エズラ記(ラテン語) 12

1 獅子が、この言葉を鷲に話していたとき、わたしが見ていると、 2 見よ、生き残っていた頭は消えうせ、その頭のところに移っていた二つの翼が立ち上がって支配した。その治世は、短く、騒乱が絶えなかった。 3 更に見ていると、二つの翼も消えうせて、鷲の体全体が燃えだした。そして地は恐れおののいた。 幻の説明 わたしは心がひどく乱れて、強い恐れにかられて目を覚ました。そしてわたしの霊に向かって言った。 4 「見よ、お前がいと高き者の道を探り出そうとするので、こういうことになったのだ。 5 見よ、わたしの心は疲れ、わたしの霊は弱りきっている。今夜、わたしが受けた恐怖があまりに大きかったので、わたしの中にはわずかな力もなくなっている。 6 だから今、最後までわたしを強めてくださるようにいと高き方に祈ろう。」 7 そしてわたしは祈った。「統べ治められる方、主よ、もし御好意にあずかっているのでしたら、そしてもし、わたしが多くの人々にまさって御前で正しい者とされ、また、わたしの願いが御顔の前に届きますなら、 8 わたしを強めてください。あなたの僕であるわたしに、この恐ろしい幻のはっきりとした解き明かしをして、わたしの魂を十分に慰めてください。 9 あなたはわたしを、時の終わりと終末のことを示すのに、ふさわしい者と見なしてくださったからです。」主は言われた。 10 「あなたの見た幻を解き明かせばこのようになる。 11 海から昇って来るのが見えたあの鷲は、あなたの兄弟ダニエルの幻に現れた第四の王国である。 12 しかし、彼にはわたしが今、あなたに解き明かしているように、あるいは既に解き明かしたようには、明らかにされていなかった。 13 見よ、時が来て、地上に一つの王国が興る。その王国は、それまでにあったどんな王国よりも、恐ろしいものである。 14 そこでは、十二人の王が次から次へと支配するであろう。 15 第二の王は、支配し始めると十二人の中のだれよりも長く治めることになる。 16 これがあなたの見た十二の翼の解き明かしである。 17 あなたは、声が鷲の頭からでなく、体の真ん中から出て来て話すのを聞いた。 18 それを解き明かせばこうである。この王国の時代の後半に、小さくはない争いが生じて、王国は滅亡の危機に瀕する。しかし、その時には倒れず、再び力を取り戻す。 19 また、あなたは翼に八つの下翼がついているのを見たが、 20 それを解き明かせばこうである。その王国に八人の王が立つが、彼らの時代は短く、その年はすぐに終わってしまう。その中の二人は、時半ばにして滅びてしまう。 21 しかし四人は、王国の終わりの時が近づくまで残るが、最後まで残るのは二人だけとなる。 22 あなたはまた、動かないでいる三つの頭を見たが、 23 それを解き明かせばこうである。その王国の終わりの時に、いと高き方は三つの王国を興す。彼はそこで多くのことを新たにする。王たちは地を支配し、 24 そこに住む人々を、以前のどの王たちよりも大きな苦しみを味わいつつ支配する。このため、彼らは鷲の頭と呼ばれたのである。 25 彼らこそ不敬虔を繰り返し、世の終末をもたらす者である。 26 あなたは大きな頭が消えうせるのを見た。それは、彼らの中の一人が寝床で死ぬが、しかし苦しみながら死ぬということである。 27 […]

エズラ記(ラテン語) 13

第六の幻 海から昇る人 1 七日の後、夜わたしは夢を見た。 2 見よ、海から風が起こり、潮の流れが逆巻いていた。 3 わたしが見ていると、見よ、人が天の雲とともに飛んでいた。彼が顔を向けて見つめると、見つめられたものは皆、震え上がった。 4 彼の口から声が出ると、どこでもその声を耳にした人は皆、蝋が火に触れて熔けるように燃え上がった。 5 その後、わたしが見ていると、見よ、無数の人々の群れが天の四方から集まって来て、海から昇って来た人と戦おうとしていた。 6 更に見ていると、見よ、その人は自分のために大きな山を刻み出し、その上に飛び上がった。 7 わたしは、山が刻み出された地方または場所を見ようとしたが、できなかった。 8 その後、更に見ていると、彼と戦おうとして、集まって来た人々は皆、ひどく恐怖にかられたが、それでもあえて戦い始めた。 9 すると、見よ、彼は群衆の襲撃を見ても手を上げず、投げ槍も取らず、何の武器も取らなかった。ただわたしが目にしたのは、 10 彼が口から火の流れのようなものを、唇から炎の息を、舌からは稲妻の嵐を発している有様だった。そして、火の流れと炎の息と大嵐はすべて、同時に混ざり合った。 11 それは、戦おうとして襲って来た群衆の上に落ち、すべての者を焼き尽くした。すると、たちまち無数の群衆は見えなくなり、灰の粉と煙のにおいだけになってしまった。わたしはこれを見て驚いた。 12 この後、わたしは、この人が山から下りて、別の平和な群衆を自分のもとに招いているのを見た。 13 彼のもとに、様々な顔の人々が近づいて来た。喜んでいる者もいれば、悲しんでいる者もいた。ある者は縛られており、ある者は差し出すべく捕虜を引き連れていた。わたしは非常に恐ろしくなって、目を覚まし、いと高き方に祈った。 幻の説明 14 「あなたは初めから、僕にこれらの不思議を示され、わたしを認めて願いを受け入れるにふさわしい者とされました。 15 今、また、わたしにこの夢の解き明かしをしてください。 16 わたしが思いますには、その日まで残された人々は不幸ですが、残されなかった人々はもっと不幸です。 17-18 残されなかった人々は、終わりの日に備えられているものを知りながら、それに達しえないと分かって悲しみを味わうからです。しかし残された人々も、 19 不幸なのです。というのも、この夢が示しているように、大きな危険と多くの苦しみに遭うのですから。 20 それでも、雲のようにこの世から去って行き、終わりの日に起こることを見ないよりは、危険に遭いながらも、終わりの日に至る方が、まだましです。」主はお答えになった。 21 「幻の解き明かしをしよう。また、あなたが話したことについても明らかにしよう。 22 あなたは残された人々と、残されなかった人々について語ったが、それを解き明かせばこのようになる。 23 その時に危険をもたらす方こそ、危険に陥る人々を守り、彼らは全能者のために働き、信仰を保つ者となるだろう。 24 だから、死んだ人々より、残された人々の方が、はるかに幸せであることを知るがよい。 25 幻を解き明かせば、このようになる。あなたは、海の中から人が上がって来るのを見たが、 26 この人こそいと高き方が長い間取って置かれた人である。この人は自分で自分の被造物を解放し、残された人々の運命を定めるであろう。 27 あなたは、彼の口から風と火と嵐が出るのを見た。 […]

エズラ記(ラテン語) 14

第七の幻 序文 1 三日目に、わたしは樫の木の下に座っていた。 2 すると、見よ、灌木の茂みからわたしに向かって、「エズラ、エズラ」という声がした。わたしは、「主よ、ここにおります」と言って立ち上がった。主は言われた。 3 「わたしの民がエジプトで奴隷だったとき、わたしは灌木の茂みの中で自らを啓示して、モーセに語った。 4 そして彼を遣わして、わたしの民をエジプトから導き出した。そして彼をシナイ山の上に連れて行き、何日もの間、わたしのもとに引き止めておいた。 5 そこで彼に多くの不思議な業を語り、時の秘密と時の終わりとを示した。そしてわたしは彼に命じた。 6 『この言葉は公にし、また、この言葉は秘密にしておきなさい』と。 7 今あなたに言う。 8 わたしが示したしるしと、あなたが見た夢、また、あなたが聞いた解き明かしを心に秘めておきなさい。 9 あなたは人々の中から挙げられて、わたしの子と、あなたのような人々と共に、時が終わるまで暮らす。 10 世は既に若さを失い、時は老年期に近づいている。 11 この世は十二の時期に分かれ、既に九つの時期と、更に第十の時期の半分が過ぎている。 12 残っているのは、第十の時期の半分と、あと二つの時期だけである。 13 だから今、あなたの家を整え、あなたの民を戒めなさい。卑しめられている人々を慰め、既に腐り切った生活を返上しなさい。 14 はかない考えを追い払い、人間的な重荷を捨て、弱い本性を脱ぎ捨てなさい。そして、あなたにとって何とも煩わしい思いを打ち捨て、急いでこの時代から逃げ出しなさい。 15 あなたは今、いろいろな災いが起こるのを見たが、これよりももっと悪いことが起こるだろう。 16 この世が年老いて弱くなればなるほど、世に住む人々の上に悪が増し加わる。 17 真理はますます遠ざかり、偽りが近づいている。あなたが幻で見た鷲が、既に急いでやって来つつあるからである。」 啓示の記録について 18 わたしは言った。「主よ、言うべきことは申し上げました。 19 確かに、お命じになったとおり、わたしは行って今生きている民を戒めましょう。しかし、後に生まれて来る人々には、だれが警告するのでしょうか。 20 この世は暗闇の中にあり、世に住む人々には光がありません。 21 あなたの律法が焼かれたので、あなたが既になさったことも、どんな御業が始まるのかも知る人はいないからです。 22 もしわたしが御好意にあずかっているのでしたら、わたしの中に聖なる霊をお送りください。初めから世に起こったことすべてと、あなたの律法に記されていたこととを書きましょう。そうすることによって、人々は道を見いだすことができ、生命を望む人は終わりの時に生きるのです。」 23 主はわたしに言われた。「行って民を集め、四十日間はあなたを捜してはいけないと言いなさい。 24 あなたは多くの書き板を用意して、サレア、ダブリア、セレミア、エタヌス、アシエルを連れて来なさい。この五人は速記のできる人々です。 25 そしてここに来なさい。わたしは、あなたが書き始めたものが終わるまで、消えることのない知恵の火をあなたの心にともそう。 26 出来上がったら、あるものは公にし、あるものは知恵ある者たちにひそかに渡しなさい。明日のこの時間に書き始めなさい。」 […]

エズラ記(ラテン語) 15

付録の諸預言 近づく災難 1 主は言われる。「さあ、わたしがあなたの口に送り込む預言の言葉を、わたしの民の耳に語りなさい。 2 そして彼らにそれを書き取らせなさい。その言葉は真実で、信頼できるからである。 3 あなたに対する悪だくみを恐れてはならない。あなたに敵対する人々の不信仰に動揺してはならない。 4 不信仰な人々は皆、不信仰のゆえに滅びるからである。」 5 主は言われる。「見よ、わたしは地に災いを、剣と飢えと死と滅びとをもたらす。 6 不正が全地を覆い、彼らの行いが行き着くところまで来てしまっているからである。」 7 主は言われる。 8 「それゆえ、彼らが行う不敬虔に対して、わたしはもう黙ってはいない。わたしは、彼らの不正なふるまいを忍耐しないだろう。見よ、潔白で正しい者の血が、わたしに向かって叫んでいる。正しい人々の魂が、絶え間なく叫び続けている。」 9 主は言われる。「わたしは確かに不敬虔な者たちに報復しよう。そして彼らの中のすべての潔白な人々の血を、わたしのところに受け入れよう。 10 見よ、わたしの民は家畜のように、屠殺場に引かれていく。わたしはもはや彼らが、エジプトの地に住むことに耐えられない。 11 わたしは、力ある手、伸ばした腕をもって民を救い出そう。そして、かつてのように災難でエジプトを打ち、彼らの地をすべて滅ぼそう。 12 エジプトは嘆き悲しむがよい。主が引き起こされる災難によってその大地の基が打ちたたかれるのだ。 13 地を耕す農夫たちは嘆き悲しむがよい。彼らの種は尽き、木々は熱風と雹と恐るべき嵐によって荒らされるのだから。 14 世と世に住む人々は不幸である。 15 まもなく、彼らは剣で滅ぼされるのだから。民族は民族に対して、手に剣を取って戦いに立ち上がる。 16 人々は自分たちの力を頼みにし、互いに相手を圧倒しようとして、王や位の高い指導者たちなど気にもとめない。 17 人は、町に入ろうとしても、入ることはできない。 18 町は人々の傲慢のために乱され、家はつぶされ、人々は恐れおののくからである。 19 人は隣人を憐れまず、家に剣を持って押し入り、持ち物を奪うであろう。パンに飢え、苦しみが多いからである。」 20 主は言われる。「見よ、わたしは地のすべての王たちを北から、南から、東から、東南東から呼び集め、彼らが自らに立ち帰って、与えられていたものを返すように命じる。 21 わたしの選んだ人々に対して彼らが今日に至るまで行ってきたように、わたしも行い、彼らにそれを突き返す。」主なる神はこう言われる。 22 「わたしの右手は、罪を行う者たちを赦さず、剣は、地上で罪なき人々の血を流した者たちを、見逃しはしない。 23 火が主の怒りから出て、地の基と罪人たちとを、燃えるわらのように焼き尽くす。 24 罪を犯し、わたしの戒めを守らない者は不幸である。」主は言われる。 25 「わたしは彼らを赦さない。主に背いた者たちよ、立ち去れ。わたしの聖所を汚してはならない。」 26 神は御自身に対して罪を犯す者を知っておられる。だからこそ、神は、彼らを死と殺害に渡されるのである。 27 […]

エズラ記(ラテン語) 16

エズラの哀歌 1 バビロンとアジアよ、お前は不幸だ。エジプトとシリアよ、お前は不幸だ。 2 お前たちは粗布をまとい、息子たちのため嘆き悲しむがよい。お前たちの苦しみが近づいたからである。 3 お前たちには剣が突きつけられている。だれがそれを避けることができようか。 4 お前たちに対して火が放たれた。だれがそれを消すことができようか。 5 お前たちに災いが臨んでいる。だれがそれを払いのけることができようか。 6 森の飢えた獅子を、だれが追い払うことができようか。燃えついた敷きわらを消すことができようか。 7 力強い射手の放った矢を、跳ね返すことができようか。 8 神である主が、災いを送られるのだ。だれがこれを跳ね返すことができようか。 9 火は神の怒りから発せられるのだ。だれがこれを消すことができようか。 10 稲妻がひらめく。だれが恐れずにいられようか。雷鳴がとどろく。だれがおびえずにいられようか。 11 主が威嚇されるのだ。だれがその御前で打ち砕かれずに済むだろうか。 12 大地とその基は震え、海は深みから波立ち、波も魚も主の御前で、主の御力の威光に騒ぎ立つ。 13 弓を引く方の栄光は力強く、放たれる矢は鋭く、地の果てまで届かずにはおかない。 14 見よ、災いが送られる。それは、地上に達せずに戻ることはない。 15 火が放たれる。火は地の実りを焼き尽くすまで消えることはない。 16 強力な射手によって放たれた矢が引き返すことがないように、地上に送られた災いも引き返すことはない。 17 わたしはもうだめだ。もうだめだ。だれがその日にわたしを救ってくれるだろうか。 18 嘆きが始まり、多くの人があえぎ苦しむ。飢えが始まり、多くの人が滅びる。戦いが始まり、権力者たちが恐れる。災いが始まり、人々はそれにおののく。 19 災いが襲うとき、どうすればよいのか。 20 見よ、飢えの打撃が襲って来る。その苦しみは鞭のようだ。それは戒めのための懲らしめ。 21 それにもかかわらず、人々は不正を改めず、これらの懲らしめにもかかわらず、その懲らしめを永久に思い起こすことはない。 22 見よ、地上では、しばらくの間穀物の値が下がり、平和が身近に迫ったと感じられるようになるだろう。しかし、そのときこそ、災いが地上に咲き乱れる。それは剣と飢えと大混乱である。 23 飢えが、地上に住む多くの人々を滅ぼし、剣が、飢えを免れて生き残った人々を追い散らす。 24 死体は糞土のごとく投げ捨てられ、人々を慰める者もいない。地は荒れるにまかされ、町々は崩壊していく。 25 地を耕し、種を蒔く農夫は一人も残されないだろう。 26 木々は実をつけたとしても、だれがそれを刈り取るだろうか。 27 ぶどうは収穫をもたらしたとしても、だれがそれを搾るだろうか。どこも荒れほうだいになるであろう。 […]