを失う。お前は父の寝台に上った。あのとき、わたしの寝台に上り/それを汚した。

5 シメオンとレビは似た兄弟。彼らの剣は暴力の道具。

6 わたしの魂よ、彼らの謀議に加わるな。わたしの心よ、彼らの仲間に連なるな。彼らは怒りのままに人を殺し/思うがままに雄牛の足の筋を切った。

7 呪われよ、彼らの怒りは激しく/憤りは甚だしいゆえに。わたしは彼らをヤコブの間に分け/イスラエルの間に散らす。

8 ユダよ、あなたは兄弟たちにたたえられる。あなたの手は敵の首を押さえ/父の子たちはあなたを伏し拝む。

9 ユダは獅子の子。わたしの子よ、あなたは獲物を取って上って来る。彼は雄獅子のようにうずくまり/雌獅子のように身を伏せる。誰がこれを起こすことができようか。

10 王笏はユダから離れず/統治の杖は足の間から離れない。ついにシロが来て、諸国の民は彼に従う。

11 彼はろばをぶどうの木に/雌ろばの子を良いぶどうの木につなぐ。彼は自分の衣をぶどう酒で/着物をぶどうの汁で洗う。

12 彼の目はぶどう酒によって輝き/歯は乳によって白くなる。

13 ゼブルンは海辺に住む。そこは舟の出入りする港となり/その境はシドンに及ぶ。

14 イサカルは骨太のろば/二つの革袋の間に身を伏せる。

15 彼にはその土地が快く/好ましい休息の場となった。彼はそこで背をかがめて荷を担い/苦役の奴隷に身を落とす。

16 ダンは自分の民を裁く/イスラエルのほかの部族のように。

17 ダンは、道端の蛇/小道のほとりに潜む蝮。馬のかかとをかむと/乗り手はあおむけに落ちる。

18 主よ、わたしはあなたの救いを待ち望む。

19 ガドは略奪者に襲われる。しかし彼は、彼らのかかとを襲う。

20 アシェルには豊かな食物があり/王の食卓に美味を供える。

21 ナフタリは解き放たれた雌鹿/美しい子鹿を産む。

22 ヨセフは実を結ぶ若木/泉のほとりの実を結ぶ若木。その枝は石垣を越えて伸びる。

23 弓を射る者たちは彼に敵意を抱き/矢を放ち、追いかけてくる。

24 しかし、彼の弓はたるむことなく/彼の腕と手は素早く動く。ヤコブの勇者の御手により/それによって、イスラエルの石となり牧者となった。

25 どうか、あなたの父の神があなたを助け/全能者によってあなたは祝福を受けるように。上は天の祝福/下は横たわる淵の祝福/乳房と母の胎の祝福をもって。

26 あなたの父の祝福は/永遠の山の祝福にまさり/永久の丘の賜物にまさる。これらの祝福がヨセフの頭の上にあり/兄弟たちから選ばれた者の頭にあるように。

27 ベニヤミンはかみ裂く狼/朝には獲物に食らいつき/夕には奪ったものを分け合う。」

28 これらはすべて、イスラエルの部族で、その数は十二である。これは彼らの父が語り、祝福した言葉である。父は彼らを、おのおのにふさわしい祝福をもって祝福したのである。

ヤコブの死

29 ヤコブは息子たちに命じた。「間もなくわたしは、先祖の列に加えられる。わたしをヘト人エフロンの畑にある洞穴に、先祖たちと共に葬ってほしい。

30 それはカナン地方のマムレの前のマクペラの畑にある洞穴で、アブラハムがヘト人エフロンから買い取り、墓地として所有するようになった。

31 そこに、アブラハムと妻サラが葬られている。そこに、イサクと妻リベカも葬られている。そこに、わたしもレアを葬った。

32 あの畑とあそこにある洞穴は、ヘトの人たちから買い取ったものだ。」

33 ヤコブは、息子たちに命じ終えると、寝床の上に足をそろえ、息を引き取り、先祖の列に加えられた。

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