手の萎えた人をいやす 1 イエスはまた会堂にお入りになった。そこに片手の萎えた人がいた。 2 人々はイエスを訴えようと思って、安息日にこの人の病気をいやされるかどうか、注目していた。 3 イエスは手の萎えた人に、「真ん中に立ちなさい」と言われた。 4 そして人々にこう言われた。「安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、殺すことか。」彼らは黙っていた。 5 そこで、イエスは怒って人々を見回し、彼らのかたくなな心を悲しみながら、その人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。伸ばすと、手は元どおりになった。 6 ファリサイ派の人々は出て行き、早速、ヘロデ派の人々と一緒に、どのようにしてイエスを殺そうかと相談し始めた。 湖の岸辺の群衆 7 イエスは弟子たちと共に湖の方へ立ち去られた。ガリラヤから来たおびただしい群衆が従った。また、ユダヤ、 8 エルサレム、イドマヤ、ヨルダン川の向こう側、ティルスやシドンの辺りからもおびただしい群衆が、イエスのしておられることを残らず聞いて、そばに集まって来た。 9 そこで、イエスは弟子たちに小舟を用意してほしいと言われた。群衆に押しつぶされないためである。 10 イエスが多くの病人をいやされたので、病気に悩む人たちが皆、イエスに触れようとして、そばに押し寄せたからであった。 11 汚れた霊どもは、イエスを見るとひれ伏して、「あなたは神の子だ」と叫んだ。 12 イエスは、自分のことを言いふらさないようにと霊どもを厳しく戒められた。 十二人を選ぶ 13 イエスが山に登って、これと思う人々を呼び寄せられると、彼らはそばに集まって来た。 14 そこで、十二人を任命し、使徒と名付けられた。彼らを自分のそばに置くため、また、派遣して宣教させ、 15 悪霊を追い出す権能を持たせるためであった。 16 こうして十二人を任命された。シモンにはペトロという名を付けられた。 17 ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟ヨハネ、この二人にはボアネルゲス、すなわち、「雷の子ら」という名を付けられた。 18 アンデレ、フィリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルファイの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、 19 それに、イスカリオテのユダ。このユダがイエスを裏切ったのである。 ベルゼブル論争 20 イエスが家に帰られると、群衆がまた集まって来て、一同は食事をする暇もないほどであった。 21 身内の人たちはイエスのことを聞いて取り押さえに来た。「あの男は気が変になっている」と言われていたからである。 22 エルサレムから下って来た律法学者たちも、「あの男はベルゼブルに取りつかれている」と言い、また、「悪霊の頭の力で悪霊を追い出している」と言っていた。 23 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて、たとえを用いて語られた。「どうして、サタンがサタンを追い出せよう。 24 国が内輪で争えば、その国は成り立たない。 25 家が内輪で争えば、その家は成り立たない。 26 […]
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マルコによる福音書 4
「種を蒔く人」のたとえ 1 イエスは、再び湖のほとりで教え始められた。おびただしい群衆が、そばに集まって来た。そこで、イエスは舟に乗って腰を下ろし、湖の上におられたが、群衆は皆、湖畔にいた。 2 イエスはたとえでいろいろと教えられ、その中で次のように言われた。 3 「よく聞きなさい。種を蒔く人が種蒔きに出て行った。 4 蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。 5 ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐ芽を出した。 6 しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 7 ほかの種は茨の中に落ちた。すると茨が伸びて覆いふさいだので、実を結ばなかった。 8 また、ほかの種は良い土地に落ち、芽生え、育って実を結び、あるものは三十倍、あるものは六十倍、あるものは百倍にもなった。」 9 そして、「聞く耳のある者は聞きなさい」と言われた。 たとえを用いて話す理由 10 イエスがひとりになられたとき、十二人と、イエスの周りにいた人たちとがたとえについて尋ねた。 11 そこで、イエスは言われた。「あなたがたには神の国の秘密が打ち明けられているが、外の人々には、すべてがたとえで示される。 12 それは、/『彼らが見るには見るが、認めず、/聞くには聞くが、理解できず、/こうして、立ち帰って赦されることがない』/ようになるためである。」 「種を蒔く人」のたとえの説明 13 また、イエスは言われた。「このたとえが分からないのか。では、どうしてほかのたとえが理解できるだろうか。 14 種を蒔く人は、神の言葉を蒔くのである。 15 道端のものとは、こういう人たちである。そこに御言葉が蒔かれ、それを聞いても、すぐにサタンが来て、彼らに蒔かれた御言葉を奪い去る。 16 石だらけの所に蒔かれるものとは、こういう人たちである。御言葉を聞くとすぐ喜んで受け入れるが、 17 自分には根がないので、しばらくは続いても、後で御言葉のために艱難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまう。 18 また、ほかの人たちは茨の中に蒔かれるものである。この人たちは御言葉を聞くが、 19 この世の思い煩いや富の誘惑、その他いろいろな欲望が心に入り込み、御言葉を覆いふさいで実らない。 20 良い土地に蒔かれたものとは、御言葉を聞いて受け入れる人たちであり、ある者は三十倍、ある者は六十倍、ある者は百倍の実を結ぶのである。」 「ともし火」と「秤」のたとえ 21 また、イエスは言われた。「ともし火を持って来るのは、升の下や寝台の下に置くためだろうか。燭台の上に置くためではないか。 22 隠れているもので、あらわにならないものはなく、秘められたもので、公にならないものはない。 23 聞く耳のある者は聞きなさい。」 24 また、彼らに言われた。「何を聞いているかに注意しなさい。あなたがたは自分の量る秤で量り与えられ、更にたくさん与えられる。 25 持っている人は更に与えられ、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。」 「成長する種」のたとえ […]
マルコによる福音書 5
悪霊に取りつかれたゲラサの人をいやす 1 一行は、湖の向こう岸にあるゲラサ人の地方に着いた。 2 イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊に取りつかれた人が墓場からやって来た。 3 この人は墓場を住まいとしており、もはやだれも、鎖を用いてさえつなぎとめておくことはできなかった。 4 これまでにも度々足枷や鎖で縛られたが、鎖は引きちぎり足枷は砕いてしまい、だれも彼を縛っておくことはできなかったのである。 5 彼は昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ちたたいたりしていた。 6 イエスを遠くから見ると、走り寄ってひれ伏し、 7 大声で叫んだ。「いと高き神の子イエス、かまわないでくれ。後生だから、苦しめないでほしい。」 8 イエスが、「汚れた霊、この人から出て行け」と言われたからである。 9 そこで、イエスが、「名は何というのか」とお尋ねになると、「名はレギオン。大勢だから」と言った。 10 そして、自分たちをこの地方から追い出さないようにと、イエスにしきりに願った。 11 ところで、その辺りの山で豚の大群がえさをあさっていた。 12 汚れた霊どもはイエスに、「豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ」と願った。 13 イエスがお許しになったので、汚れた霊どもは出て、豚の中に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖になだれ込み、湖の中で次々とおぼれ死んだ。 14 豚飼いたちは逃げ出し、町や村にこのことを知らせた。人々は何が起こったのかと見に来た。 15 彼らはイエスのところに来ると、レギオンに取りつかれていた人が服を着、正気になって座っているのを見て、恐ろしくなった。 16 成り行きを見ていた人たちは、悪霊に取りつかれた人の身に起こったことと豚のことを人々に語った。 17 そこで、人々はイエスにその地方から出て行ってもらいたいと言いだした。 18 イエスが舟に乗られると、悪霊に取りつかれていた人が、一緒に行きたいと願った。 19 イエスはそれを許さないで、こう言われた。「自分の家に帰りなさい。そして身内の人に、主があなたを憐れみ、あなたにしてくださったことをことごとく知らせなさい。」 20 その人は立ち去り、イエスが自分にしてくださったことをことごとくデカポリス地方に言い広め始めた。人々は皆驚いた。 ヤイロの娘とイエスの服に触れる女 21 イエスが舟に乗って再び向こう岸に渡られると、大勢の群衆がそばに集まって来た。イエスは湖のほとりにおられた。 22 会堂長の一人でヤイロという名の人が来て、イエスを見ると足もとにひれ伏して、 23 しきりに願った。「わたしの幼い娘が死にそうです。どうか、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、娘は助かり、生きるでしょう。」 24 そこで、イエスはヤイロと一緒に出かけて行かれた。大勢の群衆も、イエスに従い、押し迫って来た。 25 さて、ここに十二年間も出血の止まらない女がいた。 26 多くの医者にかかって、ひどく苦しめられ、全財産を使い果たしても何の役にも立たず、ますます悪くなるだけであった。 27 […]
マルコによる福音書 6
ナザレで受け入れられない 1 イエスはそこを去って故郷にお帰りになったが、弟子たちも従った。 2 安息日になったので、イエスは会堂で教え始められた。多くの人々はそれを聞いて、驚いて言った。「この人は、このようなことをどこから得たのだろう。この人が授かった知恵と、その手で行われるこのような奇跡はいったい何か。 3 この人は、大工ではないか。マリアの息子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。姉妹たちは、ここで我々と一緒に住んでいるではないか。」このように、人々はイエスにつまずいた。 4 イエスは、「預言者が敬われないのは、自分の故郷、親戚や家族の間だけである」と言われた。 5 そこでは、ごくわずかの病人に手を置いていやされただけで、そのほかは何も奇跡を行うことがおできにならなかった。 6 そして、人々の不信仰に驚かれた。 十二人を派遣する それから、イエスは付近の村を巡り歩いてお教えになった。 7 そして、十二人を呼び寄せ、二人ずつ組にして遣わすことにされた。その際、汚れた霊に対する権能を授け、 8 旅には杖一本のほか何も持たず、パンも、袋も、また帯の中に金も持たず、 9 ただ履物は履くように、そして「下着は二枚着てはならない」と命じられた。 10 また、こうも言われた。「どこでも、ある家に入ったら、その土地から旅立つときまで、その家にとどまりなさい。 11 しかし、あなたがたを迎え入れず、あなたがたに耳を傾けようともしない所があったら、そこを出ていくとき、彼らへの証しとして足の裏の埃を払い落としなさい。」 12 十二人は出かけて行って、悔い改めさせるために宣教した。 13 そして、多くの悪霊を追い出し、油を塗って多くの病人をいやした。 洗礼者ヨハネ、殺される 14 イエスの名が知れ渡ったので、ヘロデ王の耳にも入った。人々は言っていた。「洗礼者ヨハネが死者の中から生き返ったのだ。だから、奇跡を行う力が彼に働いている。」 15 そのほかにも、「彼はエリヤだ」と言う人もいれば、「昔の預言者のような預言者だ」と言う人もいた。 16 ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首をはねたあのヨハネが、生き返ったのだ」と言った。 17 実は、ヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアと結婚しており、そのことで人をやってヨハネを捕らえさせ、牢につないでいた。 18 ヨハネが、「自分の兄弟の妻と結婚することは、律法で許されていない」とヘロデに言ったからである。 19 そこで、ヘロディアはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。 20 なぜなら、ヘロデが、ヨハネは正しい聖なる人であることを知って、彼を恐れ、保護し、また、その教えを聞いて非常に当惑しながらも、なお喜んで耳を傾けていたからである。 21 ところが、良い機会が訪れた。ヘロデが、自分の誕生日の祝いに高官や将校、ガリラヤの有力者などを招いて宴会を催すと、 22 ヘロディアの娘が入って来て踊りをおどり、ヘロデとその客を喜ばせた。そこで、王は少女に、「欲しいものがあれば何でも言いなさい。お前にやろう」と言い、 23 更に、「お前が願うなら、この国の半分でもやろう」と固く誓ったのである。 24 少女が座を外して、母親に、「何を願いましょうか」と言うと、母親は、「洗礼者ヨハネの首を」と言った。 25 早速、少女は大急ぎで王のところに行き、「今すぐに洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、いただきとうございます」と願った。 26 […]
マルコによる福音書 7
昔の人の言い伝え 1 ファリサイ派の人々と数人の律法学者たちが、エルサレムから来て、イエスのもとに集まった。 2 そして、イエスの弟子たちの中に汚れた手、つまり洗わない手で食事をする者がいるのを見た。 3 ――ファリサイ派の人々をはじめユダヤ人は皆、昔の人の言い伝えを固く守って、念入りに手を洗ってからでないと食事をせず、 4 また、市場から帰ったときには、身を清めてからでないと食事をしない。そのほか、杯、鉢、銅の器や寝台を洗うことなど、昔から受け継いで固く守っていることがたくさんある。―― 5 そこで、ファリサイ派の人々と律法学者たちが尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは昔の人の言い伝えに従って歩まず、汚れた手で食事をするのですか。」 6 イエスは言われた。「イザヤは、あなたたちのような偽善者のことを見事に預言したものだ。彼はこう書いている。『この民は口先ではわたしを敬うが、/その心はわたしから遠く離れている。 7 人間の戒めを教えとしておしえ、/むなしくわたしをあがめている。』 8 あなたたちは神の掟を捨てて、人間の言い伝えを固く守っている。」 9 更に、イエスは言われた。「あなたたちは自分の言い伝えを大事にして、よくも神の掟をないがしろにしたものである。 10 モーセは、『父と母を敬え』と言い、『父または母をののしる者は死刑に処せられるべきである』とも言っている。 11 それなのに、あなたたちは言っている。『もし、だれかが父または母に対して、「あなたに差し上げるべきものは、何でもコルバン、つまり神への供え物です」と言えば、 12 その人はもはや父または母に対して何もしないで済むのだ』と。 13 こうして、あなたたちは、受け継いだ言い伝えで神の言葉を無にしている。また、これと同じようなことをたくさん行っている。」 14 それから、イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた。「皆、わたしの言うことを聞いて悟りなさい。 15 外から人の体に入るもので人を汚すことができるものは何もなく、人の中から出て来るものが、人を汚すのである。」 16 † 17 イエスが群衆と別れて家に入られると、弟子たちはこのたとえについて尋ねた。 18 イエスは言われた。「あなたがたも、そんなに物分かりが悪いのか。すべて外から人の体に入るものは、人を汚すことができないことが分からないのか。 19 それは人の心の中に入るのではなく、腹の中に入り、そして外に出される。こうして、すべての食べ物は清められる。」 20 更に、次のように言われた。「人から出て来るものこそ、人を汚す。 21 中から、つまり人間の心から、悪い思いが出て来るからである。みだらな行い、盗み、殺意、 22 姦淫、貪欲、悪意、詐欺、好色、ねたみ、悪口、傲慢、無分別など、 23 これらの悪はみな中から出て来て、人を汚すのである。」 シリア・フェニキアの女の信仰 24 イエスはそこを立ち去って、ティルスの地方に行かれた。ある家に入り、だれにも知られたくないと思っておられたが、人々に気づかれてしまった。 25 汚れた霊に取りつかれた幼い娘を持つ女が、すぐにイエスのことを聞きつけ、来てその足もとにひれ伏した。 26 女はギリシア人でシリア・フェニキアの生まれであったが、娘から悪霊を追い出してくださいと頼んだ。 27 […]
マルコによる福音書 8
四千人に食べ物を与える 1 そのころ、また群衆が大勢いて、何も食べる物がなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。 2 「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしと一緒にいるのに、食べ物がない。 3 空腹のまま家に帰らせると、途中で疲れきってしまうだろう。中には遠くから来ている者もいる。」 4 弟子たちは答えた。「こんな人里離れた所で、いったいどこからパンを手に入れて、これだけの人に十分食べさせることができるでしょうか。」 5 イエスが「パンは幾つあるか」とお尋ねになると、弟子たちは、「七つあります」と言った。 6 そこで、イエスは地面に座るように群衆に命じ、七つのパンを取り、感謝の祈りを唱えてこれを裂き、人々に配るようにと弟子たちにお渡しになった。弟子たちは群衆に配った。 7 また、小さい魚が少しあったので、賛美の祈りを唱えて、それも配るようにと言われた。 8 人々は食べて満腹したが、残ったパンの屑を集めると、七籠になった。 9 およそ四千人の人がいた。イエスは彼らを解散させられた。 10 それからすぐに、弟子たちと共に舟に乗って、ダルマヌタの地方に行かれた。 人々はしるしを欲しがる 11 ファリサイ派の人々が来て、イエスを試そうとして、天からのしるしを求め、議論をしかけた。 12 イエスは、心の中で深く嘆いて言われた。「どうして、今の時代の者たちはしるしを欲しがるのだろう。はっきり言っておく。今の時代の者たちには、決してしるしは与えられない。」 13 そして、彼らをそのままにして、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。 ファリサイ派の人々とヘロデのパン種 14 弟子たちはパンを持って来るのを忘れ、舟の中には一つのパンしか持ち合わせていなかった。 15 そのとき、イエスは、「ファリサイ派の人々のパン種とヘロデのパン種によく気をつけなさい」と戒められた。 16 弟子たちは、これは自分たちがパンを持っていないからなのだ、と論じ合っていた。 17 イエスはそれに気づいて言われた。「なぜ、パンを持っていないことで議論するのか。まだ、分からないのか。悟らないのか。心がかたくなになっているのか。 18 目があっても見えないのか。耳があっても聞こえないのか。覚えていないのか。 19 わたしが五千人に五つのパンを裂いたとき、集めたパンの屑でいっぱいになった籠は、幾つあったか。」弟子たちは、「十二です」と言った。 20 「七つのパンを四千人に裂いたときには、集めたパンの屑でいっぱいになった籠は、幾つあったか。」「七つです」と言うと、 21 イエスは、「まだ悟らないのか」と言われた。 ベトサイダで盲人をいやす 22 一行はベトサイダに着いた。人々が一人の盲人をイエスのところに連れて来て、触れていただきたいと願った。 23 イエスは盲人の手を取って、村の外に連れ出し、その目に唾をつけ、両手をその人の上に置いて、「何か見えるか」とお尋ねになった。 24 すると、盲人は見えるようになって、言った。「人が見えます。木のようですが、歩いているのが分かります。」 25 そこで、イエスがもう一度両手をその目に当てられると、よく見えてきていやされ、何でもはっきり見えるようになった。 26 […]
マルコによる福音書 9
1 また、イエスは言われた。「はっきり言っておく。ここに一緒にいる人々の中には、神の国が力にあふれて現れるのを見るまでは、決して死なない者がいる。」 イエスの姿が変わる 2 六日の後、イエスは、ただペトロ、ヤコブ、ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。イエスの姿が彼らの目の前で変わり、 3 服は真っ白に輝き、この世のどんなさらし職人の腕も及ばぬほど白くなった。 4 エリヤがモーセと共に現れて、イエスと語り合っていた。 5 ペトロが口をはさんでイエスに言った。「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。仮小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのため、一つはモーセのため、もう一つはエリヤのためです。」 6 ペトロは、どう言えばよいのか、分からなかった。弟子たちは非常に恐れていたのである。 7 すると、雲が現れて彼らを覆い、雲の中から声がした。「これはわたしの愛する子。これに聞け。」 8 弟子たちは急いで辺りを見回したが、もはやだれも見えず、ただイエスだけが彼らと一緒におられた。 9 一同が山を下りるとき、イエスは、「人の子が死者の中から復活するまでは、今見たことをだれにも話してはいけない」と弟子たちに命じられた。 10 彼らはこの言葉を心に留めて、死者の中から復活するとはどういうことかと論じ合った。 11 そして、イエスに、「なぜ、律法学者は、まずエリヤが来るはずだと言っているのでしょうか」と尋ねた。 12 イエスは言われた。「確かに、まずエリヤが来て、すべてを元どおりにする。それなら、人の子は苦しみを重ね、辱めを受けると聖書に書いてあるのはなぜか。 13 しかし、言っておく。エリヤは来たが、彼について聖書に書いてあるように、人々は好きなようにあしらったのである。」 汚れた霊に取りつかれた子をいやす 14 一同がほかの弟子たちのところに来てみると、彼らは大勢の群衆に取り囲まれて、律法学者たちと議論していた。 15 群衆は皆、イエスを見つけて非常に驚き、駆け寄って来て挨拶した。 16 イエスが、「何を議論しているのか」とお尋ねになると、 17 群衆の中のある者が答えた。「先生、息子をおそばに連れて参りました。この子は霊に取りつかれて、ものが言えません。 18 霊がこの子に取りつくと、所かまわず地面に引き倒すのです。すると、この子は口から泡を出し、歯ぎしりして体をこわばらせてしまいます。この霊を追い出してくださるようにお弟子たちに申しましたが、できませんでした。」 19 イエスはお答えになった。「なんと信仰のない時代なのか。いつまでわたしはあなたがたと共にいられようか。いつまで、あなたがたに我慢しなければならないのか。その子をわたしのところに連れて来なさい。」 20 人々は息子をイエスのところに連れて来た。霊は、イエスを見ると、すぐにその子を引きつけさせた。その子は地面に倒れ、転び回って泡を吹いた。 21 イエスは父親に、「このようになったのは、いつごろからか」とお尋ねになった。父親は言った。「幼い時からです。 22 霊は息子を殺そうとして、もう何度も火の中や水の中に投げ込みました。おできになるなら、わたしどもを憐れんでお助けください。」 23 イエスは言われた。「『できれば』と言うか。信じる者には何でもできる。」 24 その子の父親はすぐに叫んだ。「信じます。信仰のないわたしをお助けください。」 25 イエスは、群衆が走り寄って来るのを見ると、汚れた霊をお叱りになった。「ものも言わせず、耳も聞こえさせない霊、わたしの命令だ。この子から出て行け。二度とこの子の中に入るな。」 26 すると、霊は叫び声をあげ、ひどく引きつけさせて出て行った。その子は死んだようになったので、多くの者が、「死んでしまった」と言った。 27 […]
マルコによる福音書 10
離縁について教える 1 イエスはそこを立ち去って、ユダヤ地方とヨルダン川の向こう側に行かれた。群衆がまた集まって来たので、イエスは再びいつものように教えておられた。 2 ファリサイ派の人々が近寄って、「夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と尋ねた。イエスを試そうとしたのである。 3 イエスは、「モーセはあなたたちに何と命じたか」と問い返された。 4 彼らは、「モーセは、離縁状を書いて離縁することを許しました」と言った。 5 イエスは言われた。「あなたたちの心が頑固なので、このような掟をモーセは書いたのだ。 6 しかし、天地創造の初めから、神は人を男と女とにお造りになった。 7 それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、 8 二人は一体となる。だから二人はもはや別々ではなく、一体である。 9 従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」 10 家に戻ってから、弟子たちがまたこのことについて尋ねた。 11 イエスは言われた。「妻を離縁して他の女を妻にする者は、妻に対して姦通の罪を犯すことになる。 12 夫を離縁して他の男を夫にする者も、姦通の罪を犯すことになる。」 子供を祝福する 13 イエスに触れていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。 14 しかし、イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。 15 はっきり言っておく。子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」 16 そして、子供たちを抱き上げ、手を置いて祝福された。 金持ちの男 17 イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」 18 イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。 19 『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」 20 すると彼は、「先生、そういうことはみな、子供の時から守ってきました」と言った。 21 イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」 22 その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。 23 イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」 24 弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。 25 金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」 26 弟子たちはますます驚いて、「それでは、だれが救われるのだろうか」と互いに言った。 […]
マルコによる福音書 11
エルサレムに迎えられる 1 一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山のふもとにあるベトファゲとベタニアにさしかかったとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、 2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、連れて来なさい。 3 もし、だれかが、『なぜ、そんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。すぐここにお返しになります』と言いなさい。」 4 二人は、出かけて行くと、表通りの戸口に子ろばのつないであるのを見つけたので、それをほどいた。 5 すると、そこに居合わせたある人々が、「その子ろばをほどいてどうするのか」と言った。 6 二人が、イエスの言われたとおり話すと、許してくれた。 7 二人が子ろばを連れてイエスのところに戻って来て、その上に自分の服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。 8 多くの人が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は野原から葉の付いた枝を切って来て道に敷いた。 9 そして、前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ホサナ。主の名によって来られる方に、/祝福があるように。 10 我らの父ダビデの来るべき国に、/祝福があるように。いと高きところにホサナ。」 11 こうして、イエスはエルサレムに着いて、神殿の境内に入り、辺りの様子を見て回った後、もはや夕方になったので、十二人を連れてベタニアへ出て行かれた。 いちじくの木を呪う 12 翌日、一行がベタニアを出るとき、イエスは空腹を覚えられた。 13 そこで、葉の茂ったいちじくの木を遠くから見て、実がなってはいないかと近寄られたが、葉のほかは何もなかった。いちじくの季節ではなかったからである。 14 イエスはその木に向かって、「今から後いつまでも、お前から実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。 神殿から商人を追い出す 15 それから、一行はエルサレムに来た。イエスは神殿の境内に入り、そこで売り買いしていた人々を追い出し始め、両替人の台や鳩を売る者の腰掛けをひっくり返された。 16 また、境内を通って物を運ぶこともお許しにならなかった。 17 そして、人々に教えて言われた。「こう書いてあるではないか。『わたしの家は、すべての国の人の/祈りの家と呼ばれるべきである。』/ところが、あなたたちは/それを強盗の巣にしてしまった。」 18 祭司長たちや律法学者たちはこれを聞いて、イエスをどのようにして殺そうかと謀った。群衆が皆その教えに打たれていたので、彼らはイエスを恐れたからである。 19 夕方になると、イエスは弟子たちと都の外に出て行かれた。 枯れたいちじくの木の教訓 20 翌朝早く、一行は通りがかりに、あのいちじくの木が根元から枯れているのを見た。 21 そこで、ペトロは思い出してイエスに言った。「先生、御覧ください。あなたが呪われたいちじくの木が、枯れています。」 22 そこで、イエスは言われた。「神を信じなさい。 23 はっきり言っておく。だれでもこの山に向かい、『立ち上がって、海に飛び込め』と言い、少しも疑わず、自分の言うとおりになると信じるならば、そのとおりになる。 24 だから、言っておく。祈り求めるものはすべて既に得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになる。 25 また、立って祈るとき、だれかに対して何か恨みに思うことがあれば、赦してあげなさい。そうすれば、あなたがたの天の父も、あなたがたの過ちを赦してくださる。」 26 […]
マルコによる福音書 12
「ぶどう園と農夫」のたとえ 1 イエスは、たとえで彼らに話し始められた。「ある人がぶどう園を作り、垣を巡らし、搾り場を掘り、見張りのやぐらを立て、これを農夫たちに貸して旅に出た。 2 収穫の時になったので、ぶどう園の収穫を受け取るために、僕を農夫たちのところへ送った。 3 だが、農夫たちは、この僕を捕まえて袋だたきにし、何も持たせないで帰した。 4 そこでまた、他の僕を送ったが、農夫たちはその頭を殴り、侮辱した。 5 更に、もう一人を送ったが、今度は殺した。そのほかに多くの僕を送ったが、ある者は殴られ、ある者は殺された。 6 まだ一人、愛する息子がいた。『わたしの息子なら敬ってくれるだろう』と言って、最後に息子を送った。 7 農夫たちは話し合った。『これは跡取りだ。さあ、殺してしまおう。そうすれば、相続財産は我々のものになる。』 8 そして、息子を捕まえて殺し、ぶどう園の外にほうり出してしまった。 9 さて、このぶどう園の主人は、どうするだろうか。戻って来て農夫たちを殺し、ぶどう園をほかの人たちに与えるにちがいない。 10 聖書にこう書いてあるのを読んだことがないのか。『家を建てる者の捨てた石、/これが隅の親石となった。 11 これは、主がなさったことで、/わたしたちの目には不思議に見える。』」 12 彼らは、イエスが自分たちに当てつけてこのたとえを話されたと気づいたので、イエスを捕らえようとしたが、群衆を恐れた。それで、イエスをその場に残して立ち去った。 皇帝への税金 13 さて、人々は、イエスの言葉じりをとらえて陥れようとして、ファリサイ派やヘロデ派の人を数人イエスのところに遣わした。 14 彼らは来て、イエスに言った。「先生、わたしたちは、あなたが真実な方で、だれをもはばからない方であることを知っています。人々を分け隔てせず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」 15 イエスは、彼らの下心を見抜いて言われた。「なぜ、わたしを試そうとするのか。デナリオン銀貨を持って来て見せなさい。」 16 彼らがそれを持って来ると、イエスは、「これは、だれの肖像と銘か」と言われた。彼らが、「皇帝のものです」と言うと、 17 イエスは言われた。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」彼らは、イエスの答えに驚き入った。 復活についての問答 18 復活はないと言っているサドカイ派の人々が、イエスのところへ来て尋ねた。 19 「先生、モーセはわたしたちのために書いています。『ある人の兄が死に、妻を後に残して子がない場合、その弟は兄嫁と結婚して、兄の跡継ぎをもうけねばならない』と。 20 ところで、七人の兄弟がいました。長男が妻を迎えましたが、跡継ぎを残さないで死にました。 21 次男がその女を妻にしましたが、跡継ぎを残さないで死に、三男も同様でした。 22 こうして、七人とも跡継ぎを残しませんでした。最後にその女も死にました。 23 復活の時、彼らが復活すると、その女はだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしたのです。」 24 イエスは言われた。「あなたたちは聖書も神の力も知らないから、そんな思い違いをしているのではないか。 25 死者の中から復活するときには、めとることも嫁ぐこともなく、天使のようになるのだ。 26 死者が復活することについては、モーセの書の『柴』の個所で、神がモーセにどう言われたか、読んだことがないのか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあるではないか。 […]